著者
園田 哲平 小郷原 一智 畑中 裕司 砂山 渡
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.267-268, 2018-03-13

太陽光発電システムを効率的に制御するためには、発電出力の予測が必要である。そして、発電出力の予測を行うためには、空の状態の変化を予測する必要がある。そこで、本研究では全天空カメラを用いて常に天空画像を取得できるシステムを構築し、空割合時系列データを抽出するアルゴリズムの提案を目的とする。まず、1分ごとに全天空画像を撮影し、JPEG画像として保存する。次に、複数枚の画像のR、G、Bを用いて分類器を訓練し、その分類器を用いて未知画像の空割合を計算する。その結果、各画像のaccuracyは曇り1.00、晴れ0.92、快晴0.89であった。快晴の日には空割合の低下が見られるが、晴れおよび曇りの日には正確な空割合時系列データが得られた。
著者
川原 弘靖 若色 薫 渡辺 顯 KAWAHARA Hiroyasu WAKAIRO Kaoru WATANABE Akira
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-1136 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1136, pp.27, 1991-12

航空機は大型化,高性能化が進むと同時に従来の操縦桿・操縦輪に代わり,サイドスティックによる操縦装置が,また飛行計器はグラスコックピットと呼ばれる大型CRTを用いた電子式飛行計器等が導入されるなどコックピットの近代化が進められてきている。さらに飛行計器の表示デバイスもCRTから液晶フラット・パネル・ディスプレイ(以下液晶ディスプレイ(LCD)と略す)にと変りつつある。航空機用液晶ディスプレイは3インチ型TCAS指示計が実用化されており,5~8インチ型が開発段階にあり,実用化の時期も間近の感がある。これら新しい表示デバイスを実機に搭載するにあたってはその前段階として飛行シミュレータによる機能,性能の評価が必須であり,実機搭載に十分な機能,性能を確認する必要がある。今回,日本航空電子工業(株)との共同研究で8インチ型液晶ディスプレイ(PFD,DMD)の機能,性能および表示フォーマットに関して,飛行シミュレータによる評価試験を実施した。その結果,ハードウエアについては従来のCRTの性能と同等あるいはそれ以上の性能を有していること,DMDディスプレイについては使用目的に対応した表示機能とすることにより,その有効性があることが確認できた。
著者
金子 紗梨 高瀬 亘 村上 晃一 佐々木 節
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.35-36, 2020-02-20

Armプロセッサは省電力の特徴を持ち、スマートフォンなどのモバイル機器に広く利用されている。近年はサーバ用途としても使われ、HPCの業界でも注目が集まっている。KEK計算科学センターでは、高エネルギー物理学実験で得られる大規模データの蓄積や処理、シミュレーションの用途で、大規模なLinuxクラスタを運用している。本システムは4年毎にシステム更新を行い、新しい世代のCPUへの移行を行っている。Armプロセッサは省電力で、その割に処理能力が高い。Armを採用することでシステムの運用コストを抑えることが期待される。大規模クラスタでのArmプロセッサの適応性評価として、計算性能や省電力の点からプロセッサの性能評価を行った。
著者
橋本 雄太 宮川 真弥
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.237-242, 2018-11-24

歴史文献史料を構造化されたデータとして扱うためには,何らかの機械処理可能なマークアップ言語を用いて翻刻文を記述することが望ましい.加えて人文学研究者やクラウドソーシング参加者が利用するためには,そのような言語は簡潔かつ可読性の高い文法で記述される必要がある.そこで,古文書や古記録,古典籍といった日本語文献史料を記述するための軽量マークアップ言語を開発した.この言語の文法を形式文法のひとつである解析表現文法によって定義し,また縦書き入力やシンタックスハイライトに対応したオンラインエディタを開発した.このような入力負荷の低いマークアップ言語が普及することで,クラウドソーシングによる史料翻刻や,文献史料のデータベース化が効率的に進むことが期待される.
著者
上田 和宏 Kazuhiro Ueda
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.i-ii, 2012-09-30
著者
隈 直子
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 = The Journal of Kyushu University of Nursing and Social Welfare (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.129-137, 2003-03

かつては離婚した親は子どもと会うべきではないという風潮があったが、今日、離婚の増加に伴い、面接交渉が主張されるようになった。面接交渉権の権利性、性質には議論が多いが、「子の福祉」「子の最善の利益」を第一に考え、面接交渉権を認めたり、制限したりする考えに異論はない。いかなる場合に面接交渉権が制限されるのかを考察する。
著者
上野 和男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.179-212, 1996-02-29

この報告は、沖縄八重山波照間島の盆行事についての記述と分析である。波照間島の盆行事はムシャーマを中心とする村落レベルの行事と家族単位の盆行事の二つに区分される。ムシャーマは来訪神ミルクを先頭とする仮装行列と棒術、太鼓、獅子舞、ニンブチャー(念仏踊り)を内容とする行事であり、村落レベルでの盆行事にはこのほかに来訪神アンガマの行事とイタシキバラとよばれる行事がある。これに対して家族単位の盆行事は、先祖を迎えて供物を供えて供養し、そして先祖を送るという、構造的にはごく一般的な内容の盆行事である。本稿では波照間島の盆行事をつぎの三点を中心に考察を試みた。第一は、村落レベルの行事と家族単位の盆行事の儀礼過程の記述と両者の意味の差異、および両者の関係についての検討である。第二は、ムシャーマ行事のもつ祖先祭祀的性格と農耕儀礼、特に豊年祭的性格についての考察である。そして第三は、盆行事に登場するミルク、フサマラー、アンガマの三つの来訪神についての検討である。これらの諸問題について分析の結果、つぎのような結論に達した。第一に、波照間島の盆行事のうち、村落レベルの行事は主として無縁の先祖に対する供養がその中心であり、家族レベルの盆行事は各家族の正当な先祖に対する祖先祭祀であって、両者は意味が異なる。第二に、村落レベルの盆行事は、豊年祭的要素と祖先祭祀的要素の双方を含んでおり、これはもともと無縁先祖に対する祭祀として行われていたムシャーマ行事に豊年祭アミジワーの行事が移行し両者が合体した結果である。第三に、八重山地域で活発に行われている来訪神信仰のなかでも波照間島のミルク、フサマラー、アンガマは、たとえばミルクがブーブザーとよばれる夫やミルクンタマとよばれる子供たちとセットになって登場するなど、いくつかの独自の特徴をもつことが明らかになった。
著者
辻 陽
出版者
近畿大学法学会
雑誌
近畿大學法學 = Kinki daigaku hogaku : the law review of Kinki University (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.128-72, 2006-09-01

[目次] はじめに, 一.分析方法と分析対象 1.分析方法 2.分析対象, 二.分析 1.通時的分析(大阪府議会, 1971年4月~1995年4月) 2.共時的分析(滋賀県議会, 京都府議会, 大阪府議会, 兵庫県議会, 奈良県議会, 和歌山県議会, 1995年4月~1999年4月), おわりに, 付表
著者
池田 遊魚 Yugyo Ikeda
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.151-167, 2014-03

小説『マルテの手記』は、20世紀初頭のパリで不安と苦悩の日々を過ごしたリルケが、後の『ドゥイノの悲歌』の詩人へと自己形成を遂げていく転機にあって、手記という散文形式において自己省察を試みた特異な書物である。大都市の匿名性のなかで語り手は自己解体の危機に瀕しながら、自分を悩ませるさまざまな不安の形象を描き出し、記憶の断片をたどって生の再構築を試みる。そこに仄かに浮かび上がってくるのが、個人のアイデンティティを超える生の予感である。そして、それまで異郷を彷徨うように生きてきたマルテ=リルケは、詩人としての全的な生を手に入れるため、改めて自己の幼年時代との直面を要求されることになる。--本稿では以上のようなプログラムによって『マルテの手記』読解の可能性を探る。