著者
森慧 西沢和夫 高野博史 中村清実
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.599-604, 2011-07-20

接触型の指紋認証には,指表面の状態等により認証精度が低下するという問題があるため,非接触型指紋認証の開発が行われている.しかしながら,非接触型指紋認証では,指紋画像の隆線と谷線間のコントラストが小さく特徴量が抽出しにくい問題や,入力された指紋画像に指の位置ずれ,傾き,回転が生じることで認識率が低下する問題がある.本研究では,LOG フィルタを用いて指紋画像のコントラストの問題に対応する,局所特徴量を用いた非接触型指紋認証法を提案する.本手法では,局所特徴量として,Histograms of Oriented Gradients(HOG)特徴量および局所輝度特徴量を用いる.また,指の回転が与える影響について調査を行い,指の回転変化への許容性を明らかにした.
著者
Jutta Jerlich
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.115-128, 2011-02-01

National borders have lost importance and competition is becoming more global every day. Products and services are sold and available concurrently in large geographical regions. Problems and issues are crossing borders, affecting the global economy rather than only the national. The need to address global problems on a global level by the international community is apparent. For a company to survive in such an environment it has become a pre-requisite to attract and retain the best human capital. It has to adopt and apply knowledge-based intercultural and interdisciplinary work processes and go beyond their national markets. Education is having a growing importance for supplying qualified graduates to industry. My observations and experiences from teaching in Japan, seen through the filter of Hofstede's cultural dimensions, illustrate how a threefold cultural layer constrains the adaptation demanded by the pressure from a competitive global market. The change process happening all over the world is hindered and halted by a mindset that has not yet seen the need for change to communicate and cooperate across borders.
著者
岡田 誠 五十嵐 洋一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1040-1045, 2013-09-15

日本の認知症高齢者の推計人数は,2012年の段階で462万人,前期認知障害の高齢者数を含めれば862万人にのぼる.認知症を取り巻く社会的課題は日本の社会にとって大きなインパクトを持つ.一方,認知症を含め,現代社会の課題は相互に複雑に絡み合い,状況や全体像も曖昧である.誰がその課題に対して新たな力をもたらすステークホルダかも明確ではない.本稿では,企業の視点から,社会的課題自体をさまざまな組織を結びつけるバウンダリー・オブジェクトとして機能させる意味とアプローチについて,認知症プロジェクトを例として紹介する.
著者
小森田賢史 我妻 知典 千葉 恒彦 横田 英俊 井戸上 彰 羽鳥 光俊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2623-2633, 2008-07-15

次世代ネットワークの中核技術として標準化が進められているIMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(MultiMedia Domain)においては,各端末の通信を制御するためにSIPを用いる.さらに,筆者らが着目するMMDでは移動端末のモビリティサポートのためにMobile IPの利用が想定されている.しかしながら,このSIPとMobile IPを併用する方式においては,それぞれが独立して処理を行うため,MMDセッションの移動制御が非効率となり,その結果ハンドオーバの遅延を招くという問題がある.本論文では,それら2つのプロトコルを連携させることにより,MMDセッション制御を高速化する手法を提案し,その方式設計について述べる.さらに,提案に基づいて実装,および評価を行い,MMDセッション制御時間の改善性について示す.
著者
高倉健一 井上亮文 星徹
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.75-77, 2013-03-06

本研究ではテーブルトップインタフェースとスマートフォンのタッチ面同士を空間的に接続することで、オブジェクトの直感的なやりとりが可能なシステムを提案する。本システムはテーブルトップ上でオブジェクトのスワイプ操作が発生した場合、スワイプ操作の終了座標を認識する。システムはこの座標とテーブル上のスマートフォンの位置を比較することで、オブジェクトの送信先となるスマートフォンを決定する。また、スワイプ操作の方向とスマートフォンの向きから、ユーザから見たオブジェクトの向きと移動方向を維持したままスマートフォン上へオブジェクトを移動させる。本稿ではシステムのプロトタイプとその評価について述べる。
著者
新井イスマイル 福嶋徹 内藤岳史 土川洋史 比嘉信 釣健孝 佐々木智大 大島秀樹 渥美清隆 松野良信 千田栄幸 山田悟 今井一雅 牛丸真司 金山典世 仲野巧 寺元貴幸 脇山俊一郎 中尾充宏 村本健一郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2013-IOT-23, no.10, pp.1-5, 2013-09-20

独立行政法人国立高等専門学校機構法の施行に伴い、平成 16 年 4 月 1 日に全国の国立高等専門学校 (以下、国立高専) が独立行政法人国立高等専門学校機構 (以下、高専機構) 1 法人に集約され、現在 51の国立高専を運営している。独法化前は各高専にて個別にネットワーク運用・調達が任されていたが、運営費交付金が毎年削減されることを考慮し、独法化後は高専機構のスケールメリットを活かした効率的なネットワーク運用・調達に挑戦している。本稿では、平成 24 年度までに得られた、(1) 歴史的 PI アドレスの集約による年間費用削減、(2) 機器・ソフトの一括調達による費用削減、(3) ノウハウ・人材の共有の成果について報告する。
著者
北原 和子
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.123-136, 2012-06-30

名古屋市の保育園が乳児保育・長時間保育を制度化するにあたって、どのような保育運動が行われたのかを、名古屋の女性運動や地域住民をまきこんだ市民運動の視点を交えて考察した。1955(昭和30)年、日雇い労働の母親たちが立ち上げた簡易保育所に始まり、国鉄、郵政、法務局に勤務する女性労働者達が職場内保育所を作った。1959(昭和34)年、伊勢湾台風後に始められたヤジエセツルメント保育所の活動が、名古屋市における保育運動の始まりであった。働き続けたい母親労働者と研究者,女性運動家達が共同保育所を設立すると、保育運動を継続させるために愛知保育所づくり連絡会が発足した。さらに団地に住む母親労働者達が保育所設立のための市民運動を行った。市民をまきこんだ保育所建設の要求が名古屋市を動かし、生後6ヵ月からの乳児保育、8時から18時までの長時間保育を実現させた。
著者
進藤 裕之 松本 裕治 永田 昌明
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MPS-93, no.6, pp.1-6, 2013-05-16

自然言語処理分野における統計的文法獲得では,確率文法モデルの学習にGibbsサンプリング法が広く用いられている.しかしながら,木構造データを扱う場合には,Gibbsサンプリング法のように変数の値を一つずつ順番に更新していく方法では局所解に留まりやすく,十分に尤度の高い解を得られないという問題がある.この問題を解決するために,我々は新たな部分木のブロック化サンプリング法を提案する.本手法は,データ中に現れる共通の部分木まとめてブロック化し,ブロックに含まれる変数の同時分布からサンプリングを行う.そして,その部分木ブロック化サンプラーを従来のマルコフ連鎖モンテカルロ法と組み合わせて交互に実行することにより,目的関数の最適解を効率良く探索することができる.シンボル細分化文脈自由文法を用いて統計的文法獲得の実験を行ったところ,提案手法は既存手法よりも尤度の高い文法規則が獲得できることを確認した.
著者
松本 加奈子 松波 晴人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1023-1027, 2013-09-15

サービスを科学する動きが加速している.サービス業では,サービスの特性(同時性,無形性,変動性,消滅性)という特性ゆえ,勘と経験の側面が強かった.そのため,付加価値の高いサービスを創造したり,現場の生産性を向上させるためには,サービスによる「経験」が生じる「場」における情報が重要である.本論文では,「場」の情報を集めるために行動観察という方法論を用いた,付加価値の提案のための「ワーキングマザー」「中国人旅行客」,生産性向上のための「厨房」「お客さま記憶スキル」の事例に簡単に解説をした後,飲食業におけるサービス・クオリティを向上させるための「サービス・スタンダードの構築」について主に述べる.
著者
原田 曜平 聞き手:田村 大
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1058-1062, 2013-09-15

本稿は,若者研究の専門家として知られる原田曜平氏に,現代の若者の研究法,およびこれまでの研究成果を伺ったインタビュー録である.同氏がリーダーを務める,博報堂ブランドデザイン若者研究所が編み出してきた若者研究の手法を,具体例を交えて紹介するとともに,とりわけソーシャルメディアなどの情報媒体を通じて大きな変化を遂げてきた,10代,20代の若者の行動や価値観の現在を紹介する.
著者
坂本 諒 千葉 雄司 久保田 光一 土居 範久
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.48-66, 2011-03-25

本論文では SH4A 向けコンパイラにおいて浮動小数点演算の演算精度を指定する命令を選択し,挿入先を定める手段として,0-1 整数計画法を利用する手法を提案し,その実用性を評価した結果を示す.SH4A は浮動小数点演算命令の実行時にどの精度で演算を行うか指定するための命令を 2 種類提供するが,それぞれ挿入可能な箇所と実行コストが異なる.このため SH4A 向けコンパイラでは,どこでどの命令を使って精度の指定を行うべきか判断する必要があるが,提案技法ではこの判断に 0-1 整数計画法を利用する.また,0-1 整数計画法がコンパイル時間に与える悪影響を軽減するために,挿入箇所を求める問題を分割,簡約化する技法も提案する.分割や簡約化を適用しても最適解の探索に膨大な時間がかかる場合はあるが,そのような場合には最適解を求めることを諦め,探索を中断してヒューリスティックにより解を求める.組み込み機器向けベンチマーク EEMBC benchmark suite および組み込みプロセッサ向けベンチマーク CoreMark を使って評価したところ,提案技法でコードサイズを最適化すると,コードサイズを 1.2% 小さくできることが分かり,このときコンパイル時間の増加率は相乗平均で 13.5% になり,最適解を求ることができた問題の比率は 99.9% 以上になることが分かった.また,CoreMark を使って評価したところ,提案技法で実行サイクル数を最適化すると,最適化しない場合と比べ,精度指定にかかる実行サイクル数と,アプリケーション全体の実行サイクル数をそれぞれ 64.1% と 3.1% 削減できることが分かった.
著者
鳥居 秋彦 岡谷 貴之 延原 章平
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2011-CVIM-176, no.1, pp.1-22, 2011-03-10

多視点画像を使って物体やシーンの3次元形状およびカメラの姿勢を得る問題は,コンピュータビジョンの中心的課題として長い間研究されてきた.活発な研究活動を通じて得られた成果は,ロボット視覚から,CGや拡張現実(AR)を始めとする映像メディア応用まで,様々な形で実社会にフィードバックされている.本稿は,多視点3次元復元の最近の研究動向をサーベイしたもので,大量未整列画像からのSfM,実時間SfM/Visual SLAM,人物の全周囲3次元形状・運動復元の3つのトピックについて述べる.
著者
都丸幸浩 藤岡優 安本匡佑 羽田久一 太田高志
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.255-257, 2013-03-06

百人一首や、競技かるたが漫画でとりあげられ関心が高まっており、国外の方々でも興味を持つ人が多くなっているようである。競技かるたでは戦略のひとつとして取り札の配置を競技者が決定することができる。取りやすい札や得意な札などは自分の近くに配置したり、「決まり字」という考え方に基づいた配置を行ったりと、札の配置における考え方は競技者によって様々である。本研究は、競技かるた札の配置を可視化させるコンテンツを制作した。テーブルトップインタフェースを利用し、実際の百人一首の札を配置することによって札の分布などがインタラクティブに可視化される。
著者
澁谷 芳洋 小池 英樹 高田 哲司 安村 通晃 石井 威望
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1921-1930, 2004-08-15

インターネット利用人口は拡大しており,今日では個人,組織の双方においてネットワークの使用は欠かせないものとなりつつある.インターネットは多種多様なサービスを提供し,なくてはならないものになっているが,その半面,不正アクセスの問題も急増している.しかし実際の侵入がどのようなものであるかを認知する機会が少なく,見えない世界でのセキュリティに対する認識が難しい.そこで本論文では不正侵入対策の手段の1つとなっているおとりシステムに着目し,Honeynet Projectが提唱している高対話型として構築した.高対話型おとりシステムの特徴として,OSレベルでおとりを実現し,不正アクセス者に制限なく自由に行動させ,不正アクセス者に気づかれないように行動記録を取得,分析することにより,既知の攻撃方法のみならず,未知の脆弱性や行動を記録することが期待されている.しかし高対話型おとりシステムは概念が新しく,主としてその概念ばかり公開されており,具体的なシステム構築例および,運用結果,問題点についての公開情報が少ない.したがって本論文では高対話型おとりシステムを公開されている情報を参考に実際に構築,運用し,不足する機能を追加したうえでさらに運用を行った.その結果得られたデータおよび知見をもとにおとりシステムの持つ問題点および運用方法の提案を含め今後の課題について述べる.
著者
榎戸 健二 三好 健文 小池 恵介 船田 悟史 藤波 香織 中條 拓伯
雑誌
組込みシステムシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.144-153, 2012-10-10

FPGA 搭載の Android 機器の一形態として Reconfigurable Android を開発し, Android における FPGA によるアプリケーションの高速化を試みている.そのハードウェア・アクセラレーションを設計・開発する上で, Java 言語で記述されたソースコードを直接 VHD Lコードに変換する JavaRock に着目し,その利用可能性の検討を進めている.本研究では JavaRock により合成された回路をさまざまな視点で分析することによって JavaRock の持つ特徴,性能の評価を行い,今後 Reconfigurable Android 上において開発環境として利用する上での課題について検討を行う.
著者
満永拓邦 おまーるいすまいる 久野祐介 田所成久 近藤伸明 藤木裕之 五十嵐寛
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.443-445, 2011-03-02

近年、クラウドコンピューティングが脚光を浴びている一方で、<br />利用者は企業内のデータをクラウドサービス提供企業に預ける必要があり、<br />サービス提供企業の管理者が保管しているデータを窃用・漏洩する危険性が存在する。<br /><br />この内部からの情報の窃用・漏洩に対し、利用者が暗号化してデータを保管するという対策が考えられるが、<br />既存の公開鍵方式では、多数のユーザの鍵の管理に問題があり、クラウドサービスには適しておらず、新たに属性ベース暗号方式が提案されている。<br />今回、鍵管理効率を向上させるため、退職者などの鍵を無効化させる鍵失効機能を追加した属性ベース暗号方式の実装し、性能評価を行った。