著者
門田 宰 吉岡 祐亮 藤田 雄 落谷 孝広
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.149, no.3, pp.119-122, 2017 (Released:2017-03-04)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

エクソソームは,ほぼ全ての細胞から分泌される脂質二重膜で囲まれた100 nm前後の小胞であり,タンパク質,核酸,脂質,代謝産物などにより構成される.エクソソームの産生機構については,エンドサイトーシス経路を介して形成され,多胞体が原形質膜と融合して細胞外に放出されると考えられている.近年,エクソソームは細胞間で移送され機能することから,細胞間情報伝達に関与することが判明した.現在,様々な疾患の病態形成へのエクソソームの関与が解明され始めており,エクソソームの各種特徴に着目した診断や治療,そして核酸医薬の新規ドラッグデリバリーシステムとしても研究されている.まだ未解明の点が多くさらなる研究の発展が必要であるものの,今後の臨床応用が期待される.
著者
藤田 雄介 (2023) 藤田 雄介 (2021-2022)
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2023-03-08

自然界にはながれと関係しているにもかかわらず流線型ではない凹凸形状が観察される.トンボ翼と砂丘はその代表例といえる.それぞれは,流れとの関係において翼性能の向上や,形成維持のメカニズムとの関係が示唆されているが,詳細な研究は不十分である.本研究では流れと凹凸形状の関係に的を絞って理解することを考える.数値計算や実験により,トンボ翼や砂丘の凹凸形状をモデル化した模型周りの流れを解析し,流体力学的に考察する.最終的に,両者の研究を統合し,自然界に見られる流線型でない凹凸形状の普遍的機能やその設計原理を明らかする.
著者
小海 宏之 岡村 香織 藤田 雄 杉野 正一
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-8, 2012-03

本研究は、Cloninger の3次元人格理論による認知症患者の人格特徴について検討することにより、今後の認知症患者に対する適切な心理的アプローチ法を開発するための基礎資料を得ることを目的とする。対象は軽度認知障害者13名(平均年齢73.6 ± 10.0 歳)とアルツハイマー病者12名(平均年齢74.2 ± 9.8 歳)である。方法は対象者にMini-Mental State Examination(MMSE)などの認知機能検査、およびTridimensional Personality Questionnaire(TPQ)を個別実施した。その結果、アルツハイマー病者は軽度認知障害者と比較して、全般的認知機能の低下が認められるとともに、人格特徴としての行動の触発(新奇性追求総合点: U=43.5, p<0.10)や維持(報酬依存総合点: U=43.0, p<0.10)の低下が明らかとなった。これらの特徴から、アルツハイマー病者は軽度認知障害者と比較して、dopamineやnorepinephrine の分泌量が低下する可能性を示唆するとも考えられる。
著者
平林 由紀子 藤田 雄介 吉永 智明 北原 義典
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.425-434, 2016-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
28

With the objective of developing a persuasive voice-interaction system for making presentations to large groups, we analyzed the nonverbal characteristics, especially the prosody and face motion, of 35 Japanese speakers and used the results to model the persuasive prosody and face motion for the system. In regards to prosody, the maximum and average voice pitches of the persuasive speakers were high and the dynamic range of the persuasive speakers' voice pitches was wide. Additionally, the maximum and average lengths of silent pauses of the persuasive speakers were long and the dynamic range of silent pause lengths of the persuasive speakers was wide. In regards to face motion, we found that the persuasive speakers mainly moved their faces from side to side and sparingly moved their faces during utterances. We have reproduced these nonverbal characteristics of prosody and face motion by synthesized voice and computer-generated (CG) animation and confirmed that these characteristics enhanced speakers' persuasiveness.
著者
藤田 雄司 森 文樹 河野 和明 藤原 敏典 吉岡 嘉明 田村 陽一 江里 健輔
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2063-2066, 1993-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

炎症性腹部大動脈瘤の発生頻度は腹部大動脈瘤の約20%前後であることが報告されてから,最近急速に注目されている.今回われわれは炎症性腹部大動脈瘤の1例を経験したので,最近の治療法をふまえて報告する.症例は62歳の女性で,夜間の発作性腹痛・腰痛を主訴とした.血圧は正常で,貧血や炎症所見あるいは,尿路系障害もなかった.腹部エコー及びCTでは,腎動脈分岐部直下に最大横径4cm, 縦径8.5cmの紡錘状動脈瘤を認めた.動脈壁は約1cmとマントル状に肥厚し,壁内には石灰化があった.瘤壁は約1cm厚に肥厚,線維化しており,内膜には中等度の動脈硬化性変化が認められるに過ぎなかった.径18mmY型Dacron人工血管にて置換術を行った.組織学的には,炎症性腹部大動脈瘤であった.本症は破裂しにくいと言われているが,症状を伴う場合には積極的に手術をすべきである.
著者
藤田 雄飛
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.88, pp.84-100, 2003-11-10 (Released:2010-05-07)
参考文献数
36

Cet article envisage la notion de « polymorphisme » à partir de la transcription du cours donné par Maurice Merleau-Ponty à la Sorbonne. Nous pouvons dire que ce cours, dans sa totalité, se présente comme une analyse des mécanismes de socialisation. Le polymorphisme qui caractérise l'état des enfants à leur naissance, est l'expression de la richesse de leurs possibilités avant qu'ils ne soient pleinement immergés dans la culture et contraints par elle. De ce point de vue, la socialisation est moins un processus d'acquisition des normes et des codes culturels que l'appauvrissement et la perte progressive du polymorphisme premier. Cette approche du développement est susceptible de faire exploser le schéma qui pose, face à un adulte pleinement réalisé, une image déficitaire de l'enfant, envisagé comme un être encore inachevé. Face à l'idée d'une éducabilité infinie, aujourd'hui dominante, cette approche affirme l'importance du polymorphisme, envisagé comme capacité initiale d'acquisition en voie d'amenuisement. Simultanément, la notion de polymorphisme nous invite à réenvisager les approches traditionnelles de la relation professeur - élève, en les replacant sous le signe du processus de communication entre l'adulte et l'enfant.
著者
宮原 誠 西山 光郎 吉田 久美子 一宮 正道 多田 耕輔 藤田 雄司 秋山 紀雄 久保 秀文 長谷川 博康 宮下 洋
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1+2, pp.29-34, 2011-04-30 (Released:2011-07-01)
参考文献数
36
被引用文献数
1

症例は37歳,男性.トラックの荷台から飛び降りた際,立てかけてあった熊手の柄が肛門より刺入した.柄を自己抜去した後,肛門出血および疼痛が出現し当院救急搬送された.受診時,下腹部に軽度圧痛があり,肛門の5時から8時の方向にかけ挫傷を認めた.腹部CTで右傍直腸腔内に血腫および遊離ガスを認め,注腸造影で造影剤の腸管外への漏出を認めた.以上より,杙創による直腸穿孔と診断し緊急手術を施行した.開腹時,右傍直腸腔内に血腫,体毛,衣服の断片が存在し,直腸Rb部右壁に1.8cm大の穿孔を認めた.穿孔部を縫合閉鎖し,S状結腸を用いた人工肛門を作成した.また経肛門的に裂創部粘膜を縫合した.経過は良好で術後25日目に退院,8ヵ月後に人工肛門を閉鎖し完治した.杙創において,会陰部や肛門周囲から刺入した場合には骨盤内臓器や腹腔内臓器を損傷する危険性があり,受傷早期に臓器損傷の有無とその程度を把握し,これに応じた治療を迅速に行う必要がある.また体腔内に異物が存在することもあり注意すべきであると思われた.
著者
桐山 隆哉 藤井 明彦 藤田 雄二
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.419-423, 2005-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ヒジキの生育不良現象が魚類の摂食によると推察されている長崎県下の12箇所で2004年11月に調査を行い, 内ヒジキが採集できた11カ所で藻体に残された痕跡から原因魚種の推定を試みた。採集したほとんどの個体は葉や主枝が上部から切断されて短く, 生長阻害がみられた。切断された個体の49~83%に魚の摂食痕が認められ, これらの切断は魚の摂食によるものと考えられた。摂食により切断されたヒジキの割合を魚種別にみると, アイゴが89%, ノトイスズミが9%, 両種が2%であった。長崎県下の生育不良現象は主にアイゴによって引き起こされ, 次いでノトイスズミの影響が大きいと考えられた。潮間帯から漸深帯上部でも多くの海藻に魚類の摂食による生長阻害と低密度化が観察された。
著者
世木 選 新井 智貴 福島 槙一郎 細井 厚志 藤田 雄三 武田 一朗 川田 宏之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.16-00571-16-00571, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Fatigue properties of the thick carbon fiber reinforced plastic (CFRP) laminates with toughened interlaminar layers in the out-of-plane direction (Z direction) and in the in-plane transverse direction (T direction) were evaluated experimentally. Spool specimens were machined from the thick mother plates which were laminated prepregs of T800S/3900-2B unidirectionally. The specimens were attached to metal tabs to apply loads in the thickness direction of the specimen. The tensile strengths in Z and T direction were measured by static tensile tests and S-N curves were obtained by fatigue tests at a stress ratio of R=0.1. As the results, the tensile strength in Z direction was 24% lower than that in T direction. Fatigue strength in Z direction at 106 cycles was also 25% lower than that in T direction. It was observed using a digital microscope that the fracture occurred in intralaminar layers in both static tensile tests and fatigue tests in Z direction. The thermal residual stress which was generated during the fabrication process and the stress distribution by mechanical loadings in spool specimens were calculated by finite element analysis. The calculated results showed that compressive residual stress applied in intralaminar layers in T direction by restraining the thermal deformation. It is found that the static tensile and fatigue properties in Z direction were almost the same as those in T direction by evaluating with the stresses applied in the nearest intralaminar layer to the minimum cross-section in the spool specimen.
著者
藤田 雄大 古田 賢次郎 白橋 浩光 洪 淳星 塩月 孝博 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.192-198, 2005-08-20
被引用文献数
1 5

エチル4-[2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)アルキルオキシ]ベンゾエート類を合成し, カイコ幼虫に対する早熟変態誘起活性を検討した.供試化合物中, エチル4-[4-メチル-2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)ペンチルオキシ]ベンゾエート(5)が, 3齢1日目幼虫に投与した場合, 最も高い活性を示した.化合物5の両鏡像体R体とS体では活性にほとんど差がなかった.化合物5の早熟変態誘起活性は幼若ホルモンアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが, 20-ヒドロキシエクダイソンの摂食では影響なかった.化合物5を3齢幼虫に投与した場合, 通常, 最終齢の蛹化開始に必要な幼若ホルモンエステラーゼの活性が, 4齢期の血中に誘導された.
著者
藤田 雄大 古田 賢次郎 白橋 浩光 洪 淳星 塩月 孝博 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.192-198, 2005-08-20
参考文献数
14
被引用文献数
1 5

エチル4-[2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)アルキルオキシ]ベンゾエート類を合成し, カイコ幼虫に対する早熟変態誘起活性を検討した.供試化合物中, エチル4-[4-メチル-2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)ペンチルオキシ]ベンゾエート(5)が, 3齢1日目幼虫に投与した場合, 最も高い活性を示した.化合物5の両鏡像体R体とS体では活性にほとんど差がなかった.化合物5の早熟変態誘起活性は幼若ホルモンアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが, 20-ヒドロキシエクダイソンの摂食では影響なかった.化合物5を3齢幼虫に投与した場合, 通常, 最終齢の蛹化開始に必要な幼若ホルモンエステラーゼの活性が, 4齢期の血中に誘導された.