著者
福田 靖子 大澤 俊彦 川岸 舜朗 並木 満夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.28-32, 1988
被引用文献数
11

ゴマサラダ油と焙煎ゴマ油の保存酸化安定性およびフ ライに使用した場合のフライ食品(クルトン)の保存安定性について,他の食用油と比較検討した.その結果,<BR>(1)ゴマサラダ油,焙煎ゴマ油,サフラワー油,コーンサラダ油,サラダ油(ナタネ油と大豆油の調合油)を10gずつシャーレに入れ60℃で保存した結果,重量法による抗酸化試験では,焙煎ゴマ油>ゴマサラダ油≫サラダ油>コーン油>サフラワー油の順であった.<BR>(2) 上記, 5種類の油を175℃, 2時間加温後に,同じく60℃で保存した場合にも同様に酸化されにくいことが示された.<BR>(3) ゴマサラダ油,焙煎ゴマ油,コーン油で,パン切片を掲げ,クルトンとし, 60℃に保存し,経日的にクルトンから油を抽出しPV(meq/kg)を測定した結果,30日目で,コーン油613.0に対しゴマサラダ油80.0,焙煎ゴマ油6.0であった.<BR>(4) (3)のクルトンから抽出した油の中のトコフェロール,セサモール,セサミノール量を定量した結果,コーン油では1ヵ月後にトコフェロールは,全く消失していたが,ゴマサラダ油では,約66%残存し,焙煎ゴマ油では,ほとんど分解されていなかった.
著者
栗林 義宏
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.549-552, 1967
被引用文献数
1

(1) 麦麹抽出液のフェノール性物質の検出に1次元ペーパークロマトグラフィーを行なった。展開溶剤としてベンゼン:エタノール:2-ブタノール:N-アンモニア(30:30:30:10v/v)系がバニリン酸,フェルラ酸,バニリンの分離にすぐれていることを見出した。<BR>(2) 麦麹のフェノール性物質として従来未知のバニリン酸,フェルラ酸およびバニリンの存在を証明した。<BR>(3) 麦麹のくり香ようのにおいは,これらフェノール性物質が一因子と考えた。
著者
中村 豊郎 沼田 正寛 吉野 裕一 糸沢 きみ子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.283-289, 1983
被引用文献数
1

と畜血液を有効利用する目的で,現在比較的入手の容易な市販乾燥プラズマ(血漿タンパク)の食肉製品への利用の可能性を検討した。すなわち,ポークソーセージ,ビーフハンバーグではプラズマによる原料肉の一部置換,ロースハムではプラズマ割増添加を行って製品を試作し,諸性状を調べた。その結果を要約すると次の通りである。<BR>(1) ポークソーセージとハンバーグでは原料肉と10%前後(乾燥プラズマに対し4倍量の水を添加後の重量として)の置換が,ロースハムでは約1%の割増添加が可能であるとの示唆を得た。<BR>(2) 栄養面を考慮すると,粗タンパク含量では十分満足できるものの,テクスチャーが多少劣化した。これは,プラズマの添加量が少なかったことおよび加熱温度が低かったことにより,プラズマのゲル形成機能を十分に引き出し得なかったためと考えられ,プラズマと他の添加物との併用,加水率の減少,加熱条件などの検討が必要と考えられた。<BR>(3) 市販乾燥プラズマの品質は,メーカー間でかなり差があり,それは呈味性の差によく現われた。
著者
畑江 敬子 脇田 美佳 宮後 恵美 佐藤 由紀 島田 淳子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.755-762, 1994
被引用文献数
1

嗜好性の高い昆布だし汁を調製するための基礎的知見を得るために,だしの成分量と抽出時間(1~90分間)および抽出温度(5~95℃)との関係を調べた.<BR>各温度における各成分の抽出量(Y)は,抽出時間(X)の関数としてうまく示された.すなわち,<BR>ここでa値は,抽出初期段階における傾斜で, b値は,漸近値すなわち最大抽出量である.<BR>各成分についてa値を各抽出温度に対してプロットし,みかけの活性化エネルギーを計算した.同様に,各成分について, b値のみかけの活性化エネルギーを求めた.これらの活性化エネルギーを比較することによって,各成分の抽出における温度依存性を知ることができる.抽出初期の温度依存性は,マンニット,全エキス,K<SUP>+</SUP>, Cl<SUP>-</SUP>,および全窒素に高かった.最大溶出量の温度依存性の高い成分はCa<SUP>2+</SUP>,グルタミン酸, Mg<SUP>2+</SUP>, P<SUP>5+</SUP>お上アド全エキスであった.
著者
原 征彦 渡辺 真由美
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.951-955, 1989
被引用文献数
37

茶のタンニン(ポリフェノール)成分として緑茶からカテキン類を4種,紅茶からテアフラビン類を4種分離精製した.これらがボツリヌス菌の芽胞および栄養細胞に対して示す抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC)により求めた.芽胞はパウチ法,栄養細胞は画線法でそれぞれを嫌気培養し,ポリフェノール濃度の違いによる菌の生育の有無を調べた.その結果,ガレートカテキン類およびテアフラビン類は100~300ppmの濃度で,ボツリヌス菌の芽胞の発芽および栄養細胞の増殖を阻止した. <BR>同じポリフェノール類が,他の耐熱性有芽胞細菌の芽胞および栄養細胞に対しても抗菌力を示すか否かにつき同じくMIC試験を行なったところ,菌により低濃度で発育が阻止される場合と高濃度でも発育が阻害されない場合とがあり,一定の傾向はみられなかった. <BR>なお本報の一部は日本食品工業学会第35回大会シンポジウム10)において発表した.
著者
中島 良和 杉谷 俊明 田中 睦夫 藤井 聰
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.554-558, 1990
被引用文献数
10

シナノキの蜂蜜から,ゲル濾過,イオン交換樹脂クロマトグラフィおよびHPLCを用いてトレハルロース(1-O-α-D-g1ucopyranosyl-D-fructose)を分離し,TLCおよび13C-NMRにより同定した.トレハルロースの存在は日本国内の蜜源植物7種類に由来する蜂蜜試料9点で確認され,その含有率は蜂蜜固形分の0.5から2.5%であった.
著者
桜井 純一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.178-182, 1960-08-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
9

結果は第2表のとおりで,これを要約するとi) 無処理のものは2日ともたないが,105℃で20分殺菌したものは5日間,30分殺菌したものは7日間以上保存することができた。100℃で60分殺菌したものでも,5日間の貯蔵に堪えている。このことはたとえ完全に殺菌しなくても,芽胞は不完全発育となり,発育時間がかかるようになる。2, 3日の貯蔵は十分で,団体旅行の携行弁当や,先年の水害時の給食などに用いるならば,非常に衛生的で有効であると思う。ii) 普通の白米でも袋詰炊飯はできるが,パ米を用いる時は炊飯に時間がかからないので,とくに処理しやすい。iii) 腐敗した飯から枯草菌に属するもの2種と赤色のコロニーを生ずるもの一種の繁殖を見たが,菌種は決定していない。完全に殺菌するには間歇殺菌することも可能であるが,実用的には1回の殺菌でよいので,何とか実施できるようにしたい。
著者
邨田 卓夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.462-466, 1970
被引用文献数
3

近年陸上のおかむろを利用したバナナの追熟加工が増加する傾向にある。このおかむろによる加工法と旧来の地下むろによる加工法について検討しバナナ(Musacavendishii, cv cavendish)の品質との関係を論じた。<BR>(1)地下むろの追熟加工の条件は温度17~21℃,相対湿度82~95%,エチレンガス4,400~4,700ppmで,おかむろは14~19℃, 80~90%, 2,950~3,250ppmであった。<BR>(2) 上の条件では地下むろの果実のほうがでん粉の糖化速度が早く,出庫当日全糖含量は地下むろの13.9g/100gに対し,おかむろは12.1g/100g, 4日目にそれぞれ15.7g/100g, 13.1g/100gであった。また滴定酸度についても地下むろのバナナのほうが高いことが観察された。<BR>(3) 出庫後保蔵期間のバナナの品質について果実の外観と食味を官能検査によって評価したところ,保蔵期間を通じて外観,食味とも地下むろのバナナの方が高い評点を得た。<BR>両加工法のバナナの品質に差異が生じる原因として本研究の範囲内では冷却送風法の差異が大きく影響すると考えられ,この点おかむろによる加工法では今後検討を要することが示唆された。なお追熟加工中のむろの換気の時期はむろ内の炭酸ガス濃度をメルクマールにすれば非常に容易に判断できることがわかった。
著者
倉沢 新一 菅原 龍幸 林 淳三
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.400-406, 1982
被引用文献数
2 15

栽培種および野生種のキノコ類の31種43試料について,その一般成分と26種27試料につきのDF量の分析を行った。その結果,タンパク質や脂質は一般に低い値であったが,炭水化物や灰分はかなり高い値を示した。<BR>DFを定量する際,試料を加熱乾燥すると加熱によりNDF量の増加が認められた。<BR>DFについては,NDF, ADF,リグニン,ペクチン様物質および粗繊維を定量した。キノコ類中のDFの平均の値は,乾燥重量あたりNDF 35.7%, ADF 14.3%,リグニン2.9%,ペツチン様物質3.7%であった。したがってセルロース量11.4% (ADFとリグニンとの平均値の差でも11.4%),ヘミセルロース量21.4%(NDFとADFとの平均値の差でも21.4%),総DF量39.4%ほどであった。<BR>NDFとペクチン様物質を合計し総DFとし,これと粗繊維との比を求めると5.8となり高い比率が得られた。
著者
古川 秀子 佐宗 初美 前田 清一 二宮 恒彦
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.63-68, 1969
被引用文献数
5

Sour taste is mainly associated with the hydrogen ion concentration, and to a lesser extent, with the degree of dissociation. From the results of P.S.E. determined by taste tests on nine organic acids, the sourness was more intensive in fumaric>tartaric>malic>acetic>succinic>citric>lactic>ascorbic and>gluconic acids.
著者
桜井 純一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.159-163, 1959-08-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6

植物体中のクロロフィルの銅置換反応は蒸煮などの加熱操作により著しく促進されることは種々の場合に行われているが,実際工業的に応用するには考慮を要する。たとえばグリーンピースのクロロフィルを安定にするには,試料を稀薄な硫酸銅水溶液中に数分間煮沸後水洗するのであり,クロロフィル抽出工程において原料蚕糞中のクロロフィルをあらがじめ安定にするには,硫酸銅水溶液に浸漬後蒸せばよい。い草の場合も硫酸銅溶液に浸けて蒸すことがおこなわれており,三浦,塚本らの特許出願がある。疊表の色を変らぬようにするというだけのことでは,国民生活向上の上にさしてプラスにはならないようにも考えられるが,加工賃の余りかかるものではないから,国民生活安定とともに将来はかなり利用されると思う。したがつて業界としては不良品,模造品取締りのほか,色調改善,物理的性質の改良など技術的の面にも適切な指導機関の設置が望まれる。終りに本実験を行うに当り,葉緑素の定量について御指導いただいた東京都衛生試験所戸谷哲也技官,疊表の退色試験につき御援助いただいた鉄道技術研究所中島祥行技官,花莚捺染釜による大量試験に御協力いただいた岡山県西阿知町岡本栄一氏の諸氏に深甚の謝意を表する次第である。
著者
宇井 美樹 安田 英之 柴田 柾樹 丸山 孝 堀田 博 原 利男 安田 環
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.1098-1102, 1991
被引用文献数
17

緑茶より抽出精製したカテキン類の口臭抑制効果を判定するため,CH<SUB>3</SUB>SHに対する消臭力,及び唾液にカテキン類を添加し,L-Metと共にインキュベート後発生したCH<SUB>3</SUB>SHを定量し,そのCH<SUB>3</SUB>SH産生抑制効果を測定した.また,カテキン類を添加したチューインガムを試作し,そのCH<SUB>3</SUB>SH産生抑制効果を判定した結果,以下の結論を得た.<BR>(1) カテキン類は強いCH<SUB>3</SUB>SH消臭力を有し,この効果は,従来より口腔内消臭剤として汎用されているSCCの効果をかなり上回るものであった.<BR>(2) 緑茶に含まれる4種のカテキンについて消臭力の測定を行った結果,その効果は,EC<ECg<ECG<EGCgの順に優れており,構造と消臭効果との相関関係が示唆された.<BR>(3) 唾液にカテキン類を添加し,これを24時間インキュベートした結果,L-Metを基質としたCH<SUB>3</SUB>SHの発生はコントロールと比較して,著しく抑制された.また,この効果はSCCの効果よりも強かった.<BR>(4) カテキン類を添加したチューインガムを試作し,唾液のCH<SUB>3</SUB>SH発生量を指標として,その口臭抑制効果について評価を行った結果,カテキン0.01%添加ガム咀嚼後においても,CH<SUB>3</SUB>SH発生は顕著に抑制された.<BR>以上のことからカテキン類は,口臭原因物質として注目されているCH<SUB>3</SUB>SHに対し,優れた消臭作用とその産生を抑制する作用を持つものと推定された.また,カテキン類を添加したチューインガムは,口臭抑制の目的で効果的であると考えられた.
著者
小曽戸 和夫 蔀 花雄
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.18-21, 1961

リンゴ酸,クエン酸,酒石酸の蔗糖転化率を求めた結果,この順に大きくなり,解離恒数の大きいほど転化率も大きいことが認められた。果実罐詰内においてもpHが低いほど蔗糖残存率は少なく,また同一酸濃度では酒石酸のpHがもっとも低く,リンゴ酸がもっとも高かった。罐詰製造時の加熱処理に際してかなりの量の転化糖を生成するが,それ以後貯蔵中においても転化は進行し,酸無添加でも蔗糖残存率は製造後5年経過すると白桃で17~21%,洋梨で29%に過ぎなかった。白桃および洋梨罐詰の色調は蔗糖を使用したものよりブドウ糖を用いたものの方が淡かった。また桃ジュースに蔗糖または転化糖,酸としてリンゴ酸,クエン酸,酒石酸を配合したものを加熱処理した結果,蔗糖より転化糖の方が着色し,クエン酸,リンゴ酸,酒石酸の順に着色が強くなった。以上の結果から白桃,洋梨罐詰の色調を淡く仕上げるにはできるだけ蔗糖の転化を抑えるようにし,酸を添加するときにはクエン酸がもっともよいことを認めた。<BR>実験に協力いただいた数見秀次郎氏に感謝の意を表する。本報は1959年11月28日,日本農芸化学会東北支部小集会および1960年4月4日農産加工技術研究会第7回大会にて口演した。
著者
小曽戸 和夫 蔀 花雄
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.22-24, 1961

果実シラップ漬罐詰にクエン酸あるいは酒石酸のかわりにグルコン酸の利用を試みた。グルコン酸の蔗糖転化率はリンゴ酸,クエン酸,酒石酸に比してかなり低く,また酸濃度が薄いときにはその差はいちじるしかった。蔗糖,ブドウ糖,転化糖などとグルコン酸とのかっ変をリンゴ酸,クエン酸と比較した結果,試験管内98℃,4時間の加熱ではグルコン酸が着色の度合はもっとも少なく,またそれらにグリシンを添加したときは蔗糖,転化糖はいずれの酸もかっ変が促進されたが,やはりグルコン酸がもっとも淡く,ブドウ糖はほとんど着色が認められなかった。桃ジュースに蔗糖または転化糖,酸としてリンゴ酸,クエン酸,酒石酸,グルコン酸などを配合して罐詰を製造し,製造直後および貯蔵中の色調を比較した結果,酒石酸≧グルコン酸>クエン酸≧リンゴ酸,転化糖>蔗糖で罐詰内ではグルコン酸に着色のいちじるしいことが認められた。なおグルコン酸を使用したものはいずれの糖でもつねに罐内面の腐蝕が認められたが,これはグルコン酸が重金属をキレイトする性質が非常に強いために生ずる腐蝕が,上部空隙中の酸素により促進されるものと推察した。<BR>グルコン酸について御教示をいただいた藤沢薬品工業株式会社 市川吉夫氏,実験に協力いただいた数見秀次郎,鈴木勝芳の2氏に感謝の意を表する。本報の要旨は1960年10月1日日本農芸化学会東北支部大会にて口演した。
著者
緒方 邦安
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.470-481, 1963-11-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
61
被引用文献数
2
著者
高崎 禎子 久保田 紀久枝 小林 彰夫 赤塚 慎一郎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.329-335, 1986
被引用文献数
3

脱脂大豆とかつお節だしけ抽出残渣を加水分解し調製された新しいタンパク質加水分解調味料(混合調味料)の香気成分を減圧蒸留法およびヘッドスペース法により分離し,GCおよびGC-MSから香気構成成分の同定を行った。香気成分は,有機酸,ピラジン類,ラクトン類,フラン類,含硫化合物,ピロール,アルデヒド類などから成っており,それらの多くは,オキアミ加水分解調味料の成分と共通していたが,混合調味料からは,オキアミ調味料の特有香気に関与している2-フェニル-2-ブテナール,4-メチル-2-フェニル-2-ペンテナール,5-メチル-2-フェニル-2-ヘキセナール等のアルドール型縮合物は見出せなかった。混合調味料とオキアミ調味料の香気濃縮物およびヘッドスベースの香気成分を比較することにより,混合調味料の穏やかな香気について考察した。
著者
大野 富二雄 鈴木 進治 丸山 孝 西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.835-842, 1988
被引用文献数
1 2

タンニン酸とゼラチンの混合物,及びそれより形成されるチューインガムについて検討した. <BR>(1) タンニン酸とゼラチンによるチューインガムは,混合物を水中で規則的な圧縮と折りたたみを繰り返すことにより得られ,混合物の調製はタンニン酸とゼラチンを60℃において5分間撹拌混合すると効率的であった. <BR>(2) 混合物からチューインガムの形成は,酸抽出ゼラチンはpH5で,またアルカリ抽出ゼラチンではpH4でそれぞれ最も効率的であったが,アルカリ抽出ゼラチンでは酸抽出ゼラチンに比較してチューインガム形成pH域が狭く形成率も低かった. <BR>(3) 添加水量を多くして調製した混合物は,チューインガムの形成率が低く,形成されるチューインガムの粘度は上昇する傾向が認められた. <BR>(4) タンニン酸のゼラチンに対する比率が0.2以下の混合物からはチューインガムは形成されなかった. <BR>(5) タンニン酸のゼラチンに対する比率を, 0.40あるいは0.50として調製した混合物から得られたチューインガムは,市販チューインガムよりも粘度が高いものの,アルベオグラフで膨れ度合を測定すると,ほとんど同じ体積となった.この時チューインガムは抗張力が大きく市販チューインガムの2~5倍の仕事量を要した.
著者
谷川 英一 元広 輝重 秋場 稔 鈴木 道章
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.24-26, 1968

アスパラガス缶詰の酸生成形式に属する膨脹変敗につき細菌学的検査を行なった結果を要約すれば次のようである。<BR>(1) 供試缶詰から37℃および50℃で好気的並びに嫌気的に発育する細菌1菌株を分離した。<BR>(2) 分離菌の汚染源は明らかでないが,アスパラガス栽培地より工場搬入までの過程で汚染の可能性のあることが推察される。<BR>(3) 分離菌芽胞の耐熱性は100°~105℃では12分間の加熱に耐えるが,110℃では8分間,115℃では6分間の加熱により死滅する。<BR>(4) 緩衝液のpHと分離菌芽胞の耐熱性との関係はアルカリ性で耐熱性の減少が認められる。
著者
斎尾 恭子 有坂 将美
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.451-457, 1978
被引用文献数
4

米国産食品用大豆,1975年度産IOMを試料とし,これを40℃, RH75.2%(飽和食塩デシケーター)に約1ケ月貯蔵し,貯蔵中の品質変化並びに豆腐への加工性変化を検討し,次のような結果を得た。<BR>(1) 貯蔵に対する窒素溶解指数(NSI),固形物抽出率が低下し,有機酸,脂肪酸度は増加した。またpHは僅かに酸性側に移行した。<BR>(2) 貯蔵した大豆は浸漬過程で溶出物が増加し,豆乳抽出率が減少し,また豆腐が軟弱になり凝固性が低下した。この凝固性の低下は,主に抽出率減少に伴なう豆乳濃度の低下に起因する。<BR>(3) 貯蔵した大豆蛋白質の溶解度低下は,希アルカリ溶液,メルカプトエタノール溶液で抽出することにより,また抽出を反復することによりほぼ回復した。<BR>(4)貯蔵した大豆の水抽出蛋白質画分にあっては,11S成分に対する7S成分の比率が増加した。
著者
山脇 和樹 森田 典子 村上 公一 邨田 卓夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.636-640, 1993

収穫直後の生鮮なハーブ13種(コモンタイム,コリアンダー,フェンネル,ヒソップ,イタリアンパセリ,レモンバーム,オレガノ,ローズマリー,セージ,サラダバーネット,スペアミント,スイートバジル,スイートマジョラム)のアスコルビン酸に関する基礎調査を行って次の結果を得た.<BR>(1) 総アスコルビン酸含量は,最も多いサラダバーネットの297mg/組織100gから,最も少ないスイートバジルの67mg/100gの範囲内にあった.<BR>(2) アスコルビン酸酸化酵素は種によって活性に差がみられ,イタリアンパセリとサラダバーネットは活性が低く,他のハーブで比較的高い活性が認められた.<BR>(3) 熱湯5分間処理で,コリアンダーとレモンバームでは組織中のアスコルビン酸の約1/2が抽出液中へ溶出されるが,他のものでは約1/4以下であった.熱湯処理によるアスコルビン酸の残存率はスイートバジルで53%と最も低く,コリアンダー,フェンネル,イタリアンパセリおよびサラダバーネットでは90%以上であった.