著者
入江 元子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.440-446, 2010 (Released:2016-01-21)
参考文献数
11
被引用文献数
1

食品由来の特定成分はアルコール代謝に影響を与えることから,二日酔いの軽減や防止などに用いられてきた。著者らは清酒粕による酔いの低減効果を報告しているが,その後新たに乳酸菌発酵酒粕を開発し実験動物を使用して調べた結果,様々な機能性,例えば体重増加抑制,脂肪蓄積抑制,血中脂質改善などの効果を持つことを見出している。更に,飲酒前にこの乳酸菌発酵酒粕を摂取すれば,血中アルコール濃度が低減することも判明した。本稿ではこのアルコール濃度低減効果に関する被験者データおよび推測される作用機序について解説して頂いた。
著者
町田 晴仁
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.189-193, 1996-03-15

一昨年10月, サッポロビ-ル恵比寿工場跡地に, 新しい都市空間"恵比寿ガーデンプレイス"がオープンした。これは21世紀の都市モデルとして企画された生活と文化の多種機能を有する複合都市である。この事業に当初から係わった筆者に, 開発の経緯や施設, そして1年半経った現在の状況等を紹介していただいた。
著者
小島 正明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.294-299, 2010 (Released:2012-02-24)
参考文献数
24
被引用文献数
1

味噌は塩分が多いという固定概念から,味噌と高血圧に関する十分なデータがないのにも拘わらず味噌の消費が減少している。そこで,著者らは味噌の消費拡大を目的として,食塩を添加しなくても腐敗することのない大豆発酵物(無塩味噌粉末)の安定した製造方法を確立している。今回はこの無塩味噌粉末のデザート,チーズ製品,総菜への応用と,生理学的機能性としてアレルギーやアトピー症状の軽減や抗肥満効果が期待できることを解説いただいた。
著者
石川 善三
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.230-233, 1973

比較的低圧で脱脂大豆の原料処理方法はキッコーマン醤油KK, マルテン醤油KKの特許があるが, これを実際に製作して販売している機械業者はあるけれども, これらの会社は重要な窒素溶解利用率についてはあまりふれたがらない。本論文は福島県協業工場の石川部長の筆になるものでその点精しく記してある。本工場の場合平均88.2%であって目的の90%以上にはまだ達していないけれども従来方法 (NK缶) より5%向上している。このような実際上の問題はあまり記したがらないようであるが, 発表していただいた工場幹部に謝意を表したい。
著者
柳田 藤治 小泉 幸道 村 清司 田中 秀夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.698-703, 1994
被引用文献数
1 1

著者らは今年の4月末から5月上旬のゴールデンウィークを中心として, ベトナムへ渡り, ベトナム各地の魚醤油の加工場や自家製造の現場を幅広く視察してきた。<BR>この案内役のジュオン氏もこの道の大家とあって, 貴重な発見が多々あったと聞いている。
著者
Kazuo NAKAMURA Kotoyoshi NAKANISHI Hiroto HOMMA
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
JOURNAL OF THE BREWING SOCIETY OF JAPAN (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.830-835, 2012 (Released:2017-12-15)
参考文献数
15

醸造食品の製造には,麹菌Aspergillus oryzaeを中心とした糸状菌が用いられている。糸状菌の仲間には,きのことしてなじみの深い担子菌が自然界に分布していて,春秋の季節には,私たちの食卓に上ることが多い。きのこは糸状菌の仲間であり,麹菌よりも大型で複雑な形態の子実体を形成し,麹菌と同じように分解酵素を生産することが知られている。本解説では,これまで食材として見られていた担子菌・きのこの酵素生産性に着目して,発酵食品の製造への利用への研究が進められていること,著者らが進めているきのこの耐塩性プロテアーゼの検索に関する研究成果ときのこの醸造への利用の展望についてわかりやすく解説していただいた。
著者
Tomoko KOBAYAKAWA
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
JOURNAL OF THE BREWING SOCIETY OF JAPAN (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.2, pp.81-89, 2011 (Released:2016-06-14)
参考文献数
27

淡口醤油は国内醤油の15%を占めるに過ぎないが,調理素材の色や味を生かし,だし風味を生かすので,特にうす味嗜好の関西地方で使用されている。著者は濃口醤油より淡口醤油の方が,塩味の閾値は低く,かつおだしや昆布だし風味の閾値も低く,さらに淡口醤油とかつおだしとの併用により塩味が増強されることを官能評価より明らかにし,調理に淡口醤油を使用することは,目的とする塩味に調節し易く,だし風味を効かせた低塩料理につながることを示唆しているので,解説いただいた。
著者
鈴木 基子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.598-606, 2005

近年, 日本酒の海外輸出量の伸びが著しく増えており, 国税当局も輸出促進セミナーを開催するなどの支援を表明している。本稿では, アメリカ在住の筆者に, 現在のアメリカにおける日本酒事情を流通の面からご紹介いただいた。日本酒メーカの方だけでなく, 様々な立場の方にも参考になる解説である。
著者
東京・関東信越・仙台・名古屋・金沢・福岡各国税局 国税庁醸造試験所 国税庁鑑定企画官室
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.407-412, 1982

1.前報で述べた価格の異なる種々の原料米を用いて清酒を製造することにより, 原料米の諸特性が清酒の品質にどのように影響するかを調べた。<BR>2.清酒の品質 (総合品質及び熟度) に強く関係する原料米特性として, 使用時精米歩合, 粗たん白分, カリウム分, 死米指摘得点, ジメチルスルフイド分を見いだした。<BR>3.原料米及び清酒の諸特性を主成分分析して, 米質と清酒の品質との関係を調べたところ, 米質の良いものは概ね清酒の品質も良い傾向にあることが分った。<BR>4.玄米換算価格との関連で米質と酒の酒質の関係をみたところ, 玄米換算価格の安いものは米質及び品質が不良で, 玄米換算価格の高いものは米質及び酒質が良くなる傾向があることが分った。
著者
小泉 淳一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.8-12, 1991

醸造分野のみでなく伝統産業全般に通じる技の伝承にコンピュータがどこまでサポートしてくれるかを解説していただいた。目新しい用語も多く出てくるが, その解説から, 現段階でコンピュータが代替できる機能とその内部構造, 人間との違いと将来機械がどのように進化しても限界のある点を明示し, コンピュータと共存繁栄できる新時代の匠をめざす人たちには役立つところが多い。
著者
村上 英也
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.13-14, 1979

オンザロックのすすめは, 日本酒の将来を考える著者の体験を通して語られたものである。単に消費の拡大からだけでなく, 消費者により美味しく飲んでいただくためにも, 我々はこの問題ともっと積極的に取組む必要があろう。

1 0 0 0 京の貴船

著者
山上 英夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.40-41, 1986

酒造をはじめ, 広く食品産業全般にとっても用水の重要性は古今変ることはない。奈良朝以前より人々に水を司る神として信仰されてきた京都鴨川の川上, 鞍馬の漢谷にある貴般神社の伝承等について, 山上宮司に解説していただいた。
著者
佐々木 定
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.720-725, 2007

日本酒復活のために次の提言がなされた。<BR>・酒税法改正に潜む製造技術的な問題点を指摘した上で米を原料とした醸造酒の原点に戻り, これからの日本酒は「旨味」の研究を行うべき。<BR>・鑑評会の酒質に関し「売れる酒」,「飲んで旨い酒」,「味吟醸」が入賞出来るような審査基準を設けるべき。<BR>・紙パック商品の低価格競争に歯止めをかける必要がある。<BR>醸造技術者として長年官界, 業界に身を置いてこられた筆者の提言は傾聴に値する。
著者
柳田 藤治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.608-610, 1976

昔からもっともなじみの深いすし酢に代表される食酢は, 食生活の変革につれて高度に多様化され, ポン酢, ドレッシング, マヨネーズ, ソース, ケチャップ等の調味料に多く使用されるまでになった。食酢の研究者である著者に, 食酢の利用, 効能, 製造技術について解説していただいた。
著者
佐藤 信 中村 欽一 蓼沼 誠 茂木 宏治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.433-438, 1970
被引用文献数
1

各種酒類の日光および単色光照射時の着色度の変化をしらべて次の結果を得た。<BR>1. 日光照射において, 清酒, ミリン, 赤ブドウ酒は着色を増し, ビール, 白ブドウ酒, ベルモヅト, リキュール, ウィスキー, ブランデーでは退色した。ただし, ビールでは長時間の日光照射で着色を増し, 白ブドウ酒の新酒でも着色を増した。<BR>2. ミリン, 白ブドウ酒 (原料: セミヨン) の新酒およびビールの日光着色は照射フラスコの上部空間を窒素ガス置換することによって完全におさえられた。<BR>3. 日光照射による可視部吸収スペクトルの変化の特長は次のとおりであった。<BR>清酒: 370mμにおける増大と350mμ以下での減少<BR>ミリン: 清酒に類似<BR>ビール: 500-550mμに僅かな増大と400mμ以下での減少<BR>自ブドウ酒古酒 (原料: セミヨン): 380mμ以下での減少<BR>赤ブドウ酒 (原料: マスカット・ベリーA): 530mμ における増大<BR>4. 210mμから686mμまでの単色光照射において着色度の変化に関与する波長は次のとおりであった。<BR>ミリン: 320mμによる着色<BR>赤ブドウ酒: 283-357mμ による着色と613-650mμによる退色<BR>ベルモット (ガンチア): 320-430mμ による退色<BR>クレムドバイオレヅト: 283mnμによる退色<BR>ウィスキー: 430mμおよび283mμ による退色<BR>ブランデー: ウィスキーに類似
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫 野白 喜久雄
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.439-442, 1984

水田の稲穂にしばしばみられる糸状菌の菌叢「稲麹」を, 昔, 一部の酒造蔵では種麹として使用し米麹を得, これで清酒を仕込んだという記録を古文書から多く見出したので, このことについて検討したところ次のような所見を得た。<BR>1) 福島県, 埼玉県, 東京都の水田から稲麹を採取してきて, そこから糸状菌を純粋分離したところ, 分離された菌の大半は<I>U. virens</I>で, それに混じって<I>Aspergillus</I>属も多数分離された。 この両菌以外の糸状菌はほとんど分離されなかった。<BR>2) 分離した<I>Aspergillus</I>属について, その形態的, 生理的性質の検討を多項目にわたって行ったところ, アニスアルデヒド培地上での胞子の変色, 梗子の形や状態, 頂のうの型, 胞子の大きさ, 菌叢の色調, アフラトキシンの生成などにおいて<I>A. oryzae</I>の性質を示した。
著者
根元 茂 杉本 仁太郎 薄井 隆 庵谷 治夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.579-584, 1979

洋酒は飲まれるだけでなく, クッキングワインなど調理用にも広く用いられている。我が国ではラムやキルシュの消費のほとんどが製菓用であるのを始め, 多くのブランデー, キュラソーなども使われている。<BR>本稿では洋酒の使用効果や使用法など洋酒と洋菓子の関係について権威者に解説していただいた。洋酒関係以外の方々にも御一読いただきたい。
著者
吉沢 淑 高橋 康次郎 ウィチェン ヨンマニチャイ
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.64-66, 1985

昭和58年度洋酒鑑評会に出品されたりキュール23点の成分を分析し, その特徴を比較した。<BR>(1) リキュールの品種により成分組織に特徴が認められ, 酸度は果実系リキュールが高く, 甘味度はクレムドカカオが高い。<BR>(2) アルコール分はキュラソーが約4%と最も高く, 梅酒が低い。その他のリキュールは24~30%に集中している。<BR>(3) キュラソーとクレムドカカオは全糖中砂糖の比率が80%以上と高く, チェリーブランデーは低い。<BR>(4) これらの特徴は55年度出品酒のそれと同様であった。