著者
奥村晴彦 辰己丈夫 藤間真(桃山学院大学
雑誌
情報教育シンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.25-32, 2011-08-11

東日本大震災で被災地はもちろん首都圏でも大混乱が生じたが,インターネットは比較的頑強であり,情報活用能力を持った人たちはツイッターなども活用して情報収集・発信を行うことができた。しかし,地震直後のチェーンメールやデマ,非常時の情報インフラや情報システム,悄報発信などに,いろいろな問題が見えてきた。これらは,悄報教育に格好の題材を提供するとともに,今後の悄報教育の課題を示唆するものである。
著者
田中 久美子 石田 英敬
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.13(2003-CE-073), pp.75-81, 2004-02-06

語学学習をweb上で支援するツール天神を紹介する。教員が用意したさまざまな問題に対し学生が解答を入力て学習を行なう一方で、教員は学生の学習の進捗状況や達成度を管理・評価する。語彙、文法、作文のほか、リスニングなどマルチメディアにも対応している。また、自動採点機能を備えており、教員の負荷を減らすと共に、解答入力後ただちに自動採点の結果が学生に提示され、学生による自学自習を促進する点に本システムの特徴がある。本稿では、システムの全容を紹介し、1学期間の初等フランス語の授業における運用例を紹介する。
著者
森開 こゆき
雑誌
まなびあい
巻号頁・発行日
vol.7, pp.131-140, 2014-11-07
著者
田内 聡一朗 光来 健一
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-146, no.8, pp.1-8, 2019-05-23

近年,クラウドサービスの一つとして,ユーザに仮想マシン(VM)を提供する IaaS 型クラウドが普及している.それに伴い,大容量のメモリを持つ VM が提供されるようになってきている.このような VM のマイグレーションを容易にするために,VM のメモリを複数の小さなホストに分割して転送する分割マイグレーションが提案されている.分割マイグレーション後にはリモートページングを行って VM が必要とするメモリをホスト間で転送する.しかし,従来のリモートページングでは必要とされたメモリの中に使用中のデータがなかったとしても転送を行う必要があった.本稿では,未使用メモリに関連するオーバヘッドを削減することで複数ホストにまたがる VM の高速化を実現するシステム FCtrans を提案する.FCtrans は VM の起動時から未使用メモリを追跡し,分割マイグレーション後も追跡を続ける.この情報を用いて,マイグレーション時には移送先ホストに未使用メモリを転送しないようにする.そして,分割マイグレーション後には未使用メモリに対してリモートページングを行わないようにし,未使用メモリにアクセスした VM の実行を即座に再開する.OS が解放したメモリページも未使用メモリとして扱えるように,VM の外から OS のページ管理情報を取得する.FCtrans を KVM に実装し,従来手法と性能を比較する実験を行った.
著者
下村 剛志 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-146, no.11, pp.1-10, 2019-05-23

メモリは外的要因によるビットフリップやモジュールの故障により保存したデータが呼び出せなくなることがある.特に In-Memory Key-Value Store(In-Memory KVS)はメモリを大量に使用するのでメモリページのエラーに遭遇する可能性が高いアプリケーションの一つである.しかし,In-Memory KVS はメモリ上に全ての key-value を展開しており,再起動にかかるコストが高い.既存研究では ECC などの誤り訂正符号を用いたエラーの回復を行っているが,広範囲に渡るメモリのエラーには対応できていない.本論文では,メモリに部分的な故障が生じたとしても,In-Memory KVS を継続して稼働可能にする手法を提案する.提案手法では OS Kernel と In-Memory KVS を連携させ,メモリページのエラー発生時に破損ページに保存されていたデータオブジェクトの回復処理を行い,動作を継続させる.本研究では Linux Kernel 4.13.9 と memcached 1.4.39 に提案手法の実装を行った.評価実験を行い,メモリエラー発生時でも約 3 秒のダウンタイムでスループットの劣化無しに動作が継続することを確認した.
著者
高杉 頌 佐藤 将也 谷口 秀夫
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-146, no.12, pp.1-7, 2019-05-23

不揮発性メモリのアクセス速度が速くなっている.そこで,揮発性メモリと不揮発性メモリが混載された計算機を想定し,プログラム実行を高速化する手法として,新たな実行プログラムのファイル形式(OFF2F: Object File Format consisting of 2 Files)を提案した.OFF2F は,プログラムをメモリ上で実行するときのアクセス形態に着目し,2 つのファイルからなる実行ファイル形式である.本稿では,混載環境として,揮発性メモリのみを搭載した計算機で不揮発性メモリを擬似的に実現する手法を述べる.また,この擬似不揮発性メモリを用いて,OFF2F プログラムを実行する方式を述べる.
著者
古明地 樹 Tatsuki KOMEIJI コメイジ タツキ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.47-64, 2019-03-31

本論では、江戸時代中期の絵師、橘守国(延宝七(一六七九)年―寛延元(一七四八)年)画作『絵本通宝志』(享保十四(一七二九)年刊、以下『通宝志』)を、「太公望図」を中心に分析することにより、守国が行った作画方法を明らかにし、守国作品の位置づけを試みる。今回の分析から、守国の作図は画題が持つ複数の定型表現を取り合わせて行われていると推定できた。これは、守国が狩野派に学んだ知識を絵師の需要に即して変容させたものであると考えるものである。近世中期以降、町絵師が増加することで、粉本に対する需要が増していた。狩野探幽の弟子である鶴澤探山に学んだ橘守国は、その需要に応じるように大坂で多くの絵手本を作成した。それらの絵手本は浮世絵師を含む町絵師に大きな影響を及ぼしたことで知られる。本論で扱う守国画作の『通宝志』は、柏原屋より刊行された絵手本である。様々な画題を紹介し、人物図や和漢の故事画題に関しては解説を付す形式をとる。自序に従えば、守国は、作画の際に先例となる図様を粉本として用いるべきだと考えており、粉本として『通宝志』を手掛けたという。この主張は典型的な粉本主義と同種のものだと言える一方で、図様の中には先例から逸脱したものが少なくない。特に、巻五上にはその傾向が強く表れる。巻五上は、狩野永徳以来宝永年間まで狩野派が描き続けてきた賢聖障子(けんじょうのそうじ)という画題を掲載している。賢聖障子とは、三二人の漢人物を描いた紫宸殿を飾る画題であり、守国が狩野派の粉本を目にしていたと推測される。しかし、守国が描く賢聖の図は狩野派画の賢聖障子資料と同一の構図ではない。粉本主義の主張と、描いた作品の独自性という矛盾に対し、本論では「太公望図」を中心として分析を行った。その結果、太公望図には、舶載の漢籍などに由来する肖像画的な系統と、故事を絵画化した系統の二系統が存在することが判明した。また、守国の作画は両者を取り入れていることが判明した。これは賢聖障子の画題紹介をすると同時に、絵師の需要に即した図を守国が作画したものであると推測する。このことから、『通宝志』巻五上から見る守国作品は、絵画領域において狩野派という雅文化の知識を、庶民文化へと普及させる一翼を担ったと考えられ、知識が庶民文化へ伝達される近世中期的特徴と一致するものである。
著者
吉田 博子 藤田 佳子 Hiroko YOSHIDA Yoshiko FUJITA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.131-143, 2007-02-25

近年の子ども・若い親・保育者志望学生を取り巻く生活文化環境を児童文化の視点から把握する目的のもとに、保育所における児童文化の現状(絵本・紙芝居・パネルシアター・テレビ)について保育者養成課程在学生(保育所実習を経ている学生)を対象に質問紙調査を行った。その結果、この4つの児童文化はどれも日常的な保育活動として活用されており、その方法、場面、子ども達の受け入れなどにそれぞれの違いや特徴が明らかになった。親世代が活字より映像を好む世代になるとともにテレビ・ビデオ利用への寛容度が増し、今後ますます子どもの生活に取り入れられ活用される児童文化になると予想される。現状でも各家庭でのテレビ・ビデオ視聴はきわめて早期から始まっており、視覚映像メディアが児童文化として利用される傾向が増大することはいまや否定できない潮流であろう。本来子どもたちは対面で接することにより安心感や暖かさ、居心地のよさを感じ、verbel-nonverbalのやりとりを通してコミュニケーション力、対人関係力、生きる力を学び高めていく。であれば子どもの生活や遊びの充実のためにも「対面文化」の重要性を見直し再認識することが肝要である。また、対面文化である絵本・紙芝居、パネルシアターを継承すべき対面文化として子どもの心に届く児童文化として与えられる表現力・技術力・支援力を持つ保育者の養成が求められる。さらに、親世代・保育者・保育者志望学生の児童文化観・メディア観の育成、児童文化の媒介者としての自覚、児童文化環境づくりがますます重要になると考える。
著者
吉澤 裕子
出版者
旭川大学保健福祉学部
雑誌
旭川大学保健福祉学部研究紀要 = The journal of Faculty of Health and Welfare Science, Asahikawa University (ISSN:18837247)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-5, 2019-03-31

本研究は,看護学生が学習課題や実習といったストレッサーに耐えられるような自己教育力の向上を目指した取り組みである。学生5~6人のグループ(グループ群)による授業のリフレクションと教員の介入(教員介入群)によるリフレクションの効果を,3分類14項目の側面から検証した。その結果,グループ群では14項目のうち13項目において,教員介入群では全項目において理論的中央値より有意に差があることが分かった。このことから,リフレクションが「創造的な学習」「コミュニケーション力」「学習に対する自覚的姿勢」の3分類において効果的であることが示唆された。また,グループ群と教員介入群の比較を行ったところ,グループ群よりも教員介入群の方がリフレクションの自己評価が高いことが明らかとなった。しかし,このリフレクションの目的は,学習効果の自覚的意識ではなく,自己教育力を養うことにある。そこで,自由記述を概観したところ,学習意欲が低く私語に流れる学生がいるなど,受身的傾向が強く,知識の定着や学びを深めるという自覚の希薄さが感じられる学生もみられた。また,グループディスカッションのねらいを理解して取り組んでいたとは言い難く,主体的な学びに繋がらない学生がいることも明らかとなった。これらのことから,本研究において,自己教育力を養うためにリフレクションの効果はあるものの,クラス全体の学習意欲を上げるなど参加型授業としての工夫が課題であることが分かった。