著者
有馬 恵子
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2021-04-28

本研究は、京都市の鴨川を挟んで上京区と左京区にまたがる出町エリアを調査地として、都市経済活動の内部において、いかに日常的な経済的・文化的実践が生起し、社会関係や都市空間に働きかけているのかを検討することを目的としている。具体的には、軒先や土間、シェア空間などの非定型空間での経済的・文化的活動、川や橋で日々実践される公式・非公式な活動に注目する。研究をとおして、地域・都市と芸術・文化に関する研究を横断的・批判的に検討し、日々の生活に埋め込まれた日常的実践の実像をあきらかにする。
著者
劉 振業
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

本発表では、中国マカオ社会におけるディーラーの事例から、マカオ社会の「ディーラー時代」が抱える問題点について考察する。「ディーラー時代」とは、マカオ社会に最も重要な影響をもたらすのはディーラーであり、就職選択肢の少ないマカオ社会の中でディーラーを勤めて無為に過ごすディーラーたちの退廃感を指す。「低学歴高収入」のディーラーに対してマカオ政府は保護策を施しており、マカオ人しか勤めることができないと決めている。先行研究は主に若者ディーラーを対象としたアンケート調査であり、「ディーラー時代」におけるマカオのディーラーの退廃感の実態をよりよく理解するためには、年長者ディーラーの過去についての語りや、若者ディーラーの生へのアプローチが必要であると思われる。本発表は、「仕事」を超え、マカオ社会の安定性を保つために階層の流動性の低下を招いた必要性のある不必要な仕事であるディーラーの生き方について述べる。
著者
手嶋 大侑
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.23, pp.38-58, 2015-03-30

「三宮」は通常、太皇太后・皇太后・皇后の総称とされているが、史料を見ると、太皇太后・皇太后・皇后を指していない事例に多く出会う。この問題を解くために、各時代の史料を検討した結果、「三宮」の語は時代によって概念が変化していたことがわかった。すなわち、藤原威子の立后以前においては「三宮」は「三つの宮」の意で使用されており、「宮」と称されるものは「三宮」に含まれることがあった。そして、威子の立后以降、「三宮」は徐々に「三后」と同意語であるとの認識が浸透していき、十五世紀には完全に定着した。また、「三宮」概念に関連して、「准后」と「准三宮」も考察し、封千戸を与えることは「准后」に付随し、年官年爵は「准三宮」に付随することも指摘した。
著者
鈴木 賢一
雑誌
芸術工学への誘い (ISSN:21850429)
巻号頁・発行日
no.19, pp.17-27, 2015-03-31

欧米の学校建築には、日本にはない多様な計画設計の実例がある。1)学校規模と南面教室配置、2)教える教室と学ぶ教室、3)魅力的な廊下、4)学習リソースの未来、5)学校の管理運営、6)場所から生まれる形、7)歴史を刻む学校、という7つの観点から、日本と欧米を比較しながら学校建築の計画条件と実際に構築された学習環境の違いを記述した。多様な姿かたちを表わす海外の学校建築を知ることは、建築技術以上に、前提となる考え方の違いに触れることである。ひいては、日本における学校の計画設計の選択肢を増やすことにもつながる
著者
室岡一
雑誌
Perinatal Care
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.642-646, 1985
被引用文献数
1