著者
國枝 秀世
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.925-932, 2001

「あすか」の一番大きな特徴は, 初めて10keVまでの撮像観測ができたことである.2-10keVのエネルギー帯域でこれまでの「ぎんが」に比べ2桁高い感度が実現され, 遠方の暗い銀河まで観測可能になった.高いエネルギーの観測では, 吸収体に隠された天体も検出でき, 近傍の銀河に潜む活動的銀河核も次々見つかった.「あすか」のもう一つの特徴は焦点面に置かれたCCDカメラによる分光である.スペクトルに見られる吸収構造, 輝線構造を分光することで, 大質量ブラックホールを持つ活動的銀河核近傍の, 強い重力場と強い放射場における物理現象が明らかにされた.この問題は, 最近観測を始めたChandra, Newtonの二大X線天文衛星でさらに大きく展開されようとしている.またもう一歩踏み込んだ研究にはAstro-E2の登場が待たれる.
著者
王 愛武 Wang Aiwu
出版者
福井工業大学
雑誌
福井工業大学研究紀要 Memoirs of Fukui University of Technology (ISSN:18844456)
巻号頁・発行日
no.42, pp.705-712, 2012

When reading the Ango Sakaguchi literature, you ofen meet with the words "absolute loneliness" or "nostalgia". It means the human's true character. After understanding the solitary of human's true character, Ango Sakaguchi addressed the Japanese by saying "to live" and "to degrade" who had fallen into thought confusion at during the war and the postwar period. He said that we should make a living according to human true character.
著者
Watanabe Chihisa
出版者
松村 松年
雑誌
Insecta matsumurana (ISSN:00201804)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1-2, pp.22-31, 1931-11
著者
西淳 にしあつし
雑誌
阪南論集. 社会科学編
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.45-60, 2003-11
著者
臼元 洋介
出版者
横浜市立大学医学会
雑誌
横浜医学 = Yokohama Medical Journal (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.645-651, 2019-10-30

法医学の分野では,死後経過時間の推定は重要な鑑定項目の1つである.これまでに,死後, 死体に現れるさまざまな化学的,物理的な現象を用いて,死後経過時間は推定されてきた.その中で も,現在広く用いられているのは,死斑や死後硬直,直腸温を用いた推定法である.しかしながら, 死斑や死後硬直については評価が主観的であり,直腸温については周囲の環境(気温や日当たりなど) の影響を強く受けるため,精密な死後経過時間の推定は容易ではない.筆者は,死後変化に影響を与 える因子の探索およびより精度の高い死後経過時間の推定法を確立することを目的として,様々な方 法を用いた死後変化の検討ならびに死後経過時間の推定法の研究を行ってきた.本稿では,これまで 検討を行った4つの方法(測色,髄液の電解質濃度,臓器重量,CT画像)による死後変化ならびに 死後経過時間推定法について詳述する.
著者
豊岡 達士 甲田 茂樹
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.2020-030-A, (Released:2020-08-12)
被引用文献数
2

目的:金属ベリリウム及びベリリウム合金は,軽量でかつ強度が高いこと,耐熱性,耐腐食性等,優れた物理化学特性を有するため,世界的に幅広い産業で利用されている.一方で,ベリリウムには感作性,発がん性が認められており,ベリリウムの職業性ばく露を受ける可能性がある労働者に対する労働衛生管理は従前より各国で重要な課題となっている.このような中,米国労働安全衛生管理局(OSHA)は,2017年1月に,ベリリウムばく露による慢性ベリリウム症,及び肺がんの発症を防ぐことを目的に,ばく露規制を含め,ベリリウム労働衛生管理に関する規定を強化する最終規則(Final Rule)を公表した.本稿では,OSHA最終規則が発表されたことを機に,ベリリウムの健康障害や産業衛生に関する知見を把握し,我が国におけるベリリウム労働衛生管理に関する課題を共有することを目的とする.方法:ベリリウムの健康障害に関する国内外の論文,関連規制法等,最近の動向を収集し,ベリリム産業,ベリリウムばく露,ベリリウムによる健康障害,OSHA最終規則,我が国におけるベリリウム労働衛生管理についてその概要を纏めた上で,我が国におけるベリリウム労働衛生管理の課題について考察した.結果:ベリリウムばく露による健康障害において,近年最も問題となるのは,ベリリウム感作に端を発する慢性ベリリウム症であり,いかにベリリウム感作を低減するか,またベリリウム感作者を早期発見するかに重きをおいた労働衛生管理が重要であることが改めて確認された.結論:我が国におけるベリリウム労働衛生管理の課題として,ベリリウム等による健康障害の実態把握(疫学知見の収集)が喫緊に必要であること,特殊健康診断の診断項目,及び特定化学物質障害予防規則におけるベリリウム及びその化合物の定義の見直し検討が必要であることが示唆された.