著者
柳本 彰仁 池田 清宏 赤松 隆 河野 達仁 八巻 俊二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.191-196, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

輸送費の変化による工業の都市集積現象のメカニズムを表現したKrugmanの提案したモデルは, 複数の均衡解を持つことが知られている. しかし, 地域 (都市) 数が2と3の場合については, その特性に関する多くの分析がなされているものの, 都市数が更に増加した場合における輸送費変化による人口の空間的 (地域・都市間) 集積・分散パターンの分析に関しては十分な知見が得られていない. そこで, 本論文では, Krugmanモデルを円周上に位置する同一の人口を持つ多都市モデルへと拡張し, 計算分岐理論による数値解析法により, その可能な解を網羅的に求め, その適用可能性を示す.
著者
世良 至 殿垣内 正人 川井田 実
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.468, pp.57-66, 1993-06-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9

本論文は25~28年観測された軟弱地盤上の高速道路盛土について長期沈下の実態を示すとともに, 将来沈下予測について, 考察を加えた.厚い海成粘土の一次圧密終期と二次圧密量について検討した. 一次圧密終期に収束がやや遅れるのは, 圧密過程で圧密係数が変化 (減少) するためと考えた. 二次圧密量は僅かで実務上はほとんど無視できるとしている. 将来沈下は長期観測による沈下速度で管理する手法が有効であるとし, 残留沈下を推定する手法の提案とその実用性を述べた.
著者
土屋 利雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.181-193, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
16

現在,我が国で深海探査といえば海洋研究開発機構(JAMSTEC)のほぼ独壇場である.1971年に発足したJAMSTECは,80年代に入るまで所有船舶もなく政府からの深海探査のための予算も多くは望めなかった.そのような状況で我々は,日本で初めて米国製の深海探査ソーナーシステムを導入し,それらの技術を習得しながら運用を行ってきた.更に本稿では,国産化された様々なソーナーを使って成功した第二次大戦中の沈没船や墜落したロケットエンジンを発見した手法についても解説する.
著者
薄木 理一郎
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.548-552, 1981-09-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
31
被引用文献数
3
著者
江川 亮
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.28-40,63, 1969-10-15 (Released:2013-02-19)
参考文献数
13

1都市と農村の児童群 (各群とも小学校4年から中学校3年まで各学年25名) に鈴木治太郎氏の「実際的個別的知能測定法」を実施しその両群の比較を学年別に得点でみると, いずれの学年も都市群が優れ, 農村群が劣るのを明らかに認めることができる。この得点という全体的な表示での比較差異は, いわば量的な差異といえる。2項目の通過・非通過を検討することによつて両群各々の心的な機能を明らかにすることから, この検査での上の量的な差異の妥当性を吟味しようとするのが本研究の目的である。量に対する質の検討ということができよう。手続きは両群から39点から57点の間に分布する得点者を抽出し, 得点間隔3点で7段階に区分し, 群別段階別に標本を集めた. 検討の結果, 各段階ともいずれの項目, あるいはいずれの項目類型にも両群間に明らかな差異が認められず, また両群の項目通過の相関もきわめて高い値を示した。なお通過率の上昇, 相関傾向等によつてこの検査の両群における内的整合度の高いことを知ることができた。最終通過項目が同一の標本で集めた場合も結果は同様であつた。3上の結果より各群の特定の心的な機能の差異は, a項目群, b項目群と名付けた二類型にやや見出されるといえるにすぎなく, 明確な差異傾向を示すことができなかつた。4したがつてこめ検査では, 得点をいわゆる知能の全体的な表示とするとき, その同一水準は心的な機能のそれをも規定できるということを推論でき, 得点の低位は, 量とともに質のそれをも記述しうることを明らかにすることができる。5以上から, この検査は問題とその方法の見本が都市に偏することなく抽出されていて環境条件の相異する両児童群の共有の尺度としての信頼性をもつといえる。この見本性についての不安は標準化が都市中心であることに帰せられ, 多くの検査と同様にこの検査について注意を要する点として指摘されていた。6都市農村の分類は, 二つの環境類型化であつて, それら各々を構成する特殊的因子を捨象したいわば平均的な類型化である。著者はその特殊的因子, すなわちそれぞれの地域社会における階層類型 (29類型) を見出し, それらに帰属する児童がいかなる精神発達の段階秩序をもつか, あるいはまたそれらの段階秩序が都市から農村への移行的連続の過渡形態としていかなる類型をその間に挿入しうるかという検討を通じ, それら知能の差を生ぜしめる環境的要因の考察を試みようとした。そして「生活の差を, その生産手段の所有状態, 労働力の存在形態の差異」 (6) でとらえ, それにGoodenough (2) の分類を加味した階層類型と, この検査で測定される知能はきわめて密接に (F0=6.72) 関係するのを見出すことができた。以上における分析の詳細は省略するが, この類型化も公式的形式的類型であるというそしりをまぬかれえない。量を規定する質, その質を制約している枠組すなわち環境的要因を見出すという一連の研究がなされなければ, なんら教育の実践に貢献するものになりえないと思う。その直接的実質的な環境要因を明らかにすること, そこに心理学における階層化の目的が存すると思うが, 隣接諸科学の知見の組識的な協力をえて心理学的に抽象される環境類型が把握されなければならないと思う。
著者
嶋崎 幸也 細谷 和良 田子 兼重 瀬尾 元一郎
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.295-302, 1993-08-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

The sensitivity to drugs, the pH in the medium of extract from intestinal content (MEIC) and the utilization of carbohydrates in the strain isolated from multi-drug-resistant Enterococcus preparations (RP) were compared with those in the strain isolated from conventional Enterococcus prepations (CP). The RP showed higher resistance to penicillin and macrolide antibiotics than the CP, but less resistance to quinolone antibiotics. In the MEIC, the CP decreased the pH more markedly than the RP. Regarding utilization of carbohydrates, both the RP and CP had the similar patterns to the catabolisms of Enterococcus faecium, but different catabolisms were observed between RP and CP.
著者
稲垣 久美子 古澤 亜矢子 村瀬 智子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.41-50, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

目的:一般病棟で臨床経験を有する看護師が,初めて緩和ケア病棟に配属された後,2年未満に感じる心理的負担と対処の特徴について明らかにする.方法:質的記述的研究方法とし,半構成的インタビュー法を用い,得られたデータを質的帰納的に分析した.結果:7名の緩和ケア病棟看護師の個別分析結果を統合し,4段階の分析過程を経て,心理的負担は8の上位カテゴリーに集約され,心理的負担への対処は9の上位カテゴリーに集約された.結論:1)緩和ケア病棟看護師が配属後2年未満に感じる心理的負担の特徴は,【自分の経験がゼロになったような無力感と戸惑い】が中核となり,三層に構造化され,この中で,心理的負担は看護経験を重ねる過程で変化していたが,その一方で経験を重ねても抱き続ける心理的負担もあることが明らかになった.2)心理的負担に対して,看護経験を重ねる過程で後ろ向きの対処から前向きな対処へと変化しており,これらの変化に影響を与える要因には,緩和ケア病棟看護師のレジリアンスが関係していると考えられた.
著者
Yang­-yang Cui Qing Cai Zhu L Yang
出版者
The Mycological Society of Japan
雑誌
Mycoscience (ISSN:13403540)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.29-35, 2021-01-20 (Released:2021-01-20)
参考文献数
46
被引用文献数
4

Amanita chuformis, a new species in the A. pseudogemmata-A. ballerina subclade of Amanita section Phalloideae, is described from China with both multi-gene phylogenetic and morphological data. This species occurs in subalpine coniferous forests in southwestern China and is characterized by its brownish pileus decorated with conical to patch-like volval remnants, a slightly striate pileal margin, a marginate basal bulb, and weakly amyloid to amyloid, subglobose to broadly ellipsoid basidiospores measuring 9.5–11 × 8–9.5 μm. Phylogenetic analyses based on internal transcribed spacer (ITS) region, the nuclear ribosomal RNA large subunit (nrLSU) and the genes for the polymerase II second largest subunit (RPB2) and for translation elongation factor 1-α (TEF1α) indicate A. chuformis is close to A. pseudogemmata and A. levistriata. The new species is described, illustrated and compared with closely related and similar species.
著者
大谷 道輝 山田 伸夫 高山 和郎 小瀧 一 江藤 隆史 假家 悟 内野 克喜 伊賀 立二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.107-112, 2002-01-01 (Released:2003-02-13)
参考文献数
14
被引用文献数
8 8

A commonly used admixture of commercially available ointments and/or creams was selected from the prescribed sheets in our hospital, and questionnaire to dermatologists. To assess the relationship between permeability of corticosteroid through murine skin and clinical effects in human, we attempted to investigate the vasoconstrictor activity of these admixtures of topical corticosteroid by double-blind controlled study. Test samples were occluded at random on the back of 20 healthy volunteers for 4 hours. The vasoconstrictor activity of corticosteroid creams (Lidomex®) alone was significantly large as compared with that of ointments alone. The vasoconstrictor activity of corticosteroid in the admixture of Lidomex® ointment and urea ointments or heparinoid ointment was 1.5—2 fold significantly larger than that from ointments alone. The extent of the stability of the emulsion after mixing was related to the vasoconstrictor activity. These experiments demonstrated a close relationship between the vasoconstrictor activity of human skin and permeability of hairless mice skin. These results suggested that the vasoconstrictor activity of topical corticosteroids mixed with commercially available ointments and/or creams depends upon their physicochemical characteristics.