1 0 0 0 IR 『筑駒』考

著者
井上 正允
出版者
筑波大学
雑誌
研究報告 (ISSN:10091860)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.3-25, 1991

最初から唐突で恐縮だが、次の小学生の作文からこの稿をおこしたい。 「受験勉強とぼく」 小6 T君 三年生の三学期、僕は母に連れられて『中野進学教室』という塾の入学試験を受けに行きました。先生方の眼を見たときは、スパルタ教育でもされそうな気がしてなりませんでした。 ...
著者
小川 園子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、攻撃行動の表出と、個体の不安情動性や社会的刺激に対する反応性のレベルとの関係、さらにストレス負荷による変容について、攻撃、不安情動性、社会認知、ストレス反応の制御への関与が示唆されている、エストロゲンレセプターベータ(ER-β)が果たす役割に焦点をあてて解析した。(1)エストロゲンによる不安関連行動の制御におけるER-βの役割を同定するために、性腺除去後に慢性的なエストロゲン処置を施された雄マウスの不安関連行動を明暗箱往来テストにより測定したところ、野生型(WT)マウスでは、エストロゲン処置により不安レベルの低減が見られたが、ER-βの遺伝子欠損マウス(βERKO)では、エストロゲンは全く効果がなかった。また、攻撃行動、情動行動への関与が指摘されているセロトニン関連遺伝子であるセロトニントランスポーター(SERT)のmRNAレベルを、ER-βが高濃度で存在する中脳背側縫線核で測定したところ、WTマウスではエストロゲン依存的なSERTの増加が見られたが、βERKOマウスでは全く変化がなかった。(2)雄マウスの攻撃行動は、生後5-6週間目の思春期到来の前後に発現し始め、その後性成熟とともに成体レベルの達することが知られている。我々は以前、βERKO雄マウスにおいて思春期前後の攻撃行動の増大すなわち攻撃性を抑制する脳内機構の異常を示唆する結果を報告した。本実験では、この様な攻撃性の異常を示すβERKOマウスにおいて、新生仔期での母親からの分離ストレスが、思春期での攻撃性のレベルや社会的探索行動テスト場面での不安行動に及ぼす影響について検討した。母親からの分離ストレスが負荷された雄マウスでは、5週令での攻撃行動の発現が遺伝子型を問わず減少していたが、βERKOマウスにおいて特に顕著な減少が見られた。従って、ストレス応答システムの発達にER-βが関与していることが示唆された。
著者
田中 佐代子 小林 麻己人 三輪 佳宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究者によるビジュアルデザインの質を高めるための基礎的要件を明らかにし、研究者によるビジュアル資料作成のための指針を構築するために、以下を行った。1)指針案を反映させた「科学者のためのビジュアルデザインハンドブック」(田中、2013)の有用性と問題点を検証するために、アンケート調査を実施した。そしてその回答を分析し考察した。2)PowerPointにおけるデフォルトの問題点を調査した。また指針案を、文献資料をもとに再確認した。さらに指針案の実際的効果も検証した。
著者
金子 俊明
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

聴覚障害生徒を対象とした聴こえと音声について考える学習において、生徒が主体的に音声ペンを活用するための授業デザインについて実践を通した検討を行った。音声ペンの利点は学習の題材とする音声を容易に録音できること、録音から音声の聴き取りまでの学習をアクティブラーニングの要素を加えて展開できること等である。実践では、はじめに生徒2人1組で音声ペンを活用して音声を録音し、ドットコードのシールとリンクさせ、さらに聴き取りのヒントも加えて実習用の音声カードを作成した。ワークシートにイラストやヒントの文を書き、音声ペンにリンクするシールを貼った上で切り抜き、ラミネートして音声カードを作る作業への生徒の取り組みは良好であった。次に、このカードを用いて音声の特徴を考える学習を展開した。録音した音声は、音声ペンの外部出力端子から外部スピーカーを通して再生し、発話者の特徴・音声の内容等について推測する学習を行った。学習後には、興味・関心、取り組みの態度、音声の区別、部分的把握、内容の推測等の評価項目について、生徒の主観的評価を調べた。その結果、音声ペンを用いて音声について考える学習に対する生徒の評価は良好であった。また、音声ペンを活用した主体的な学習と従来のサンプル音を用いた学習とで、客観テストに対する聴取正答率を比較した。その結果、5%水準で有意差が認められ、音声ペンを用いた学習には効果が見込めることがわかった。生徒の補聴の実態には個人差が大きいが、音声ペンを用いたアクティブラーニングのデザインを検討することで、聴こえと音声について考える学習をさらに推進できる可能性があることが示唆された。
著者
清水 寛一
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.30-37, 1978-03
著者
芳鐘 冬樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

技術融合型特許に関して,引用・分類共起関係のネットワーク構造という視点から調査した。自動車関連企業に関しては,次のことが分かった。付属パーツに関わるメーカは,以下の特徴を持つ。(1) 技術要素数の割に融合関係数が多い。(2) 特定の技術要素が多様な技術要素と融合関係を持つ一方,他の多くは融合関係をあまり持たない。(3) 特定の技術要素が,技術融合型の研究開発の核としても,補助的な関連技術としても採用される一方,他の多くは核,あるいは補助的技術のどちらかにしか採用されない傾向が強い。(4) 各技術要素が広い融合関係を持つ傾向は弱い。(5) 同じ技術要素を組合せる研究開発が繰り返される傾向は弱い。
著者
相澤 啓一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日独両言語間の通訳者養成は日本の高等教育機関では未だ制度化されていないため、本プロジェクトでは希望者を募って通訳者養成を定期的に実践する中で、通訳者が必要とする日独専門用語データベースの整備と、よりよい通訳のあり方をめざす理論化を目指した。本プロジェクト開始後、ドイツ・ハイデルベルク大学では日独英通訳者養成の修士課程が設立されたので、協力して資料収集と単語リストの共同開発、意見交換を行った。用語リスト等は今後も継続して整備されていく予定である。
著者
巨瀬 勝美
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.71, pp.152-156, 2005-11

大学生の就職は、社会を写す鏡とも言えるものです。すなわち、古くは、昭和初期の不況において、「大学は出たけれど」という言葉が流行って映画にもなり(1929年、小津安二郎)、最近では、女子学生の就職に関して、「就職氷河期」などという言葉も流行りました。 ...
著者
兒島 峰
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2011

筑波大学博士 (学術) 学位論文・平成23年11月30日授与 (乙第2566号)
著者
松井 圭介
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では,茨城県大洗町を事例にコンテンツ・ツーリズムの影響に注目し,ツーリズム形態の転換に伴う観光空間への影響,及びその変容の解明を試みた。大洗町は観光施設を数多く有する県内でも有数の海浜観光地であり,2012年以降はアニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台として新たな観光現象が生じている。大洗町においては,当初は店舗・組織におけるアニメファンへの対応は個別的であったが,来訪者が増加するに連れて,商工会の主導により積極的にコンテンツを地域の資源として取り入れ,多くのアニメファンを取り込み,聖地が共創されていったことが明らかにされた。
著者
星野 由子 森本 由子
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2009

Includes bibliographical references (leaves 234-256)
著者
時岡 新
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.63, 2003-11

映画『アポロ13』がたくみに描くチーム・ワークの妙を思いだした。設備や空間の制約、かぎられた時間のなかで、彼らには何ができるのか。くわだてのすべてを支えたのは、人と人との関係、信頼と協同である。井上氏はISSにおける長期滞在型の …
著者
山下 浩
出版者
筑波大学
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.151-188, 1994
著者
林 香那
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、17世紀前半のイギリス・カピチュレーションの更新状況とその内容について分析し、さらに前年度までの研究成果と合わせて研究課題についての包括的な成果を論文としてまとめ、発表した。17世紀初頭には、後退した両国関係を回復するべく派遣された大使グローバーが黒海交易への参入を実現し、続く大使ピンダーが1614年カピチュレーション更新しているが、ここからレヴァント交易における絹輸入拡大の傾向を見て取ることができた。同時期に東インド会社による東インド物産輸入が活発化し、さらに1620年代以降には元来東方物産の輸入を目的としていたレヴァント交易が毛織物輸出に重点を移し、後に絹輸入との単品目交換という特徴的な交易形態へと変化していくことを鑑みれば、該カピチュレーションがレヴァント交易の動向を敏速に反映していたとことが分かった。またこの時期までのイギリス大使らは、その経歴からレヴァント・カンパニーの一員としての立場を踏襲していたと見られるが、商人としてレヴァントの事情に精通した経験は大使の資質と不可分であり、地中海域での海賊被害や大使館経営の金銭的困窮からレヴァント交易が危機に陥る中、その資質の高さによってオスマン宮廷内で尊重されていた様子が伺えた。特に大使ローはアルジェリア・チュニスの海賊問題への対策として1622年にカピチュレーションを更新し、交易活動を保護しているが、オスマン宮廷での信頼がその原動力となっていたことが明らかになった。以上を踏まえ作成した論文では、16世紀末から17世紀初頭には、イギリスの対オスマン帝国外交はレヴァント・カンパニーが主導し、イギリス大使らはレヴァント商人の要求を反映したカピチュレーションを獲得しているが、その交渉に際しては、金銭的負担或いは大使個人の資質によるオスマン宮廷中枢との人的紐帯が欠かせなかったと指摘出来た