著者
木庭 博美
出版者
大分大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

プリント配線パターンを基板上に作る方法のなかで、プリント基板加工機による生基板からパターンを削り出す方式は、低コスト、短時間加工が可能で、試作・少量基板の作製に最適である。本研究は、パソコン制御によるプリント基板加工装置を安価に製作し、教育に活用することを目的とする。製作した装置は、まずパソコン用基板CADソフトを用い、回路図またはプリント配線パターンを描き、パターンデータ(数値データ)を得る。次に作成した制御ソフトを用い、パターンデータを元に、製作した加工機を制御し、切削と穴あけをし、プリント配線板を作る。加工機本体は、X、Y、Zの各軸を台形ねじ型アクチュエータで作り、Z軸には小型電気ドリルを取り付けてある。各軸はステッピングモータで制御する。モータの駆動に専用の駆動用ICを使用することにより、制御ソフト、回路とも簡略化でき、細かい制御が可能である。加工範囲は150mm×100mmである。制御ソフトは、パターンデータを本装置用のNCデータに変換し、穴あけ用と切削用に分け、さらに穴あけ用は穴の径ごとに分離し、各NCデータのファイルを作る。次にNCデータを読込み、X、Y、Z軸用ステッピングモータの制御信号を作り加工機を制御する。ファイルごとにエンドミル、ドリルを交換しながら繰り返す。既存の物品を使用したり、手作りすることにより、プリント基板加工装置を安価に製作した。また、本装置を学生が自由に使用できるように、装置の取扱い説明書を作成し、電子回路の作製に利用した。今後も、卒業研究やものづくり教育などで本装置を活用する。
著者
高柳 侑華 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.37-47, 2011-01-01
被引用文献数
1

対話は言語的または非言語的メッセージを相互にやり取りすることで成立する.科学技術の進歩により,近年ではコミュニケーション対象は人だけでなく,ロボットやCGキャラクタ等の人工物にまで拡大しつつある.しかし,現状ではこのような対話は人同士のように円滑ではない.これは,言語・非言語情報の欠落により,発言の意図やだれに向けての発話かを判断することが困難であるということが大きな理由の一つとして考えられる.しかし,これまでの対話研究は人同士の2者間対話が中心であり,発言のアドレス(発言が誰に向けられているのか)に注意する必要性は低かった.そこで,本研究では『人と人工物が非言語のみで多人数対話をする際には,顔の向きと発話タイミングを組み合わせて用いることによって発言が誰に向けられているかが判断される』という仮説のもとで認知実験を行い,顔の向き要因と発話タイミング要因の発言のアドレッシングへの効果を検証した.その結果,人と人工物が非言語のみで行う多人数対話において,顔の向きと発話タイミングは発話のアドレスを示す効果があるということが示唆された.
著者
西岡 孝
出版者
高知大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

Ce化合物の磁性は,RKKY相互作用とKondo効果の競合を記述するDoniach modelでほぼ記述すると考えられてきた。ところがCeRu_2Al_<10>において27Kで起こる相転移はで起こる相転移はDoniach modelでは記述できない新規な相転移であることを我々は2009年に指摘した。本研究の目的は,CeRu_2Al_<10>およびその関連物質の巨視的・微視的測定からこの相転移の機構を明らかにすることである。本年度は,RuおよびFeサイトをd電子数の異なるCo,Rh,Mnで置換した系の研究および,CeRu_2Al_<10>,CeOs_2Al_<10>のNQR測定を中心に行った。Doniach modelで重要なパラメーターは,伝導電子とf電子の交換相互作用J_<cf>とフェルミ面の状態密度ρ(εF)である。CeRu_2Al_<10>の相転移は圧力,すなわちJ_<cf>を変化させることで制御できる。本年度は同様な変化がd電子数すなわちρ(εF)を変化させることで起こるかどうかを調べた。実験上の最大の問題は,対応するRh,Co,Mn化合物が存在しないということであるが,10~30%程度まで置換可能であるということをEPMA分析から明らかにした。CeRu_2Al_<10>の電子ドープ(Rh,Co置換)においては,近藤温度は急激に下がり,それに伴い反強磁性モーメントは急激に大きくなる。また,ホールドープ(Mn置換)では,近藤温度は急激に増加し,それに伴い反強磁性モーメントは小さくなり遍歴的に変化する。これは,d電子数を変化させることによって近藤温度を大きく変化させることができるということを意味する。CeFe_2Al_<10>は,CeRu_2Al_<10>の母物質と位置づけられる。CeFe_2Al_<10>の置換においてもCeRu_2Al_<10>と同様な近藤温度の変化が見られたが相転移が出現することがなかった。このことから,CeRu_2Al_<10>の相転移は電子数が重要であり,近藤半導体であることが相転移と強く関係していることが分かった。また,CeRu_2Al_<10>のNQR測定から,磁気構造は中性子回折と矛盾がないことを示し相転移温度で通常の磁気点でみられる1/T_1の臨界発散が存在しないことを明らかにした。
著者
太田 安彦 清水 淳三 小田 誠 林 義信 OSARI Ayumi 梶田 剛司 渡辺 洋宇
出版者
The Journal of the Japanese Association for Chest Surgery = 日本呼吸器外科学会雑誌
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.539-544, 1996-05-15
参考文献数
16
被引用文献数
5

最近われわれは, 稀な胸腺腫瘍の2例を経験した.症例1は72歳, 女性の胸腺に発生した悪性黒色腫であった.悪性黒色腫の胸腺発生例は本邦報告史上2例を認めるのみであり, 本例は第3例目に相当した.腫瘍は6.5×5.5×3.5cm大の被包化された充実性腫瘍であった.周囲組織への浸潤はなく, 周囲のリンパ節に転移はなかった.原発巣不明黒色腫の転移の可能性は否定しきれないが, 胸腺原発を最も疑った.正常胸腺を含めて腫瘍を摘出した。術後5ヵ月を経て再発なく生存中である.症例2は21歳男性に発生した胸腺脂肪腫であり, 周囲の脂肪組織を含めて腫瘍を摘出した.摘出腫瘍の重量は390gであり, 重症筋無力症の合併はなかった.
著者
樋口 寛晃 旭 健作 佐川 雄二 杉江 昇
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.2439-2445, 2004 (Released:2005-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

We propose a method for separating speeches using two spectrograms. First, two spectrograms are generated from voices recorded with a pair of microphones. The onsets and the offsets of the frequency components are extracted as the features using image processing techniques. Then the correspondences of the features between the spectrograms are determined and the intermicrophone time differences are calculated. Each of frequency components with the common onset/offset occurrences and time difference are grouped together as originating one of the speech signals. A set of band-pass filters are generated corresponding to each group of frequency components. Finally, each of the separated speech signals is extracted by applying the set of band-pass filters to the voice signal recorded by a microphone. Experiments were conducted with the mixture of a male speech sound and a female speech sound consisting of Japanese vowel and contain consonant. The evaluation results demonstrated that the separation was done reasonably well with the proposed method.
著者
MORI James Jiro 伊藤 久男 柳谷 俊 松林 修 加納 靖之 木下 正高 MA Kou-fong
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

我々は,車籠埔断層を横断する温度プロファイルを観測するために,深さ250mのボアホールを掘削した.この掘削場所は1999年集集地震による温度異常が2000年に観測された場所のごく近傍である.2008年と2010年の温度測定では,温度異常は観測されなかった.このことは,2000年に観測された温度シグナルが地震による摩擦発熱による真のシグナルであったことを示している.
著者
小西 美ゆき 佐藤 禮子
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

原発がん手術体験を反映させた転移性肝がん患者の周手術期看護援助を検討するために、文献調査、患者を対象とした面接調査、看護師を対象とした面接調査、米国の私立病院の肝がん患者をケアする部門の視察を行った。原発がん手術による心身の影響を考慮すること、転移がんに直面する患者の心理に配慮すること、今後も続くがん治療・療養に対する視点をもつこと、患者のもつがんとともに生きる姿勢や力を尊重することが看護援助を考えるうえで重要であることが示唆された。
著者
敷田 麻実
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
no.8, pp.27-38, 2010-12

This article proposes a Half-shift model to simultaneously achieve the mutually reinforcing goals of creative work and social contribution. Science communicators are closely examined as one of the possible conduits to implement this model. Intensifying global competition requires work places and social settings to be more efficient and less flexible, making it difficult for professionals to gain satisfaction from being creative and contributing to society through their paid work. After a closer examination, the author proposes a Half-shift model as a new way to achieve a more balanced work environment. The Half-shift model looks at combining paid work and unpaid work in conterminous areas. The research shows that the keys for promoting this model are changes in work rules and professionals' personal motivation for work. It is hoped that this article provides a conceptual framework for the development of a Half-shift model, and contributes to its implementation.
著者
関山 浩介 福田 敏男 松村 司郎 山田 康二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.63, no.605, pp.196-203, 1997-01-25
参考文献数
12
被引用文献数
2

This paper deals with a modeling and controlling strategy for multirobot group behavior. While the distributed autonomous robot system has the advantage of flexibility, it also has difficulties in coordinating global system such that the designer expects. We present a methodology for the designing issue for group robotics. Self-organization is a natural principle in a dissipative system. Utilizing this principle, we present the top-down and bottom-up hybrid approach and a basic model for coordinating macro-scale group behavior as a framework for the self-organizing control of group behavior. Then we present the model of strategy formation in the system based on the opinion formation model. The analytical predicted group behavior is verified by simulation results. In particular, we realize self-organization of temporal behavior pattern in group-level cooperation.
著者
中野 雄介 近藤 悟 森谷 高明 大西 浩行 赤埴 淳一 寺西 裕一 西尾 章治郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.5, pp.780-790, 2011-05-01

ネットワーク上の複数PCの計算リソースを用いるグリッドコンピューティングに関する研究が行われてきた.特に,Webブラウザを介して計算リソースを利用することで,より多くのPCの計算リソースを利用できる有効な手法がある.しかし,PCの負荷を考慮せずにリソースを利用するため,ユーザのWeb閲覧を妨げる可能性がある.加えて,計算対象がXMLのような複雑な構造をもち,問題分割の時間を考慮する必要がある場合,効率的に計算できないと考えられる.本論文ではこのような課題を解決する,Web閲覧者のPCの余剰リソースの効率的利用の手法を提案する.本手法はWebブラウザの負荷に応じて計算速度を動的に変化させることで,ブラウザユーザのWebページ閲覧に対する影響を考慮した計算を行う.これにより,Webアプリケーションを提供するために必要なリソースを,Webアプリケーションユーザ自身から収集することが可能となる.また,計算対象問題の分割に掛かる時間を考慮した効率的な問題の分配を実現する.
著者
矢代 晴実 福島 誠一郎 都築 充雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.69, no.586, pp.107-114, 2004
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

Recently, some seismic risk management measures are utilized reflecting the quantitative and qualitative assessment of seismic risk. These measures are categorized into risk control and risk financing ; the former is essential to mitigate seismic risk and the latter is effective to cover the unexpected loss caused by unforeseeable and complicated seismic events. In this paper, a seismic risk swap using a parametric trigger is employed as a risk financing measure. Portfolios consisting of 50 facilities in Tokyo, Osaka and Fukuoka are employed in order to examine the feasibility of seismic risk swap assuming that the exchanged annual expected losses are identical. Through the examination, it is also proposed the procedure to determine the parameters used in parametric trigger based risk swap, from the viewpoint of reduction in probabilistic maximum loss.
著者
津村 耕司
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

宇宙近赤外線背景放射(CIB)のロケット観測プロジェクトCosmic Infrared Background Experiment(CIBER)を進めている。CIBには銀河や星などの既知の天体からの寄与だけでは説明できない超過成分が存在し、第一世代天体の寄与が示唆されている。CIBERでは、液体窒素冷却された4本の専用望遠鏡をロケットに搭載し、大気圏外からCIBの絶対スペクトルや空間的ゆらぎを観測し、初期宇宙における星形成の様子を明らかにする。2009年2月25日にCIBERの第1回のロケット観測は無事に実施され、良好なデータを得ることが出来た。CIBER搭載光学系Low Resolution Spectrometer(LRS)で得られた空のスペクトルを解析した結果、黄道光のスペクトル中に今まで予期されていなかった吸収帯が900nm辺りに見つかった。この黄道光スペクトルを詳しく解析した結果、黄道光を担う近地球の惑星間塵は、小惑星帯に分布するS型小惑星起因であると結論した。惑星間塵の起源については、小惑星起源か彗星起源かという論争が長く続いているが、今回の結果は、この論争の解決に大きく貢献する非常に重要な発見であると思われる。CIBERは観測後に装置を回収して複数回の観測を行う計画となっており、第2回の打上げ観測は2010年6月の予定である。そこで回収された観測装置を第2回フライトに向けて改修・再調整も行った。特に第1回の観測結果から検出された迷光対策のため、LRSの既存のバッフルおよび迷光対策のために改造された新たなバッフルの性能比較評価実験およびその解析をすすめてきた。そのような仕事の結果、改造をほどこした第2回のフライトでは迷光成分は10分の1以下になることが期待できるとの結果が得られ、想定されている精度の観測が達成可能であるという結果が得られた。