著者
小谷 量子
巻号頁・発行日
2017-03-20

日本女子大学
著者
栗山 圭子 Keiko KURIYAMA
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-23, 2018-03-20

産む、授乳する、育てる、教育する、PTAや学校行事への参加などで保護者役割を代表する等、「積みすぎた」現代の母とは異なり、日本中世においては、母役割は複数の人間によって分担されていた。本稿では、安徳天皇「母」を事例に、中世における多様な「母」とそれぞれの母役割について論じる。安徳天皇には8人の「母」が存在した。それらは、国母(こくも)/乳母(めのと)/准母(じゅんぼ)に類型される。第一に、国母とは、天皇の産みの母である。天皇に対する日常的奉仕や養育というよりも、特に、天皇の務める公務や儀式など公的空間における扶助を行うことが求められた。次に、乳母は、授乳をはじめ、養君の人生全般に寄り添い、もっともその身体に密着して、養育・教育・しつけを行った。第三の准母は、院政期(平安時代末~鎌倉時代初頭、ほぼ12世紀の100年間)に特徴的な「母」である。国母が上記した本来果たすべき公的空間における天皇の後見を行い得ないときに、准母はその代替を行うべく設定された。安徳天皇の4人の准母の変遷を分析すると、誰が・どのタイミングで准母に選定されるかは、後白河院(安徳父方祖父)と平清盛(安徳外祖父)との抗争という、時の政局と連動していることがわかる。つまり、天皇に付された後天的な「母」である准母は、いかなる勢力が安徳の後見主体であるのかを明示するものであった。准母をはじめとする中世における多様な「母」の在り方は、まさに当該期の社会構造の中から生み出されたものなのである。
著者
武田 雅子 タケダ マサコ Masako TAKEDA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-28, 2011-01-31

英詩への入門として、前回「いろいろな詩の形」としてまとめたが、今回はその続編として詩に用いられる技法を取り上げた。ここでは便宜上まず、音、形、比喩、単語の並び方、内容に分類し、音に関するものとして、頭韻とオノマトペ、形に関するものとして、繰り返し、言葉の使い方に関するものとして、同じ比喩の中の直喩と隠喩を対照して、さらに擬人法、単語の並び方に関するものとして撞着語法、内容に関するものとして、誇張法とそれに相対する控えめな表現、さらにアイロニーを、それぞれ実例と共に作品の中でどう生かされているか、鑑賞の際には何に注目すべきかを解説した。技法を通して、詩を読むこと、さらには文学作品を読むことの意味と楽しみも盛り込んだ。
著者
木村 健 小谷 善行
雑誌
第53回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.91-96, 2012-01-06

本稿ではGPGPU(グラフィックスプロセッサの汎的計算への応用)を用いた将棋ゲーム木探索手法を提案する。チェスや将棋などのゼロ和完全情報ゲームにおける並列ゲーム木探索の研究は決して新しい研究ではない。しかしながらさまざまな技術が年を経るごとに開発されているにつけ、並列探索の技術も変化を必要としている。GPU上における並列計算環境であるCUDAと、CUDAライブラリの一部であるCUDA版C++STLとも言えるThrustを用いた、並列ゲーム木探索手法を提案する。提案手法は1993年にTransputer上に実装されたYBWCをベースにしており、高いスピードアップが期待できる。ただし、CUDA固有の高スループット実現の難しさもあり、提案手法の実際の実装についての知見が必要である。
著者
古市 瑞希 山本 大介 高橋 直久
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.1-15, 2020-08-25

名古屋工業大学で開発された音声インタラクションシステム構築ツールキットMMDAgentは,FST(Finite State Transducer)形式で記述された対話シナリオに基づいて音声対話の処理を実行し,ユーザは対話シナリオを編集することで対話の内容を自由に構成することができる.しかし,FST形式は一般ユーザには馴染みがなく,対話シナリオを編集することは困難である.そこで,一般ユーザでも対話シナリオを編集できるようにするため,ブロック型ビジュアルプログラミング機能を有する音声対話シナリオ編集システムを提案する.提案システムでは,対話の内容を「ブロック」で表し,パズルのように組み合わせるだけで対話シナリオを作成できる.これにより,対話シナリオについて知識がない一般ユーザでも,対話シナリオを作成することができる.また,提案システムに基づきプロトタイプシステムを実装し,評価実験を行った.その結果,テキストで記述する方法に比べて,提案システムを用いることで短い時間で対話シナリオの作成や内容の把握ができることが分かった.
著者
畑 公也
出版者
神戸薬科大学
雑誌
神戸薬科大学研究論集 : Libra = The journal of Kobe Pharmaceutical University in humanities and mathematics (ISSN:13452568)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.16-32, 2016-03-30

「西洋近代音楽芸術」の制度において「環境(音)」から分離された「音楽」は、20世紀の初め以降、テクノロジーとメディアの進歩と社会の大衆化によって、その制度が徐々に破綻するとともに再び「環境」との関わりを取り戻していく。それとともに聴取のあり方も変化し、与えられた音楽からそこに込められた意図を受動的、分析的に汲み取る聴取ばかりではなく、ジョン・ケージ以降、ある種の「環境音楽」の場合には、聴き手自身が「環境(音)」との関わりから自分なりの音楽を紡ぎだす「創造的聴取」の可能性が生みだされることになった。
著者
木村 二郎 Jiro Kimura
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.205-213, 2003-03-20

The Policy Board of the Bank of Japan announced the stock purchasing plan on September 18, 2002 (“New Initiative Toward Financial System Stability”) in which the Bank would explore possible policy measures to enhance financial institutions’ efforts to reduce their shareholdings. And on October 11, at a regular board meeting, the Board approved basic guidelines on the purchase of stocks held by commercial banks. The purpose of this plan is to secure financial system stability and to foster disposal of nonperforming loans. This plan is not traditional but truly exceptional in the history of the central bank of the world. We will research the facts and the reviews about the plan, and make it clear the problem of it. Our conclusion is that not only this plan is no main job of the central bank but also the plan will injure credibility of the Bank of Japan. Because stocks are very risky assets, the central bank should not have such a risky asset as stocks. It is true that it has some positive effect to secure the stability of financial system, but at the same time it has negative effect on the quality of the asset of the BOJ.
著者
田中 洋平 Yohei Tanaka
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
vol.第4号, pp.97-108, 2019-03-15

本論では中等教育段階における歴史教育と歴史学研究の結節を企図し、高等学校で使用されている日本史教科書の記述について、歴史学的知見からこれに検討を加えた。具体的には、近世宗教史分野の研究成果を整理するとともに、これに新たな研究知見を付与したうえで教科書の記述を再検討している。ここでは、これまでの研究史及び『肥後藩人畜改帳』の分析から、寺檀制度の成立に照応させつつ、それを担う寺院が建立されたことを確認し、にもかかわらず、そうした寺院がどの段階で造営されていったかという点について、教科書中には記述がないことを指摘した。併せて近世宗教史研究のうえで長らく議論されてきた「近世仏教堕落論」についても、これを教科書に記載したうえで、歴史事象に関する生徒間の討論を深化させるための素材とすることができる可能性について言及した。
著者
小野 芳彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.404-414, 1990-03-15

2ストロークコード入力であるTコードの使い勝手を良くし また実務に就くまでの練習期間を短くするために 二つの補助入力方式を開発した.一つは字単位の合成を行うもので Tコードで入力した2文字の字形を組み合わせてその字形をもつ漢字を入力フロントエンドが探索することによってコード化されていない文字でも入力できるようにしたものである.JIS X 0208の全漢字について字形を二つの部品に分ける試みを行い 2文字から直接 あるいはその部品から間接に合成を行って目的の漢字を検索するアルゴリズムを実現した.これは 従来の字形入力がもつコードの重なりを極端に低くしている.もう一つはコード化入力方式に熟語のカナ漢字変換機能を融合したもので 被変換表記にTコードで入力できる漢字を交ぜるようにした方式である.これによってカナ漢字変換の欠点である同音語の選択の濃度を低くでき 変換結果を目視しないで打鍵を続ける可能性を高くした.通常の設計では辞書の大きさが数倍にふくれるのを コードの習得グレード別の辞書を作るという方式で押さえている.
著者
渡辺 啓真
出版者
大谷学会
雑誌
大谷学報 = THE OTANI GAKUHO (ISSN:02876027)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.p33-46, 1994-04