著者
岡本 香 村田 浩子 西山 英子 田口 素子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.154-166, 2019-12-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
44
被引用文献数
1

【目的】男性持久系競技者を対象とした食事記録法の栄養評価における食品重量見積もり誤差の特徴を明らかにすることである。【方法】筆者らの研究室に蓄積された食事記録法のデータベースから,競技者及び非競技者を対象とした食事記録を抽出した。これらに基づいて作成したモデル献立の写真と食事記録票を栄養評価者に配布し,食品の選択及びその食品番号と見積もり重量の記入を依頼した。その後,筆者らが栄養素等摂取量を算出し栄養評価値を得た。モデル献立の基準重量と評価者に依頼した見積もり重量との誤差及び基準値と栄養評価値との誤差を比較した。【結果】競技者モデル献立の基準値と栄養評価値との間に,10%以上の過小評価が認められたものはエネルギー及び炭水化物(それぞれ平均値で-13%,-16%),過大評価が認められたものはビタミンA及びビタミンC(それぞれ40%,10%)であった。エネルギー及び炭水化物への寄与率が高かったご飯の見積もり重量に有意差が認められ,基準重量に対し23%の過小評価が認められた。また,ビタミンAへの寄与率が高かったにんじん,ほうれん草は基準重量に対しそれぞれ48%,68%の過大評価が認められた。ビタミンCへの寄与率が高かったほうれん草は基準重量に対し68%の過大評価が認められた。【結論】男性持久系競技者を対象とした食事記録法の栄養評価においては,ご飯と緑黄色野菜の重量見積もり誤差が大きいという特徴があることが示唆された。
著者
越田 詠美子 岡田 知佳 岡田 恵美子 松本 麻衣 村井 詩子 瀧本 秀美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.183-192, 2019-12-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
45
被引用文献数
3

【目的】国民の食品・栄養素等摂取状況を把握するため,日本で実施されている国民健康・栄養調査と,諸外国における同様の調査とを比較・検討することを目的とした。【方法】栄養調査に関する情報は,オーストラリア,ブラジル,カナダ,中国,フィンランド,ドイツ,日本,韓国,ロシア,イギリス,アメリカの11か国について,各国の調査担当機関のホームページ等から収集した。【結果】調査の実施機関の多くは,主に自国の機関であったが,他国と共同で実施している国もみられた。世帯を対象としている国と,個人を対象としている国が約半々であった。対象年齢は,子どもと成人の両方を設定している国がほとんどであった。日本では,厚生労働省が健康増進法に基づき,調査地区を管轄する自治体に調査を委託しているが,諸外国では実施機関の職員等が担当していた。食物摂取状況調査は,11か国中8か国が24時間思い出し法を用いており,5か国が単独の調査法のみではなく,複数の調査法を組み合わせて行っていた。実施頻度は,継続的,定期的(毎年から数年に一度)または不定期であり,時期・期間は,通年の場合と一時点の場合とがあった。調査データの二次利用に際しては,申請を要する国,一部データのみ申請を要する国,申請不要な国があった。【結論】諸外国の栄養調査は,実施体制や方法等が多様であり,今後の日本での調査の実施において,参考になると考えられた。
著者
齋木 美果 新保 みさ 赤松 利恵 藤崎 香帆里
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.193-200, 2019-12-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
22
被引用文献数
4

【目的】東京都,神奈川県,埼玉県にある飲食店の定食が「健康な食事(通称:スマートミール)」(以降,スマートミール)の基準にどの程度適合しているか調べることを目的とした。【方法】店舗にて2食の定食の料理重量を測定し,その後栄養計算を行った。スマートミールの2段階の基準に沿って,定食を「650 kcal未満」「650 kcal以上」に分け,各々エネルギー量,食塩相当量,野菜等の重量(以降,野菜重量),エネルギー産生栄養素バランス(以降,PFC%E)の基準との適合の程度を記述統計にて検討した。【結果】25店舗の定食48食(解析対象96.0%)のうち,基準6項目全てを満たすものはなかった。「650 kcal未満」の定食(n=9,18.8%)のうち,エネルギー量の基準に適合するものは7食(77.8%),食塩相当量は6食(66.7%),野菜重量は4食(44.4%),PFC%Eのたんぱく質は4食(44.4%),脂質は1食(11.1%),炭水化物は4食(44.4%)だった。「650 kcal以上」の定食(n=39,81.3%)では,エネルギー量が12食(30.8%),食塩相当量は8食(20.5%),野菜重量は12食(30.8%),たんぱく質は22食(56.4%),脂質は9食(23.1%),炭水化物は13食(33.3%)だった。【結論】本研究で対象とした飲食店の定食でスマートミールの基準に合致するものはなかった。「650 kcal未満」の定食では,食塩相当量の基準に適合する定食が多かった。「650 kcal以上」の定食では,エネルギー量,食塩相当量に適合する定食が少なかった。いずれも,野菜重量とPFC%Eに適合する定食は少なかった。
著者
石長 孝二郎
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.145-153, 2019-12-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
29

【目的】がん治療中患者の食事苦情の訴えを考察するための予備的検討として,女子大学生を対象に,食べ物の咀嚼中に発生したニオイをレトロネーザル経路でどの程度感知しているか,また,“おいしさ”の評価との関連を検討した。【方法】食材試料はグレープフルーツ,煮魚,ヨーグルトとし,さらに各々に香味野菜パクチー液を混入した計6種類とした。ニオイ分析はにおい識別装置を用いた。観察研究は鼻栓をした摂食状態と鼻栓をしない摂食状態でパクチーの感知の評価,および鼻栓をしない摂食状態でおいしさの評価をVisual Analogue Scaleで実施した。【結果】鼻栓をしてレトロネーザル知覚を封鎖することで,すべての食材試料中でパクチーの感知評価が大きく低下した(p<0.001)。また,パクチーの感知とおいしさの評価には負の相関が認められ,パクチーを強く感知した場合にはおいしさの評価が低下した。【結論】ヒトの訴える味の感想は,味覚感知だけではなく,咀嚼・嚥下時に空気中に拡散したニオイが口腔から咽頭,そして鼻腔へと抜けた呼気によるレトロネーザル経路による嗅覚の感知もあり,味覚と混同しやすいことがわかった。また,ニオイに誘発される嫌悪は,ニオイの全体から特定の嫌悪を感じるニオイを認識した時においしさの評価が低下することが考えられた。
著者
早渕 仁美 徳田 洋子 松永 泰子 黒谷 佳代 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.128-140, 2016 (Released:2016-11-16)
参考文献数
27
被引用文献数
3

【目的】「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の考え方を食事バランスガイドに反映させ,食事バランスガイドの料理区分別サービング数(以下,「SV」と略)を算定し直し,エネルギー産生栄養素バランスの目標量に合致するか確認する。【方法】日本人の食事摂取基準(2015年版)で設定されたエネルギー産生栄養素バランスの目標量に留意し,料理区分別SVを食品構成の考え方に基づき算定する設定条件を見直した。たんぱく質のエネルギー産生栄養素バランス(以下,「たんぱく質%E」)と穀類エネルギー比率,及び5料理区分以外(菓子・嗜好飲料等)からのエネルギー(以下,「他Ene」と略)の条件を見直し,矛盾のない妥当な設定基準範囲について検討した。【結果】 設定条件の見直しによる基準エネルギー範囲の料理区分別SVの変化と,そのSVに基づき算出したエネルギー産生栄養素バランス(%E)と食塩量の分布を明らかにした。基準エネルギー 1,200~3,200 kcalに,たんぱく質%E16.5~14.5,穀類エネルギー比率38.0~45.0%,他Ene 0~100 kcalを設定して算定した料理区分別SVを用いた栄養価が,最も日本人の食事摂取基準(2015年版)に適合していた。【結論】見直し後の食事バランスガイドSVは,主食が 1 SV程度低値,主菜は 2 SV程度高値に,副菜と牛乳・乳製品,果物は現状とほぼ同値になった。
著者
斉藤 由紀子 武安 眞珠 及川 正文 瀧本 秀美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.123-132, 2019-10-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
12

【目的】東京都下で20年以上開催されてきた「男性のための料理講座」参加者の食に対する意識・行動を把握し今後の講座運営に資するため,講座終了時質問紙調査結果の分析を行った。【方法】平成19~28年に公益財団法人C福祉公社主催生きがい介護予防講座「男性のための料理講座」に参加し,講座終了時質問紙に回答した87名の結果を分析した。本講座では年5回栄養の講話と調理実習を行っている。質問紙では「参加の動機」・「家庭での調理の有無」・「講座の献立」・「食意識の変化」・「満足度」・「実施回数」に関する調査を行った。【結果】「参加の動機」では「料理技術の習得」28名,「退職後の仲間づくり」12名が上位を占めた。「講座の献立」は,「良かった」と「大変だった」と回答した献立名が共通していた。「家庭での調理の有無」では,講座の献立を作ってみた者が45名であった。参加の前後で食意識が変化したと回答した者が54名であり,それらの内容は料理への興味や調理技術,調理に対する気持ちであった。料理講座に満足していた者は63名であった。【結論】参加の動機から積極的な参加者が多く,大変だが充実感のある献立を望んでいると考えられた。また講座終了時の調査結果から,半数近くが家庭で調理をしており料理や調理技術への興味が高まったことが推察された。高齢者男性向けの料理講座は参加者にとって食事の自立へつながる可能性が示唆された。
著者
山本 亜衣 新冨 瑞生 元井 彩加 三浦 公志郎 巴 美樹
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.133-144, 2019-10-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】Dietary Approach to Stop Hypertension(DASH)食弁当を1日1食または2食摂取させ,血圧改善への影響を検討した。栄養素等摂取量,血液生化学検査,血球検査結果を解析し,血圧改善効果の要因を検証するためのパイロット研究とした。【方法】対照群を設定しない介入研究で,対象は九州女子大学関連施設の教職員,ボランティア31名を解析対象とした。研究期間である平成26年9月~11月の12週間のうち4週間の摂取期はDASH食弁当(マルハニチロ(株))を1日1食または2食摂取させた。試験項目は身体計測,血圧測定,食事調査,血液生化学検査,血球検査であり,九州女子大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】DASH食弁当摂取期に血圧が低下する傾向はあるものの,統計学的な有意差は見られなかった。また,血中カリウム濃度の上昇がみられた。1食群,2食群ともに脂質,飽和脂肪酸摂取量は摂取期のみ「日本人の食事摂取基準(2015年版)」におけるエネルギー産生栄養素バランスの目標量の範囲内となった。両群ともにカリウム,カルシウム,マグネシウムは摂取期に増加し,2食群のみカリウムは目標量,カルシウム,マグネシウムは推奨量を満たした。【結論】DASH食弁当の血圧改善効果を検証するためには,十分なサンプルサイズで検討する必要がある。
著者
今枝 奈保美 後藤 千穂 加藤 利枝子 服部 奈美 山本 和恵 小田 敦子 田中 秀吉 藤原 奈佳子 徳留 裕子 徳留 信寛
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.229-240, 2011 (Released:2011-10-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

【目的】地域在住高齢者のビタミン摂取量分布を観察し,摂取量評価や栄養計画がまだ十分に実践されていないビタミン群(α-カロテン,β-カロテン,β-カロテン当量,クリプトキサンチン(以下Cry),葉酸,V.B6,V.B12,V.E,パントテン酸)と,従来から評価されてきたビタミン4種(V.A, V.B1, V.B2, V.C)との相関を観察し,栄養計画の効率化を検討する。【方法】健康な地域在住高齢者242人を対象に,隔日4日間の食事を調査し,ビタミン摂取量の分布,分布を正規化する変換係数,個人内分散と個人間分散の分散比を観察した。ビタミン間の関連はデータを正規化後,エネルギーを調整した偏相関係数で評価した。【結果】不足者割合が高かったのは,V.A, V.B1, V.B2, V.B6, V.Cであった。個人内/個人間の分散比はV.D,V.B12 で男女とも高値,V.K,葉酸,V.C,は男性で低値,V.B2 は男女とも低値であった。次にV.B2 の摂取量はV.B6,葉酸,パントテン酸の摂取量と相関が高く,V.CはV.K,V.B6,葉酸との相関が高かった。V.AとCryの相関は低かった。【結語】偏相関係数の観察から,4種のビタミンを増やすよう食事計画すると,β-カロテン,レチノール,V.K, V.B6,葉酸,パントテン酸の摂取増加が期待できるが,Cry, V.D, ナイアシン,V.B12 に関しては独立した食事計画が必要であることが示唆された。
著者
會退 友美 赤松 利恵 林 芙美 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.181-187, 2012 (Released:2012-06-29)
参考文献数
16
被引用文献数
8 5

【目的】成人を対象とした食に関する主観的QOL(subjective diet-related quality of life (SDQOL))の信頼性と妥当性を検討する。【方法】平成21年11~12月に内閣府が実施した「食育の現状と意識に関する調査」に回答した2,936名分のデータを用いた(回収率58.7%)。対象者の性別は,男性1,344名(45.8%),女性1,592名(54.2%)であった。SDQOLの項目として作成された6項目について,信頼性の検討では,内的整合性としてクロンバックα係数を確認し,妥当性の検討では,構成概念妥当性と基準関連妥当性を検討した。基準関連妥当性の検討には,生活のゆとり感と生活満足度の項目を用いてSpearmanの順位相関係数(rs)を求めた。【結果】探索的因子分析,確証的因子分析を行った結果,4項目から成るモデルで適合度が良いことが示された(モデル適合度指標:GFI=0.99,AGFI=0.96,CFI=0.99,RMSEA=0.08; 90%CI: 0.06~0.10)。クロンバックα係数は,0.72であり,信頼性も確認された。また,基準関連妥当性の検討では,SDQOLと生活のゆとり感(rs=0.16,p<0.001)および生活満足度(rs=0.38,p<0.001)の間に正の相関がみられ,これらが高いと回答した者の方が,SDQOLの合計得点が高かった。【結論】本研究により,SDQOLの信頼性と構成概念妥当性,基準関連妥当性が確認された。今後は,SDQOLと食生活との関連を検討する必要がある。
著者
鈴木 雅子 三谷 璋子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.69-74, 1979
被引用文献数
3

栄養摂取のあり方と, 健康状態の間にはどのような関連性があるかについて, 男女学生663名を対象にアンケート調査を行い, 次のような結果を得た。<br>1) 栄養摂取の充足度が低い時, 身体的な訴えが高いものとして, 女子の場合にのみ, 消化器と口腔と肛門があった。<br>2) 栄養摂取の充足度の高低と精神的な訴えの高低に関連性のあるものとして, 栄養摂取の充足度の高い時, 精神的訴えの低いものに, 男子では抑うつ性, 生活不規則性, 直情径行性, 女子では多愁訴, 直情径行性, 情緒不安定, 抑うつ性, 神経質, 生活不規則性があった。<br>逆に充足度の高い時, 精神的訴えの高いものに, 男子では虚構性と神経質, 女子では虚構性があった。<br>3) 栄養摂取の充足度と関連性のない訴えに, 男子にのみ多愁訴と情緒不安定があった。
著者
赤松 利恵 林 芙美 奥山 恵 松岡 幸代 西村 節子 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.225-234, 2013 (Released:2013-11-08)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

【目的】特定保健指導を受診し,減量に成功した男性勤労者を対象に,減量のために取り組んだ食行動を質的に検討した。【方法】対象者は,栃木県,埼玉県,和歌山県,及び大阪府にある5つの職域健康保険組合が委託した機関において,特定保健指導を受診し,4%以上減量した者に研究協力を依頼した。同意が得られた27名を対象に,インタビューガイドを用いた約30分間の個別半構造化面接を実施した。分析は6ヶ月評価時に実際に4%以上の体重減少があった26名を対象とした。逐語録を作成しグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行い,本研究では,概念的枠組みの大分類【取り組み方】に分類された食生活に関する内容を食行動と行動技法の観点から,カテゴリ化した。【結果】逐語録から,食行動の観点では,31のサブカテゴリと7つのカテゴリ,行動技法の観点からは,17のサブカテゴリと9つのカテゴリが抽出された。減量成功者の取り組んだ食行動は多様であり,多くの対象者が行動技法を用いて,支援時に立てた目標に取り組んでいた。【結論】減量に成功した男性勤労者は,食行動の実践において行動技法を用いており,その内容は具体的で実行しやすく,勤労者特有のものであった。
著者
中西 明美 大久保 公美 高村 美帆 野津 あきこ 廣田 直子 高橋 佳子 佐々木 敏 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.128-140, 2009 (Released:2011-05-26)
参考文献数
17
被引用文献数
3 4

This study identifies the number of servings per dish children usually eat at school and home. We also examined the implications for nutrition education that encourages children to check their own diet by counting the number of servings by using the Japanese Food Guide Spinning Top.A total of 2184 dishes were obtained from 7-day weighed food records completed by 109 school children in the 5th grade in Nagano schools and by 46 children in Tottori schools to analyze the dishes they consumed for breakfast and dinner at home. In addition, a total of 261 dishes from school lunch menus in Tokyo, Saitama, and Hiroshima during either October or November of 2006 were collected and analyzed.The number of servings of fish and meat in dishes at school, and of white rice, vegetable salad, marinated vegetables, stir-fried vegetables, fish, and meat in dishes at home were fewer than the number of servings indicated by the Japanese Food Guide Spinning Top. Although the minimum in the Japanese Food Guide Spinning Top is 1 serving, the children tended to eat dishes in a smaller serving size: 40.6% of side dishes, 37.2% of fruit, 19.7% of main dishes, and 14.9% of staple dishes consumed at home contained between 0.25 and 0.67 serving which were categorized as 0.5 serving. Similarly, 83.3% of fruit, 20.6% of side dishes, 17.1% of main dishes, and 11.6% of staple dishes contained 0.5 serving in school lunches. Servings of bread and noodles for school lunch differed among the regions investigated.Introducing 0.5 serving to the measurements is considered to have been useful to more precisely grasp the children's regular diet. Dish examples in the Japanese Food Guide Spinning Top should be shown with a serving size appropriate for children as well as for adults.
著者
小林由紀子 石井 有理 寺本 祐之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.46-53, 2019-02-01 (Released:2019-05-17)
参考文献数
15

【目的】社員食堂における減塩食と減塩に関する情報の提供が健常者の24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)におよぼす影響を検討する。【方法】試験は単群オープン試験とし,株式会社ファンケルの社員で20~65歳の健常な男女20名に,減塩に関する情報提供を実施し,1食当たり食塩量 2 g以下の減塩食を9週間,平日の昼食に社員食堂で摂取させた。主要評価項目を24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)とし,塩味認知閾値および好みの食塩濃度を副次評価項目とした。【結果】24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)は介入前 9.8 g/dayと比較して3週間後 6.8 g/day(p=0.001),9週間後 6.0 g/day(p<0.001)といずれも有意な低下であった。また,塩味認知閾値は,介入前0.136%と比較して3週間後は0.085%(p=0.008),9週間後は0.084%(p=0.012)といずれも有意に低下した。好みの食塩濃度についても,介入前0.63%と比較して3週間後0.50%(p=0.002),9週間後0.40%(p<0.001)はいずれも有意な低下であった。【結論】減塩食と減塩に関する情報の提供は,24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)の低下と塩味に対する味覚感度の改善に有用であることが示唆された。
著者
松下 由実 横山 徹爾
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.39-45, 2019-04-01 (Released:2019-05-17)
参考文献数
28

【目的】IHD(虚血性心疾患)関連の心電図異常を見出す能力が高い,侵襲性のない新しい体格指数を作成することを目的とした。【方法】2004~2010年に人間ドックでCT検査を受けた12,628名を対象とした。IHD関連の心電図異常(心電図異常もしくは心筋梗塞現在治療中)を従属変数,身長,体重,ウエスト周囲長CT(WCCT)を独立変数にした回帰分析に基づき,新たな体格指数(BSI)を作成した。ROC曲線を描き,IHD関連の心電図異常を,BSI,内臓脂肪面積(VFA),内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の和,WCCT,BMIで比較した。【結果】男性においてIHD関連の心電図異常を見出すためのBSIのROCの曲線下面積(AUC)は,VFA,WCCT,BMIに比べて有意に大きくなっていた(p<0.01)。女性においてAUCは,WCCTとBMIより有意に大きくなっており(p<0.05),VFAとはほぼ同等であった。IHD関連の心電図異常を感度80%で見出すことのできるBSIは,男性で-1.2,女性で-2.4であった。【考察】BSIは,IHD関連の心電図異常を見出す能力は,男性ではVFAより大きく,女性ではほぼ同等であることから,医療現場で使う指標としては有用である可能性が示唆された。今後は,IHDリスク評価について縦断的にみていく必要があると考えられる。
著者
髙泉 佳苗
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.54-64, 2019-02-01 (Released:2019-05-17)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】30歳代を対象に,現在の食生活リテラシー尺度と子どもの頃の共食状況および子どもの頃に家庭で受けた食教育との関連を検討した。【方法】社会調査会社のモニター(30~39歳)9,356人を対象に,2017年1月27日~29日の3日間でウェブ調査を実施した。分析対象は2,000人(男性1,018人,女性982人)であった。子どもの頃の共食状況と子どもの頃に家庭で受けた食教育は回想法により調査した。共食状況との関連はロジスティック回帰分析を用いた。食教育との関連は重回帰分析(強制投入法)を用いた。【結果】男性では子どもの頃に朝食(調整オッズ比:1.48(95%CI: 1.12~1.95))または夕食(調整オッズ比:1.90(95%CI: 1.29~2.81))を大人と一緒に共食している者の食生活リテラシー尺度が高かった。女性では朝食および夕食の共食と食生活リテラシー尺度に関連は認められなかった。食生活リテラシー尺度に好影響を示した子どもの頃に受けた食教育は,男性では「好き嫌いせずに食べるように言われていた(β=0.11,p=0.015)」,「食事づくりを手伝っていた(β=0.11,p=0.008)」であった。女性では,「主食,主菜,副菜のそろった食事だった(β=0.08,p=0.047)」,「食事づくりを手伝っていた(β=0.11,p=0.006)」であった。【結論】男性では子どもの頃に大人と一緒に共食すること,また男女共に,子どもの頃の家庭における特定の食教育が,成人期の食生活リテラシーを形成する要因になっている可能性が示唆された。