著者
加藤 秀一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.298-313, 2004-12-31

ロングフル・ライフ (wrongful life, 以下WL) 訴訟とは, 重篤な障害を負って生まれた当人が, 自分は生まれないほうが良かったのに, 医師が親に避妊あるいは中絶の決断をするための根拠となる情報を与えなかったために生まれてしまったとして, 自分の生きるに値しない生をもたらした医師に賠償責任を要求する訴訟である.そこでは自己の生そのものが損害とみなされる.<BR>しかしWL訴訟は論理的に無意味な要求である.なぜならそれは, すでに出生し存在している者が, 現実に自分が甘受している状態と自分が存在しなかった状態とを比較した上で, 後者のほうがより望ましいということを主張する発話行為であるが, 自分が存在しない状態を自分が経験することは不可能であり, したがってそのような比較を当事者視点から行なうことは遂行的矛盾をもたらすからである.<BR>それにもかかわらずWL訴訟の事例は増えつつあり, 原告勝訴の事例も出ている.それだけでなく, WL訴訟と同型の論理, すなわち存在者があたかも非在者であるかのように語る〈非在者の語り=騙り〉は, 裁判以外のさまざまな文化現象の中に見てとることができる.そのような〈騙り〉は, 死の概念を一面化し, 死者を生者の政治に利用することで, 新たな死を召喚する行為である.
著者
野坂 和則
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、遅発性筋肉痛を実験的に引き起こすモデルを用い、遅発性筋肉痛発現のメカニズムとその意義、対処法および予防法を解明することであった。2年間にわたる研究において、初年度の平成14年度には、「遅発性筋肉痛の程度と筋損傷との関係」について検討し、筋肉痛の程度は筋損傷の程度を反映しないことを明らかにした。また、遅発性筋肉痛および筋損傷の発現に対する運動様式の違いについて、持久的な運動と、大きな筋力発揮を要する短時間の運動で比較、ならびに、強度の異なる運動間での比較を行った。その結果、筋損傷の程度には運動間で有意な差が認められたものの、筋肉痛の程度には大きな差が認められなかった。さらに、遅発性筋肉痛が生じることの意義について検討した結果、筋の適応過程において筋肉痛は必ずしも必要ないことを明らかにした。平成15年度は、「加齢に伴い筋肉痛が遅れて出るようになる」のかどうかを検討した。18-22歳の被験者と60-70歳代の被験者に、相対的な強度が等しくなるようにダンベルを設定し、上腕屈筋群に伸張性運動を負荷した後の筋肉痛を比較した。その結果、筋肉痛が発現するタイミングには年齢の違いによる差は見いだせなかった。遅発性筋肉痛が発現するタイミングには年齢差というより個人差が大きく、また、運動の種類や強度,筋肉による違いが大きいことも別の実験から明らかになった。若年者の遅発性筋肉痛について調査した結果、興味深い事に、幼稚園児や小学校低学年では、遅発性筋肉痛が生じにくく、小学校高学年から生じやすくなることも明らかとなった。脚筋群の運動負荷に伴う筋肉痛についても検討し、上肢の筋との大きな違いはないことが明らかになった。また、筋肉痛や筋損傷を予防するには、同じ運動を繰り返すことが最も有効である事を明らかにした。筋肉が最大限に伸ばされる伸張性運動の前に、筋長の変化が小さい範囲での伸張性運動を行うと、筋損傷の程度が50%程度軽減できる事も明らかになった。筋肉痛の出現に関連すると考えられる筋温の影響についても検討し結果、筋温の影響はないことが明らかになった。さらに、筋肉痛の対処法、予防法についても詳細な文献検索を行った。これまでの研究結果から明らかになったことを「筋肉痛のはなし」という小冊子にわかりやすくまとめた。
著者
柴田 光蔵
巻号頁・発行日
2014-06-30

はじめに

13 0 0 0 OA 職員録

著者
内閣印刷局 編
出版者
内閣印刷局
巻号頁・発行日
vol.昭和18年7月1日現在, 1943
著者
岡本 一 川村 軍蔵 田中 淑人
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.449-454, 2001-05-15
被引用文献数
1 7

魚の摂餌行動に及ぼす背景色の影響をみることを目的とした水槽行動実験を行った。供試魚にはスズキを用い, 白, 赤, 緑, 青を背景色として擬餌5種類(白, 赤, 緑, 青および透明)を同時に投入し, 擬餌に対する魚の行動記録を水中ビデオカメラで撮影記録し, 解析した。背景が白では, 緑の擬餌に対する食付き頻度が顕著に高かった。また, 背景が赤および青では, 透明および白の擬餌に高い食付き頻度を示した。高頻度で選択される擬餌の色は背景色によって異なり, 背景色とルアー色の普遍的な組み合わせは見出せなかった。
著者
神戸 幸夫
出版者
金曜日
雑誌
金曜日
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.56-57, 2010-01-22
著者
笠原 英彦
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.p1-19, 1990-04

一、はじめに二、事件の経過と安藤の対応三、安藤と司法省四、安藤の政治行動と警察当局五、結び論説
巻号頁・発行日
vol.第137號 (昭和21年12月23日), 1946
著者
松本 和浩 李 忠〓 千 種弼 金 泰日 田村 文男 田辺 賢二 黄 龍洙
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008
参考文献数
10
被引用文献数
1

韓国産イチゴ品種'Mae-hyang','Seol-hyang'および'Keum-hyang'と'章姫'を4℃または20℃で4日間貯蔵し,果肉硬度,可溶性固形物濃度,滴定酸度,アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した.各品種の糖組成をみると'Mae-hyang'および'Keum-hyang'はスクロースが,'Seol-hyang'および'章姫'はフルクトースとグルコースが主体であった.また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった.低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが,特に'Mae-hyang'において顕著であった.また,'Mae-hyang'は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく,20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく,安定した貯蔵品質を示した.一方,'Seol-hyang'は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった.また,'Keum-hyang'はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く,4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた.これらの結果より,'Mae-hyang'が他の韓国産所品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた.
著者
Hiroyuki Ishiyama Junko Ishii Hajime Yoshimura Marie Tsunogae. Satoru Fujiwara Satomi Hiya Ryoma Inui Yuma Shiomi Shinsaku Nakazawa Masamune Kimura Takehito Kuroda Yasutaka Murakami Kota Maekawa Nobuyuki Ohara Nobuo Kohara Michi Kawamoto
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.7802-21, (Released:2021-09-11)
参考文献数
40
被引用文献数
4

Objective Various neurological manifestations have been increasingly reported in coronavirus disease 2019 (COVID-19). We determined the neurological features and long-term sequelae in hospitalized COVID-19 patients. Methods We retrospectively studied 95 consecutive hospitalized patients with COVID-19 between March 1 and May 13, 2020. Acute neurological presentations (within two weeks of the symptom onset of COVID-19) were compared between 60 non-severe and 35 severely infected patients who required high-flow oxygen. In the 12 ventilated patients (the most severe group), we evaluated neurological complications during admission, subacute neurological presentations, and neurological sequelae (51 and 137 days from the onset [median], respectively). Results Of the 95 patients (mean age 53 years old; 40% women), 63% had acute neurological presentations, with an increased prevalence in cases of severe infections (83% vs. 52%, p<0.001). Impaired consciousness and limb weakness were more frequent in severe patients than in non-severe ones (0% vs. 49%; p<0.001, and 0% vs. 54%; p<0.001, respectively). In the most severe group (mean age 72 years old; 42% women), 83% of patients had neurological complications (cerebrovascular disease [17%], encephalopathy [82%], and neuropathy [55%]), and 92% had subacute neurological presentations (impaired consciousness [17%], higher brain dysfunction [82%], limb weakness [75%], and tremor [58%]). Neurological sequelae were found in 83% of cases, including higher brain dysfunction (73%), limb weakness (50%), and tremor (58%). Conclusions Neurological manifestations are common in COVID-19, with the possibility of long-lasting sequelae.
著者
青木 崇
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.166-174, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)
参考文献数
5

ブロックチェーンはビットコインの中核技術として登場した。ビットコインは2008年にサトシ・ナカモトと名乗る人物がインターネット上に掲載した文書を基に考案された電子通貨である。その背景としては,日進月歩で進化するIT技術に取り残された中央集権型システムの非効率性への不満や,プライバシー情報の取り扱いに関する不信感などがあり,中央集権型システムから個人が中心となる分散型システムへの移行が期待された。分散型システムを機能させるネットワーク技術にブロックチェーンを適用すれば,新たな社会が誕生する可能性がある。一方で,ブロックチェーンに関するさまざまな情報がそれぞれの立場で語られている状況であり,必ずしもビジネス実務や金融業務を正確に把握しないまま,過度にブロックチェーンを礼賛している風潮もあるので冷静な議論が必要である。また,技術的な観点だけではなく,社会科学的なアプローチによる議論の必要性にも言及した。

13 0 0 0 OA 東西紀聞

著者
小寺玉晁 [原編]
出版者
日本史籍協会
巻号頁・発行日
vol.第1, 1917
著者
台湾総督府鉄道部 編
出版者
台湾総督府鉄道部
巻号頁・発行日
vol.第17年報(大正4年度), 1916