著者
小林 俊治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

「談合」は、主として建設業をはじめ、種々の業界で行われている不法なビジネス慣行である。本研究ではとくに「入札談合」を研究対象とした。これは、官公庁などがそれぞれの法令に規定されている金額をこえる公共工事などの受注業者を決定する際に、原則として一般公開入札をすることである。しかし、入札にさいして談合が組また場合、同業者などが前もって話し合い、あらかじめ受注者を決定し、その業者が指名されるように各入札者が「適当な」価格で入札をする。そして、談合グループの企業は、リーダー企業の判断により、順次、受注できるか、その他の方法により利益の配分を受ける。それにより業界の和がたもたれ、相互扶助の体質が強化される。談合に参加せず、独自に入札する業者はアウトサイダーとして、業界の相互扶助のネットワークから排除される。また、官公庁側も「天下り」先の確保のためなどに、特定の業者を優遇する「官製談合」をなすこともある。このような談合行為は、法律的には独占禁止法違反の不当な取引制限であり、刑法の談合罪(96条、3の(2))にあたる。談合行為の発生の大きな理由のひとつは、企業間競争の回避を選好する日本的企業倫理風土がある。歴史学的には、こうした同業者の相互扶助行為は、江戸時代までは商業取引の当然の慣行であると指摘している。そこには、集団主義があり、和を重視する倫理がある。ただ、今日のようにテクノロジーが急速に発展している時代には、主として価格だけで受注業者を決定することには、限界がある。すなわち、受注業者が高価な素材や最新のテクノロジーを使用していない可能性がつよいのである。そこで、価格のみならず、技術レベルなどを考慮した総合評価方式による受注者決定の方法が導入され始めている。ただその場合、技術進歩などを中立的に判断できるであろう、発注者側の官公庁の発言権が強まり、ここでも「官製談合」の形成の危険がある。
著者
箸本 健二
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究は、地方都市の中心市街地活性化が直面する諸問題のうち、(1)郊外型SCへの行政の対応、(2)ホームページを用いた情報発信、(3)タウンマネジメントをめぐるセクタ間の対立を検討した。(1)については、群馬県太田市と栃木県佐野市を対象とした分析を行い、消費の流失を阻止すると同時に、税収と雇用の確保するため、大規模モールの進出を自治体が事実上「誘致」している点を指摘した。(2)については、大阪市42商店街の34サイトを分析し、買回り品を中心とする商店街が広域情報発信や電子商取引機能を重視するのに対して、最寄り品を中心とする近隣型商店街は地域情報の発信機能を重視すること、自治体のIT対応補助金が導入時期を規定していることなどを明らかにした。(3)については、広島県呉市で実態調査を行い、専任のTMを常駐させることが、新規創業者の定着に大きな効果を持つこと、既得権者である旧来の商業者との調整を図る機関が必要であること等を指摘した。
著者
砂岡 和子 保坂 敏子 砂岡 和子 敬松
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

日本語と中国語による対面異文化交流時に発生する障害の解決支援を目的に、ミス・コミュニケーション・コーパスを構築し、会議参加者が相互にコメントを付加できる異文化交流ビデオ教学プラットホームを開発した。話者の各種属性による言語・非言語要素、および対話における協調・非協調などの要因から討論シーンが検索可能となる。
著者
野坂 和夫
出版者
早稲田大学
雑誌
産業経営 (ISSN:02864428)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.71-81, 2004-12-15

会計の2005年問題の中で,日本企業にとって最も大きな問題となるのは,業績報告であろう。現在,IASBから提案されている業績報告の基本様式には,日本基準に存在する当期純利益の項目が存在しないからである。したがって,IFRSと日本基準との間には,業績報告における利益概念に大きな相違が存在する。このような会計環境に鑑みて,本稿では,業績報告における利益概念を考察する。具体的に,業績報告における利益概念が備えるべき機能を,投資家に対して投資意思決定に有用な情報を提供するという「意思決定有用性」,投資家に対して利益配当に関する情報を提供するという「配当可能性」,および,経営者が企業内容開示責任を負い投資家が投資意思決定について自己責任を負うという,証券市場での責任分担原則を維持する「業績報告と企業評価の区分明確化」の三機能に区分して,業績報告における利益概念を考察する。
著者
鈴木 晶夫
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.61-73, 1995-03-25
被引用文献数
6 or 0

There are so many factors that have effects on facial recognition. We used three kinds of "Noh" masks, "Masu", "Chuujou", and "Fukai", to investigate the effects on facial recognition by changes in the shaddow of view of the masks. This study investigated two points, the relation between the shaddow of the face of "Noh" masks and the selection of emotional categories on facial recognition; and changes of impressions of the "Noh" mask due to changes in the shaddow of the mask. The results of ANOVA showed statistically significant differences in conditions of the shaddow and the kind of "Noh" masks. The selection of emotional categories and the changes of impression on each "Noh" mask depends not only on the shaddow, but on the combination of the kinds and the shaddow of view of the "Noh" mask. In the case of masks having some features in the facial shapel (e.g. a dimple, wrinkles), the features have effects on the selection of emotional categories and impressions of the "Noh" mask.
著者
森下 之博
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-295, 2016

早大学位記番号:新7346
著者
高嶋 孝倫
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2003

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1794号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2003/3/24 ; 早大学位記番号:新3572
著者
奥乃 博 中臺 一博 公文 誠 吉井 和佳 糸山 克寿 佐々木 洋子 昆陽 雅司 合原 一究 鈴木 麗璽 加賀美 聡 田所 諭
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31 (Released:2012-11-27)

4年目は『WPの成果を統合したシステム評価と個別要素技術の再構築』に取り組んだ.各WPの実績を次に示す.WP1:【ロボット聴覚ソフトウエアHARKの開発】①圧縮・無線伝送方式の改良により屋外データ転送の安定化.②組込みシステム化したHARK-Binaural+の効果とRaspberry Pi2稼働確認.③クラウド化HARK-SaaSの開発と試用開始.④12月HARK無料講習会,ハッカソン実施. WP2:【屋内から屋外への展開】⑤LiDAR・マイクアレイの手持ち化と,SLAMと音源方向を統合した音源地図構築法の開発.⑥イベント会場収録音の音源数無制限BNP-MAP法による音源定位・分離のマイク数の変化による性能変化の評価.⑦UAV収録音のCNNによる多クラス識別を開発.WP3:【音一般への展開】⑧料理支援ロボットのための音特徴抽出法の開発.⑨カエルホタル点滅パターンを統合したNMFによるカエル合唱構造の分析.⑩UAV収音のDNNによる音響イベント認識の開発.⑪能動耳介の鉛直方向・水平方向定位特性を解明. WP4:【極限環境・自然環境への展開】⑫UAVからの音源定位の熊本新港での予備実験.⑬カイト式UAV収音システムの開発と滑空時音源方向推定の予備実験. ⑭グライダ用64チャネル収音装置の構築.⑮HARKFrogによる西表島・隠岐島での観測.別種カエルの合唱下でのアマガエルの同相同期を発見.⑯カエルの鳴き声に誘引される吸血蚊のカエルホタルを利用したパナマ調査.⑰名古屋大学稲武フィールド,UCLA等での観測を通じたHARKBirdの洗練化と,定位情報に基づく音アノテーションツール構築.⑱索状ロボットの音による3D姿勢推定と,ベイズモデルによる音声強調法の開発.また,RSJ, JSAI等で研究集会.産総研で公開デモ実施
著者
松木 正恵
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-52, 1990-03-25
被引用文献数
1 or 0

いくつかの語か複合してひとまとまりの形で辞的な機能を呆たすものを「複合辞」とする考え方は, 昭和27年に永野賢氏によって提唱された.本稿では, 永野氏の考察を出発点として, 明治20年代以降の資料から用例を収集し, 複合辞の認定基準及ぴ複合辞性の尺度を新たに設定することを試みた.まず, 複合辞を形態により以下に分類する.(1)第1種複合辞(助詞・助動詞のみが二つ以上複合した形-「からには」「ては」等)(2)第2種複合辞(形式名詞を中心にした形-「ものだから」「ところで」「ことだ」等)(3)第3種複合辞(形式用言を中心にした形-「なけれぱならない」「にようて」「といえども」「てもいい」「たらだめだ」等)認定基準は(1)・と(2)(3)では異なり, (1)は, I 形式的にも意味的にも辞的な機能を果たしていること.II 形式全体として, 個々の構成要素の合計以上の独自な意味が生じていること.の二つを満たしたものとし, (2)(3)は, (1)のIのほかに次の二つを満たしたものとする.II^°中心となる「詞」は実質的意味が薄れ, 形式的・関係構成的に機能していること.III^°II^°の語に他の辞的な要素等が結合して一形式を構成する場合, その要素の持つ意味がII^°の語に単に付加され準ものではなく, 形式全体として独自の意味が生じていること.また, 複合辞性(複合辞らしさ)の尺度としては次の三点が挙げられる.(i)構成要素の緊密化の度合い(交春・挿入・省略が可能か否か)(ii)形式名詞・形式用言の形式化の度合い(iii)形式用言の文法範疇(活用・肯否・テンス・丁寧体等)喪失の度合い まず基準を用いて複合辞を選定した上で, 尺度を適用して複合辞性の高低を吟味するという新たな手順を踏むことによって, 多様で曖昧な境界領域である複合辞か多少とも解明できるのではないかと考えている.
著者
城所 収二
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-181, 2013

早大学位記番号:新6527
著者
Forsythe Sandra M. Shi Bo 佐藤 志乃
出版者
早稲田大学
雑誌
産研シリーズ
巻号頁・発行日
vol.36, pp.33-46, 2005-05-31

ネット・ショッピングはインターネットの用途のなかでもっとも急速に成長してきた分野である。しかしネット利用者のほとんどは、オンラインで集めた情報をもとにして実際の購入はオフラインで行っている。消費者がオンラインで購入したがらない理由として障壁の存在を挙げる研究者は少なくない。しかし、これまでそういった障壁について理論的に検討されることはなかった。本研究はネット・ショッピングから連想される知覚リスクの特徴とともに、ネット・ショッピングの際に知覚されるリスクの類型とネット愛顧行動との関係を、知覚リスクの理論的なフレームワークに基づいて検討する。具体的には、ネットで購買する入や購買せずに検索のみ行う人に影響するような4つのタイプの知覚リスク-金銭面、製品のパフォーマンス面、心理面、そして時間や利便性を失うといったリスク-とその人の人口統計学的特徴との関係、そしてネット愛顧行動に対して知覚リスクが及ぼす影響、これらについて検討した。その結果、知覚リスクはネット・ショッピングに対する障壁を説明する要因として有効であるという知見が得られた。こうした知覚リスクのフレームワークからネット愛顧行動を検証するモデルを提案すると同時に、経営上のインプリケーションや今後の研究についての指針も示している。
著者
三神 弘子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

<聖パトリックの煉獄>への贖罪巡礼が毎夏実施されるダーグ湖は、強烈な磁力をもった聖地として、アイルランド人の深層に刻みつけられている。本研究は、ダーグ湖の贖罪巡礼の800年以上におよぶ時間軸を意識しながら、主に19世紀前半から1980年代にかけて書かれたダーグ湖をめぐる諸作品を通して、アイルランド社会がいかに変遷したか分析を試みた。本研究は、以下の3つの観点から進められた。(1)ダーグ湖の贖罪巡礼をめぐる文学の文献研究。カールトンの『ダーグ湖巡礼』(1843)、ともに『ダーグ湖』と題された、カバナーとデブリンの1940年代に書かれたふたつの詩、ヒーニーの連作詩「ステーション・アイランド」(1984)を主に扱い、個人と国家のアイデンティティの問題、芸術的創造性の根源に関する葛藤の問題などについて分析し、ダーグ湖の巡礼が自己と社会を再考する上で、いかに大きな役割を果たしてきたかについて検討した。(2)今日のダーグ湖における賦罪巡礼の社会学的考察。ヒーニーの作品が書かれて20年が経過したが、その間、アイルランド社会がどのように変遷したか、分析検討した。対象としたのは、3日間にわたる巡礼の実体験と現地でのインタビュー(平成14年実施)、新聞記事、大衆文学(旅行記など)に描かれたダーグ湖巡礼などである。カトリック離れがさかんに論じられる現代アイルランド社会で、ダーグ湖への巡礼者の数が減っていない背景には、純粋な宗教体験とは別の、<ツーリズム>の要素があるのではないか、という仮説が導かれた。(3)日本における巡礼(特に四国八十八カ所遍路)、巡礼をめぐる文学との比較研究。ダーグ湖にみられるアイルランド贖罪巡礼の理解を深めるために、海外共同研究者のマッカートニー博士と四国遍路(の一部)をこ体験し、その体験が文学作品にどのようにあらわれているか(いないか)、共同討議をおこなった。