著者
松井雪治 澤野弘明 水野慎士
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.2145-2150, 2013-07-03

本稿では,画像処理を用いて麻雀の自動得点計算を行うシステムを提案する.麻雀は将棋やリバーシといったテーブルゲームに比べ,ルールが複雑である.その中でもあがり時の得点計算は,符点と役の種類及び飜数(ハンスウ)によって得点が計算されるがこれらの組み合わせが複雑なため,初心者がプレイするには難解である.そこで本研究では,麻雀の得点計算を支援するため,スマートフォンを用いた麻雀の自動得点計算システムを提案する.提案システムでは,初心者がスマートフォンを用いて麻雀のあがり時の手牌を撮影することで,自動で手牌を認識し,得点計算を自動に行うものである.
著者
園山 慶
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.193-201, 2010 (Released:2010-08-13)
参考文献数
64
被引用文献数
4

肥満およびそれに関連した糖尿病などのメタボリックシンドロームの増加は世界的な問題となっている.最近の研究により,腸内細菌叢がこれらの疾患に関与する環境要因のひとつであることが明らかになってきた.無菌マウスを用いた研究は,腸内細菌が宿主における食餌からのエネルギー獲得および脂質・エネルギー代謝に影響することにより体脂肪蓄積に重要な役割を果たしていることを示唆した.また,肥満個体と正常体重個体との間で腸内細菌叢が異なることが,実験動物およびヒトにおいて観察された.さらに,腸内のグラム陰性細菌由来のリポ多糖が体内に移行して代謝性エンドトキシン血症を生じ,それが白色脂肪組織における軽度炎症,さらには全身性のインスリン抵抗性に寄与することが示された.これらの知見は腸内細菌叢が肥満およびメタボリックシンドロームの予防・治療の標的となりうることを示唆する.実際,プレバイオティクスおよびプロバイオティクスがこれらの疾患を予防・改善することが報告されている.本総説では,この数年で急速に進展した腸内細菌叢と肥満およびメタボリックシンドロームとの関係に関する研究を紹介する.
著者
道端 齊 植木 龍也
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.326-331, 2005 (Released:2013-02-19)
参考文献数
38

Rare metals such as vanadium and cobalt are dissolved in seawater at very low concentrations. Ascidians are known to accumulate extremely high levels of vanadium selectively. Vanadium is accumulated mainly in one type of their blood cells, and the concentration reaches 350 mM corresponding to107times that in seawater. Recently, we isolated vanadium-binding proteins, Vanabinl-5, from an vanadium-rich ascidian, Ascidia sydneiensis samea. Biochemical and structural analyses revealed that Vanabins make a novel protein family which is characterized by 18 conserved cysteine motif. They are thought to act as metal chaperones in ascidian blood cells. Vanabins can be used as an agent for selective bioaccumulation and biosorption of heavy metals.
著者
大辻 弘貴
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.78, 2019-12-15

画像をはじめとする大容量のデータを取り扱う際,クラウドストレージだけではアクセス性能要件を満たせない場合がある.そこで,大容量かつ高速アクセスが可能なストレージシステムの構築作業を低予算で一から行った.記憶装置は安価なHDDを採用しながらも,ZFSによるソフトウェアRAIDを用いることで十分な性能と信頼性を確保することができた.また,アクセス用ネットワークにはスパコンで用いられるInfiniBandを採用し,56 Gbpsのスループットを確保した.このような装置を個人で構築・運用した事例について紹介する.
著者
清水 靖久
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.216, pp.39-70, 2019-03-29

東大紛争大詰めの1968年12月23日,加藤一郎総長代行が全学共闘会議に最後の話し合いを申入れ,懸案の文学部処分の「白紙還元」を提案したのに,全共闘は話し合いを拒否したという説がある。事実ではないが,その当否を検討するためにも,文学部の学生がなぜ処分されたのか,その「白紙撤回」を全共闘はなぜ要求しつづけたのか,1969年1月18,19日の機動隊導入による安田講堂の攻防は避けられなかったか,1969年12月まで文学部だけ紛争が長引いたのはなぜかを考察する。東大紛争における文学部処分とは,1967年10月4日の文学部協議会の閉会後,文学部学生仲野雅(ただし)が築島裕(ひろし)助教授と揉みあいになり,ネクタイをつかんで暴言を吐いたとして無期停学処分を受けたことである。当時の山本達郎文学部長は,12月19日の評議会で,仲野の行為を複数教官に対する「学生にあるまじき暴言」として誇大に説明して処分を決定し,一か月後に事実を修正したが伏せた。1968年11月就任の林健太郎文学部長は,同月上旬の軟禁時以外は,仲野と築島の行為の事実を議論せず,教師への「非礼な行為」という説明を維持した。1969年8月就任の堀米庸三文学部長は,9月5日,仲野処分を消去するとしたが,処分は適法だったと主張しつづけ,築島の先手の暴力という事実を指摘されても軽視した。この文学部処分は,不在学生が処分された点で事実誤認が明らかになった医学部処分とともに東大紛争の二大争点であり,後者が1968年11月に取消されたのちは,最大の争点だった。加藤執行部は,12月23日,文学部処分について「処分制度の変更の上に立って再検討する用意がある」と共闘会議に申入れたが,林文学部長らが承認する見込みはなかったし,共闘会議から拒否された。「白紙還元」の提案と言えるものではなかった。
著者
Hiroyuki Ariyama Takeya Moritaki
出版者
Carcinological Society of Japan
雑誌
Crustacean Research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.61-71, 2020-06-04 (Released:2020-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1

A new species of Bathyceradocus, one of the maerid amphipods, is described based on the specimens collected from sunken wood on the bottom of the Kumano-nada, central Japan. Bathyceradocus japonicus sp. nov. can be distinguished from its congeners by the number of the accessory spines on the pleonite 1, the number of articles on the accessory flagellum, and the strongly oblique palm of the gnathopod 2 with the dentate margin. A brief note on the behavior of the new species and a key to species of the genus are provided.