著者
圓田 浩二 まるた こうじ Maruta Koji 沖縄大学法経学部法経学科教授
出版者
沖縄大学法経学部
雑誌
沖縄大学法経学部紀要 (ISSN:13463128)
巻号頁・発行日
no.28, pp.39-53, 2018-03

本稿は、2017年8月に横浜で開催された、ゲームアプリ「ポケモンGO」イベント「Pokémon GO PARK」に参加した調査報告をまとめ、今後のポケモンGOの可能性とその問題点を指摘する。Pokémon GO PARKは成功に終わったが、その背景には、イベント参加者の想定外の多さに対応した主催側の巧みな運営があった。このイベントは当初想定されていたイベントの内容とは異なっていたが、結果的は大成功を収めることができた。ポケモンの出現場所と種類と数をコントロールすることで、人間の欲望をコントロールし、人の流れと移動を作りだした。このイベントのフィールドワークから、「監視・管理から操作・誘導へ」という問題についての社会学的考察を展開した。現代社会はPokémon GO PARKで露わになった人間の欲望のコントロールと誘導があらゆる場面でなされている社会である。ゲームアプリとしてのポケモンGOの新しい点は、ヴァーチャルでありつつも、現実社会に浸透し、現実世界の人間=トレーナーを行動させ、監視・管理し、操作し、行動させることにある。This paper summarizes the survey on those who participated in the game application Pokémon GO" event "Pokémon GO PARK" held in Yokohama in August 2017, and points out the problems and possibilities of the future of Pokemon GO. Although Pokémon GO PARK was overall a success, this was due to good management by the organizer corresponding to the unexpectedly large number of event participants in the background This event was different from the contents of the event assumed at first, but it was successful as a result. By controlling the appearance place and types of Pokémon, and the number of Pokemon, Pokémon GO controlled human desires and created human's flow and movement. From the fieldwork of this event, we have developed sociological considerations about problems from "monitoring, management of operation, and instruction". The contemporary society is a society where control and induction of human desires exposed in Pokémon GO PARK can be done anywhere. A new point of Pokémon GO as a game application is to penetrate real society while acting, monitoring, managing, manipulating, and acting in the real world of human = trainers though it is virtual.
著者
筑波 隆幸 山本 健二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.15-20, 2003 (Released:2003-06-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

カテプシンEは免疫細胞や皮膚などに限局的に存在する細胞内アスパラギン酸プロテアーゼである.我々はカテプシンEの機能を解析するために遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)を作成した.カテプシンE欠損マウスは無菌(Specific pathogen-free, SPF)環境下で飼育しても,全く異常は認められなかったが,コンベンショナル(Conventional)環境下で飼育するとアトピー性皮膚炎様症状を示した.このマウスは病理組織学的にもアトピー性皮膚炎の特徴である表皮肥厚と皮下組織への好酸球,マクロファージ,リンパ球,肥満細胞などの細胞浸潤が認められた.また,血液学的解析でも,高好酸球血症と高IgE血症が見られ,脾臓細胞からのIL-4,IL-5などのTh2サイトカインの産生上昇が観察された.さらに,血清でのIL-1βおよびIL-18濃度の上昇とこれらのサイトカインの生物学的半減期の遅延が認められた.アトピー性皮膚炎患者においても,カテプシンE量が健常者とくらべて有意に減少していることから,ヒトおよびマウスともにカテプシンEの欠損あるいは低下によりアトピー性皮膚炎発症を惹起することが分った.
著者
吉井 文子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 = Memoirs of Beppu University (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.59, pp.181-192, 2018-02

香りの本体は分子である。香りについて化学教育を推進するため、マンガ「超香少年サトル」を取り上げ、マンガの中に出てくる香りの成分を明らかにし、その分子の立体構造を理解しやすいように表示することにした。今回は、特に「食べ物や飲み物」に関わる香りに着目し、分子の構造は分子力学法を用いて求めた。また、マンガの中に現れた香りのはたらきのうち、香りとおいしさ、香りと記憶についての説明を加えた。
著者
謝 肖男
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.10-16, 2017-02-20 (Released:2017-08-22)
参考文献数
57
被引用文献数
1
著者
真鍋 公希
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.25-45, 2018

<p>【要旨】</p><p> 円谷英二が特技監督を務めた『空の大怪獣ラドン』(1956 年、以下『ラドン』)は、公開当時から高く評価されている作品である。しかし、特撮映画に関する先行研究は『ゴジラ』(1954 年)ばかり注目してきたため、本作はほとんど分析されてこなかった。本稿では、トム・ガニングの「アトラクション」概念を補助線とし、本作の特異性と映画史的・文化史的意義を明らかにすることを試みる。「アトラクション」とは、物語を伝達する機能と対照的で、ショックや驚きなどの直接的刺激によって特徴づけられる性質だと紹介されてきた。しかし、『ラドン』における「アトラクション」的側面は、ショックによる直接的な態度よりもむしろ、特撮に注意を払う反省的な態度によって特徴づけられる。この態度はその後のオタク的な観客心理につながるものであり、この点で『ラドン』は、特撮映画をめぐる観客性の転換点に位置づけられる作品なのである。</p><p> これを示すために、第1 節では円谷の演出理念を検討する。円谷は特撮によって物語的な効果を引き出すことを第一に考えていたが、他方で特撮の痕跡が残ることを許容してもいた。ここに特撮が効果を逸脱し「アトラクション」として立ち現れる可能性を見ることができる。次に第2 節で、こうした円谷の演出理念が、『ラドン』ではどのように表出しているのかを考察する。円谷の演出理念は、ラドンが西海橋や福岡に現れる一連のシーンに色濃く反映しており、同時にこれらのシーンはテクスト全体の中でも自立的に機能している。最後に第3 節では、観客が『ラドン』の特撮に注意を払った反省的な態度で受容していたことを、当時広く普及していた「技術解説記事」を考察することで明らかにする。</p>
著者
岸本 堅太郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.53_3, 2019 (Released:2019-01-01)

米国で民間保険会社から委託を受けたPBM(薬剤給付管理会社)が作成する医薬品の推奨リストのこと.通常は,①競合のない医薬品,②競合のある中で推奨される医薬品(臨床上の有用性,リベートなど),③競合のある他の医薬品,④後発医薬品に4分類されることが多い.また,全ての医薬品が収載されているわけではない.日本の薬価基準と違い,価格は載っていない.