著者
羽鳥 徳太郎
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.87-95, 1985-09-05

1984月6年13日,鳥島近海地震(M=5.9)によって,伊豆諸島をはじめ,房総から四国に至る沿岸各地の検潮所で全振幅10~57cm,周期5~9分の津波が観測された.また,八丈島の八重根漁港では,最大波の全振幅130~150cmの津波が目撃された.検潮記録によれば,津波マグニチュードはm=0と格付けされ,地震規模に対して津波が異常に大きい“津波地震”であった.波源域は須美寿島(八丈島南方190km)西側の水深1,000mの伊豆・小笠原海嶺にあり,波源域の長さは25kmと推定される.津波初動の押し引き分布から判断して,波源の西側の海底が隆起し,東側が沈降したとみなされる.
著者
田代 亜紀
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.103-126, 2018-03-30
著者
内田 健一
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.233-254, 2015-03

ダンヌンツィオの言葉は,マンゾーニ派の目指した「日常的」なものと全く異なる,とりわけ「文学的」なものであった。にもかかわらず,彼の言葉は社会に大きな影響を与え,低劣な「ダンヌンツィオ主義」を生み出した。そこで本稿では,彼の言葉の実像を,彼自身の証言を通時的に検討することによって,彼の人生との関わりも含めて明らかにする。 1888 年の記事〈ジャウフレ・リュデル〉で,カルドゥッチの散文における言葉の音楽性と語源の探求を賞讃するが,実はそれらはダンヌンツィオ自身の理想に他ならない(第1 章)。1889 年の小説『快楽』では,「詩こそ全て」と言葉の全能性を認め,トスカーナ語の伝統への愛着を表明する(第2 章)。1894 年の小説『死の勝利』の献辞で,ダンヌンツィオは自らを言葉の冒険者として描き,イタリアの威信を高める言葉の創出を目指す(第3 章)。1895 年の小説『岩窟の乙女たち』において,言葉と民族主義の深い結び付きを示す。ここで言葉は虚構の道具ではなく現実的な「武器」と見なされる(第4 章)。1900 年の講演〈ダンテの神殿〉でダンヌンツィオは,カルドゥッチに代わる「詩聖」として,言語の崇拝を司る(第5 章)。同じ1900 年の小説『火』で,作品という虚構の中ではあるが,理想的に芸術と人生が一致する。詩人の言葉は,英雄の身振りと同じように,「行為」と見なされる(第6 章)。1903 年の詩篇『マイア』では,「民族の神話的な力」として讃えられる言葉を用いて,詩人は新しい時代の訪れを告げる(第7 章)。1906 年の『散文選集』の出版の経緯から,ダンヌンツィオの言葉に対する誠実さが窺われる。その「前書き」には言葉の「師匠」としての自負が表れる(第8章)。1913 年の伝記『コーラ・ディ・リエンツォの人生』の献辞では,クルスカ学会を揶揄しつつ,言葉の「精華」を追求する自らの姿を描く(第9 章)。『鉄槌の火花』の一つ,1924 年の随筆『ルクレツィア・ブーティの第二の愛人』では,寄宿学校の日々を回想する中で,トスカーナ語への執着とマンゾーニ派への反感を語る(第10 章)。1935 年の自叙伝『秘密の本』で,年老いたダンヌンツィオは言葉を「交流」ではなく「表現」の手段と考える。そして彼の言葉と人生は神秘的な合一に達する(第11 章)。 ダンヌンツィオにとって,はじめカルドゥッチは言葉だけではなく新しい自由の指導者でもあったが,次第に束縛となる。1907 年の師匠の死によって解放されたダンヌンツィオは,劇場と戦場で本当の自分らしい人生を追求する。そこで彼は自らの生命のリズムに言葉を合わせることによって,より広く深い自由の世界を表現することができた。
著者
大竹 由夏
出版者
Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
雑誌
芸術学研究 = Tsukuba studies in art and design
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-10, 2017-12

東京都心部では、都市が高層化しており、東京タワーの見える場所も年々少なくなっている。本稿は、今後保全すべき東京タワーの眺望点を新たに提案するための基礎的研究である。まず、東京タワーの眺望景観の保全の現状を整理した。現在の景観施策において、保全されている東京タワーの眺望点は、タワー近辺の地上である芝公園と増上寺、赤羽橋交差点に限られていること、眺望警官の種類は、公園景と街路景、寺社景に限られていることを明らかにした。次に、東京タワーの場景が描かれた漫画23作品333コマを探索し、それらのイメージを分析・考察した。東京タワーは、地上だけでなく上空の眺望点からも描かれ、また、上空景、足下景、街路景、公園景、水辺景、寺社景、高速道路景、電車景の順に多く描かれていることを明らかにした。以上に基づき、眺望景観の種類のうち現在保全されている公演景と街路景、寺社景だけでなく、漫画に描かれていた上空景、足下景、水辺景、高速道路景、電車景も保全することを提案する。また、現在保全されている地上のタワー近くの眺望点だけでなく、川岸や海岸のように東京タワーから遠い地点や、上空の地点である首都高速道路やJR線、展望台や飛行経路、芝公園上空も、眺望点に選定することを提案する。
著者
夏目 達也 NATSUME Tatsuya
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.5-24, 2013-03 (Released:2013-04-24)

本稿では、大学職員の主体性を尊重した職務遂行能力形成のあり方について考察する。近年、大学運営における大学職員の役割の大きさとともに、職務遂行能力の形成機会の確保の重要性が、大学関係者の間で認識されている。能力形成活動は、国公私立を問わず、各大学で多様な内容・形態を取りつつ実施されている。そのあり方には、以下のような問題点と特徴を指摘できる。1) 国立大学の法人化の前後で、能力形成活動は文部科学省主導から各大学主導へと変化した。活動の実態は大学の教職員数や予算規模等により多様である。2) 大学職員の勤務実態から判断すると、職務遂行に必要な能力の具体的内容を特定することは困難である。担当部課の職務の遂行に必要な能力を把握する立場にある各部課の管理職にとっても事情は同じである。3) 各大学による研修として一般的な集合研修は、テーマや内容が一般的なものになりがちで、個々の職員のニーズに必ずしも対応していない。4) 職務遂行に必要な多様な能力の形成・向上には、大学が実施する研修だけでは不十分であり、大学職員が自発的に取り組む各種の活動が必要かつ有効である。活動の内容は勉強会や職務ガイド作成など多様である。 This study examines the potential for voluntary development of administrative staff in Japanese universities. The legal status of national universities changed from national government operated to university corporation operated in 2004. Since then, each national university corporation has been responsible for its own management and they have been compelled to more efficiently use their teaching and administrative manpower to address this challenge. The universities began conducting staff development as part of this effort, but each university’s staff development depended on the size of the staff and budget. This study found the following results. 1. Job aptitudes are difficult to assess because administrative staff often apply diverse aptitudes. 2. Seminars and workshops are popular staff development activities in many universities, but they do not meet individual staff members’ needs because these may be diverse and personal. 3. It is necessary and useful for universities to offer their staff various types of training. Some universities have adopted voluntary staff development, wherein the staff, not the personnel division, determine the training contents and methods.
著者
渡辺 謙仁 田邉 鉄
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.255-269, 2016-09

The purpose of this paper is explorning potential for new learning through an ethnographic study in a nanosatellite-developing project generated from among "Nico-TECH:." "Nico-TECH:" is a makers' community spreading like wildfire mainly mediated by NiconicoVideos. "Nico-TECH:" has no institutional organizasion. It is "Social Media Satellite Development Project" (SOMESAT) which is the project for developing a nanosatellite on which "Hachune Miku" (Hatsune Miku) does performance in the space. From the result of the ethnographic study, SOMESAT was able to be taken as a goal-oriented project, and also a zone of human development such as a distributed, mobile and multidirectional pulsation. Activities which realized such a human development were partially mediated by architecture of NiconicoVideos to stimulate emergence of contents and ideas, and by a boundary crossing body of Hatsune Miku's character. This paper must show potential for new learning and give some kind of suggestions about school education in the future.
著者
濵邉 昂平
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.40, pp.59-72, 2017-05-31

本調査は小笠原諸島父島におけるヨコエビ類相の把握を目的に行った。調査は2015年7月から8月、2016年7月から8月、2016年12月から2017年1月にかけて、父島の各海岸および内陸(陸水域を含む)において行った。調査の結果、父島から4科8種のヨコエビ類の生息が確認された。ハマトビムシ科では4種が確認され、海岸型のPlatorchestia pacifica とP. sp.、内陸型のニホンオカトビムシP. japonica、そして海岸型と内陸型の中間型として、固有種であるオガサワラホソハマトビムシPyatakovestia boninensis が確認された。このうち、オガサワラホソハマトビムシは父島において初めての確認となった。
著者
マブソン 青眼
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1874号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2004/3/15 ; 早大学位記番号:新3749