著者
小林 峻 寺田 成吾 瀬戸口 武研 道根 慶治 山下 康一
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.2, pp.964-970, 2016-10-04

我々は,ネットワーク通信を監視し,正規アプリケーションには見られない特有の通信挙動を示すことに着目することで,攻撃者およびマルウェアに察知されることなく Drive - by Download 攻撃 (以下,DbD 攻撃) による感染端末を検出する手法を提案した.しかし年々高度化が進むサイバー攻撃の分野においては,対策手法が有効であるか継続して評価していく必要がある.そこで本稿では,最近の DbD 攻撃を含むトラフィックデータを用いて,あらためて本検知手法の評価を行ない,その評価結果を基に攻撃手法についてネットワークトラフィックの観点から分析し,攻撃者の利用する Exploit Kit に関する巧妙な偽装技術の知見を示した.
著者
中島 将太 明田 修平 瀧本 栄二 齋藤 彰一 毛利 公一
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.2, pp.526-533, 2016-10-04

マルウェア対策では,マルウェア解析が重要である.一般的にマルウェア解析は,動的解析,静的解析の手順で行う.しかし,現状では動的解析の結果が,静的解析作業と十分に連携できているとは言えない.特に,動的解析時に記録した API 呼び出し情報と逆アセンブルコードを対応付けていないため,静的解析時に実行時の API 呼び出し情報を活用できていない.また,静的解析を行うためには,実行時にのみ展開されるコードを取得する必要がある.そこで,動的解析時の API 呼び出し情報と,メモリ上のマルウェアのコードを取得し,静的解析を積極的に補助する手法を提案する.本論文では,Alkanet と IDA を連携させた静的解析補助手法について述べる.
著者
熊谷 英紀 山田 敬三 田中 充 佐々木 淳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.ソフトウェア科学・工学, pp.335-336, 2009-03-10
著者
和田 由佳 Yuka WADA
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.113-123, 2011-12-26

内服自己管理をセルフケアの観点から捉え、指導できるように、オレム看護論のセルフケア・エージェンシーの力構成要素(10のパワー構成要素)に着目した高齢者の内服自己管理能力チェックリストの考案を目的として研究を行った。始めに、10のパワー構成要素の各項目でキーワードを設定後、内服自己管理に関するキーワードを当てはめ、服薬に関する文献から、高齢者の内服自己管理に関する問題を分類した。その問題からチェック項目を挙げ、チェックリストを考案した。このチェックリストを用いてセルフケア能力の不足部分を明確にし、そこを補うよう指導すれば、自己管理できると考えた。今後はチェックリストの洗練及び効果の検証が必要である。
著者
川上 慶士 大澤 純 原 隆浩 Xie Xing
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.714-721, 2016-07-06

スマートフォンの普及によって,ユーザの生活履歴を収集することが容易になってきている.しかし,センサを用いるだけでそれらのログを収集する既存研究では,意味的な情報を含む具体的な状況や,ユーザの主観的な状況に関する情報のような,高度なコンテキスト情報は得られないという欠点がある.そこで,筆者らの研究グループでは,スマートフォンの利用履歴と高度なコンテキスト情報を収集することを目的として,「こんてきすとモンスター」 というアプリケーションを運用している.このアプリケーションでは,ユーザに一定時間ごとに同伴者,活動,調子などの情報を選択形式で直接入力してもらうことで,ユーザの状態を表す,高度なコンテキストに関する情報を収集している.また,ゲーム要素を導入することで,ユーザの負担軽減を図っている.しかしこのゲーム自体は,ユーザの入力内容と独立して動作するため,ユーザが定期的に自身のコンテキストを正しく入力する意欲は大きくない.そこで本研究では,こんてきすとモンスターにユーザのコンテキスト情報をフィードバックするライフログ機能の導入を行い,約 1 年間に渡りユーザの動向を調査しライフログ機能の効果を検証した.その結果から,ライフログ機能を利用するタイミングに一定の傾向があり,ライフログ機能を利用する頻度が高いほど,こんてきすとモンスターを継続して利用する傾向があることが判明した.
著者
朴澤 直秀
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.487-499, 2004-02-27

寺元とは、特定寺院に子弟を入寺させる権利、ひいては特定寺院の住職の任免権及び寺院の支配権、そしてその権利をもった家(ないしはその当主)のことを指す。本稿では、山城国和束郷石寺村の霊照寺、大和国広瀬郡山坊村の金勝寺など、在地寺院の寺元の事例を数例検討した。在地寺院の寺元には、特別な身分的条件はなかったと考えられる。また、寺元慣行を有する在地寺院には、寺元家の菩提寺のみならず、宮寺や、広く宗判檀家を持つ寺院も含まれた。そして寺元慣行と特定宗派との関係は見出せない。近世の寺元慣行は、大和を中心に畿内においてみられるものである。その背景には、一つには、興福寺を中心とした中世以来の寺元慣行の(在地寺院への)影響があるのではないか。また、寺院の本末組織への編成の徹底度や、本寺・触頭等による寺院支配の貫徹度の相違が、他地域との、寺元慣行の有無と相関しているのではないかと考えられる。
著者
海後 宗男 カイゴ ムネオ Muneo Kaigo
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 = Educational Studies
巻号頁・発行日
vol.42, pp.191-227, 2000-03

本研究は、過去に行われたテレビ報道に関する諸研究において、テレビ報道活動から社会的現実構築、話題性や娯楽性の形成というそれぞれ異なる結果が受信側で起こることが指摘されているが、何故テレビ報道の受け手に、このように異なる結果が生起するのかという疑問からスタートした。テレビ報道に関する研究は数多くあり、様々な研究結果が発表されている。これまで報道番組の内容分析、あるいは効果分析が中心であった。しかし、内容分析は特定の報道の番組に限定され、効果分析もいろいろな効果が指摘されてはきたものの特定報道番組に限定されたものが多い。テレビ報道の発信要因と受信要因は相互に関連しているにも拘わらず、その発信要因と受信要因の相互関係により、異なる結果が起きる点についてはこれまでさほど注目されてこなかった。本研究では、全報道番組に基づいてテレビ報道の新しい研究視点を設定することを試み、発信時のテレビ報道のメディア・フレームと受信時の接触行動の志向がテレビ報道を研究する上で重要ではないかと考えた。
著者
加藤 圭造 伊藤 彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.14, pp.1-6, 2012-01-27

本研究ではデスメタル,メタルコアなどエクストリームメタルと言われるジャンルで頻繁に用いられる,グロウル及びスクリーム歌唱について音響的特徴の分析を行った.先行研究で特殊な発声の音響的な特徴として示されたサブハーモニクスの存在や macro pulse 構造の調査,病的音声の分析になどに使われる jitter,shimmer,HNR の値について測定を行った.
著者
高 継芬
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 = The journal of Kyushu University of Nursing and Social Welfare (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-13, 2014-03

本稿が取り上げた夏目漱石は、日本明治時代の文豪である。漱石は幼少期から漢詩漢文を精読し、教養を深めていた。漢文学を修得した彼は、そこからどのような影響を受けたか、漢文学にどのような影響されたのか、彼の作品及び彼の思想両面から論じていくこととする。 漱石はイギリス留学経験を持ち、西洋文明にも影響されたが、日本文学、西洋文学よりも漢文学を終始愛し続けていた。漢文学だけではなく漢文学の背景にある思想、すなわち儒教の思想にひときわ感化されていた。 漢文学では、政治、倫理道徳観念がもっとも重視されている。漱石の作品を貫いている思想は、漢思想と適するものがある。漱石は日本の文明批判家でもあり、社会批判家でもあり、明治社会に対する批判が漱石の重要なテーマであるといえる。 中国の読者が漱石の作品に親近感が湧きやすい理由は、作品の中に親しみやすい中国の漢詩や漢文の表現が多く見て取れることだけではなく、作品の行間から読み取れる彼の思想すなわち漢文学にある儒教思想と同じ思想が流れているからであり、漢文学は漱石の精神的創作の礎ともいえる。We discuss how Soseki was influenced by Chinese literature, at which he was excellent. His view point is from his work and thought. Although Soseki made a stay while studying in Britain and was influenced by Western civilization, he always continued to love Chinese literature rather than Japanese or Western literature. He was touched by not only Chinese literature, but also the thought of Chinese literature, i.e., the thought of Confucianism. Chinese literature places a great emphasis on politics and a sense of ethic and morality. The thought running through Soseki's work is the same as the one in Chinese literature. The thought which has pierced through Soseki's work is the same as Chinese literature thought. He quotes Chinese writings and Chinese poetry in his works. Soseki was a critic of Japanese civilization and society. His many works criticize the civilized society of Meiji and strongly are criticizing war. To criticize Meiji society is his important theme. Soseki also has a civilization criticism house in Japan. It is also a social criticism house. Chinese literature is the foundation of Soseki's spiritual creation. Furthermore, The reason why the Chinese readers easily feel an affinity with his work is that they can not only see the familiar expression of Chinese poetry and literature in his work, but also notice that his idea is the same as the thought of Confucianism, which runs through the Chinese literature by reading between thelines of his work. It can be said that the Chinese literature is the foundation of Soseki's spiritual creation.
著者
三輪 篤志 坂東 敏博 佐々木 康成
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2015-AVM-88, no.5, pp.1-6, 2015-02-20

ヒトはオノマトペ (擬音語,擬態語の総称) を用いてテクスチャ (画像において色彩,濃淡の分布が形づくる表面の性質) を表現することがある.タイルの表面を 「つるつる」,雲の質感を 「もくもく」 と表現する振る舞いは日常茶飯事的に行われている.本研究ではこれを視覚情報から音声情報への変換と捉え,その関係を調べた.さらにそこから,重要だとわかった音響特徴量,メル周波数ケプストラム係数の 8 次,12 次を用いて,音源に効果を付与するフィルタを設計した.