著者
藤井 恵子 高橋 貞幸 木内 瑠美子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.363-368, 2000-05-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
21
被引用文献数
4 7

本研究では,ゲル化能を有する絹フィブロインに着目し,これを米粉と複合化してスポンジケーキの調製を試み,複合化効果について検討した.1.薄力小麦粉を用いることなく,米粉と絹フィブロインを複合化させることにより,スポンジケーキを調製することができた.2.米粉と絹フィブロイン泡沫を用いたスポンジケーキは薄力粉と卵白泡沫を用いたスポンジケーキと比べ,比容積が低くなり,膨化が小さかった.3.絹フィブロインを添加することでスポンジケーキの老化速度が遅くなった.4.官能検査の結果より,米粉と卵白/絹フィブロイン混合泡沫を用いたスポンジケーキは薄力粉と卵白泡沫を用いたスポンジケーキと比べ,内部のきめが細かく(P<0.01),しっとりとしており(P<0.01),最もおいしい(P<0.01)と評価された.
著者
江口 智美 吉村 美紀
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.353-361, 2014-08-15 (Released:2014-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

エステル化タピオカ澱粉を0%,6%,10%,15%混合し,13分間ゆでたうどんの,力学特性と,若年者および高齢者における嗜好性,咀嚼特性を検討した.エステル化タピオカ澱粉を混合すると,混合濃度に関わらず,0%よりも有意に水分が多くて,やわらかいうどんになった.この中で,10%が,最も澱粉粒子間の隙間が広く,澱粉粒の膨潤・糊化が進行しやすい乾麺構造をもち,若年者・高齢者の両世代において,0%よりも有意にやわらかくて食べやすいと識別され,なめらかさが好まれた.しかし,咬筋および舌骨上筋群の咀嚼特性値に試料の有意な影響は認められなかった.若年者と高齢者の嗜好性・咀嚼特性を比較すると,高齢者は,若年者と同じ混合濃度のうどんを食べた場合,咀嚼力が低下するため,同じ硬さであっても,その硬さを有意に好まなかった.また,高齢者では,嚥下能力の低下に伴う舌骨上筋群の筋力の低下を,咬筋を強く動かすことで補い,最終嚥下を行っていることが示唆された.
著者
北野 泰奈 中村 祐美子 卾 爽 畠山 雄有 山本 和史 坂本 有宇 都築 毅 仲川 清隆 宮澤 陽夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.182-190, 2015-04-10 (Released:2015-05-31)
参考文献数
53

我々は最近,1975年頃の日本食は現代の日本食に比べて健康有益性が高いことを示した.1975年日本食の特徴のひとつに肉類の摂取量が低いことがあげられる.そのため,肉類を他の食品と置換することで,健康有益性の増加が期待できた.そこで本研究では,現代の日本において広く食べられている「ソーセージ」を伝統的な日本の食品である「かまぼこ」に置換することによる効果を,ラットを用いて検討した.凍結乾燥·粉末化した「ソーセージ」または「かまぼこ」を通常飼育食に重量当たり20%混合し,SD系ラットに4週間与えた.その結果,「ソーセージ」群に比べて「かまぼこ」群において,血漿と肝臓における脂質量と過酸化脂質量が低下した.次に,「かまぼこ」のタンパク質·脂質·炭水化物のエネルギーバランスと塩分を精製飼料のみを用いて再現した「mimicかまぼこ」を作製した.これを通常飼育食に混合し,ラットに4週間与えた.その結果,「mimicかまぼこ」群に比べて「かまぼこ」群で脂質量と過酸化脂質量が低下した.以上より,「ソーセージ」を「かまぼこ」で置換することは脂質量と過酸化脂質量を低減するために健康有益性が増加することが示され,この効果は「かまぼこ」のエネルギーバランスのみに依存しないことが示唆された.
著者
Abd Elmoneim O. ELKHALIFA Ashwag M. MOHAMMED Mayada A. MUSTAFA Abdullahi H. El TINAY
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.327-331, 2007-11-25 (Released:2008-02-01)
参考文献数
19
被引用文献数
3 12

A low tannin sorghum cultivar (Tabat) was used in this study. Sorghum unlike wheat does not contain gluten. It is a potential cereal for people suffering from Celiac disease. For preparation of bakery foods mainly bread the elasticity conferred by gluten in wheat is substituted by the addition of guar gum and gum Arabic. Hence, the objectives of this work were : functional properties of sorghum flours treated with guar gum and/or gum Arabic with intention of manufacture of bakery products. Functional properties considered were protein solubility, least gelation concentration, bulk density, water and oil binding capacity, emulsifying activity, foaming capacity and Farinograph characteristics. Treated samples in general were lower than untreated sorghum except for the bulk density and foaming capacity. The results indicated that acceptable bakery products e.g. bread and pizza could be obtained using 1% (w/w) guar gum with 38% (w/w) gum Arabic and 0.5% (w/w) guar gum with 38% (w/w) gum Arabic, respectively.
著者
川村 純 琴浦 聡 奥山 孝子 古本 真理 府中 英孝 三明 清隆 杉山 雅昭 大西 正男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.218-224, 2013-05-15 (Released:2013-06-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

廃鶏表皮を原料として脱脂乾燥鶏皮粉末(DCS)を調製し,その摂取がヒトの肌に及ぼす影響を確認する目的でヒトによる二重盲検並行群間試験を実施した.その結果,DCS摂取群において皮膚水分量の増加傾向が認められ,特に皮膚の乾燥が重度な被験者においてはプラセボ摂取群と比較して有意に増加した.また,DCSの摂取後では皮膚弾力性が摂取前と比較して有意に増加していた.本試験の結果から,DCSの摂取は皮膚の乾燥が重度な人の皮膚保湿性を改善させ,加齢により低下した皮膚弾力性を改善する可能性が示された.
著者
内田 あゆみ 陶 慧 荻原 淳 松藤 寛 太田 惠教 櫻井 英敏
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.549-558, 2008-11-15 (Released:2008-12-31)
参考文献数
23
被引用文献数
4

イヌリン含量の高いジャンボリーキの生理学的機能を調べるため,ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットの血糖値および血液生化学的指標とアセトアミノフェン(AAP)投与により発生する肝障害に対するジャンボリーキの凍結乾燥粉末(イヌリン含量60%)(PSII)の影響を検討した.最初の実験ではPSIIをラットのSTZ(60mg/kgbw)処理の1週間後から,2週間投与した.糖負荷試験は7日目と14日目に行った.血液の生化学的指標は14日目に測定した.2番目の実験では2週間,PSIIを投与した後にAAP(500mg/kgbw)を投与し肝障害を発生させた.投与24時間後に肝障害の指標である血中ASTとALTの活性を測定し,また摘出した肝臓の病理組織学的検査を実施した.最初の実験の糖負荷試験において,1日あたり8.3g/kg(イヌリンとして5.0g/kg)のPSIIの投与により食後血糖値の上昇は抑制されることが確認された.血液の生化学的指標において,総コレステロールとトリグリセリドはSTZ処理により上昇したが,PSIIの投与によりSTZ無処理の値以下に低下した.またASTとALTの活性に低下傾向が観察された.第二の実験において,ASTとALTの活性は低下し,肝臓の壊死と空腔は抑制され,PSIIの肝障害保護作用が確認された.
著者
藤巻 正生
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.241-249, 1959-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
18
著者
好井 久雄
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.564-570, 1992-06-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1
著者
本間 伸夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.271-274, 1959

味噌用米麹製造に伴なう澱粉の分解,遊離糖の生成状況を検討した。まず米麹から糖の抽出法について検討を試み,硫酸0.02N濃度を含む50%メタノールによることを決定した。一般の糖分析により製麹各段階(だいたい操作ごと8サンプル)の不溶性,可溶性,還元性,醗酵性,非醗酵性などの糖について定量した。<BR>またペーパークロマトにより製麹に伴なう糖の遊離状態を定性的ならびに定量的に検討した。特に興味深い結果として製麹後期にmaltoseが全然あるいはほとんど認められないのに対して,初期にはかなり多量に蓄積されていることを認めた。この結果について米麹中の種々の関係酵素との関連において考察した。<BR>以上の研究の発表に当り,ご校閲をいただいた新潟大学倉沢教授,日ごろご指導ご鞭撻をいただいている原沢所長および実験に協力をいただいた田代さん,桑原さんに深謝いたします。
著者
原川 守 辻 政雄 小宮山 美弘
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.119-124, 1981

シアン化合物を含む雑豆(バター豆)を用いて製あん工程を改善し,安全でかつ合理的製造方法を確立することを目的とし,まず現在操業中の新旧の典型的な2工場の工程解析を行った。<BR>現在の食品衛生法に準拠して製造した場合,製品に遊離シアンは検出されなかったが,渋切りや煮熟が不十分であると定量値も高く検出されやすかった。一方遊離したシアンの一部は排水中に流出し,特に豆の浸漬温度が高い場合の排水に多かった。浸漬工程でのシアン遊離率(シアン化合物分解率)は新しい工場で30.2%,古い工場で21.3%であった。
著者
加藤 丈雄 清水 健司 原田 昭夫 佐藤 泰
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.344-349, 1991

乳酸菌スターターをを10<SUP>7</SUP> cells/g添加して37℃で発酵することによりソーセージ内部の<I>Staphylococcus aureus</I>の生育は阻止されたが,ソーセージ表面の<I>S. aureus</I>の生育は阻止されなかった.ソーセージに乳酸菌スターターを添加し,直ちに乳酸菌の最適温度で短時間くん煙処理を行うことにより,ソーセージ表面及び内部における<I>S. aureus</I>の増殖とエンテロトキシン産生を効果的に阻止することができた.また,このようなくん煙処理は実質的にソーセージの乳酸発酵に影響しないと考えられた.
著者
衛藤 知子 松本 清 筬島 豊
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.55-60, 1990
被引用文献数
1

プロテアーゼのたん白質消化力測定の,ろ過および発色操作をフローインジェクション分析法(FIA)によって自動化した.たん白質消化力は,カゼインを基質としてトリクロロ酢酸可溶性低分子分解産物をフォリン試薬で発色させることによって測定した.自動ろ過装置はフラクションコレクターにろ過管供給器を取り付けて製作ラクションコレクターにろ過管供給器を取り付けて製作し,測定データの取り込みおよび処理にはコンピューターを導入した.サンプルのインジェクション量を200μlとしたとき,サンプリング回数は20h-1であった.また,チロシン濃度10~50μg/mlの範囲では検量線は直線であり,繰り返し測定の結果は, 25μg/mlのチロシン標準液200μlを用いた場合, CV=2.35%(n=10)であった.同一サンプルをバッチ法と本法とで発色させ,たん白質消化力の値を求めたところ,相関係数r=0.998と良好に一致した.
著者
小原 忠彦 大日方 洋 唐沢 秀行 松橋 鉄治郎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.586-595, 1992
被引用文献数
6

豆乳に塩化カルシウム溶液を添加した際,その反応系の粘度変化を連続計測できるトルク計測システムを使い,「豆乳に対する凝固剤適量」におよぼす豆乳の成分の影響を検討した.<BR>(1) 各種大豆から同一条件で豆乳を調製し,トルク計測システムから得られる最高トルク到達時間(<I>MVT</I>)と豆乳成分の分析値との相関関係を検討した.その結果,最大トルク到達時間は豆乳の蛋白質,灰分,リンおよびカリウムとの問に,それぞれ正の相関関係が認められた.また,豆乳の電気伝導度との間には正の相関関係が,大豆浸漬液の電気伝導度との間に負の相関関係があった.<BR>(2) 市販脱脂大豆より脱脂大豆水抽出液,酸沈澱蛋白質溶液およびホエーを調製し,モデル凝集試験を行った.蛋白質濃度の増加は最大トルク到達時間を増加させた.脂質の添加は最大トルク到達時間には影響を及ぼさないが最高トルク(<I>MV</I>)を増加させた.豆乳のpHが減少すると最大トルク到達時間が減少し平坦トルク(<I>FV</I>)も減少したが,最大トルクは一定であった,脱脂大豆水抽出液を透析すると,透析時間とともに最大トルク到達時間は減少した.一方,酸沈澱蛋白質溶液にホエーを添加すると最大トルク到達時間は増加した.このような最大トルク到達時間の増減から,凝固剤を消費する成分割合は蛋白質区分が65%,ホエー区分が35%であることがわかった.分画分子量の異なる膜を使い,電気透析したホエーの添加試験から,ホエー中の凝固剤を消費する成分因子の分子量は約300~1000と分った.また,化学分析の結果,クエン酸やリンを含む窒素化合物であることが確かめられた.<BR>(3) 大豆の浸漬液中及び豆乳中のリン,クエン酸を数点の大豆について定量し,最大トルク到達時間との関係を考察した.