著者
蜷川 繁 津田 伸生 服部 進実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.517-520, 2000-02-15

うわさに代表されるような集団における情報の伝播を調べるために,構成要素間にランダムに張りめぐらされたネットワーク上を情報が伝播する,うわさの伝播モデルを提案し,個人の間の関係と情報の伝播との関係を計算機シミュレーションを用いて調べた結果,各個人が平均して3人に情報を伝達すると,ほぼ集団全体に情報が伝搬することが明らかになった.この結果から,物理的あるいは経済的な制約条件によって構成要素間の接続が限られているようなネットワークで,ほぼ全体に情報を行きわたらせるためには,各構成要素から3本の出力を出し,それをランダムに接続すればよいことが分かる.
著者
山田 知彦 武藤 聡 南角 吉彦 酒向 慎司 徳田 恵一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MUS-80, no.5, pp.1-6, 2009-05-14

HMM に基づく歌声合成は歌い手の特徴を歌声データと楽譜から自動学習し,任意のメロディからその特徴を再現した歌声を合成できる.その際,歌声の音色・発音と音高における歌い手の特徴を,それぞれスペクトルと基本周波数の時間変化として HMM でモデル化している.本稿では,歌唱表現のひとつであるビブラートを音高の周期的な揺らぎと仮定し正弦波でモデル化する.そのパラメータをスペクトル及び基本周波数と同時に HMM でモデル化する.歌声の合成実験では,女性 1 名による童謡 60 曲の歌声データを学習し,主観評価実験によってビブラートモデルの導入による自然性の向上が確認できた.
著者
巽 純子
出版者
近畿大学原子力研究所
雑誌
近畿大学原子力研究所年報 = Annual Report of Kindai University Atomic Energy Research Institute (ISSN:03748715)
巻号頁・発行日
no.56, pp.7-17, 2020-03-22

[要旨]電気機器類の増加および通信技術の進展に伴い、電磁界(EMF)源の数と多様性が増加している。そこで本研究では現在、EMFのリスクがどのように認識されているか、他の環境要因のリスク評価も含め、健康影響の認識など13の設問を質問紙法によって調査した。対象は796名の学生(文系395名、理系379名)、一般市民170名、専門家(放射線、電力に携わる人)108名の合計1074名であった。これらの各集団において46項目の環境要因について7を最大として7段階で恐怖度合いを評価してもらった。また、EMFに対するリスク認識は、性別、健康問題の経験の有無、専門性などの要因で変わるかどうかについて解析検討を行った。その結果、各集団においてEMFに限らず、女性の方が多くの環境項目のリスク評価を高く見積もる傾向があり、動力線のEMFのリスク評価は一般市民女性の4.0が最も高く、専門家の1.9が最も低く2倍の違いがあった。また、ENFへの恐怖は家電や携帯電話の使用にあたって身体に異常を感じた経験に基づいている可能性があることもわかった。EMFは我々の生活の場の身近な存在であり、情報が氾濫する現代でEMFを過大評価または過小評価することなく、健康影響が生じない周波数、時間で使用するための指導啓発が必要なのではないかと考える。[Abstract]With the widespread use of domestic appliances and rapidly developing in wi-fi technology, the variety and the number of electromagnetic sources are increasing. This study aim is to provide risk perception data related to electromagnetic fields (EMF) arising from power lines, domestic appliances, and mobile phones, and to compare the risk perception related to EMF with other environmental objects. We administered a questionnaire concerning risk-perception and knowledge about EMF and health problems associated with the domestic appliance or mobile phone use to 796 undergraduate students (395 in literary arts and 379 in science), 170 public citizens and 108 professionals who work at the electric power company or the research institute of radiation. Participants in each group were instructed to rate each item on a seven-point fear scale with 7 as maximum value about 46 various environmental items. An analysis was conducted to determine whether risk perception for EMF changes depending on factors such as gender, experience with health problems, and expertise. As a result, women in each group tended to overestimate the risk assessment of many environmental items, not only EMF. The risk of the power line of EMF was evaluated at 4.0 of the highest score for civilian women, with professionals at 1.9 being the lowest, with a two-fold difference. We also found that fear of ENF could be based on experience with physical abnormalities when using home appliances and mobile phones. These results suggest that students’ vague fear of EMF may not be based on accurate knowledge of the risk, but based on their own experience of health problems associated with the household appliance or mobile phone use.
著者
奥田 和子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 人間科学編 = Studies in human sciences (ISSN:13471228)
巻号頁・発行日
no.41, pp.57-70, 2005-03-18

Our country has long lived on rice. However, meat consumption has gained in quantity during the last half-century. The eating of meat has been growing in popularity. It differs completely from eating food from vegetable matter. Here arise several points for discussion: 1. Killing animals is an act of cruelty. 2. Since the amount of energy needed in producing meat is ten times greater than that for producing grain, the productivity of meat production is lower than that of grain. Grain can feed far more people than meat. As a large swell in the population of the world is expected, we will surely face a shortage of food. 3. Eating meat intakes not only protein, but also animal fat. It is injurious to our health. It can cause obesity, heart disease, cerebral blood problems and cancer. 4. It may be difficult to avoid infections such as bovine spongiform encephalopathy, foot-and-mouth disease and chicken influenza in raising cattle or pigs and breeding chickens. Such affected animals are not fit for providing a steady supply of food. Plants and grain are better qualified as food sources. 1 looked over the Bible to pick up some ideas about the contract between God and man, His ideas on eating meat, and the co-existence between man and animals. Here I have followed up the Book of Genesis, which consists of fifty chapters. The contents of the Book of Genesis are as follows: the Creation of Heaven and Earth, the Garden of Eden, Cain and Abel, from Adam to Noah, the Flood and Noah, the New World Order, the Tower of Babel and the Family Tree of Abraham, the Story of Abraham and the First Half of the Life of Isaac, the Latter Half of the Life of Isaac and the Story of Jacob, the Family of Esau, the Last Blessing and Death of Jacob, and the Death of Joseph. Finally, I came to understand "what" and "how" man eats, how man eats "meat" and how "created man, plant and animal" can co-exist.
著者
藤岡 大助
出版者
亜細亜大学法学研究所
雑誌
亜細亜法学
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-23, 2014
著者
原 健一 永松 美雪 中河 亜希 齋藤 ひさ子
出版者
日本思春期学会
雑誌
思春期学 = Adolescentology = 思春期学 = Adolescentology (ISSN:0287637X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.223-234, 2012-06-25

本研究は,中学生男女の親・教員の会話と,男女交際および性感染症に関係する知識・意識・行動の関連を検討することを目的とした。平成20年度から開始した佐賀県予防教育事業に,21年度から新たに参加した中学校のうち学校長の研究承認が得られた8中学校に調査を行った。2-3年生1746人の保護者へ説明書・同意書を配布し,保護者の同意および本人の同意が得られた生徒に実施した。調査期間は21年5月~7月である。調査内容は,親との会話の頻度,教員との会話の頻度,男女交際中の暴力認知,男女交際の意識,性感染症の知識,性行為の意識,危険行動である。佐賀大学倫理委員会の承認を得て,佐賀県予防教育事業の事前調査として実施した。調査を完了した1541人(回答率882%)の結果を分析した。男子は817人(5aO%),女子は724人(47.0%)であった。家族や中学校の教員との会話の頻度は,すべての項目で女子より男子が少なかった。男女交際において「男女の対等な関係」,「相手を思いやること」,「自分を思いやること」を大切であるという意識は,女子より男子が有意に低かった。男女交際中の暴力のうち精神的暴力は,女子より男子が暴力としてとらえていなかった。性行為を容認する意識は,女子より男子が有意に高かった。エイズの知識合計点と性行為経験者数は男女で有意な差を認めなかった。また,中学生男女の親・教員の会話と男女交際および性感染症に関係する知識・意識・行動に関連があることが示された。危険行動予防のために,親や教員との会話を増やすことが重要であることが示唆された。
著者
是川 空 五十嵐 力 柴原 一友 但馬 康宏 小谷 善行
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.99-106, 2007-11-09

パズルは探索問題としての見地からその性質が考えられてきた.しかし数独やカックロなどのペンシルパズルでは,探索経路が一本道であり、探索問題として考えるのは意味がない.効率的な解法のためには数字を入れる図中の箇所を選ぶ順序が重要である. 本研究ではこの点に着目して新しい概念を提起し,理論化する.ペンシルパズルにおいて一般的に存在している,制約による解答の順序構造を問題の「解き筋」として定義した.解き筋を問題から抽出することで,問題の難易度や良し悪しの判定をするために使用する.効率的に解き筋を抽出するために,解き筋の中でも重複した部分を取り除いた有用な解き筋のみを得るアルゴリズムを設計する.ラテン方陣問題による実験を行い,その解き筋を得た.得られた解き筋から問題の特徴を考察する.
著者
角掛 正弥 松原 茂樹
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.377-378, 2020-02-20

オープンサイエンスは、論文や研究データの参照や利活用を促進するための活動である。そしてその動きの一つとしてオープンデータが存在する。オープンデータは研究データを共用することで研究の加速化や、研究データへのアクセス促進を図る運動である。例えば、論文で引用された研究データを整備したリポジトリが存在すれば研究データへのアクセス促進に繋がる。そのようなリポジトリを構築・拡充する際に、研究データを自動的に論文から抽出できれば非常に有用である。そこで本研究では論文から研究データを抽出することを目指す。研究データの多くがインターネット上で利用可能であることから、URLによる研究データの引用に着目する。
著者
生駒 流季 松原 茂樹
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.379-380, 2020-02-20

近年のオープンサイエンスの広まりに伴い、研究において用いられたデータへの参照情報の抽出への需要も高まっている。また、学術論文では本文中で引用した論文や著者が参考文献として参照されるが、研究データへの参照に関しては明確な参照方法等の規定がなく、執筆者が個人の判断で研究データを参照しているという現状がある。本研究では、自然言語処理の国際会議における発表論文を対象に、参照先の文献から研究データとして参照されているものを識別する。その手掛かりとして、本研究では参照先文献のタイトルを含む書誌情報に加え、本文中で文献を参照した節のタイトルと、参照タグの含まれる本文から抽出した特徴量を利用する。
著者
斉藤 典明
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.462-464, 2020-04-15

グループウェアとネットワークサービス研究会の対象とする研究領域は,CSCWと呼ばれ,人間と社会と技術の融合によって成り立っている.当研究会の歩みは1990年代初頭に始まっている.1990年代初頭は,コンピュータネットワークの普及を前提にした研究をしていたが,インターネットの普及以降は,現実世界での問題解決のための研究に進展し,現在に至っている.本稿では,これまでのグループウェアとネットワークサービス研究の変遷を踏まえて,30年後の2050年に向けて人間と社会と技術を融合した研究分野としてどのような研究テーマがあるかについて述べた.