著者
宮崎 久重
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.111-117, 1997

国と県の補助による「地域資源等活用型起業化事業」の一環として, 福島県味噌醤油工業協同組合が中心になって,「味噌・醤油をベースとして新製品の開発」事業に取り組み, 開発テーマの設定から着手, 目的とする新食品の製品化に至る一連の報告書を纏めて頂いた。
著者
本間 伸夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.480-488, 1987

多品種から成る味噌の香気もまた多種多様であり, 感覚的に把えられるそれぞれの味噌の香気成分がどのような物質から成立っているかは古くから興味を持たれていたが, 研究による解明は遅々としていた。近年食品の香気成分を解明する手法が, 機器の開発を伴って急速に進歩し, 味噌についても, 著者らによって組織的研究が進められてきた。香気成分解明の手法と, 味噌についての香気成分の解明とそれらの官能評価に及ぼす影響等について解説していただいた。
著者
好井 久雄 多山 賢二
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.310-338, 2005-05-15

平成16年の味噌の研究業績を見ると, その約三分の一が「味噌の機能性」に関わる研究であることに注目される。つまり,「味噌の良さ」の見直し的研究成果がかなり多く報告されている。これらを前向きの研究開発として発展させ, 精力的に研究開発が進められれば一層素晴らしい果実を期待できよう。味噛の品質やその性状は, 時代とともに変わり得るものであろう。新しい時代やニーズに適応した味噌の改良・改善が積極的に行われ, 高付加価値を有する新しいタイプの味噌の出現が待たれる。本年の一層の研究開発の進展と業界の発展を期待したい。<BR>原料処理に際し副生する, 廃棄物を再利用し収率を上げると同時に, 環境汚染を防こうとの考えがある。新規の製造法としては食酢を電気分解し刺激臭の少ない食酢が得られた。以前は混合菌での発酵が主であったが, 近年は菌名の分かった菌を使用するようになった。良い例がアセトバクターとグルコノバクターを同時混合して製酢を試み, 両菌周辺の酸化能の高い遺伝子をクローニングし, その酵素の存在を確認した。昨年はバルサミコ酢の分析が行なわれたが, 食酢の機能性の報告が少なかった。

1 0 0 0 漬物の科学

著者
住江 金之
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.705-709, 1967

漬物は発酵食品である。また酒粕の重要な販路であり, 食塩を用いる点では味噌・しょう油の製法に近い。しかも食生活の上では, 酒・味噌・しょう油と切っても切れない縁がある。さらに漬物中に繁殖し活躍する菌群の動態は, 微生物を扱う者にとって興味深々たるものがある。醸造にたずさわるものが, 知っておかねばならない漬物の知識をお届けする。
著者
吉田 元
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.579-587, 1997-08-15
被引用文献数
3

筆者は, 発酵食品を中心とした日本科学技術史を研究しており, 東アジア諸国へ出かけて行った日本人がその国の伝統的な酒をどの様に紹介しているか等, 日本人とアジアの酒の歴史的なかかわり方について興味深い調査を行っている。台湾の米酒は日本人の手でアミロ法が導入され近代的製造法に切り換えられた。<BR>筆者は, 本年春再度台湾を訪れて米を原料とする伝統的な地方酒づくりの現場を約1週間にわたり見学し, 詳細な説明を受け新しい知見を得た。<BR>本稿ではあまり知られていない台湾の酒造工業の現状について御紹介していただいた。読み物として興味があるばかりでなく, 我が国の製造にも有益なヒントが含まれており参考になると思われる。
著者
加藤 百一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.285-291, 1968

本号より5回にわたリアイヌの酒の貴重な資料を著者にお願いしました。著者は北海道大学卒, 前札幌国税局鑑定官室長として北海道の実情にくわしいことはよく知られていますが, 本稿の資料の集成には多大の御苦心があったことと思います。
著者
稲橋 正明 武藤 貴史
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.824-835, 2008-11-15
被引用文献数
5

きょうかい酵母を使用して, ふと疑問に思ったこと, これでいいのかな?と抱かれた数々の疑問が協会によせられる。そのような問い合わせの中から多くの方々にとって参考になりそうな事例をまとめていただいた。きょうかい18m号酵母に対するQ &Aが中心になってはいるが, 他の酵母や一般のもろみ管理に関しても示唆を与えてくれる一文である。
著者
編集部
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1031-1036, 1968

本誌は本年3月に "おけ売りについてのアンケート" を全国的に実施し, その結果を第6号に掲載した。これに対応して "おけ買いについてのアンケート" を6月に実施したがこの結果をここに御報告する。今後のおけ取引の参考に供していただければ幸である。
著者
梅田 勇雄
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.148-151, 1974

しょう油もろみの熟成を検査する場合, まず麹が適当であったかどうかをしらべるとは一見奇異に感ずるが, それほど麹が大切であることを力説している。よい麹なくしてよいしょう油はあり得ない。<BR>熟成度という問題を歴史的に振り返って, その歴史から, 現在のもろみの熟成度は何によってきめるかを説明されている。しょう油関係技術者の見逃すことのできない好読物。
著者
梶井 功
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.663-666, 1972

みぞれまじりの厳冬の2月, ベルリンで開かれた農業関係の国際会議に参加した筆者は, 恒例の "緑の週間" の下に催されている農業博に誘われ, たまたま場内で各国各地方の酒類が展示されているWein-Straβe (酒の広小路) で試飲, 日本酒の姿の見当らないことから, 日本酒の輸出振興の好機が与えられているのに政策が空文化しているのを憂い, さらに国鉄が "ディスカバー・ジャパン" で旅行ブームをまき起しているように, 地酒のよさを再発見することによって, 日本酒を成長軌道に乗せることに論及している。
著者
岩野 君夫 三上 重明 福田 清治 能勢 晶 椎木 敏
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.200-204, 1987
被引用文献数
6

焼酎白麹の各種酵素生産に及ぼす製麹条件の影響について検討し次の結果を得た。<BR>1.白麹菌は40℃においてAAase, GAase, TGaseおよびRSDの生産が大であり, 酸の生産は30℃, 35℃で大であった。APaseとACPaseの生産は製麹温度の影響が少なかった。<BR>2.白麹菌は精米歩合が90%以上の白米で酵素生産が大であり, 精米歩合が85%以下になると急激に酵素生産が低下する。特にAAase, GAase, ACPaseおよびTGaseでこの傾向が大であった。<BR>3.白麹菌の酵素生産に及ぼす吸水率の影響は製麹原料が破砕精米とコーン・グリッツでは少なく, 麦類では大きく, 吸水率が40-50%と高いほど酵素生産が大であり, 酸の生産も大きかった。<BR>4.白麹菌の酵素生産は菌体量と極めて高い正の相関関係が認められた。<BR>5.米焼酎仕込みにおける麹歩合を酵素活性の面から検討し, 白米1g当りAAaseが約20単位, GAaseが約33単位ほどが必要酵素量でないかと推論した。<BR>最後に臨み, 本研究の遂行に当り御指導を賜わりました当試験所中村欽一所長に深謝致します。
著者
武藤 彰宣 坂本 裕子 田島 健一郎 後藤 邦康
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.535-540, 1997-07-15
被引用文献数
3

糖化力測定キットを用い清酒醪中の糖化力の測定を行った。当測定キットは醪中のグルコース及びエタノールによる影響は受けずに,醪中の糖化力の変化を十分に測定することが可能であった。醪中の糖化力は醪初期(掛米投入後24時間前後)にピークを持ち,中期以降(7~10日前後)から麹抽出液から推定される値になり,漸減する傾向を示した。この減少率より醪中で初期の糖化力が半減するには30~40日必要であることが分かった。実地醪では醪後半から予測される糖化力に影響する留醪の割合は4割前後で,留麹投入以前の麹の糖化力も醪の経過に大きい影響を与えるものと考えられた。個々の投入段階の麹を分析する方法よりも,実用レベルでは留時の水麹の試料を用いることにより,段仕込みの影響を考慮せず,醪中期以降の糖化力を推定することが実用的であった。