著者
間 宏
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究は、ブルーカラー労働者(以下ブルーカラーと略す)に関する歴史的研究は多数存在するが、ホワイトカラー労働者(以下ホワイトカラーと略す)の歴史的研究は著しく後れている現状にかんがみ、その空白部分を埋めることを主たる目的として実施された。そのため、地域的には関東周辺、中部地方、関西地方、北九州地方を、産業上は銀行、重化学工業及び鉱業を選び、それぞれに関係の深い経済団体、企業、労働組合及び個人について、所蔵資料の収集と面接調査を行った。その結果、今までに得られた知見は以下の通りである。1.ホワイトカラーは、ブルーカラーに比較して、企業への定着率が高いといわれているが、今回の調査研究の結果、必ずしもそうはいえず、ホワイトカラーかブルーカラーかというよりも、それぞれが所属している企業の盛衰によって決定的な影響を受けている。2.ホワイトカラーといっても、地域的な差が大きく、東京など大都市周辺の事業所に働くホワイトカラーは、中小都市(たとえば、日立市、豊田市)に働く人々よりも労働移動率が高い。また、同一企業でも、事業所ごとの差が大きく、大都市の本社に働く人々の方が、地方の事業所に働く人々より労働移動率が高い。3.産業別では、予想された通り、銀行のような第3次産業に働く人々の方が、重化学工業や鉱業に働く人々よりも労働移動率が低い。4.本研究の特徴であるライフ・スタイルの面でも、地域差、産業差、本社かそれ以外の事業所かによる差は大きい。本人の職位による差が大きいことはいうまでもない。戦前の場合、戦後とは著しく異なり、ホワイトカラーとブルーカラーとの違いは極めて顕著である。
著者
森田 智子
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

(1)斎藤優遺稿の史料的価値は、半拉城址の発掘調査の経緯と在満組織の認識の違いを解明できる点、斎藤の報告書の作成過程を復元できる点、出土遺物の移管経緯を解明できる点、斎藤のその他の著作物には記述されていない斎藤の素直な感情・思考を読み取ることができる点、であると明らかにできた。(2)渤海半拉城址出土遺物が、発掘から現在の所蔵機関に移管されるまでの経緯を明らかにすることができた。(3)台湾国立故宮博物院及び早稲田大学會津八一記念博物館に日本未公開の渤海出土遺物が所蔵されている事実を突き止め、それら新出遺物の出土地の特定と、いかなる経緯でこれらの遺物が同館に所蔵されるに至ったのかを明らかにできた。
著者
多田 治
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2003

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1722号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2003/2/12 ; 早大学位記番号:新3475
著者
鈴木 秀次
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

我々は小山裕史が開発した初動負荷トレーニング動作の特徴を解明するために、ラットプルダウン動作を用いて検討した。初動負荷トレーニングにおける動作は、動作の切り換えしが素早く、短時間で最大パワーの発揮が可能であることが明らかとなった(平成15年度)。そこで平成16年度は、本動作の特徴である「かわし動作」(伸展-屈曲で動作が切り換わるときにひねりを加える動作)について筋活動とキネマティクスをしらべ、検討した。動作はラットプルダウンを用いた。筋活動は、僧帽筋、広背筋、大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋から記録し、解析した。その結果、かわし動作を行うことによって、伸筋から屈筋へと動作が切り換わる時に回旋筋群が協力筋として位相のタイミングをずらしながら活動することが明らかとなった。すなわち、これらの活動は伸筋と屈筋だけで賄う筋張力を分担することとなり、主動筋への負担を軽減する機能ともなっていた。「かわし動作」は体幹筋から末端部へ力を合目的的に伝達させ、負荷を持ち上げるのを助け、動作をストレス無く起こさせるように働くことが示唆された。本成果は、国際電気生理運動学会で発表し、アメリカスポーツ医学会で発表する。論文としては、バイオメカニクス研究9巻1号で報告した(印刷中)。本初動負荷トレーニングは、関節への外乱に対する抵抗力と筋の柔軟性を高め、怪我の予防と健康の維持増進につながる。この特徴を活かし、マシンなしでも効果が可能な連鎖反射ストレッチング体操を考案した。現在のところ42種類の体操を考案、実践し、映像化した。この成果の一部はホームページ(http://www.f.waseda.jp/shujiwhs/index-j.htm)に開示した。
著者
村上 公子
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.109-127, 2003-03-31

エーリカ・マン(1905-1969)は19世紀終盤から20世紀前半、ドイツ語で執筆する世界的な作家として名声を博したトーマス・マン(1875-1955)の長女である。彼女はヴァイマル共和国時代、一歳年下の弟クラウス・マン(1906-1949)と共に、「退廃的」なヴァイマル・ドイツ期の若者の典型のような生活を送っていたが、ナチズムの台頭が明らかになるにつれ、これに対する抵抗の姿勢を次第に明確にし、1933年1月にはミュンヒェンで政治的な文学カバレット「胡椒挽き」を旗揚げする。活動の自由を求めて同年3月にはスイスに亡命、9月にはスイスで「胡椒挽き」を再結成し、1936年までヨーロッパ各地を巡演した。1937年「胡椒挽き」のアメリカ公演失敗後、エーリカはアメリカ合衆国に残り、講演、および執筆によって生活を立てると同時に、アメリカの世論を反ヒトラー・ドイツに向けさせるべく力を注いだ。アメリカ合衆国が第二次世界大戦に参戦した後は、従軍記者となり、連合軍のノルマンディー上陸、あるいはアメリカ軍のドイツ西部占領、さらには終戦後のニュルンベルクにおける軍事法廷の取材、報道を行っている。戦後、亡命知識人の少なからぬ部分が(東西を問わぬ)ドイツに帰国しなかったが、その中でもエーリカとクラウスのマン姉弟のドイツに対する批判的な態度は目立っている。本論考後半では、エーリカの残した著作、原稿における一人称複数の代名詞類の使用法を手がかりに、エーリカ・マンの自己理解の変化を明らかにしようと試みた。まだ調査数は少ないが、アメリカヘの移住当初、圧倒的に「ドイツ人」「移民」の意味で用いられていた一人称複数代名詞が、従軍をきっかけに「連合国民」「アメリカ人」を意味するようになっているという傾向は明らかである。
著者
宗像 和重 十重田 裕一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、出版書肆金星堂を中心として、大正・昭和期の出版と文学の動向を総合的に把握しようとする試みである。福岡益雄が大正半ばに設立したこの出版社は、大正期の特色ある叢書類や、雑誌「文藝時代」の発行などを通して、同時代の文学や作家と深いかかわりをもった。その実態を把握するために、まず金星堂の出版物についての基礎的データを蓄積し、図書館や古書店等を通して調査と収集の作業に従事した。そして、その書誌データを集約して、「金星堂出版物目録データベース」を作成した。もとより未定稿の状態で、今後引き続き増補訂正を必要とするが、金星堂の出版活動の輪郭を明らかにし、今後研究を継続するための基礎資料としての意味を有すると考える。またこれと並行して、創業者の福岡益雄と金星堂の出版活動に関する同時代の消息や評価等を、できるだけ収集することに務めた。出版物のデータベースとあわせて、金星堂の足跡を総合的・多角的に検討する新しい材料を発掘することで、その実態をより明らかにすることができた。こうした調査の集約の一方で、金星堂や大正・昭和期の出版と文学をめぐる論考を積極的に発表することに務めた。とくに大正から昭和期にかけての「文壇」と文芸時評をめぐる諸問題や、横光利一らのいわゆる新感覚派と金星堂を中心とするメディアの問題については大きな収穫があり、このテーマの有効性を再認識させられた。今後は、未定稿の書誌データベースを充実させるとともに、金星堂社史・福岡益雄伝をとりまとめることで、金星堂と同時代の文学・作家との関係をより明らかにする一方、同時代の出版社・出版人へと調査・研究を広げていくことが、重要な課題であると考えている。
著者
宮 信明 飯島 満
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

速記や点取り(覚書)、草双紙などの文字テクストを比較考察することで、正本芝居噺・素噺それぞれの特徴(話法や演出、様式など)を正確に把握した。また現在、正本芝居噺のほぼ唯一の継承者である林家正雀師による正本芝居噺映像記録会を、東京文化財研究所において開催。正本芝居噺と素噺を比較するための基礎資料を作成しえたことは、本研究の大きな成果である。記録会の一般への公開は、芸能を記録するという側面からも、成果を広く発信するという観点からも、非常に意義深い試みであったと言えよう。さらに、三遊亭円朝以降の正本芝居噺の系譜についてオーラル・ヒストリーを収集し、文字資料の空白を埋めた。
著者
森田 裕介 下郡 啓夫 辻 宏子 竹中 真希子 瀬戸崎 典夫 江草 遼平 大谷 忠 北澤 武 木村 優里 齊藤 智樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題では,探究と課題解決・デザイン活動を融合したSTEAM教育カリキュラムの考案,ならびに,STEAM教育教材の開発を行う.そして,DBR(Design Based Research)による実践授業と評価を行う.考案するSTEAM教育カリキュラムは,幼稚園,小学校,中学校,高校,高等専門学校,大学を対象とし,教科横断型でかつ文理融合的に統合した学びのフレームワークである.「探究型」の学びである理数系(理学系)科目,「課題解決型」の学びである技術・情報系(工学部系)科目,「デザイン型」の学びであるアート・ものづくり系(芸術系)科目を融合し,STEAM教育プログラムの事例を作成する.
著者
竹本 幹夫 山中 玲子 小林 健二 落合 博志 大谷 節子 三宅 晶子 天野 文雄 石井 倫子 稲田 秀雄 表 きよし 樹下 文隆 西村 聡 松岡 心平 三宅 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

番外曲を中心に、カ行までの170番1020本ほどを翻刻した。また代表者・分担者・連携研究者はそれぞれ別記の論考を発表した。研究成果として発表した謡本以外にも、全国の謡本資料を博捜して、『国書総目録』未収の謡本を多数発見、デジタル化した。それらはハードディスクに複写して連携研究者以上の研究参加者がそれぞれ保管し、今後の作業のために役立てる。また竹本が監修し、分担者等の内、三宅晶子・山中玲子が中心となり、落合博志・大谷節子が補佐して編集実務に当たる形で、『現代謡曲集成』全6巻を企画し、勉誠出版より刊行の予定である。これについてはすでに第1巻が本年度中に刊行の予定で、数年以内に全巻刊行の後、別途全謡曲本文を網羅した『謡曲大成』を刊行の予定である。また分担者の内、大谷節子が、別記の著書『世阿弥の中世』により、2008年度角川源義賞を受賞したことも申し添えたい。
著者
山本 隆太
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-91, 2017

早大学位記番号:新7880
著者
金礪 愛
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-51, 2018

早大学位記番号:新8038
著者
近藤 悠介 中野 美知子 吉田 諭史 石井 雄隆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では発話能力の育成に焦点を当てた大規模な英語教育プログラムにおける自動採点システム導入の可能性を検討した。導入を検討したプログラムは、発話能力の育成に焦点を当てたプログラムであり、学習の対象となる表現が適切に使用できるかどうかを判定するタスクを作成し、このタスクにおける発話を英語教員が採点し、この点数を予測する発話自動採点システムを開発した。システムの予測精度を検証したところ、教師による点数との一致どは74%であった。本研究で提案した枠組みを用いてクラス分け試験および到達度試験を自動採点システムによって行うことができる可能性は高いと判断した。
著者
八木 君人 伊藤 愉 大石 雅彦 安達 大輔
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、20世紀前半のロシア・ソ連文化、とりわけロシア・アヴァンギャルドという芸術運動における、文化現象としてあらわれる「音」を横断的に検証し、それを可能とした感覚・知覚の時代的布置を明らかにすることを目的とします。そのことを通して、たとえば、音の複製技術の登場、電子音楽等の音楽装置の発明、環境音への自覚化など、技術革新や音の概念の拡張が、同時代の社会及び諸芸術や文化に与えた影響を詳らかにします。また、積極的に、ここで得られた研究成果のアウトリーチにつとめ、当時の音響実験装置や電子楽器等の実物展覧会やそれにあわせたシンポジウムの開催なども予定しています。
著者
高桑 いづみ
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2001

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1587号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2001/2/15 ; 早大学位記番号:新3103