著者
赤松 利恵 永井 成美 長幡 友実 吉池 信男 石田 裕美 小松 龍史 中坊 幸弘 奈良 信雄 伊達 ちぐさ
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.110-119, 2012 (Released:2012-04-24)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

【目的】管理栄養士教育の到達度を評価するために作成したコンピテンシー項目のうち,基本コンピテンシーの高い学生の特徴について検討することを目的とした。【方法】2010年12月に管理栄養士養成施設(111施設)に自記式質問紙を送付し,102施設の4年次在籍者より6,895人の有効回答を得た(推定回収率75.7%)。40項目のコンピテンシー(5段階評価,基本4項目,共通29項目,職域別7項目)の他,属性(性・年齢,卒業後の進路状況等)をたずねた。基本コンピテンシー合計得点の10・50・90パーセンタイル値(十分位数,decile)を基準に4群に分け(得点の高い順よりD4,D3,D2,D1),属性,共通・職域別コンピテンシーの得点を比較した。【結果】97.6%が21~25歳であり,90.1%が女性であった。基本コンピテンシーの4群の分布は,D4:662人(9.6%),D3:3,113人(45.1%),D2:2,166人(31.4%),D1:948人(13.7%)であった(欠損6人,0.1%)。基本コンピテンシーの高い群(D4)に比べ,基本コンピテンシーの低い群(D3~D1)で,女性,既卒者,社会人経験者,卒業研究実施者,国家試験受験予定者が少なかった。また,基本コンピテンシーの低い群では,就職内定者が少なく,さらに,管理栄養士を採用条件とする就職内定者が少なかった。共通・職域別コンピテンシーの全ての項目で,基本コンピテンシーの高い群の得点は高かった。【結論】基本コンピテンシーの高い学生の特徴として,卒業研究の実施,国家試験受験の他,就職・進学が内定していることが示された。また,基本コンピテンシーが高い学生は,その他のコンピテンシーも高かった。
著者
豊瀬 恵美子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.99-106, 1985

商船船員は海上生活者で, 陸上生活者と異なり, 情報化社会から隔たった社会ということができる。その上, 職住一体であり, 仕事休みの時も同じ環境にいる。<br>このように, 特殊な環境で生活する商船船員の健康を管理する上で, 食事量, 食欲, 気分 (快感, 不快感に関する心の状態) について, どのような意識をもって食事をとっているかを知り, 食事作りに対応することは必須のことである。<br>このような観点から, 航海中の船員の食事量, 食欲, 気分について調査を行い, <i>x</i><sup>2</sup>検定および林の数量化理論第III類により解析し, 検討して以下のように要約した。<br>1) 食事量では,"多い"で朝食と昼食に有意の差がみられた (<i>x</i><sup>2</sup>検定)。<br>2) 食欲では,"旺盛"で夕食,"少ない"で朝食と夕食に, 気分では"不快"で朝食に有意差がみられた (<i>x</i><sup>2</sup>検定)。<br>3) 林の数量化理論第III類による食事意識の解析結果, 第1および第2相関比軸の2次元表現図による各変量のグループ分けによる船員の食事意識は3つのグループに分かれた。 Iのグループは食欲・気分はふつうだが量が多いと思っている人々, IIのグループは食欲がなく不快で食事に不満をもっている人々, IIIのグループは食欲旺盛, 気分快適で船内食に不満をもたない人々であった。
著者
臼谷 三郎 西山 邦隆 木田 和幸 山内 登 苅谷 克俊 秋元 義巳 森山 明夫
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.21-26, 1985

PMD患者の体重とBMR測定値に関する資料を収集し, 患者のBMを予測する方法について検討し, 次の結論を得た。<br>1) 体重偏差値 (<i>x</i>) と%BMR (<i>y</i>) との間には, 統計的に有意な逆相関を認め, 前者に対する後者の回帰直線として, <i>y</i>=-0.99<i>x</i>+178.1が得られた。<br>2) 患者の体重値があれば, 上式を用いて%BMRを算出し, これから体重補正係数を求める。次いで, 該当年齢の基礎代謝基準値に体重補正係数を乗じて予測BMRを算出し, これに, 実測体重値を乗じるという簡単な手技で, 年齢に関係なく患者のBM値を予測することができる。<br>3) 上式は, 体重偏差値30~120%, %BMR60~160の範囲のものに適用できる。上式を用いて, 患者個人の予測BM値と実測BM値との偏差率を検討すると, 84.4%のものが, 偏差率±15%以内に分布していた。ゆえに, 上式を男子PMD患者のBMR (kcal/kg/日) 予知式として提案した。
著者
小林 奈穂 村山 伸子 石田 裕美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.41-50, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】料理別と主食副食別の2種類の目測による摂取量把握を行い,これら2つの目測方法の妥当性の比較および料理区分別の目測値の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】サンプル献立として3日間の料理を作り,架空の喫食者モデル10名分の喫食状況を基に研究協力者が残菜トレーを作成した。管理栄養士養成課程4年生が判定者となり,判定者10名全員が全ての残菜を目測した。目測は料理別と主食副食別の2種類を実施し,実測として秤量を行った。目測方法は,提供前の料理と食事後の残菜を比較し,残菜量から摂取量を推定し10段階で評価した。【結果】目測値と実測値の相関は,ほとんどの料理区分で高い相関を示す判定者が多かったが,副食では他の料理区分と比べ低い相関結果となる判定者が多かった。目測値と実測値の差の検定では,主食や半固形状の主菜では目測値が有意に高い判定者が多く,乳製品や間食では目測値が有意に低い判定者が多かった。副食については,誤差の平均値は小さいものの,判定者によって誤差の有無や高低が違い,評価結果にばらつきがあった。また多くの料理区分で,食べ方が半分くらいあるいは少しの場合に目測誤差が大きかった。【結論】2つの目測方法の妥当性の比較結果およびその特徴が示された。主食副食別目測は,料理別目測と比べて実測との相関が小さく,判定者によって評価が異なることから,料理別目測よりも妥当性が低いことが示された。
著者
梶本 五郎 笠村 貴美子 遠藤 義臣
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.153-156, 1962

チキンラーメンに0.5%BHAアルコール溶液及び0.5%グリセリンと水の溶液 (3:2) を材料重量に対し0,01%になるよう噴霧し, 室内に60日, 100日放置し, 放置後のラーメンの揮発性塩基性窒素量及び抽出油の性状を求めた。<br>その結果, 無添加ラーメンに比べ, 揮発性塩基性窒素, 酸価, 過酸化物価等は, 値が低く, 即ち防腐性及び酸化防止性を示した。<br>又BHAアルコール溶液噴霧とBHAグリセリン溶液噴霧法では, BHAアルコール溶液噴霧法の方が酸化防止性及び防腐性共にすぐれていた。
著者
栁川 由布子 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.57-64, 2018-06-01 (Released:2018-07-11)
参考文献数
24

【目的】中学生の体格に関連する生活習慣を検討すること。【方法】2015年6月福島県教育委員会が県内公立中学校16校の中学2年生1,980人を対象に実施した「食生活に関するアンケ-ト」のデータを用いた。体格の判定は,肥満度≦-10%を低体重,-10%<かつ<10%を標準,≧10%を過体重とした。男女別に生活習慣を独立変数,従属変数を体格とし,χ2 検定と多項ロジスティック回帰分析を用いて検討した。【結果】1,904人(有効回答率96.1%)を対象とした結果,男子では食べる速さが速い者に低体重が少なく[オッズ比=0.57(95%信頼区間=0.33~0.97)],おやつの頻度が週4日以上の者に低体重が多かった[1.68(1.12~2.52)]。運動を体育以外しない者[2.48(1.47~4.18)],食べる速さが速い者に過体重は多く[1.59(1.02~2.47)],おやつの頻度が週4日以上の者に過体重が少なかった[0.42(0.26~0.67)]。女子ではおやつの頻度が高い者に低体重,テレビ等の時間が2時間以上の者に過体重が多かった。【結論】中学生の男子では食べる速さが普通・遅い,おやつの頻度が高いことは低体重,食べる速さが速い,おやつの頻度が低い,運動習慣がないことは過体重に関連していた。女子ではおやつの頻度が高いことと低体重,テレビ等の時間が長いことと過体重が関連していた。
著者
赤堀 摩弥 藤浪 正子 川田 典子 佐藤 圭子 小嶋 由美 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.34-43, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
9

【目的】静岡県は他自治体と比較して脳血管疾患死亡率が高く,食塩摂取量も多い。そこで,脳血管疾患対策の1つとして,5年で5%の減塩を目指す「減塩55プログラム」に取り組むこととし,県民の食塩摂取状況の把握ができるチェック票を開発,減塩推進活動に活用することを目指した。【方法】静岡県保健所栄養士のヒアリングによる質的データ,静岡県民102人を対象とした24時間蓄尿データより推定した食塩排泄量及び食物摂取頻度調査票(短縮版)データ等に基づいて,チェック票を開発,さらに,特に減塩をすすめたい働き盛り世代を対象としたリーフレット「ふじのくに お塩のとりかたチェック」を作成した。【結果】チェック票合計点と推定食塩排泄量の間には,有意な正の相関(Pearson相関係数0.402)がみられた。チェック票より3段階にランク付けした場合,各群の平均推定食塩排泄量はおのおの 6.8 g,8.7 g,12.2 gであった。リーフレットは70,000部以上が希望のあった県内の健康保険組合,事業所,医療機関,県栄養士会,薬局,教育機関,保育所等に配布され,県内全ての市町,健康福祉センターで活用されている。【結論】本チェック票は食塩摂取の簡易なスクリーニング・ツールとして使いやすいものとなったため,現在静岡県内の健康教室,イベント等さまざまな場面で活用されている。今後も本チェック票を活用し,静岡県における減塩対策を進めていく予定である。
著者
岡村 吉隆 下井 亜希 藤田 和代 日沼 州司
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.27-33, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
16

【目的】本研究は新調理システムの加熱工程において,V.Cの変化が従来の調理法と比較すると,どの程度であるかを明らかにすることを目的とした。【方法】試料はいも及び野菜類7食品とした。フードプロセッサーで粉砕後,分取し水さらし及び冷凍,加熱によるV.Cを測定し残存率を求めた。加熱方法は蒸しと水煮とした。水煮は煮汁も含めて測定した。分析は2,4—ジニトロフェニールヒドラジン誘導体化法を用い,高速液体クロマトグラフで行った。【結果】生のV.C量を100とすると水さらしの残存率は全体で平均23.7±6.0%であった。生を一週間冷凍保存すると残存率の平均は94.7±3.5%であった。蒸し加熱の工程ごとの平均残存率は,加熱69.7±17.8%,加熱後冷凍62.9±15.8%,再加熱53.7±18.0%であった。水煮の平均残存率は加熱56.7±17.7%,加熱後冷凍52.2±17.2%,再加熱45.7±20.8%であった。スライスしたさつまいもは蒸し加熱99.9±1.6%,水煮加熱は84.5±1.8%であった。【結論】フードプロセッサーを用いて粉砕すると,水さらしの残存率は加熱より低かった。生の冷凍は損失が少なかった。加熱と再加熱では再加熱の損失は少なかったものの,新調理システムの加熱工程は,従来の調理法と比較するとV.Cの損失が大きかった。また,水煮加熱は煮汁中のV.Cを含めても残存率は低いことが示唆された。
著者
邱 昱 中山 玲子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.6-19, 2018 (Released:2018-03-12)
参考文献数
49

【目的】本研究は,中国都市部児童の身体状況と食習慣,食意識・食行動等及び,保護者の食知識・食意識等との関係を,主として肥満について明らかにすることを目的とする。【方法】中国広州市立小学校全学年の児童の保護者1,020人を対象に無記名自己記入式でアンケート調査し,有効回答814人のデータを用い,解析を行った。【結果】児童の身体状況について,肥満・過体重は約20%,軽度やせ・高度やせは約17%であり,女子はやせ傾向児,男子は肥満傾向児が有意に高かった。保護者は子どもの身体状況を適正に認識していなかった。また,身体状況と食生活との関連を検討した結果,児童の肥満と朝食欠食,夕食の不規則性,間食・清涼飲料水・ファストフードの摂取頻度の多さと有意な関連が見られた。身体状況と共食状況との関連を検討した結果,夕食孤食の児童は肥満の割合が有意に高かった。望ましくない食行動を持つ児童は肥満の割合が有意に高かった。また,排便習慣,運動習慣が良くない児童は,肥満の割合が有意に高かった。一方,保護者の食知識について,認知度は20%未満であり,父親より母親は有意に知識が高かった。保護者の食知識と食意識(料理中の注意点)とは有意な関連が見られた。食意識が低い母親より,食意識が高い母親の子どもは肥満の割合が有意に低かった。【結論】中国児童の肥満を予防するため,児童及び保護者に対する飲食・栄養教育を行う必要性が示唆された。
著者
會退 友美 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.174-181, 2016

【目的】保育士と管理栄養士が連携し,スプーン・フォークと箸の正しい持ち方,食事中の正しい姿勢を身につけることをねらいとしたプログラムを実施し,その結果と課題を検討すること。<br>【方法】2014年4~9月,都内A保育所(0~5歳児:59人)にて,3~5歳児(32人)を対象に,食事のマナーに関するプログラムを実施した。プログラムでは,5歳クラスのみ,自分自身で振り返りを行うセルフモニタリングを行った。プログラムの評価方法として,対象児の保護者アンケート,保育士による観察記録,保育士へのインタビュー中のコメントからプログラムの課題を整理した。<br>【結果】プログラムに参加した子どもは,3歳クラス11人,4歳クラス11人,5歳クラス10人で,合計32人(参加率100%)であった。プログラムを実施した結果,食事中の姿勢,スプーン・フォークや箸の持ち方について,保育士から「まったくできない」と評価される子どもの数が少なくなった。また,保護者も子どもの前向きな変化を感じていた。保育士対象のインタビューにおいて,「子どもが楽しんで参加する様子がみられた」という肯定的な回答がみられた一方で,「子どもが飽きずに参加できるように教室の内容に変化をつける必要がある」など,いくつかの改善点があげられた。<br>【結論】プログラムに対する肯定的な意見が得られた一方で,プログラム内容でいくつかの改善点がまとめられた。
著者
坂本 達昭 細田 耕平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.141-149, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
29

【目的】朝食の共食機会がほとんどない中学生の中で,QOL(Quality of Life)が良好な者の家族との食事のあり方の特徴を明らかにすること。【方法】2015年9月に福井県内中学校7校の中学2年生797名を対象に調査を実施し,762名より有効回答を得た。質問項目は,属性,家族との食事のあり方,家の食事の楽しさならびにQOLとした。家族との食事のあり方については,朝食および夕食の共食頻度,平日および休日の夕食の食事時間,食事中に家族が話を聞く程度,食事中に注意される頻度等をたずねた。QOLの測定には中学生用のQOL尺度(Kiddo-KINDLR)を用いた。朝食の共食機会が「ほとんどない」者を,対象者全員のQOL総得点の中央値でQOL高得点群およびQOL低得点群に2分し,両群の家族との食事のあり方を男女別に比較した。【結果】朝食の共食頻度がほとんどない者は300名であり,そのうちQOL高得点群は男子63名,女子56名であった。男女共にQOL高得点群はQOL低得点群と比べ,夕食の共食頻度が高く,食事中に家族がよく話を聞き,家族から注意される頻度が低く,家の食事を楽しいと感じている者が多かった。【結論】朝食の共食機会がほとんどない中学生において,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,家の食事を楽しいと感じていることは,QOLが良好な者の特徴であることが示唆された。
著者
松岡 友美 和木 千尋 重村 智栄子 市川 寛 浅野 弘明 東 あかね
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.126-134, 2011 (Released:2011-07-12)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】本研究は,地域の小学校区を介入地域と比較地域に割り付け,小学生の母親を対象に食事と運動の健康教育を実施し,介入の効果を評価することを目的とした。【方法】介入群に対しては12週間に食事指導,運動指導,グループワークを中心とした8回の健康教室を実施し,両群ともに教育前と9週間後に身体計測,体力測定,血液検査,食習慣,食品摂取頻度,運動習慣などの自記式アンケートを行った。22名(24.7%)の脱落者を除外した67名の参加者を解析対象とした(介入群32名,平均年齢±標準偏差(SD):39.6±3.8歳;比較群35名,平均年齢±SD:38.3±3.5歳)。【結果】ベースラインでは,介入群と比較群において30秒間椅子立ち上がり回数を除いて,身体特性や生活習慣に差はみられなかった。介入群では比較群と比べて,運動頻度(p=0.002),果物摂取頻度(p=0.002),野菜料理摂取頻度(p=0.002)が有意に増加した。体力テストにおいて30秒間椅子立ち上がり回数が有意に上昇した。【結論】地域における小学生の母親を対象とした健康教育が食習慣と運動習慣の改善に有効である可能性が示唆された。
著者
高橋 リエ 小川 晴子 佐藤 英子 森 文平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.189-197, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

日常使用されている15種類の野菜について, 生および加熱後の食物繊維 (DF) 含量, ならびにその変化を, 不溶性DF, 可溶性DFとに分けて, Aspらの酵素・重量法を用いて測定した。実験区は, 生, 水との通常加熱 (2~6.5分), および過剰加熱 (3.5~22.5分) とした。その結果は次のとおりであった。1) 生野菜100g中のDF含量は1.1~6.29で, 不溶性DFと可溶性DFの割合は, 90:10から58:42を示し, 種類による違いが認められた。2) 通常加熱野菜100g中のDF含量は1.4~5.6gで, 不溶性DFと可溶性DFの割合は, 86:14から57:43であった。3) 通常加熱によるDF含量の変化は, 水分を含む試料中で比較すると, 15種類中, ごぼう, さやえんどう, しゅんぎく, 大根, なす, 白菜, ほうれん草, ピーマンの8種類で6~17%の増減が認められた。かぶ, カリフラワー, キャベツ, ねぎ, にら, にんじん, ブロッコリーの7種類では, ほとんど変化が認められなかった。また, 不溶性DFと可溶性DFの含量変化は, 各野菜により違いが認められた。4) 過剰加熱において, 通常加熱よりさらにDF含量に変化が認められたのは, かぶ, カリフラワー, ごぼう, 大根, なす, にんじん, 白菜, ピーマンの8種類で, DF含量は減少した。キャベツ, さやえんどう, しゅんぎく, ねぎ, ほうれん草, にら, ブロッコリーの7種類では, ほとんど変化が認められなかった。この場合の, 不溶性DFと可溶性DF含量の変化は, 通常加熱での変化とほぼ同傾向を示すものが多かった。
著者
藤原 啓子 松岡 瑛
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.361-368, 1995 (Released:2010-04-30)
参考文献数
15
被引用文献数
3 10

馬鈴薯でんぷん由来の低粘性水溶性食物繊維である難消化性デキストリン (PF-L: 食物繊維含有率55%, PF-C: 同92%) の耐糖能改善効果をラット, 健常成人並びにインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者において評価した。1) Sprague-Dawley 系雄ラットのショ糖1.5g/kg体重経口投与後の血糖値上昇は, PF-L (340μl/kg体重) 並びにPF-C (0.15g/kg体重) 存在下では非存在下に比べ有意に低下した。2) 健常成人8例を対象とした経口糖負荷試験において, PF-L 40ml (食物繊維量16g) はトレーランG75負荷により血糖値上昇並びにインスリン分泌を有意に低下させた。3) 30kcal/kg体重の食事制限を3か月以上施行し, 状態の安定しているNIDDM患者5例を対象にPF-Cを3か月間投与 (30g/日) し, 試験食 (459kcal) 負荷試験により耐糖能の変化を観察した。その結果, 3か月目では5例中4例で開始前に比べ耐糖能の改善が認められた。残り1例についても2か月目までは改善がみられた。
著者
中嶋 洋子 真田 宏夫 宇津木 良夫 鈴江 緑衣郎
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.107-115, 1979-05-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
24

Tyrosine hydroxylase activity in the brain homogenate increased and nicotinic acid content in the brain and liver decreased in rats fed a tryptophan-imbalanced diet. In order to clarify the function of nicotinic acid, we studied the causes of increase in tyrosine hydroxylase activity in the tryptophan-imbalanced rats.1) Tyrosine hydroxylase activity in the brain and nicotinic acid content in the liver and brain were not changed by the administration of nicotinic acid to rats fed on a 7% casein diet. However, tyrosine hydroxylase activity increased and nicotinic acid content decreased in rats fed on a 7% casein diet supplemented with methionine (0.3g/100g diet) and threonine (0.36g/100g diet), but normal activity and content were recovered by the administration of nicotinic acid or tryptophan.2) In tryptophan-deficient rats, tyrosine hydroxylase activity and nicotinic acid content were not changed by the administration of nicotinic acid.3) In protein-deficient rats, tyrosine hydroxylase activity and nicotinic acid content were not changed by the administration of nicotinic acid.4) Tyrosine hydroxylase activity was increased and nicotinic acid content was decreased by the administration of tryptophan to tryptophan or protein-deficient rats.5) A positive correlation was observed between the tryptophan content in the diet and the total nicotinic acid content in the brain. A negative correlation was noted between the total nicotinic acid content in the brain and the level of tyrosine hydroxylase activity. It was therefore, considered that the level of tyrosine hydroxylase activity in the brain was directly influenced by the nicotinic acid content in it, and that the level of nicotinic acid was maintained by tryptophan.