著者
楠 貞義
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.309-329, 2003-12-16

研究ノート
著者
村山 良之 小田 隆史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>1 東日本大震災における大川小学校の被災</p><p></p><p> 2004年3月,宮城県第三次地震被害想定報告書が公表された。同報告書内の宮城県沖地震(連動)「津波浸水予測図」(https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/95893.pdf)によれば,石巻市立大川小学校(当時)や付近の集落(釜谷)までは津波浸水が及ばないと予測され,同校は地区の避難所に指定されていた。1933年昭和三陸津波もここには到達せず,1960年チリ地震津波についても不明と,この地図には記されている。しかし,想定地震よりもはるかに大規模な東北地方太平洋沖地震による津波は,大川小校舎2階の屋根に達し,釜谷を壊滅させた。全校児童108名のうち74名(津波襲来時在校の76[MOユ1] 名のうち72名),教職員13名のうち10名(同11名のうち10名)が,死亡または行方不明となった(大川小事故検証報告書,2014による)。東日本大震災では,引き渡し後の児童生徒が多く犠牲になった(115名,毎日新聞2011年8月12日)が,ここは学校管理下で児童生徒が亡くなった(ほぼ唯一の)事例であった。</p><p></p><p>2 大川小学校津波訴訟判決の骨子</p><p></p><p> 2014年,第三者委員会による「大川小学校事故検証報告書」発表の後,一部の児童のご遺族によって国家賠償訴訟が起こされた。2016年の第1審判決では,原告側が勝訴したが,マニュアルの不備等の事前防災の過失は免責された。しかし,第2審判決では事前の備えの不備が厳しく認定され,原告側の全面勝訴となり,2019年最高裁が上告を棄却し,この判決が確定した。</p><p></p><p> 同判決における学校防災上の指摘は,以下の通りである(宮城県学校防災体制在り方検討会議報告書,2020を一部改変)。</p><p></p><p>① 学校が安全確保義務を遺漏なく履行するために必要とされる知識及び経験は,地域住民が有している平均的な知識及び経験よりも,遙かに高いレベルのものでなければならない(校長等は、かかる知見を収集・蓄積できる立場にあった)。</p><p></p><p>② 学校が津波によって被災する可能性があるかどうかを検討するに際しては, 津波浸水域予測を概略の想定結果と捉えた上で, 実際の立地条件に照らしたより詳細な検討をすべき 。</p><p></p><p>③ 学校は,独自の立場から津波ハザードマップ及び地域防災計画の信頼性等について批判的に検討すべき。</p><p></p><p>④ 学校は,危機管理マニュアルに,児童を安全に避難させるのに適した避難場所を定め,かつ避難経路及び避難方法を記載すべき。</p><p></p><p>⑤ 教育委員会は学校に対し, 学校の実情に応じて,危機等発生時に教職員が取るべき措置の具体的内容及び手順を定めた 危機管理マニュアルの作成を指導し,地域の実情や在校児童の実態を踏まえた内容となっているかを確認し,不備がある時にはその是正を指示・指導すべき。</p><p></p><p> 災害のメカニズムの理解と,ハザードマップの想定外を含むリスクを踏まえ,自校化された防災を,学校に求めるものである。</p><p></p><p>3 大川小学校判決と地理学が果たすべき役割</p><p></p><p> 大川小判決確定を受けて,「在り方検討会」は,2020年12月「宮城県学校防災体制在り方検討会議報告書」を発表し,判決の指摘や従前の取組を踏まえて,以下の基本方針を提示した。</p><p></p><p>① 教職員の様々な状況下における災害対応力の強化</p><p></p><p>② 児童生徒等の自らの命を守り他者を助ける力の育成</p><p></p><p>③ 地域の災害特性等を踏まえた実効性のある学校防災体制の整備</p><p></p><p>④ 地域や関係機関等との連携による地域ぐるみの学校防災体制の構築</p><p></p><p> ここにある③だけでなく,4つの全てにおいて,学校や学区の災害特性について学校教員が適切に把握できることが前提となり,専門家や地域住民との連携が求められる。そのためには,災害に対する土地条件として指標性が高い「地形」の理解が有効かつ不可欠である。このことは,地理学界では常識と言えるが,学校現場(および一般)には浸透していない(小田ほか, 2020)。ハザードマップの想定外をも把握できるよう,たとえば「地形を踏まえたハザードマップ3段階読図法」(村山,2019)等の教育が求められよう。</p><p></p><p> 大川小判決は,教員研修や教員養成課程において,地理学や地理教育が果たすべき役割が大きいことを示している。2019年度からの教職課程で必修化された学校安全に関する授業や免許更新講習等において,また,高校で必修化される「地理総合」において,地理学および地理教育は,最低限必要な地形理解や地図読図力の向上に貢献し,もって学校防災を支える担い手を増やしていく必要があると発表者らは考える。</p>
著者
平井 幸弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p><b>1. ハザードマップの基礎情報としての地形分類図参照の意義</b></p><p></p><p> 2011年3月の東日本大震災では、避難時にハザードマップを過信することの弊害や、マップそのものの限界が指摘された。これに対し鈴木編(2015)や地理学会災害対応委員会(平井ほか、2018)では、ハザードマップを真に有効な地図として使うには、マップ作成の基礎情報となっている地形分類図や土地条件図への理解が重要で、マップ利用の際にそれらを参照することを強く推奨してきた。</p><p></p><p>一般に利用可能な地形分類図として、地理院地図には土地条件図、治水地形分類図、土地分類基本調査の地形分類図等が整備されている。しかしこれらはそれぞれ凡例が異なり、災害リスクについての具体的な言及がないために、ハザードマップと併用する際には専門的な知識や経験がなければ困難であった。そこで最新の地理院地図(ベクトルタイル提供実験)では、「身の回りの土地の成り立ちと自然災害リスクがワンクリックで分かります」とうたい、地形分類図の各地形をクリックすると、その場所の「土地の成り立ち」と「自然災害リスク」について解説が表示されるように工夫されている。</p><p></p><p></p><p></p><p><b>2. 地形分類図を参照する際の問題点</b></p><p></p><p> 地理院地図での地形分類図の整備は進化してきたが、以下に述べる2つの重大な問題がある。一つは、「自然災害リスク」の解説が、地形要素ごとに一般的な記述で定型化されており、必ずしも実際の現場のリスクを示していない点である。自然災害のリスクは、同じ地形でもそれぞれの場所・地域によって異なるので、一般的・定型的記述は、それぞれの場所での実際の災害に対して、誤解や避難の判断ミスを招く恐れがある。例えば、関東平野中央の加須低地花崎付近は、台地面が河川氾濫堆積物の下に埋没しかけている場所で、ローム層に覆われた更新世堆積物が島状の微高地を作っている。地理院地図の地形分類図ではそこは「台地・段丘」と表示され、自然災害リスクとして「河川氾濫のリスクはほとんどないが、河川との高さが小さい場合には注意」と表示される。現地では、この微高地と沖積面との比高はほとんど無く、微高地上に築かれた戦国期の城の一部が、厚さ1m以上の河川堆積物に埋もれ、洪水の影響を強く受けてきたことがわかる。加須市の洪水ハザードマップでも、ここは「最大浸水深が0.5〜3.0m未満の区域」とされ、近隣の小学校の3階以上に避難するよう記されている。この場合、地形分類図を参照することはかえって混乱を招きかねない。</p><p></p><p> 2つ目の問題点として、ベクトルタイルの地形分類図の元データは主に「数値地図25000(土地条件)」と「治水地形分類図」(更新版)であるが、これらが作成されているのは都市部、平野部の一級河川沿いの非常に狭い範囲に限られ、近年水害や土砂災害が頻発している河川上流部や支流、山間部は未整備という点である。これに対し国土地理院では、全国を広範囲でカバーしている土地分類基本調査の地形分類図を使用して、地形情報の整備・提供を目指している(2018~21年)。しかしこの地形分類図は、縮尺が1/5万で、作成された時期がおもに1970年代と古く、また凡例が図版ごとに微妙に異なり多種・多様である。そのような地図をベクトルタイルのベースマップとして全国的に整備した際、どうすればハザードマップの参照すべき情報として有効なものになるだろうか?</p><p></p><p></p><p></p><p><b>3. ハザードマップの実践的活用のために</b></p><p></p><p> 地理院地図のベクトルタイルの地形分類図の利用は、一般的な防災教育などでは非常に有益であろう。しかし実際のそれぞれの場所におけるハザードマップの参照情報として活用するためには、さらに工夫が必要と考える。すなわち災害には地域性があるために、まずはハザードマップを市町村レベルの広い行政区ではなく、地域コミュニティの範囲で整備すること、そしてそこでの過去の災害履歴や近年の土地改変などを踏まえ、地形分類図で示されるその場所の地形情報と、想定される災害との関係をしっかり把握することが重要である。そのためには、それぞれの地域のことをよく理解し、地形や災害に関する専門的な知識を持った人材が、その作業に関わることが必要であろう。それはまさに、現在各地で活躍している自然地理学研究者が、地域の人と一緒に現場へ出て汗をかくと言うことではないだろうか。</p><p></p><p></p><p><b>文献</b></p><p></p><p>鈴木康弘編(2013)『防災・減災につなげるハザードマップの活かし方』岩波書店</p><p>平井幸弘ほか(2018)防災の基礎としての地形分類図. 地理63-10.</p>

1 0 0 0 OA 新女性読本

著者
中根稔 著
出版者
桃陽社
巻号頁・発行日
1933
著者
高桑 浩一
出版者
学習院大学
雑誌
学習院大学人文科学論集 (ISSN:09190791)
巻号頁・発行日
no.13, pp.105-127, 2004

In two papers published in l982, Taryo Obayashi(1929-2001)pointed out that some common features exist betWeen the myths aboutんnewakahiko or/Vi8ihayahi, who are regarded as heretical gods in Japanese sovereignty myths, and myths about the founders of ancient Korean dynasties like Ko8ut yo or Silla. In血is paper, reexa血ning the Obayas㎞'sstudy,1 restructured the common features of these myths as follows: 1)The heroes of these myths are connected with Heaven by ascending there after death. But, at the same time, they are connected with Earth in that their dead bodies or articles left behind are buried. 2)Their bows and arrows are the symbols of their status as Heaven-God. These articles also have a function as regalia, which is what any successor of sovereignty should own. What awakens our interest is that these features are not clearly found in the myths of H∂ηo痂'8', who is considered as the legitimate successor of sovereignty of Japan in"KOjiki"or"Nihonshoki". This fact shows the complex nature of the influence on Japanese myths from Korean Peninsula.
著者
権 珠賢
出版者
国学院大学出版部
雑誌
国学院雑誌 (ISSN:02882051)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.34-42, 1998-03
著者
権 珠賢
出版者
国学院大学出版部
雑誌
国学院雑誌 (ISSN:02882051)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.22-35, 1998-02
著者
久野健著
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
1984

1 0 0 0 飛鳥の寺

著者
大脇潔著
出版者
保育社
巻号頁・発行日
1989