著者
横溝 賢
出版者
千葉工業大学
巻号頁・発行日
2017-03-22

平成28年度
著者
久保田 翠 Midori KUBOTA
雑誌
論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.89-110, 2015-12

作曲家クリスチャン・ウォルフ(1934-)は、1957-68年にかけて独自の図形楽譜を編み出し、その中で三つの特徴的な手法を用いた。すなわち、「比率ネウマ」「キューイング」「コーディネート線」である。「比率ネウマ」は、ある限られた数秒内に演奏する内容を示す手法である。予め規程された秒数(コロン左側の数字)の間に、予め指示された演奏内容(コロン右側の数字もしくは/及びアルファベット)を演奏しなければならない。「キューイング」は、「他者のこのような音が聞こえたら、どのように反応するか」ということを規定するものである。ウォルフの図形楽譜においては、白丸の中に音量や音域といった音の条件を書き込んだものが「キュー」として示される。該当する条件の音が他者の演奏から聞こえたと判断した際、奏者はすぐさまそのキューの傍らにある記号を演奏しなくてはならない。「コーディネート線」は、自分の音と他者の音をどのようにアンサンブルさせるかを厳密に規定するものである。音と音との間には垂線や水平線・斜線が引かれ、音の前後・同時関係や音長の決定方法を示す。ウォルフは五線譜の仕組みを下敷きとした図形楽譜作品から出発しながらも、「持続する直線(五線)=要素の連続性」を早々と放棄した。その後まずキューイングを導入したことにより、演奏経過時間を示す必要がなくなり、それにより音が拍子や作品全体を貫く時間軸から解放された。さらにコーディネート線を導入したことにより、音の同時的関係をより厳密に設定することが可能になった。音は「計測出来る時間」から解放され、一回毎の演奏の身振りや個々の音の様態がそのまま作品全体へと影響するようになったのである。
著者
水野 創太 白松 俊 北原 鉄朗 一ノ瀬 修吾
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-117, no.4, pp.1-4, 2017-11-18

演奏者の身体動作は,その動きの視覚的効果によって音楽理解を促進する.特に,旋律の上下動 (旋律概形) は直感的な身体動作と親和性が高い.我々はこれまで,モーションセンサーカメラ,スマートフォンセンサーによってユーザの身体動作を認識する手法を提案し,身体動作による演奏行為を支援するシステムの開発を行ってきた.本稿では,これまで開発してきたスマートフォンを用いた身体動作認識手法と,北原らによる旋律概形からメロディ生成するシステム JamSketch を統合することで,即興演奏支援システム JamGesture を開発した.JamGesture は,スマートフォンを用いて認識したユーザの手の上下動から描画した旋律概形を基に,JamSketch の機構によってメロディを生成することで,ユーザの直感的な身体動作を入力とした即興演奏を可能とする.
著者
牧野 眞貴
出版者
近畿大学英語研究会
雑誌
Kinki University English Journal = 近畿大学英語研究会紀要 (ISSN:18827071)
巻号頁・発行日
no.7, pp.87-98, 2011-02-01

[要旨] 近年、大学入試制度の変容により、英語嫌いの学生が、英語を勉強せずに入学することが可能になってきた。英語への苦手意識をあらわにする学生を強制的に授業に参加させることは、教師・学生双方にとって苦痛であり、学生の英語嫌いを助長することになる。本研究では、英語が苦手な学生を対象としてアクション・リサーチを行い、教師が授業を振り返り、学生の英語力やクラスの特性に合うよう指導法を見直すことによって、学生の学習姿勢を改善することを目的とした。まず授業における問題点を整理し、指導の過程で学生が自ら授業に参加したいと思うような工夫を凝らし、動機づけを高める励ましのフィードバックを与えた。結果、学生の学習姿勢が大きく改善し、自ら進んで課題に取り組むようになった。アクション・リサーチは、授業の質を高めることを目指す教師にとって非常に有効な研究手法であり、教師と学生の信頼関係構築にも大きく貢献する手段であると言える。 [Abstract] In recent years, a change in university entrance system has allowed students who do not like English and have not studied it to enroll at universities. At university, however, students are forced to take English classes, which are a burden on both teachers and students, and which increase students' loathing for the English language. This study was undertaken to promote a positive learning attitude in sports-recommended students reluctant to learn English. The author modified the lesson plans to meet students' English abilities and characteristic profiles through an action research. She considered the problems confronting the students and then came up with various ideas and solutions, and further provided encouragement to motivate students. As a result, students participated enthusiastically and demonstrated a positive attitude toward English learning. Action research was shown to be an effective method for the teachers who are attempting to raise the quality of learning in a class, and it also contributes to creating a strong relationship between teachers and students.
著者
中村 信次
出版者
日本福祉大学全学教育センター
雑誌
日本福祉大学全学教育センター紀要 = The Journal of Inter-Departmental Education Center (ISSN:2187607X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-12, 2017-03-31

Recent progress in the Internet technology enables everyone to present oneself easily toward many and unspecified readers. The current study conducted questionnaire survey which employed 527 Japanese university students in order to investigate relationship between SNS usage and participant's psychological characteristics concerning selfpresentation. Results indicated that lower tendencies of self-abasement and self-concealment would be resulted in higher number of the Internet services through which the participants actively posted concerning oneself. On the other hand, usage of Internet services in a manner of reactive post (comment towards posts from another users) tended to increase self-abasement and self-concealment. These results would be helpful in understanding how university students were motivated in presenting themselves in the Internet. 近年のインターネット技術の進展に伴い, 誰もが気軽に不特定多数への自己表現が可能となった. 本研究では, 大学生を対象に総数527 名の回答者が参加した質問紙調査を実施し, SNS をはじめとするインターネットサービス利用状況と回答者の自己表出傾向との関連を調べた. 調査の結果, 積極的な自己発信を行うインターネットサービスが多い回答者ほど, 自己卑下型の自己呈示を行う傾向や自己を隠蔽する傾向が低いことが示された. また, 他者の投稿に対するコメントを行うという応答型の発信を行うサービスがあるとした回答者は, そうではない回答者に比べて, 自己卑下傾向と自己隠蔽傾向が高くなった. これらの結果は, 大学生におけるインターネットを介した自己発信の動機づけの理解に役立つものと考えられる.
著者
篠澤 和恵 楜沢 順 高田 雅美 城 和貴
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.119-127, 2013-03-12

コンピュータ上での絵具の発色シミュレーションは,グラフィックソフトウェアへの応用が期待できる.古典油彩画における「グレーズ」は,薄く溶いた透明な絵具の層を重ねる技法であり,混色で表現できない色調を,重色によって表現するものである.その発色は,放射伝達方程式を解くことによって求められる.しかし従来手法は,異なる絵具でグレーズを行う方法が示されておらず,高精度な解を得るには計算量が大きくなるため,グラフィックソフトウェアへの応用には不向きである.本研究では,まず従来手法を異なる絵具の層に対応できるように拡張する.さらに,係数行列を分解し,刻み幅を固定することにより,高精度な解を小さい計算量で得ることが可能な数値解法を提案する.また,実際の油絵具のデータを用いて数値実験を行い,高精度な解が,従来手法の約4%~7%の計算時間で求められることを示す.
著者
金澤 麻由子 Mayuko KANAZAWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2017
巻号頁・発行日
2017-11-25

本作「きみとぼくのあいだのコト」は、2015年5月に出版した絵本『ポワン』の主人公の黒パグ「ポワン」と白パグ「フォーン」の眠る姿が描かれた絵画作品であり、鑑賞者のふるまいに相互作用するインタラクティブな作品である。 鑑賞者が近づくとその気配を感じ取った絵画上の主人公(犬)たちの反応を様々な映像アニメーションで表現することで、あたかも絵画と鑑賞者の想像力とが対話を生成していく「動く絵画」としてのアートディスプレイであり、絵本の世界観を映像インスタレーション作品として制作したものである。リアルタイムでの相互作用を可能にするセンサーとして、BLASTERX SENZ3D(3D深度&音声認識対応の3Dカメラ)を用い、表情と音声認識技術を用いた。センサーカメラを使用することで、よりリアルタイムでの絵画とのコミュニケーションと、鑑賞者と作品との関係性が近づき、目標としている「癒し」や「安らぎ」の感情を生む作品を目標にした。 本稿では2017年9月に銀座ステップスギャラリーでの個展開催にて新作発表する本作の「戌-pug-」展での本作の制作意図とともに制作方法などについて考察する。
著者
森達也 森隆知
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.725-726, 2013-03-06

旅行の記録といえば、カメラによる写真や動画がしばしば用いられるが、それら多くの主題は視覚的情報であり、音が主役として用いられる場面は少なかった。写真や映像を併用しながらも、音に意識を集中させて、音を主役として扱うシステムの提案を行う。システムはAndroid端末で動作して、録音、編集、再生機能を持つ。観光地における被験者実験により、記録された音を聴き返したときに想起される記憶や、新たな発見の度合いを調べた。被験者は観光地で録音作業を行い、後日、録音された音の聴きとり作業を行う。実験では、音を聴いたときの記録想起と新たな発見をアンケート上で評価させた。その結果から本研究の有効性が示された。
著者
秋本 結衣
出版者
目白大学
雑誌
目白大学総合科学研究 = Mejiro Journal of Social and Natural Sciences (ISSN:1349709X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.179-185, 2017-03-31

Programming has been attracting attention in education recently. Programming is also useful as a tool to experience the pleasure of making things that is to create something, thinking and sense of accomplishment, because we can freely realize our thoughts on a computer. In this study, we compared the features of the visual programming language and those of the text-based programming language paying special attention to their functions of a tool to raise the intellectual curiosity to make things in the education of programming in higher education. Visual Programming language is very useful as an introduction of the programming learning because we can create a simple game and an animation without the knowledge of programming skill. However, the text-based programming language can be better than the visual programming language in the degree of freedom, feasibility and development to realize our hopes and dreams freely.
著者
浅野 純一郎 芋川 朋実 植竹 俊光 内川 沙織
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
長野工業高等専門学校紀要 (ISSN:02861909)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.87-98, 2002-06-28

This paper clarified an outline about the birth of Cyuou-douro street and the renewal process of buildings along the street and the change of vista. The improvement project of Cyuou-douro from 1922 to 1924 was the largest one in Nagano City of those days. The planning concept thought much of street view and vista toward Zenkouji-temple. Residents there also thought the appearance and fire prevention and built houses and stores. After then the redevelopment undertakings from 1970 to 2000 have made building height irregular and have spoiled the vista. Because the experience of the big project of about 80 years ago is peculiar to Nagano City, it is important to use it with caution for the future planning.
著者
佐藤智博 青野雅樹
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.693-694, 2013-03-06

ウェブでの情報検索手段として検索エンジンが広く用いられている.しかし,検索エンジンによるランキングを不正に得る行為が横行しており,これをウェブスパムと呼ぶ.そのコンテンツは機械生成的に単語を羅列したり,近い意味の単語を組み合わせたりすることにより構成されていることが多い.そこで本研究は,ウェブスパム検出の為の効率的なコンテンツベース素性を抽出する手法を提案する.ウェブスパムコーパスに対し潜在的ディリクレ配分法(LDA)を適用することで,トピック毎に単語群を抽出することができる.これらから単語を選択しコンテンツベース素性とする.この素性を用いて機械学習によるウェブスパム検出を行い,提案手法の有効性を確認した.