著者
白土 秀樹
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.96-100, 2012 (Released:2013-01-18)
参考文献数
6
被引用文献数
2

- 副耳下腺腫瘍について -
著者
小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Suppl.1, pp.S77-S89, 2011 (Released:2012-06-01)
参考文献数
9

6自由度をもつ側頭骨手術ロボットを作製し、全自動での乳突削開を行った。CT データに基づいた高精度の側頭骨模型を用いることで、あらかじめ術者のドリルの先端位置と傾きの記録をとって解析することで、最適なドリル削開軌跡を作製した。画像の座標系と模型およびロボットの座標系のレジストレーションを行い、術者の乳突削開をロボットに再現させた。ファントム実験においてロボットは再現性の高い乳突削開を行うことができた。今後はさらに機械的な精度を上げ、より再現性の高い手術ができるように改善していくことが課題である。また、ロボットだけでの手術のみではなく、手ぶれ補正や臓器損傷の警告といった術者の補助としても機能できるように改良し、より複雑な手術での応用ができるようにしたい。
著者
山形 和彦 兵頭 政光 前谷 俊樹 影山 慎一 浅井 真紀
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.27-30, 2003-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

多発性の甲状軟骨骨折の整復術を他医で受けたにもかかわらず、不完全な整復であったため「高い声が出せない」という音声障害を来した症例に対し、音声障害を解消するために再手術を行った。再手術の内容として、軟骨骨折部の整復を予定していたが、術中所見で確実な整復が困難と判断し、代わりに甲状軟骨形成術IV型を行った。短縮していた声帯長を長くし、たるんだ声帯の緊張度を上昇させることを目的としていたので、甲状軟骨形成術IV型の原理に適合していると考えた。術後の音声機能検査の結果も改善していた。喉頭枠組みの骨折に対しては、整復術のみならず甲状軟骨形成術も考慮することが重要であると考える。
著者
千々和 秀記 平野 実 森 一功 萩尾 良文
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.886-889, 1997-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

喉頭横隔膜症 (web) の治療として, webが薄く小さい場合には喉頭微細手術を, webが厚く大きい場合には喉頭截開下による方法を用いるのがよい (平野; 1979). 術後性の広汎なwebに対し, 喉頭直達鏡下にwebを中央でメスで切離したが, webが厚かつたため, 甲状軟骨截開下に切離した声帯縁を手術用顕微鏡下に縫合した. 術後音声機能は改善し, 自覚的にも嗄声は著明に改善し良い結果を得ることができた.
著者
松田 和徳 関根 和教 佐藤 豪 雫 治彦 植村 哲也 武田 憲昭
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.115-121, 2013 (Released:2014-06-01)
参考文献数
16

今回、われわれはめまいによりもたらされる日常生活の障害の程度を客観的に評価できるアンケートを用い、ジフェニドールとベタヒスチンの治療効果を比較検討した。ジフェニドールは 4 週間投与で、めまいによる社会活動性の障害、めまいを増悪させる身体の動き(頭位、視覚)、めまいによる身体行動の制限(全般的、体動)、めまいによる感情障害、めまいによる対人関係の障害、めまいによる不快感のすべての因子を有意に改善させた。ジフェニドールは抗めまい作用に加えて制吐作用を持つことから、めまいによる機能障害およびめまいに伴う不快感を改善させ、その結果、めまいによる社会的障害およびめまいによる感情障害を改善させたものと考えられた。ベタヒスチンは 4 週間投与で、めまいによる社会活動性の障害、めまいによる対人関係の障害を有意に改善させたが、その他の因子には有意な改善を認めなかった。薬理作用の点から、ベタヒスチンは 2 カ月以上の長期投与を推奨している報告もあり、めまいにより引き起こされる日常生活の障害に対するベタヒスチンによる効果を明らかにするためには、さらに長期間の投与による検討が必要であると考えられた。
著者
奥田 稔 富山 俊一 大西 正樹 平良 晋一 宇井 浩一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2Supplement1, pp.326-341, 1995-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
15

アレルギー性鼻炎症状を有するボランティアを対象にR50547点鼻剤を投与し, 本剤の薬物動態および鼻誘発反応に対する効果を検討した.薬物動態を検討した結果, 0.1および0.2mg投与時のt1/2およびTmaxは, 健常人で行われた単回投与試験結果とほぼ一致していた.鼻誘発反応に対する本剤の抑制効果を検討した結果, 有効率 (有効以上の%) が50%以上であつた持続時間は, 0.05, 0.1および0.2mg投与群でそれぞれ8, 8および12時間であつた. これら有効率の持続時間から, 本剤の至適投与回数は, 0.05および0.1mgでは1日2~3回, 0.2mgでは1日2回と推察された.以上より, R50547点鼻剤の鼻誘発反応に対する抑制効果が認められ, 本剤がアレルギー性鼻炎に対し, 少ない投与回数で効果が持続できる有用な薬剤である可能性が示唆された.
著者
設楽 哲也
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4Supplement2, pp.737-741, 1984-10-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
2

Generally, the statiscal study is necessary to the analysis of the etiology of the disease. We reported the diseases with the sexual differences of the prevalance rate. At first, we reported the diseases with the sexual differences in some text-books.-a) the cancers at the oral cavity, tongue, pharynx, maxillary sinus and larynx b) the papilloma and malignant lymphoma of the nasopharyx c) Ménière's disease d) the nasal bleedings e) the atrophic rhinitis f) Wegener's granulomatosis g) the otoscrelosis and the paraganglioma of the middle ear. Secondarily, we reported the established date of the department of ENT surgery of Kitazato universty.-a) the Acute Otitis Media b) Otitis media with the effusion c) the acute supprative tonsillitis d) the numbers of the outcomes of chronic supprative Otitis Media e) chronic sinusitis f) the numbers of the out comes of the allergic rhinitis g) the changes of the hearing acuity depending upon the ages. Thirdly, we reported the non-established date of our hospital.-a) the sex and ages of the esophageal foreign body b) the ages of the bronchial foreign body c) the sex and ages of the peritonsillal abscess d) the sex and ages of the infections mononucleosis. At last, we disccussed about the sexual difference of the microscopic findings of the membrane of the maxillary sinusitis, then we emphasized the necessity of the study of the sexual difference of the tissues responsibility to the inflammation.
著者
姚 慧頴 張 萠蓉 安 宗超 王 星宇 鐘 杰夫 王 沙莉
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.456-462, 1998

嗅覚識別テストすなわち、University of Pennsylvania Smell Idenitification Test (UPSIT) 国際版を北京人嗅覚正常者100名に実施した。方法は嗅素を10-20μmマイクロカプセル紙、各紙に4つの嗅素を仕込んである。嗅素を選択する"scratch and sniff 法"、"forced choice法"で回答を選択させる。以下に示す結果が得られた。1. UPSIT の平均正答率は、20問に対して北京人では年代層により有意の差が認められた。2. 年代層別では60歳代より正答率の低下が分析された。3. 各ニオイの正答における順位では、北京人、日本人、米国人の環境、文化の違いに留意すべきであろう。今後は、北京人に匂い文化の発達を考えると、現在の嗅素をそのまま用いる事には幾らか問題がある。中国人に馴染みの嗅素、例えば納豆、豚饅、ギョウザ、中国酒などを含めた嗅素組み合わせによるSITを開発する必要がある。
著者
矢野 鐵郎 岩下 明弘
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.124-129, 1964-06-01 (Released:2013-05-10)
参考文献数
6

Isodine Gargle is the new one that contain the non-irritating and germicidal polyvinylpyrrolidone iodine and the ethanol. It has the antiseptic as well as the aseptic power. Hemolytic streptococci, botryoidimicrococci and pneumococci become to be extinct by its effect within one minute and the other bacilli within 15 minutes at least. Isodine Gargle is one of the most useful gargle and the prophylactic as the therapeutics to the pharyngitis.
著者
榎本 卓朗 中元 雅典 竹内 裕一 生駒 誓子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.949-952, 1993-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

今回われわれは, 37歳女性の大動脈炎症候群に耳鳴, 難聴を合併した症例を経験した. 大動脈炎症候群などの自己免疫疾患に耳鳴, 難聴を伴う症例があることは今まで神崎らの報告などが認められる. われわれが経験した症例では, 大動脈炎症候群の部分症としての耳鳴, 難聴が疑われ, ステロイド剤の投与によりその症状は改善した. 耳鳴, 難聴を訴える症例に遭遇した場合, 自己免疫疾患によるものも考慮するべきと思われる.
著者
吉田 聖 中島 寅彦 中川 尚志 久保 和彦 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.193-198, 2005-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
21

Lemierre症候群は扁桃炎、咽頭炎より波及する血栓性内頸静脈炎から重症の敗血症、多発性転移性感染症などの重篤な全身症状を呈する感染症である。今回われわれはLemierre症候群の1症例を経験した。症例は32歳男性。主訴は発熱、咽頭痛。CRP 22mg/dlと高度の炎症反応、血小板40,000/Mm3と低下を認めたため敗血症によるDIC を疑い入院となった。血液培養にてグラム陰性桿菌であるporphyromonas asaccharoliticaが検出された。CT、MRI、超音波検査において、肺野に空洞を伴う病変および胸水、頸部リンパ節腫大、内頸静脈内腔の血栓形成を認めた。クリンダマイシン、メロペネムなどの抗生剤投与と、ワーファリンによる抗凝固療法による保存的治療により軽快した。急性扁桃炎重症例においては、本症候群への進展を念頭におくべきである。そして本症候群と診断された場合、迅速で適切な治療が必要である。
著者
井上 哲生 内田 正興 松浦 鎮 佐竹 文介 西尾 正道 富樫 孝一 夜久 有滋 竹生田 勝次 小野 勇 海老原 敏 谷川 譲 武宮 三三 佃 守 河辺 義孝 松浦 秀博 佐藤 武男 吉野 邦俊 溝尻 源太郎 中田 将風 小池 聰之 中島 格 仁井谷 久暢
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1026-1033, 1993-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

全国のがん専門施設16施設の共同研究として頭頸部癌98例に対しCDDP+PEP+ MTX (PPM法), CDDP+PEP+5FU (PPF法) の無作為比較試験を行い以下の結果を得た.1. PPM法は44例中, CR3例, PR18例で奏効率48%, PPF法は54例中, CR2 例, PR25例で, 奏効率は50%であつた.2. 病期別治療効果では, III期においてPPM法で90%, PPF法で63%の奏効率が得られPPM法で高い効果が認められた.3. 初回再発別治療効果は, 初回治療例でPPM法54%, PPF法56%と高い奏効率を示したが, 再発治療例においては, それぞれ40%, 33%と低下した.4. 副作用は, PPM法で白血球数が2000未満となつた症例が30%に認められたが, その他, 重篤な副作用は認められなかつた.
著者
永松 啓爾
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1568-1574, 1988-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
著者
菊地 俊彦 高村 博光 藤山 大佑 須賀 美奈子 石丸 幸太郎 高野 潤 神田 幸彦 小林 俊光 吉見 龍一郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.251-255, 2001-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
16

アンギオテンシン変換酵素阻害剤 (ACE阻害剤) およびアンギオテンシンII受容体拮抗薬の重大な副作用として血管性浮腫の存在が知られている。今回、われわれは、ACE阻害剤の一つであるマレイン酸エナラプリルを内服後、重篤な喉頭浮腫を来した1症例を経験した。患者は62歳、男性で、マレイン酸エナラプリルの投与開始後、約1週間で発症しており、舌、喉頭および顎下部に高度の浮腫性病変を呈していた。ステロイドの投与およびマレイン酸エナラプリルの投与中止により治癒せしめることができた。現在、ニフェジピンにより血圧のコントロールを行っているが、血管浮腫の再発もみられず、経過良好である。このように、ACE阻害剤およびアンギオテンシンII受容体拮抗薬の投与により、時に致死的な高度の浮腫性病変を来すことがあるため、われわれ耳鼻咽喉科医も本疾患の存在を十分に理解しておく必要があろう。
著者
広戸 幾一郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.456-460, 1978-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
6

A new surgical technique was deviced in order to prevent the stricture of the permanent tracheostoma. This procedure is composed of two principles ; that is, to avoid the damage of the cartilage at the entrance of the trachea and to cover the margin of the tracheal mucosa with the skin by the inverting suture with the round needle and the nylon thread.The first stage: The perichondrium of the second tracheal cartilage is stripped and then the cartilage is removed. The trachea is horizontally divided just under the inferior margin of the first tracheal cartilage and the tube is inserted into the trachea for general anesthesia.The second stage: After the total laryngectomy is performed, five inverting sutures are tied at the cartilaginous portion of the tracheal end and the margin of the skin covers the mucosal edge of the trachea. These sutures should be carefully carried out in the way which the needle must not pierce the third tracheal cartilage but only the mucosa. The interrupted suture is done at the membranedus portion of the trachea. Any cannula is not used after the surgery.
著者
宿久 修 小宗 静男 君付 隆 川口 博 平川 直也 小宮山 荘太郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.584-589, 1997-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

両側の耳硬化症と診断した42歳女性に右アブミ骨手術を行つた. 興味深いことに, すべての耳小骨は固着し, 病理学的に硬化病変が証明された. 初回のアブミ骨手術の際には, ツチ骨頭部・キヌタ骨短脚を上鼓室より剥離し, テフロンピストンをキヌタ骨長脚と卵円窓に留置した. しかし, 聴力の改善がなかつた. 2回目の手術でツチ骨頭部. キヌタ骨を摘出し, テフロンピストンを鼓索神経にかけ卵円窓に留置したところ, 聴力は改善した.
著者
讃岐 徹治 一色 信彦
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.381-386, 2005-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

痙攣性発声障害は、まれな疾患で病態も全く不明といってよく、有効な治療もないと考えられてきた。現在、神経筋接合部に作用するボツリヌストキシンが痙攣性発声障害に応用され、外来で治療でき恒久的な障害も残さない利点があることから、世界的に普及している。しかし有効期間が3-6カ月であり再注射が必要という問題点もある。われわれは、内転型痙攣性発声障害患者に対して声門過閉鎖の防止を目的に喉頭枠組みを開大し、持続的で再発の可能性が少ない甲状軟骨形成術2型を1997年6月から行い、極めて良好な結果を得ている。そこで2004年10月までに得られた手術実績 (64症例、66件) をもとにそれらの症例をまとめ、その手術適応と手術のコツを中心に述べた。本手術の術式は決して難しくはないが、甲状軟骨の切開、剥離さらに開大幅の調節を慎重に正確に行うことが、手術成功に必要な条件であると考えられた。
著者
樋上 弓子 樋上 茂 竹内 裕美 生駒 尚秋
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4Supplement3, pp.S174-S176, 2000-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
6

閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) の気道閉塞部位は軟口蓋部と舌根部が多く、声門部が原因となることはまれである。われわれは睡眠中のみに声門開大障害が生じたOSASの1例を経験したので報告した。症例は68歳男性で主訴はいびきであった。内視鏡検査では、覚醒時の声帯の可動性は良好であったが、睡眠中には吸気時に声門は閉鎖し、呼気時も声帯の開大は副正中位までに制限されていた。中咽頭食道内圧測定では、無呼吸時の中咽頭圧は全く変動しなかったが食道内圧は最大-23.0cm H2Oまで陰圧化し、舌根部以下の狭窄が示唆された。中枢性疾患の合併を伴わず、特発性Gerhardt症候群と診断した。
著者
野坂 彩 竹内 裕美 河本 勝之 花本 美和子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4Supplement3, pp.S115-S118, 2000-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
13

一酸化炭素 (CO) 中毒事故後に両側の高度難聴を来した心因性難聴の1例を経験した。症例は54歳女性で、自営の工場で一酸化炭素中毒事故が起こり、夫や従業員を助ける際に自身も軽度、COに暴露された。事故後の警察、消防、マスコミへの対応でかなりのストレスを受けたと思われる。CO中毒に対して高圧酸素療法を行ったが、治療中に両側の高度難聴を生じた。自覚的には聾となったが、純音聴力検査、聴性脳幹反応、語音明瞭度検査および自記オージオメトリーの検査結果と矛盾しており、心因性難聴と診断した。精神科的治療を併用しているが、現在まで症状の改善は認めていない。