1 0 0 0 芸術立国

著者
徳山詳直著
出版者
幻冬舎
巻号頁・発行日
2012
著者
佐藤 泉
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.35-44, 2007-11-10 (Released:2017-08-01)

一九五〇年代末、九州の炭鉱地帯で展開された「サークル村」の文化運動は、それ以前の自然発生的な民衆文化運動を自覚的に思想化した点で重要である。本稿は、この運動をリードした詩人・谷川雁のサークル論をとりあげて、共同体としてのサークルと集団的な創作主体がどのように論理化されたかを考察する。日本の戦後思想の布置において、「村」「共同体」は個人の自由を拘束する悪しき結束であり、克服すべき前近代のシンボルとして語られてきた。しかし、五〇年代後半になって、個人の確立を掲げる戦後思想の有効性は薄れていた。経済および社会の構造再編が進むなかで、社会運動と労働運動が急速に力を失っていったためである。個人の確立に変えて、共同体の再構築が必要だと判断した谷川は、新たな連帯の思想を実践する場として文化サークルの運動に注目していた。民衆は潜在的なエネルギーを秘めている。しかし革新政党や労働組合は、民衆の力や欲望を適切に代表していない。そのため、しばしば民衆の力は、ファシズム的な表象によって奪われる。民衆の力を誰がどのように表象するかが重要な問題である。そこで、谷川は、民衆が自らを表象し、それによって自己を再想像する場として文化運動を活性化する必要があると考えた。谷川は、文化運動の場を「村」と呼び、創作の主体を個人ではなく集団としたが、そのためには戦後思想としての近代主義、個人主義の言説と対決する必要があった。この時期の谷川の言語活動によって語り変えられた「共同体」は、伝統的な共同体の権威主義、閉鎖性を克服することに成功しており、そのため、コミュニティの再構築が課題となった現在、多くの手がかりを与えるものとなっている。
著者
亀口 憲治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.215-224, 1989-04-15

1.システムズ・アプローチの理論的背景 1)家族システム論 家族療法の理論の中でも「家族システム論」は,中心的な位置を占めてきたが,わが国の心理臨床の世界では,この用語や概念的枠組がいまだ市民権を得ているとはいえない現状にある。そもそも「こころの専門職」としての心理臨床の世界に,「物や機械」の世界で使われる「システム」などという言葉を持ち込むこと自体に,不快感をあらわにする心理臨床家も少なくないようである。そこには「システム」という用語は,機械や道具の属性にのみかかわるものだとする暗黙の前提や「思い込み」があるのではないだろうか。確かに,わが国では一般的にそのような社会的文脈の中で,この用語が用いられる場合が多かったことは事実である。しかし,今日ではこの用語は,物理・化学領域だけではなく,生物学的領域でも,社会的・経済的・政治的領域のいずれでも広く用いられるようになってきている。筆者は,心理臨床の世界でもおおいに使われるべき概念だと考えている。したがって,本論では主に「人工的な機械システム」ではなく,「自然な生命システム」という意味や文脈で「システム」という用語を使うことを理解していただきたい。
著者
孫 暘
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
no.45, pp.121-134, 2009-07

妓女, 文学史上不可或缺的角色。 妓女,苦難、悲哀、凄惨的代名詞。但是筆者認為日本作家水上勉在《越前竹人形》、《飢餓海峡》、《雁的寺》《五番町夕霧楼》等作品中塑造的妓女形象却是寛容、慈悲与楽観。同時値得注意的是,水上文学中的妓女与男主人公多数没有性関係。水上如此描写的目的何在?妓女,対於水上而言,是否具有某種特殊的意義?本文以《五番町夕霧楼》的妓女夕子為中心,試図従這些違背常理的描写中,探討水上文学中妓女的佛性,以及妓女在苦難中的自救与他救的偉大的生存方式。従而進一歩考察水上文学的思想根源,即中国禅宗本来無一物思想対水上文学的潜在影響。与此同時,本文試図掲示始終関注貧困、 弱勢群体的水上文学的社会価値
著者
天野 知幸
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.1, pp.161-176, 2008-12-25

戦後の京都市上京区五番町と京都府与謝郡を舞台に、「赤線」で働く「接客婦」の夕子と彼女のもとに通う吃音の僧、櫟田正順を描いた水上勉の小説「五番町夕霧楼」について、五番町と夕子の生まれた与謝郡「樽泊」の空間的な関係性、性産業をめぐる戦後の状況やそれらに対する社会の差別的な視線、さらには、「鳳閣寺」放火事件を報じるメディア上の言説とそれを起こした正順の「声」「ことば」との関係などを明らかにしながら、この作品が他者表象、他者理解の困難さを提示していることを論じた。
著者
水上勉著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1987
著者
松浦 俊輔
出版者
名古屋工業大学外国語教室
雑誌
Litteratura (ISSN:03893197)
巻号頁・発行日
no.11, pp.134-144, 1990-10-15