著者
櫻井 学 宮脇 卓也 一戸 達也
出版者
朝日大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

鎮静薬,麻酔薬の鎮静・催眠作用はGABA受容体を介したものと考えられているが,鎮静薬,麻酔薬には中枢でのアデノシンを増加させる作用もある.本研究では,アデノシンによる神経伝達物質調整作用の健忘効果に与える影響を評価した.鎮静深度が浅い状態にアデノシンの前駆物質であるアデノシン三リン酸を投与すると鎮静作用とともに健忘効果が増強された.また,深鎮静時にアデノシン受容体の拮抗薬であるアミノフィリンを投与すると,鎮静効果とともに健忘効果も拮抗された.このことから,アデノシン受容体の刺激は鎮静効果の増強とともに健忘効果を増強し,アデノシン受容体の拮抗は鎮静効果と健忘効果を拮抗することが示された.
著者
山田 昇司
出版者
朝日大学
雑誌
朝日大学一般教育紀要 (ISSN:13413589)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.27-66, 2014-02-28

I started teaching English about thirty-five years ago. First I taught just as my teachers taught. But I had to give up my teaching style at my second workplace, a techinical high school. The students hated my teaching and my class almost broke down. But luckily I met TM Method then, which was invented by Mr. and Ms. Terasima. It is a quite unique way of English teaching. It says, for one, in reading why not give a syntactical marker to the sentence and a meaning for every word, and in pronouncing add a rhythm marker and katakana for each word. After adopting this method they began joining the class and even feeling happy in learning. Here in this university, where I started teaching eight years ago, I have been designing my English lessons on the basis of TM Method.In this article I analyzed my oral classes of Les Miserables in the first semester of 2013, quoting some of my students' essays on their own learning. Here are some of the doctrines of this method whose efficacy I reaffirmed in this article-(1)Teach not all, but only the basics of English grammar (text or sound), especially for those who have had defeated experiences in their English learning. (2)Choose a moving and enlightening subject matter appropriated for university students. (3)Make the most difficult but motivating tasks and arrange them in a proper order. (4)Put in some collaborative tasks so that the students can enjoy learning together. (5)Design the 90-minute period with a change enbedded in the fixed pattern. (6)Give the learners repeated chances to try for the skill tests so that they can feel that they have done enough. I hope that I am successful in showing in this article how this method worked out to grow the motivated learners of English.
著者
石津 恵津子 大橋 たみえ 廣瀬 晃子 岩田 幸子 横井 憲二 横田 千鶴 可児 徳子 可児 瑞夫 磯崎 篤則
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.82-88, 2004-11-20
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究では,100ppmF配合歯磨剤を給食後のブラッシングに用いた場合の効果を,フッ化物を配合していない歯磨剤を用いた場合,および効果が確立されているフッ化物洗口法を行った場合と比較した.学校歯科保健活動として,給食後にフッ化物濃度100ppmフッ化ナトリウム配合歯磨剤を用いてブラッシングを行った児童とフッ化物を配合していない歯磨剤を用いてブラッシングを行った児童,およびフッ化物濃度100ppmフッ化ナトリウム溶液を用いてフッ化物洗口を行った児童を対象に,1年生から5年生までの4年間,追跡できた者の第一大臼歯のう蝕発生について比較した.う蝕発生抑制効果は,Cox比例ハザードモデルを用いた生存分析によって評価した.その結果,F歯磨群の累積生存率は,上顎右側以外は対照群に比較して高く,F洗口群の半分程度であった.ハザード比は1以下を示したが,95%CIに1が含まれており,統計的有意性はなかった.しかし,本研究では自宅でのフッ化物配合歯磨剤の使用を規制しておらず,今回のF歯磨群のう蝕発生抑制効果は,学校給食後のブラッシングにフッ化物配合歯磨剤を使用する場合に限定される.よって,この結果は学校で給食後に歯磨きをする場合,フッ化物無配合の歯磨剤を使用するよりもフッ化物配合歯磨剤を使用するほうが,う蝕予防により効果的である可能性を示すものである.
著者
大野 正博
出版者
朝日大学
雑誌
朝日法学論集 (ISSN:09150072)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.144-99, 2005-06-30
著者
齋藤 康輝
出版者
朝日大学
雑誌
朝日法学論集 (ISSN:09150072)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.179-192, 2011-02-01
著者
安達 潤 貝崎 朋子
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.67-72, 2008-10-20

初診時年齢25歳3か月の左右第二大臼歯の交叉咬合を伴うAngleII級2類の成人症例に対し,第1期治療として上顎にバイトプレート付きリンガルアーチを用い交叉咬合を改善し,第2期治療として非抜歯で上下顎にMulti Bracket System にて治療を行った.動的治療期間は19か月,保定後12か月経過した現在,良好なオーバージェット,オーバーバイトも維持でき左右第二大臼歯の交叉咬合も改善している.また前歯の適切なアンテリアガイダンスの確立により咬合状態および顎関節にも異常が認められず本人も満足している.
著者
羽田 詩子 山村 理 竜門 幸司 正田 光典 羽柴 元裕 長尾 一郎 花井 博祥 内田 泰宏 三村 真一 藤井 輝久
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.7-12, 2004-06-20
参考文献数
23

歯科治療において最大開口位を患者に取らせることは必要不可欠なことではあるが,その状態を長時間持続することにより何らかのトラブルが生じることが予測される.補綴臨床では,支台歯形成や印象採得時等に患者に最大開口位を強いることが多いが,その直後に咬頭嵌合位に変化が生じたり,筋の疲労,不快感,顎関節の痛み,開口障害を引き起こすこともある.このような状態のまま下顎運動を行わせた場合,咬合採得時に悪影響が現れると推測される.そこで,今回は発音時の下顎位をBioPAK Systemによって計測することにより最大開口前と最大開口後の違いを観察した.先行母音または後続母音に[a]を含む被験語のときに差が大きい傾向が認められ,最大開口後の開口量は全体的に増加する傾向が認められた.最大開口後の影響は特に左右的開口量に認められた.
著者
市橋 幸子 荒川 容子 倉田 知香 飯沼 光生 田村 康夫 久保 金弥 岩久 文彦
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.87-92, 2008-02-20
被引用文献数
1

本研究は,高次脳中枢の中でストレスによる影響を最も受けやすいといわれている海馬にスポットをあて,老化促進モデルマウスP8系を用いて,咬合不全が海馬機能に与える影響を検討した。咬合挙上は,マウスの上顎臼歯部に歯科用光重合レジンをもることにより行った。はじめに,ストレス物質である血中のコルチコステロン(CO)濃度を測定した。その結果,老齢期の咬合挙上マウスでは,血中CO 濃度が顕著に上昇していたため,咬合挙上がストレッサーとして作用していることが確認された。次いで,海馬の記憶機能が測定できるモリス水迷路学習テストを行い,咬合挙上と空間認知能との関係を検討した。また,Fos 陽性細胞の発現率から記憶運動にリンクした海馬への情報入力量を検討した。その結果,老齢期の咬合挙上マウスでは,水迷路テストによりプラットホームへの到達時間が延長するとともに,Fos 陽性細胞数が減少していたことから,咬合挙上により海馬への情報入力量が減少し,空間認知能が低下することが示唆された。次に水迷路テスト終了後,咬合挙上と老化プロセスとの関連を検討するため,海馬神経細胞数の計測を行った。老齢期の咬合挙上マウスでは,海馬神経細胞数の減少がみられたことから,咬合挙上が海馬の老化を促進させることがわかった。最後に,海馬におけるグルココルチコイドレセプター陽性細胞とグルココルチコイドレセプターmRNA の発現状況を調べ,咬合挙上が視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA-axis)に与える影響を検討した。咬合挙上マウスでは,GR 陽性細胞とGRmRNA の発現が減少したことから,海馬からHPA-axisへのネガティブフィードバック機構が抑制されていることが判明した。本実験により,咀嚼機能の維持や咬合不調和の改善は,「食べることができる」ようにするということだけでなく,海馬機能(記憶能力)の維持に重要であることが脳科学的に証明された。また,歯の喪失している高齢者の有病率や認知症発症率が高いという疫学調査の結果を考え合わせれば,高齢化が進む我が国において咬合の維持・回復は認知症予防につながる可能性があると期待される。
著者
渋谷 俊昭 金山 圭一 上野 健一郎 木村 洋子 後藤 昌彦 籾山 正敬 北後 光信 白木 雅文
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.91-95, 2010-10-20

歯周組織に及ぼす喫煙の影響を検討する目的で,歯肉線維芽細胞へのニコチンの影響について検討した.歯肉線維芽細胞は通常の培地で24時間培養され,次に1μg/ml,0.1μg/ml,0.01μg/ml のニコチン含有培地で培養した.細胞増殖能を測定するために培養終了24時間前に3H-Thymidine を添加した.培養終了後に放射能計測を行い,細胞分裂能を観察した.さらに同様の培養後に細胞形態を観察した.また細胞骨格の観察の目的でFITC Phalloidin で染色し,ストレスファイバーの観察をおこなった.ニコチン添加1μg/ml 群では有意に細胞増殖能が低下した.また1μg/ml 群では細胞形態は紡錘型を呈していた.さらに細胞骨格のストレス線維は収縮し,粗になっていた.これらの結果から,歯肉線維芽細胞の増殖にニコチン摂取が抑制的に関与することが示唆された.
著者
藤野 良孝
出版者
朝日大学
雑誌
情報学研究 : 朝日大学経営学部電子計算機室年報 (ISSN:09183833)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.21-32, 2010-03-31

柔道は、技固有の微妙な運動感覚があるため柔道経験のない教員にとっては指導することが難しい。特に技の指導においては、微妙な運動をコトバにして情報伝達することが困難であることから、それらに対する何らかの支援が求められる。そこで本研究では、音のリズムで微妙な運動を直感的・感覚的に情報伝達することができる柔道のスポーツオノマトペ(グッ、スッ等)を柔道指導者から収集し、その中から厳選したスポーツオノマトペを用いて指導のビデオ映像を収録・分析することを目的とした。その結果、(1)基本動作と技の指導で表現されるスポーツオノマトペは清音・濁音・半濁音に促音(サッ、スッ)、撥音(ドン、バン)、長音(トーン、ギュー)など様々な音韻特徴をもった語が収集された、(2)ビデオは、柔道指導及び学習効果の観点から「柔道学習の動機付けに役立つビデオ6本」、「基本動作と技の全流れを撮影したビデオ31本」、「ポイントとなる部分を撮影したビデオ61本」計98本を収録した。(3)収録されたビデオ映像の分析では力を入れるタイミングのヒントが少ないことが明らかにされ、ポイントとなる個所にスポーツオノマトペの表示と力を入れる方向の矢印を付与する必要性が示唆された。
著者
田口 知弘
出版者
朝日大学
雑誌
朝日大学一般教育紀要 (ISSN:13413589)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-14, 2011-01-31

それぞれの言語圏にはそれぞれの価値観や物の見方・考え方が含有し、異なった言語観が背景にある。そこには国民性、地域色、同属性が根付いている。スウェーデンの〈オムソーリ(悲しみを分かち合う)〉など国民性が持つ価値観が生活の原点に生きている。市民生活を左右する言葉がその集団の文化と慣習の中に垣間見ることができる。さらに言語使用を掘り下げて考えると、結論から導く英語圏論法、プロセスからのドイツ語圏論法など、言語領域によって結論の導き方に差異がある。物事の決着方法や解決手段は様々であり、国民性に依拠するところが大きい。日本語は周囲の人々に配慮した感受性の高い言語である。英語圏の中にあって、日本的な寡黙さや謙虚さはあくまで日本的価値観であって、外国では日本的美徳は打ち消されてしまう。従って、日本語を話している時の人間的気質と英語を話している時の人間的気質が異なっている。自己責任社会であるアメリカでは対応の仕方も異なり、責任の取り方も大きく異なっている。日本語社会は目上に向かって反論したり異議をとなえるとぎくしゃくする要因になる。人が言葉によって周囲と馴染まないと人間関係がうまくいかず、集団枠からはずれてしまう。ドイツはアメリカと同じように移民族国家になりつつある。移住者が多くなってくると、多民族国家間にあるメンタリティの壁を越えるには、言葉の明白さがより一層必要とされるのである。
著者
松井 かおり 今井 裕之 吉田 達弘 McAvinchey Caoimhe 田室 寿見子 各務 眞弓 山田 久子 MURAKAMI Vanessa Cristiny
出版者
朝日大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、海外にルーツがあり多様な文化的背景を持つ子ども達が日本人地域住民と協同して行うドラマ・プロジェクトを調査し、これらの子ども達の発達を支えるドラマ活動の意義と可能性について考察を行った。調査は、外国人集住地区で活動する可児市国際交流協会や、移民大国であるUKのロンドン大学や演劇ユニットと連帯して行われ、複数回のドラマ・ワークショップ、国際シンポジウムを実施して、ドラマ活動を支える環境づくりについても議論した。
著者
海野 昭史
出版者
朝日大学
雑誌
朝日大学一般教育紀要 (ISSN:13413589)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.19-38, 2006

Cleanness(Purityと題されていることもある)は、Patience同様に、説教の例話として『聖書』、特に『旧約聖書』の物語を敷衍して語っている。Patienceは『旧約聖書』の中の「ヨナの書」(Ionas)を単独に扱っているのに対し、Cleannessは『旧約聖書』の複数の物語を取り上げている。したがって、両作品には、構成、それに伴う内容の取り扱いに差異が見られる。それで、今回は、Cleannessに見られる「内」と「外」を表すコントラストの機能を中心に考察し詩人の詩作の意図を論じてみたい。この作品には、タイトルに示されているように'clannesse'、またその反意語である'unclan-nesse'、およびこの2つの語に関連する表現が散りばめられている。それに伴い、'clannesse'の範疇に属するノエ、アブラハム、ロト、ダニエルそしてキリスト、'unclannesse'の世界の人々に属するルシファー、アダム、箱舟に入ることのできない人々、ソドムとゴモッラの人々、およびナブコドノゾル王の息子のバルタッサル王がそれぞれ対照的に登場している。ただ、ナブコドノゾル王については、状況によって'clannesse'と'unclannesse'の両面が見られる。こうしたコントラストに付随して見られる「内」と「外」の機能は作品の中で重要な役割を担っている。たとえ「外」を表す表現が使われていなくとも、「内」を表す表現が使われていれば、「外」を表す内容が暗示されている場合がある。また、その逆も有り得る。
著者
中原 精一
出版者
朝日大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1994年4月下旬に、世界注視の中で、南アフリカの総選挙が行われた。直前まで、白人右脈やイニカタ自由党の厳しい抵抗があって、多くの死者が出た。一時は投票が危ぶまれたが、蓋を開けてみると、整然としかも熱気溢れ選挙風景が、南アフリカ全土で展開された、南アフリカが1909年にイギリスの自治国として憲法を成定して以来、85年間この国では白人が政治、経済、社会を支配してきた。アフリカ人には議会に代表者を送る権利もなく、法律によって、生活の細かいところまで厳しい制限を受けていた。いわゆるアパルトヘイトである。今回の選挙はこのアパルトヘイト体制を解消して、人種協調社会の確立をめざす、新しい憲法の制定のための議会を発足させるためのものであった。しかも、アフリカ人にとっては初めての投票であったから、整然と熱気溢れた選挙風景であったのは、当然のことであった。この研究は、アパルトヘイト体制が崩壊を始めた.1990年以降の憲法政治の推移を観察しながら、総選挙後の政治、社会の状況を展望する研究であった。選挙の結果はは、白人政党の国民党の善戦で、ANCが憲法制定の主導権を取る3分の2の議席を確保できなかった。しかしこれは人種協調社会をめざす南アフリカにとっては、穏当な結果であったと思う。それでも実際政治では、ANCが責任を負うのであるから、初代アフリカ人大統領マンデラを中心に推進されることになる。政策としては、復興開発計画(RDP)によって行われるが、問題はその財政的な保障である。さらに、アパルトヘイト時代の後遺症として、土地の再配分と賠償問題、低所得層のアフリカ人の住宅建設、それにアパルトヘイト時代の解放運動家たちに対する犯罪の摘発など、難問が山積しているこれらは、これらはの研究の対象である。