著者
W.F.研究グループ
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, 1976

Wall Foundation試験工事において, 泥水に関して調査を行ない以下の結果を得た。i)試験を行なった現場は砂レキ地盤であり, ベントナイト8.3%の泥水で掘削したが, 泥水はほとんど希釈されず混練直後の性状と変わらなかったが, 2パネルで7.2m^3/Hに及ぶ逸泥があり, 逸泥防止剤としてオガクズ, 綿の実の粉末を加えて防止した。ii)コンクリート打設時の泥水の劣化は現場に比べてわずかであり, コンクリートとの接触面から1m以内の泥水のみが再使用不可能となった。iii)スライムは20時間放置後で30~70cmタイ積し, 4時間放置後に全スライム量の80%がタイ積した。タイ積したスライムの粒径分布は0.02~0.2mmであった。また, 掘り出された壁体グイの底部にはスライムは認められなかった。iv)泥水のコンクリート壁体中への混入は壁の表面から1cmまでに認められるが, 壁の中心部には局部的にわずかに混入するのみであり, この混入によるコンクリート強度の低下は認められない。
著者
青木 寿篤
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-05-17

2011年に起きた東日本大震災の津波の影響によって、約30万戸の建物が被害を受け、約1万6000人の死者を出した。今日、このような津波の被害を食い止めるために通常よりも大きい“巨大防潮堤”の建設が進んでいる。人々の命を守る上ではこの防潮堤はとても重要な役割を果たすが、とても高い防潮堤を建設することによって、景観が阻害され、観光業を財源としている自治体にとっては大きなダメージを負ってしまう。この2つの問題を解決するために、私の研究は「高さを変えずに従来の防潮堤での強化」するため、「堀」を防潮堤に組み合わせることを考えた。堀というアイデアは、宮城県の被災地を訪れた際、被災された方から「元々の波は高かったけれども、目の前に川があったおかげで波の威力が弱まった」という話を聞き、そこで私は、「川のようなものを防潮堤の後ろに取り付ければ、波の威力を軽減できるかもしれない」と考えた。水槽(約1.2m)と発泡スチロールでモデルを作り模擬的に波を発生させ、波の高さと到達距離を測定し、堀の奥行きを対照区として実験を行った。波の高さを定量化し、再現性を高めるために、波の起こすための水量を一定化させ、実験を行った。はじめに、どの程度の奥行が効果的であるのかを調査するために、奥行を3段階(0,5,10,15cm)にわけそれぞれ5回ずつ波の高さと到達の有無(波が水槽の端に届いた回数)を計測した。結果、どの程度の奥行が効果的であるかは不明であったが、堀がない場合よりも堀がある場合のほうが波の到達距離を軽減できることが分かった。次に、データ数の増加を図り堀の奥行を5cmに絞って48回実験を行った。今度は、到達距離を数値化しより細かくデータを採取した。その結果を用いて散布図(横軸が波の高さ、縦軸が到達距離)を作成し、近似直線を描いた(y=1.9592x-33.27 相関係数は0.73)。この数式を、実物大に拡張し、防潮堤の高さ5m、堀の奥行2mに固定して計算した。すると、堀がないとき6mの波に対して10m以上到達してしまう(最初の実験の堀無のデータを用いた)に対し、堀があると10mの波が押し寄せたとしても、5.3mの到達距離で済むという結果が得られた。しかしながらこの実験にはいくつかの問題点があり、1つ目は津波本来の波長は数㎞から数百㎞に対し、研究装置が2mに満たないためこの結果が津波に対して有効であるかは疑問が残る。さらに、この実験には変数がとても多い(堤防の傾斜、高さ、堀の奥行、深さ、波の高さなど)ので条件を変えた時の変化は予想が難しい今後の展望として、この実験をパソコン内で再現し、より多くの条件のもとでシミュレーションを行うことを考えている。
著者
ホッブズ著 角田安正訳
出版者
光文社
巻号頁・発行日
2014
著者
馬場 紀寿
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 = The memoirs of Institute for Advanced Studies on Asia (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.171, pp.304-348, 2017-03

The ar ticle discusses how the Khuddakanikāya became a par t of the Pāli Tipiṭaka. In my book, Jōzabu Bukkyō no shisō keisei (Formation of Theravāda Buddhist Thought), I note that the Khuddakanikāya does not appear as a collection of suttantas in the four parts of the Pāli commentaries (Aṭṭhakathā) which refer to structure of the Pāli Tipiṭaka. Based on this assessment, I concluded that the Khuddakanikāya was the last collection added to the Pāli Tipiṭaka. In an article published in 2016, the scholar Toshifumi Shimizu critiqued my conclusion, insisting that the four parts of Pāli commentaries, which my book dealt with, do, in fact, mention the Khuddakanikāya. Reassessing these Pāli commentaries, I argue that Shimizu’s hypothesis is not valid because it is based on cer tain misunderstandings of Pāli words, and their context, and, on account of more general flaws in the logic informing his critique.
著者
平岡 照久 阿部 倫之 荒木 伸也 中村 和裕
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.545-546, 2015-03-17

テレビ番組の放送中に発言された反響ツイートを利用して番組の視聴傾向を把握するための手法を提案し、評価システムの構成と実験結果について述べる。本システムでは、TwitterのストリーミングAPIを用いてテレビ番組のハッシュタグを含む反響ツイートを収集しており、番組セッション中において、ハッシュタグと良く共起しているワードのランキング結果から視聴ワードと視聴ユーザを推定するための手法やハッシュタグの更新手法について述べる。さらに、軍師官兵衛などの高視聴率番組を題材にして視聴ツイート数や視聴リツイート数の推移を示し、ビデオリサーチ社の視聴率との連動性について考察する。
著者
高田 知紀 近藤 綾香
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育) (ISSN:18847781)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.20-34, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
27

本研究の目的は,日本の地域社会のなかで人びとが語り継いできた妖怪を,防災減災における知的資源として捉え,その利活用方法を提案することである.妖怪伝承のなかには,地震や津波,洪水,水難事故といった災害と関連するものが多数存在する.そのなかでは,妖怪の働きが,災害の誘発要因,災害の予兆前兆,災害状況の説明,災害の回避方策,災害履歴の伝達,という5つの類型で語られる.リスクの伝達装置としての妖怪伝承の構造をふまえ,社会実験として,子どもたちが新たな妖怪を考え出す作業を通じて,地域の多様な危険を認識し,その対策を検討する「妖怪安全ワークショップ」を展開した.その成果として,子どもたちが経験したことのないような大規模自然災害のリスクも適切に把握し,危険を回避するための方法を導き出すことができた.