著者
伊達 修一 寺林 敏 松井 浩平 並木 隆和 藤目 幸擴
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.485-489, 2002-07-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
5 6

水道水を用いて作成した培養液による水耕栽培で, しばしば発生する根部褐変の原因について調査した.サラダナの根部褐変は次亜塩素酸の形態で存在する水道水中の残留塩素とアンモニウムイオンが存在する培養液でのみ発生し, どちらか一方しか存在しない培養液では発生しなかった.また, 次亜塩素酸あるいはアンモニウムイオンどちらかを含む培養液に交互に移植しても根部褐変は発生しなかった.従って, 根部褐変は次亜塩素酸とアンモニウムイオンにより生成するクロラミンにより発生するものと考えられた.さらに培養液中の残留塩素濃度の低下は, 光条件下で鉄イオンの存在により促進された.
著者
今津 正 藤下 典之
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.293-302, 1962 (Released:2007-05-31)
参考文献数
34
被引用文献数
8 9

栽培および野生フキの中には形態や生態から, 倍数性のような染色体数の違うものがあるように思われたので, 栽培フキの4品種と, 北海道から九州屋久島にいたる201か所から集めた野生フキとについて, 染色体数と形態, 生態あるいは分布との関係を調べ, 染色体数から栽培フキと野生フキとの関係を考察した。1. 根端細胞で58本と87本の株があり, 後者はその不稔性やフキ属の染色体基本数から3倍体と考えられ, その成因は非減数の染色体をもつた配偶子と正常に減数した染色体をもつた配偶子との合一によるものと推察された。2. そ菜用品種の“愛知早生ブキ”と“水ブキ”は3倍体, 草姿の巨大性を特徴とする加工用の“アキタ大ブキ”は2倍体, 地方品種の“アキタ青ブキ”には3倍体と2倍体とがまざつていた。3. 野生フキのうち2倍体は本邦全土に, 3倍体は北海道をのぞく他のすべての地域に分布し, 後者は緯度の低い西日本, 特に南九州により多く自生する傾向が強かつたが, 両者が入り乱れて生えている場所もあつて, それぞれの自生地の立地条件には差が認められなかつた。東北や北海道地方に分布しているアキタブキ (subsp.giganteus KITAM.) はいずれも2倍体であつた。4. 栽培と野生あるいは株の雌雄の如何にかかわらず, 3倍体のフキには2倍体のものより萠芽が早くて,葉も大きく, 草勢も強いというような実用上すぐれた特性をもつた株が多かつた。5. 雌株にも雄株にも2倍体と3倍体とがあつたが,3倍体の雄株の小花が短花柱花となる以外, とくに倍数化による性表現の変化は認められなかつた。6. 3倍体のフキは不稔性で, 雄株は正常花粉を形成せず開葯もしないし, その雌株は充実種子を稔実せず花穂の丈も低いので, 雌雄の株とも2倍体とは容易にみわけることができる。7. 現在のそ菜用品種は早生, 強勢, 多収などの実用上すぐれた特性をもつていた3倍体の株が野生フキの中から選ばれ, 今日までその株の地下茎の分割増殖がくり返されてきたものらしい。
著者
Haruna Yada Chihiro Matsumoto Xiaonan Xie Kazuhisa Kato Hiroki Ikeda
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-356, (Released:2022-03-16)

Fruit mass is an important factor for determining the yield of tomatoes (Solanum lycopersicum), with higher mass being an important objective. Most fruit traits, including fruit mass, are quantitative, and numerous quantitative trait loci (QTL) control these traits. Previous studies investigating tomato introgression lines (ILs) revealed several QTLs for fruit yield, and suggested that IL12-1 is a potential line to increase fruit mass. Our aim was to facilitate genetic studies of the diverse characteristics of wild relatives of tomato. Therefore, tomato ILs from a cross between Solanum pennellii and the cultivar S. lycopersicum ‘M82’ were used. ILs that carry a S. pennellii chromosome segment on chromosome 12 of ‘M82’ were evaluated further for fruit mass expansion and regulation. IL12-1-1, a subline of IL12-1, was found to produce large ripening fruits compared with ‘M82’, a phenotype that resulted in increased pericarp thicknesses. To investigate the physiological mechanisms contributing to the increased fruit mass of IL12-1-1, the cell counts of fruit pericarp tissues during fruit development were evaluated. Cell numbers of IL12-1-1 fruit pericarp at 20 days after flowering were higher than those of ‘M82’, a difference that most likely occurred during the cell division phase. In addition, the levels of the phytohormones auxin and cytokinin, which are known to be related to cell division of the fruit tissue, were higher in IL12-1-1 compared with ‘M82’. Therefore, differences in these phytohormones between ‘M82’ and IL12-1-1 may be affected by the number of cells in the pericarp tissues. Expression analysis of Solyc12g005250 (SlKLP) and Solyc12g005310 (SlGH3-15), which are located in the IL12-1-1 region of the S. pennellii chromosome, showed significant differences between ‘M82’ and IL12-1-1 during the cell division phase; a better understanding of IL12-1-1 cellular and molecular features can contribute to the breeding and increased production of tomato crops.
著者
加藤 雅也
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.219-233, 2012 (Released:2012-07-21)
参考文献数
52
被引用文献数
52 81

カンキツは,果実に様々なカロテノイドが含まれる.カンキツ果実のカロテノイド含量および組成は,品種間において非常に多様である.ウンシュウミカン(Citrus unshiu Marc.)は,砂じょうに β-クリプトキサンチンを主に集積する.バレンシアオレンジ(Citrus sinensis Osbeck)は,砂じょうに主にビオラキサンチンを集積する.リスボンレモン(Citrus limon Burm.f.)は,砂じょうに低レベルのカロテノイドを集積する.カンキツ果実の成熟過程におけるカロテノド集積メカニズムを解明するために,カロテノイドプロフィールの異なる上記カンキツ 3 種を用いて,カロテノイド生合成および代謝分解に関わる遺伝子の発現を比較,調査した.その結果,カンキツ果実のフラベドおよび砂じょうにおけるカロテノイドの集積は,カロテノイド生合成および代謝分解に関わる遺伝子の発現により,高度に調節されていることが明らかとなった.‘たまみ’は,‘清見’(Citrus unshiu Marc. × Citrus sinensis Osbeck)に‘ウィルキング’(Citrus nobilis Lour. × Citrus deliciosa Ten.)を交雑して,育成された品種である.砂じょうに,ウンシュウミカンより多く β-クリプトキサンチンを蓄積する‘たまみ’における β-クリプトキサンチンの集積メカニズムを解明するために,‘たまみ’のカロテノイド生合成および代謝分解に関わる遺伝子の発現を調査した.その結果,‘たまみ’における β-クリプトキサンチンの集積メカニズムは,ウンシュウミカンと同様のメカニズムであることが明らかとなった.また,最近の研究では,培養した砂じょうを用いて,カロテノイド含量および組成を調節する要因について調査した.
著者
岡崎 桂一 村上 欣治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.405-411, 1992 (Released:2008-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
3 7

チューリップの自家不和合性を打破する目的で, 促成時期のちがいと自家不和合性の強弱の関係を調査したほか, 柱頭を花柱から切り放し, その切断面に自家花粉を受粉する柱頭切除受粉法および柱頭を40°~50°Cの温湯に浸漬する高温処理を検討した.1.チューリップ5品種を2月から4月にかけて促成栽培と露地栽培を行い自殖したところ, 露地栽培の自然開花時では全品種とも完全な自家不和合性であったが, 促成栽培では5品種中4品種は自殖によって多数の種子が得られた. 促成栽培を行うことによって,自家不和合性が弱まることが示された.2.柱頭切除後の受粉によって, 供試した5品種すべての自家不和合性が部分的に解消され, 1子房当たり8~81個の自殖種子が得られた. 柱頭切除法によって, 極めて効率よくチューリップの自家不和合性が打破されることが明らかになった.3.柱頭を温湯に浸潰する高温処理法により自殖したところ, 供試した3品種のうち1品種で, 50°C, 1分間処理により24花交配中2花, 3分間処理により24花交配中4花結実し, 低率ではあるが自殖種子が得られた.これらの方法は, チューリップの自殖系統育成法として実用的な技術であると推察された.
著者
橘 温 森岡 節夫 中井 滋郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.9-15, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
24
被引用文献数
2 4

早生ウンシュウ‘宮川早生’を, 無深耕•少肥及び深耕•施肥と, 無せん定•無摘果及びせん定•摘果の各栽培条件下で, ha 当たり1,250, 2,500, 5,000及び10,000本の4つの栽植密度で, 1967年に植え付けた. その後間伐せずに栽培を続け, 4年生時 (1969年) から19年生時(1984年) までのデータを用い, 各栽培条件下における栽植密度が, 単位面積当たりの収量に及ぼす影響を検討した. また各栽培条件が収量に及ぼす影響も比較検討した.1. いずれの栽培条件においても, 収量は初期に5,000及び10,000本/haの高密度で多かったが, やがて減少傾向に転じ, 樹齢とともに1,250及び2,500本/haの低密度で多くなった. 以上の関係は, 栽培条件によってほとんど影響を受けないようであった.2. 各樹齢において, 最高収量を示した栽植密度, すなわち収量に関する最適密度は, 4~5年生; 10,000本/ha, 6~7年生; 5,000本/ha, 8~13年生; 2,500本/ha, 及び14~19年生; 1,250本/haであり, 最適密度における4年生時から19年生時までの平均収量は68t/haであった.3. 各栽植密度が隔年結果を示し始めた時の樹齢は, 無せん定•無摘果条件において, いずれも初めて結果した翌年であった. せん定•摘果条件においては, 栽植密度の低下とともに遅れて現れた.4. 無深耕•少肥条件と深耕•施肥条件の収量を比較すると, 後者の方が年次変動は小さかったが, 両者の間にほとんど差はみられなかった.無せん定•無摘果条件とせん定•摘果条件の収量を比較すると, 前者の方が明らかに年次変動が大きく, また収量はやや多いようであった.
著者
Sho Ohno Mizuki Yokota Haruka Yamada Fumi Tatsuzawa Motoaki Doi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-305, (Released:2021-08-04)
被引用文献数
7

Yellow color in dahlia flowers is conferred from chalcones, butein and isoliquiritigenin. The color intensity of yellow dahlia cultivars is diverse, but a detailed study on this has not yet been performed. In this study, we first identified structures of flavonoids by nuclear magnetic resonance imaging in ray florets of the red-white bicolor ‘Shukuhai’, which contains chalcones, flavones and anthocyanins. Four anthocyanins, four flavone derivatives, five isoliquiritigenin derivatives and five butein derivatives were identified. Among the identified compounds, butein 4'-malonylsophoroside is considered to be the final product for butein derivatives and the presence of chalcone 4'-glucosyltransferase, chalcone 4'-glucoside glucosyltransferase, and chalcone 4'-glucoside malonyltransferase for isoliquiritigenin and butein modification was predicted. Also, the biosynthetic pathway of butein and isoliquiritigenin derivatives in dahlia with butein 4'-malonylsophoroside as the final product was predicted from the identified compounds. Next, we used nine yellow cultivars and lines with different color intensities and analyzed the correlation between the b* value, an indicator of yellow color, and level of chalcones. There was no difference in the presence or absence of major peaks among the cultivars and lines. Peak area per fresh weight measured by HPLC was high in butein 4'-malonylglucoside, butein 4'-sophoroside and isoliquiritigenin 4'-malonylglucoside, suggesting these three compounds were accumulated abundantly. Among the identified chalcones, the highest correlation coefficient was detected between the b* value and butein 4'-malonylglucoside (r = 0.86), butein 4'-sophoroside (r = 0.82) or isoliquiritigenin 4'-malonylglucoside (r = 0.76). These results suggest that these three chalcones confer yellow color in dahlia ray florets. The findings in this study will contribute not only to efforts at breeding new yellow dahlia cultivars, but also to molecular breeding of yellow flowers in other species by introducing the butein biosynthetic pathway.
著者
加藤 公道 佐藤 良二
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.89-97, 1975 (Released:2007-07-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

白肉桃 (大久保および白鳳) を10°C, 15°C, 20°C, 25°C, 30°Cの各温度で追熟し, 呼吸量, エチレン排出量, 硬度, はく皮性, 糖分, 食味などを調査して, モモの追熟生理を検討した.1. 大久保の20°Cでは, 25°Cよりエチレン排出量が速く増加してピークも高く, 呼吸量もピークに早く達し, はく皮も早く可能になつたが, 軟化は25°Cもほぼ同様に進んだ. 20°C, 25°Cでは, 呼吸のピークの2~3日後にエチレン排出量がピークに達し, その後急速に減少した. 呼吸のピーク時の熟度は20°Cが適熟, 25°Cは過熟であつた.2. 白鳳では1日後のエチレン排出量が大久保より多く, 軟化は速く進んだ. 25°Cでは, 20°Cより呼吸量が早くピークに達し, 軟化も速く進んだが, エチレン排出量は20°Cもほぼ同様に増加した.3. 10°C, 15°Cでは, 呼吸量, エチレン排出量がゆるやかに増加し, 軟化は穏やかに進み, はく皮性の進行もかなり遅れた. 大久保の10°C, 15°Cではエチレン排出量, 軟化, はく皮性が25°Cとほぼ同じ状態まで達したが, 10°Cではフレーバーが劣つた. 大久保の15°Cでは, 呼吸のピーク時からエチレン排出量が減少するまでの期間が, 25°Cと異なり長かつた. 適熟に達するまでの追熟期間は, 25°Cと比べて, 10°Cでは約3倍, 15°Cは約2倍であつた.4. 30°Cではエチレン排出量が抑制されて, 減少する傾向が認められた. 呼吸量の増加はほとんど認められなかつたが, 軟化は白鳳では25°Cと同様に速く, 大久保では2~3日後まで25°Cよりやや遅れたが, その後は速く進んだ.5. 30°Cでは還元糖は漸増した. 水溶性ペクチン含量は軟化の進行とともに増加し, 硬度と密接に関連した.6. 以上の結果から, 追熟温度は果肉の色, エチレン排出量, 軟化の速さなどに影響を及ぼし, エチレンは呼吸の climacteric, 軟化, はく皮性の進行などを促進した. 呼吸量, エチレン排出量, 軟化, はく皮性などは追熟中相互に関連しながら進んだが, これらの相互関係は品種, 追熟温度により影響を受けることが認められた.
著者
元木 悟 柘植 一希 北條 怜子 甲村 浩之 諫山 俊之 藤尾 拓也 岩崎 泰永
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.269-279, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培(ソバージュ栽培,以下, ソバージュ)の収量は,主枝1本仕立て栽培(以下,慣行)に比べて,株数が6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等以上の収量が見込める.また,ソバージュは収穫作業以外の作業時間を慣行に比べて有意に短縮できる.そこで本試験では,ソバージュを全国に普及させるため,温暖地の神奈川圃場に加え,ソバージュと同じミニトマトの夏秋どり栽培(ただし,ハウス雨除け夏秋どり栽培)が一般的である岩手および広島圃場おいて,3年間(岩手圃場は2年間),ソバージュと慣行の収量および品質を比較した.また,ソバージュの経済性を検討するため,ミニトマトの夏秋どり栽培の農業経営指標を参考に,各地域におけるソバージュの経済性評価を行った.その結果,露地夏秋どりミニトマトのソバージュにおける収量については,既報と同様,岩手および広島圃場においても単位面積当たりの収量は慣行と同等であり,株当たりの収量は慣行に比べて多かった.ソバージュの品質については,岩手圃場では既報と同様,ソバージュの糖度は慣行と同等か低い傾向であったものの,リコペン含量は栽培法および栽培年の間に一定の傾向が認められなかった.一方,広島圃場では,ソバージュの糖度およびリコペン含量は慣行と同等か高い傾向であった.ソバージュの経済性評価については,広島県の農業経営指標を参考に,本試験で実際に栽培した‘ロッソナポリタン’の可販果収量の月別平均値を用い,既報の作業性の結果を参考に試算した結果,ソバージュの利益は10 a当たり86万~110万円,労働時間は333~568時間,1時間当たりの利益は1,933~2,661円であった.
著者
Yasushi Kawasaki Yuki Yoneda
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-R004, (Released:2019-04-05)
被引用文献数
24

Uniform temperature throughout a greenhouse is recommended, as the present climate control method and many other studies have shown that the temperature gradient decreases vertically and horizontally in a greenhouse. However, recent research revealed that roots, fruits, flowers, and shoot-tips are more sensitive to temperature changes than leaves and stems, indicating that uniform temperature control may not be necessary. In addition, energy-saving techniques that do not lead to yield loss are desirable to reduce energy costs and ensure sustainable greenhouse production. In this paper, we review current studies on local temperature control methods in greenhouse vegetable production, primarily focusing on the tomato, and compare them with novel climate-control techniques. Roots, fruits, shoot-tips and flowers are sensitive to temperature changes, showing negative symptoms under extreme temperature conditions. Therefore, the temperature of these plant organs should be controlled locally. Root zone temperature control enhances root growth and its associated physiological activities, promoting uptake of water and mineral nutrients. This subsequently leads to enhanced growth of shoots. Fruit temperature control may not be effective for tomato plants, but it promotes fruit growth and fruit sugar accumulation in melons and watermelons. Shoot-tip temperature control promotes the differentiation of leaf and flower buds. Flower temperature control enhances pollen viability and promotes fruit set. The combination of shoot-tip and flower heating enables low energy consumption compared with conventional heating, without loss of yield. Local temperature control techniques (except roots) have been studied in recent years; however, there is a distinct lack of research on the physiological mechanisms and practical approaches to develop a better local temperature control system. Thus, further studies are required on this area in the future.
著者
Yuya Mochizuki Tiejun Zhao Wataru Kanematsu Takashi Kawasaki Takeshi Saito Akio Ohyama Akimasa Nakano Tadahisa Higashide
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-055, (Released:2019-04-11)
被引用文献数
5

To clarify the effect of ultrafine bubbles (UFBs) on the growth of tomato seedlings, we investigated elongation growth and dry matter production by analysing growth under different assimilation conditions and by modelling. The leaf area enlargement rate of plants grown with UFB nutrient solution increased and the specific leaf area (SLA) decreased at 18 days after sowing (DAS) relative to those grown without UFB solution. Thus, UFBs increased both leaf area and leaf thickness. UFB significantly increased the relative growth rate (RGR) and net assimilation rate (NAR) at 18 DAS, but there was no significant difference in SLA, RGR, and NAR between treatments at 25 DAS. These results were used to model plant growth with and without UFB treatment. In a second experiment, UFB treatment increased aboveground dry weight under a low-assimilation condition, but had no significant effect under a high-assimilation condition. Our model supported these results. It was also implied that UFB treatment affected leaf area expansion, but not dry matter production. Although the values predicted by the model were slightly lower than observed, it was possible to predict the effect of UFB treatment on plant growth with high accuracy.
著者
Hadiseh Haghi Vali Rabiei Ahmad Ershadi Farhang Razavi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-056, (Released:2019-04-13)
被引用文献数
6

As a major growth limitation, low temperature-induced injuries may adversely affect grape production in many areas. Ten-year-old grapevines ‘Thompson Seedless’ were sprayed with calcium chloride (CaCl2) three times at 10-day intervals from 19th September to 8th October 2015 and again in 2016 in a commercial vineyard. Bud samples were collected in December 2015 and 2016, January 2015 and 2016 and February 2016 and 2017. The buds were exposed to freezing treatments: −12, −16, −20, −24, and −28°C for 3 hours, to assess their low temperature tolerance. Moreover, the relationships among freezing tolerance and changes in antioxidant enzyme activity, soluble carbohydrates, proline and total proteins were investigated. Irrespective of foliar spray treatments, the freezing tolerance of buds increased from December to January and decreased in February. Application of CaCl2 at a 1% concentration resulted in increased bud freezing tolerance compared to the control plants. Application of 1% CaCl2 considerably increased the concentrations of soluble carbohydrates and total proteins in buds, but had subtle and inconsistent effects on proline. Activities of superoxide dismutase (SOD) and ascorbate peroxidase (APX) were increased in response to foliar application of CaCl2; however, inconsistent changes were found in the activities of catalase and peroxidase following CaCl2 application. The results showed that application of 1% CaCl2 increased freezing tolerance of grapevines predominantly via upregulating soluble carbohydrates and total proteins.
著者
太田 弘一 森岡 公一 山本 幸男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.125-132, 1991 (Released:2008-05-15)
参考文献数
20
被引用文献数
23 35

ファレノプシスは近年生産の伸びが大きい花卉であり, その好適な栽培条件の設定のために研究が進められている. ファレノプシスの花序は低温条件によって誘導されることが知られており (17), 山上げ栽培や人工低温処理を行うことによって, 早期出荷が行われている. また, 温度処理の際の, 株の充実状態や光•変温条件などの環境要因も花序形成に影響することが知られている (3,8, 12,14, 17,18, 19).一方, ファレノプシスはCAM (Crassulacean acid metabolism) 植物として知られている (1,7). CAM植物は夜間に吸収したCO2を有機酸の形にして細胞の液胞中に蓄積し, 昼間にそれを分解して, 光エネルギーを利用してでんぷん合成を行うという特徴的な光合成を行う. この夜間と昼間を通した, CO2吸収からでんぷん合成に至る過程をCAM型光合成と呼ぶ (13, 14).典型的なCAM型光合成のCO2吸収の日周変動パターンは, 夜間の高い吸収 (phase I), それに続く光が当たった直後の高い吸収 (phase II) とその後の急激な減少およびCO2吸収がほとんど見られない期間 (phase III), そして, 夕方に再び低い吸収が見られる (phase IV), という四つの相に分けられる (13). そして, この過程を通して, 夜間に気孔を開き, 蒸散の多い昼間には気孔を閉じているために, CAM植物は強い乾燥耐性を獲得している (6).CAM植物には, 生育条件によってC3型光合成とCAM型光合成との間で変動が見られるfacultative-CAM plantと, 生育条件にかかわらずCAM型光合成を行うobligate-CAM plantがある (13). さらに,いずれのCAM植物も, 水分, 昼夜温, 光強度, 日長などの環境条件や葉齢, 窒素栄養条件によってCAM型光合成が影響を受けることが知られている (6, 11,13, 14).したがって, ファレノプシスのCAM型光合成も, これらの要因によって変動し, それが生育および花序形成になんらかの影響を及ぼすことが考えられる.本研究は, 上述の要因のうちで生育と密接に関連した外的要因の水分, 温度, 光の3条件および内的要因の葉齢と花序形成の有無に視点を当て, それらによってファレノプシスのCAM型光合成がどのような影響を受けるかを明らかにし, ファレノプシスの好適な栽培条件設定のための基礎的知見を得ることを目的として行った.
著者
仙頭 照康
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.246-254, 1971 (Released:2007-07-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ユスラヤシ, シュロチクヤシ, シュロおよびトウジュロについて発芽機構, 最適発芽条件を知るために, 1966~1970年実験を行なつた。1. ユスラヤシ種子の内果皮は薄く, 繊維がある。胚乳は種皮に似た組織が入り込んでいるため均質でない。発芽型は隣接•小舌状である。シュロチクヤシ種子は周囲に深い折目のある5条の縦みぞがあり, 胚乳は均質である。発芽型は隣接•小舌状である。シュロおよびトウジュロ種子にはコルク組織があつて, 胚乳に接している。発芽型は遠距離•管状である。2. 発芽率の最高はユスラヤシ40%, シュロチクヤシ60%前後, シュロおよびトウジュロはいずれも90%前後であつた。3. 適温での発芽日数はもつとも早いものが, ユスラヤシで18日, シュロチクヤシで14日, シュロは30日で, トウジュロはシュロより2~3日長かつた。4. は種用土別の発芽はユスラヤシでは高温でバーミキュライト区, 川砂区がよく, シュロチクヤシでは粘質壌土区がややよかつた。シュロではいずれのは種用土でも大差なかつたが, トウジュロでは粘質壌土区の発芽率が高かつた。5. シュロ種子の生存能力は室温貯蔵で17か月, 冷蔵 (3~5°C) で42か月であつた。
著者
石水 毅 乗岡 茂巳 中西 テツ 崎山 文夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-38, 1998-01-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

ニホンナシの優れた栽培品種の一つである'豊水'のS遺伝子型は, 長年の交配実験によっても決定されていない.ニホンナシ花柱由来の7種類のS遺伝子産物(S1-RNaseからS7-RNase)を二次元電気泳動により分離・同定する系をすでに確立したので, この系を用いて'豊水'のS遺伝子型の決定を試みた.花柱タンパク質抽出液を一次元目が非平衡等電点電気泳動(NEPHGE), 二次元目がSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)からなる二次元電気泳動に供したところ, S3a, S3b, S5a, S5b-RNase(aとbは糖鎖の不均一性により分離したと考えられている)と同じ位置にそれぞれタンパク質スポットが検出された.これらのタンパク質をPVDF膜に電気転写し, 気相シーケンサーにより分析したところ, 4種類のタンパク質のN末端アミノ酸配列はすべて同じ(YDYFQFTQQY)で, S3-およびS5-RNaseのN末端アミノ酸配列と一致した(S3-RNaseとS5-RNaseのN末端アミノ酸配列は同じである).以上の結果より, '豊水'のS遺伝子型はS3S5であると推測した.
著者
Sachiko Isobe Kenta Shirasawa Hideki Hirakawa
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.108-114, 2020 (Released:2020-04-06)
参考文献数
37
被引用文献数
3

Next generation sequencing (NGS) is one of the most impactful technologies to appear in the 21st century, and has already brought important changes to agriculture, especially in the field of breeding. Construction of a reference genome is key to the advancement of genomic studies, and therefore, de novo whole genome assembly has been performed in various plants, including strawberry. Strawberry (Fragaria × ananassa) is an allo-octoploid species (2n = 8x = 56), which has four discriminable subgenomes. Because of its complex genome structure, de novo whole genome assembly in strawberry has been considered a difficult challenge. However, recent advances of NGS technologies have allowed the construction of chromosome-scale de novo whole genome assembly. In this manuscript, we review the recent advances in de novo whole genome sequencing in strawberry and other Fragaria species. The genome structure and domestication history in strawberry is one of the largest questions in genetic and genomic studies in strawberry. Therefore, the domestication history in strawberry is also be reviewed based on comparisons of genes and genome sequences across Fragaria species.
著者
高田 峰雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.357-362, 1967 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

1. カキとトマトの果実について, 生育ならびに成熟と関連させて, 呼吸量の変化を調べた。2. 植物体上における果実の呼吸量とみなされる採取24時間後の呼吸量を生育段階的にみると, トマトではきわめて典型的な climacteric を示したが, カキではかならずしも明らかでなかつた。3. カキ, トマトともにすべての生育段階の果実において, 採取後に呼吸の上昇が見られた。4. カキ, トマトともに若い果実においても採取後に成熟様現象が起こり, その時に呼吸のピークが現われた。しかし, 成熟様現象の進行速度および呼吸曲線の様相においては, 両者の間に大きな差異が見られた。5. カキの開花後約2か月までの若い果実では採取後にヘタの脱落現象が見られたが, 生育がさらに進んだ果実では見られなかつた。この現象は種子の有無とは直接関係がないように思われた。
著者
村﨑 聡 鈴木 一典
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.431-437, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
16

本研究では,露地夏秋小ギクにおける電照栽培での,これまで以上に花芽分化の抑制効果が高い電照技術の開発を目的とし,暗期中断電照の時間帯が花芽分化の抑制および開花に及ぼす影響を調査した.実験では,小ギクの高需要期である8月盆出荷作型において,複数の夏秋小ギク品種と輪ギク品種を供試し,光源として白熱灯および蛍光灯を用い,前夜半(20~0時),慣行(22~2時),後夜半(0~4時)の時間帯に暗期中断電照を行ったところ,後夜半で高い花成の抑制効果を示した.後夜半区では長日下花芽分化節位が高まり,消灯後の発蕾日数と到花日数が長くなり,節数が増加した.また,現地農家圃場において生産規模で電照時間帯が開花に及ぼす効果を検証したところ,後夜半区で花芽分化を強く抑制し,発蕾日数と到花日数が長くなり,節数が増加した.これらのことから,これまで以上に花芽分化の抑制効果が高い電照技術として,後夜半電照の有効性が現地実証された.
著者
森 義雄 中野 善公 林 祐貴 高橋 重一 久松 完 住友 克彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.381-390, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

キクの電照栽培による開花調節では,暗期中断処理終了から開花までの期間の高温による開花遅延が夏季において問題となる.電照栽培に適した夏秋小ギクを用いて,人為的な高温処理による開花遅延の程度を調査したところ,大きな品種間差が見られた.人為的な高温処理下でも開花が遅延しにくい品種では,高温年における圃場での露地電照栽培でも,開花遅延が小さい傾向が見られた.夏秋小ギクの露地電照栽培では,高温開花性の高い品種を用いることによって,年次変動の少ない安定的な計画生産が可能となるといえる.また,高温による開花遅延反応の大きく異なる品種間で,花成を促進するフロリゲン(FTL3)遺伝子の発現レベルを比較したところ,高温開花遅延の大きい品種では,高温によってフロリゲン遺伝子の発現が強く抑制された.一方,高温開花遅延の小さい品種では,フロリゲン遺伝子の発現レベルは維持された.よって,キクタニギクおよび秋ギクと同様に,夏秋小ギクにおいても,高温によるフロリゲン遺伝子の発現抑制が開花遅延を引き起こすと考えられた.
著者
Kimitoshi Sakaguchi Chisato Isobe Kazuyoshi Fujita Yoshihiro Ozeki Taira Miyahara
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-100, (Released:2019-07-17)
被引用文献数
2

Modern molecular biology techniques have enabled the generation of novel flower colors. Standard cultivated varieties of delphinium have blue flowers as a result of the biosynthesis and accumulation of delphinidin-based anthocyanins. Some cultivars have pink flowers due to the biosynthesis and accumulation of pelargonidin-based anthocyanins. The biosynthetic pathway of the latter becomes active due to the inactivation of flavonoid 3',5'-hydroxylase. Cyanidin-based red-purple flowers have not been identified to date in delphiniums because these species do not express the flavonoid 3'-hydroxylase gene. However, in our previous work, we identified expression of the flavonoid 3'-hydroxylase gene in a wild delphinium (Delphinium zalil) that accumulates quercetin 3-glycoside. D. zalil lacks the anthocyanidin synthase, the key enzyme to produce anthocyanins, so the flowers do not contain any anthocyanins. Here, we report the use of conventional breeding to introduce cyanidin biosynthesis into delphiniums. We introduced the flavonoid 3'-hydroxylase gene of D. zalil into D. cardinale by hybridization breeding, causing accumulation of cyanidin-based anthocyanin. In the hybrid plants, flavonoid 3'-hydroxylase was transcribed and a cyanidin-based anthocyanin was biosynthesized, generating novel purple-red flowers. Greater understanding of the anthocyanin biosynthetic genes expressed in wild species will benefit the development of breeding strategies to generate novel flower colors in cultivars of high horticultural value.