- 著者
-
藤塚 吉浩
- 出版者
- The Japan Association of Economic Geography
- 雑誌
- 経済地理学年報 (ISSN:00045683)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.4, pp.320-334, 2017-12-30 (Released:2018-12-30)
- 参考文献数
- 45
- 被引用文献数
-
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本稿では,ロンドンとニューヨークと東京の産業別就業者の動向について比較検討した.金融保険業と不動産業は,ロンドン,ニューヨークに比べて東京はやや低いが,専門技術サービスはロンドンとニューヨークに比べて東京の比率は半分以下であった.東京の外資系企業は,港区に最も多かった.職業別外国人就業者数についてみると,専門技術職は中心部や西部にその割合が高く,サービス職は北東部や南部に多く,生産工程は,足立区や大田区,江戸川区に多いことから,外国人就労者の居住地は,職業別に分極化していることが明らかになった. グローバリゼーションとジェントリフィケーションについては,中央区湊と港区白金を研究対象地区とした.中央区湊では,地価高騰期に立ち退きさせられた区画が1990年代半ばに低未利用地となり,その後高層の共同住宅が建設された.超高層住宅では,月額50万円を超える家賃の住戸があり,従前に居住していた世帯の手の届くものではなく,居住者には外国人の居住世帯もみられた.港区白金では,多くの中小工場が立ち退きとなり,民間共同住宅が建てられた.白金1 丁目では,再開発により超高層オフィスビルと超高層住宅が建てられ,オフィスビルには外資系企業が入居し,周辺には多くの外国人居住者が増えた.研究対象地域におけるジェントリフィケーションには,グローバリゼーションの影響のあることが判明した.