著者
宜保 清一
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.183-272, 1979-12-11
被引用文献数
3

残留強度を求めるには, セン断破壊を生じた後の大変位に対するセン断抵抗を測定できる試験が必要とされる。この範ちゅうに入る試験方法や装置がSkemptonやBishop等によって提唱されているが, 結果の解釈や装置になお多くの問題がある。それゆえ, 著者は今までの研究を基礎にして次の二つの手法を考えた。(1)完全に形成されたすべり面に沿ってセン断移動がおこるのであれば, 平衡状態のもとで発揮される応力はヒズミの大きさにかかわらずある一定値を示すはずである。この条件を満足する試験方法として, 予想セン断角で切り離された上下供試体と, 上部供試体の側方移動を可能にする圧縮セン断機構(BBピストン, 3-2-1参照)を用いて三軸圧縮試験を行ない, その破壊面における応力解析から残留強度を求める。(2)過圧密粘土では, 応力履歴によってτ&acd;ε曲線が種々変化し, 特にピークの位置とその後の曲線の形状が残留強度の大きさを左右していることに着眼して, τ&acd;ε曲線を式化し, その利用を試みる。なお, (2)においてはτ&acd;ε曲線が重要となってくるので, 過圧密比が変化する場合τ&acd;ε曲線が如何なる特性を示すかについて実験研究を行うと同時にτ&acd;σ特性についても考察を加えた。また沖縄における農地保全上, 重要な課題となる第三紀の島尻層泥岩(過圧密粘土)斜面の安定問題には未解明な点が多いため, 安定解析に進行性破壊や完全軟化の概念の導入を考え, Skempton法を用いて軟化泥岩の残留強度を求めた。そして実際の地すべり事例の安定解析に適用して, 地すべり機構解明の一助にした。まず, 一般的なSkemptonの試験法を用いて島尻層軟化泥岩の残留強度定数を求めた(2-2)。島尻層泥岩でみられる破壊面には鏡肌が形成されており, 残留強度に達していることがうかがえる。しかし泥岩について鏡肌が認められるほどの変位を与えるセン断試験はいままで行なわれておらず, 残留強度に関する知見は皆無である。したがって, すべり面付近の新鮮軟化泥岩と完全軟化粘土, 自然分離面, および作成分離面についてSkempton法による長期繰返しセン断試験を行ない, 残留強度やブリトル指数を求めた。新鮮軟化泥岩のピーク強度定数はC_<df>=1.20&acd;1.55kg/cm^2,φ_<df>=19&acd;22°, 同一の事前セン断面における残留強度定数はC_dr=0,φ_<dr>=17&acd;19°の範囲にある。さらにセン断破壊面が十分発達した自然分離面ではC_<dr>=0,φ_<dr>=17°, 作成分離面ではC_<dr>=0,φ_<dr>=15°となる。完全軟化粘土の場合, C_<Nf>=C_<Nr>=0は言うまでもないが, φ_<Nf>=23°, φ_<Nr>=19°は新鮮軟化泥岩や分離面のφ_<dr>よりも大きい。軟化泥岩のブリトル指数(I_B)は, σ'_n=1&acd;5kg/cm^2の応力範囲でI_B=80&acd;50%となる。またφ'_r&acd;粘土分の関係から島尻層泥岩はOxford Clay, Jari Jakfield, London Clayの過圧密粘土と類似していることが明らかになった。つづいて, τ&acd;ε特性を用いて残留強度を求める著者の手法について述べた(2-3)。すなわち, 長期セン断試験結果を式化し, その最大値および最終値を, それぞれピーク強度, 残留強度とみなすものである。これには排水条件を満足する緩速なセン断強度が要求される。しかし, 急速セン断結果(非排水)から残留強度を推定する場合はτ&acd;ε曲線の最大値と最終値を時間効果で補正し求めることができる(2-3-3)これらの結果をSkempton法による試験と対比させた。すなわちτ&acd;ε曲線を利用する手法は, Skempton法よりσ=0.1&acd;0.7kg/cm^2の範囲において1&acd;17%程度大きめの残留強度が与えられるが, 作成分離面により求める場合と同様, 短時間に残留強度をえようとする場合有効な方法といえよう。一面セン断試験によるSkempton法に対し, 著者は三軸圧縮試験による残留強度決定法を提案した(3)。その試験における圧縮機構は, 圧縮時に上部供試体が作成セン断面に沿って滑動できるようにBBピストンを通じて負荷するものであり, 残留強度を計算するための式は破壊面の応力解析によって導びいた。すなわち[numerical formula](3-2-18)式のτ^^^-(η)は, BBピストンのもとで上下供試体が相対的なすべり変位を起こすときに軸圧が偏心荷重として作用することによって実際にすべり面に生じるセン断応力(3-2-12)平均値で与えられ, 有効セン断面積(3-2-21)とゴムスリーブの拘束による軸差応力の増分(3-2-31)が考慮されている。そして完全に形成されたすべり面, すなわち作成セン断面に沿うセン断移動において, 定常状態に入った後に発揮される応力はヒズミの大きさにかかわらず一定値を示すので, τ^^^-(η)&acd;ε関係においてdτ^^^-(η)/dε=0になったときのτ^^^-(η)値を残留強度τ_rと考えればよい。この手法を鳥栖試料に適用した結果, C'_f=0.569kg/cm^2,φ'_f=23°50
著者
Go URUMA Keiji HASHIMOTO Masahiro ABO
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
Magnetic Resonance in Medical Sciences (ISSN:13473182)
巻号頁・発行日
pp.2014-0104, (Released:2015-02-12)
被引用文献数
5

Purpose: We developed a new and convenient method that employs voxel-based morphometry (VBM) to evaluate regional reduction in the volume of white matter after diffuse axonal injury (DAI).Methods: We studied 29 patients with moderate cognitive disability after DAI. Each subject underwent 3-dimensional volumetric magnetic resonance (MR) imaging. Images were preprocessed automatically using stand-alone software running on a Windows PC for VBM of volumetric MR imaging utilizing a statistical parametric mapping (SPM) version 8 software engine and an algorithm for diffeomorphic anatomic registration through exponentiated lie algebra (DARTEL). We then computed a Z-score for all coordinates on the white matter, which represented the relative reduction in white matter volume. Finally, we used voxel-based stereotactic extraction estimation (vbSEE) to compute the extent of regional reduction in the volume of white matter (rWMVR) for each region of interest (ROI), defined as the rate of coordinates with Z-scores exceeding 2.0 in the ROI. For each ROI, we used Pearson’s correlation analysis to examine the correlation between the extent of regional volume reduction and patient scores on the Wechsler Adult Intelligence Scale III (WAIS-III).Results: We detected marked rWMVR in several ROIs, including the corpus callosum, and rWMVR correlated significantly with performance IQ and processing speed index in the splenium of the corpus callosum.Conclusions: The results indicate the utility of our applications for the daily clinical evaluation of DAI. That they can be used on a PC and allow acquisition of volumetric data from standard MR images are their advantages.
著者
下津清太郎編
出版者
近藤出版社
巻号頁・発行日
1982
著者
下津清太郎編
出版者
近藤出版社
巻号頁・発行日
1987
著者
浜田広介 等編
出版者
金の星社
巻号頁・発行日
1959
著者
山本 舞
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
no.15, pp.147-151, 2006

小数という学習において、子どもたちが分かる喜びを感じるための「効果的な算数的活動の導入」について考えることができた。少数だけでなく他の単元においても、同様にして算数的活動を取り入れてみたい。さらに、他の教科も、作業的な活動や人との関わりなどを通して子どもの発想や思いに触れ、分かる喜びを感じるといった応用ができないか、来年度以降の課題としていきたい。
著者
窪田 理裕 久島 貞一 伊藤 勇市 中條 拓 川村 幸次郎
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.927-930, 1987-12-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14

症例は45歳, 女性. 昭和51年4月より慢性糸球体腎炎による腎不全にて, 週3回の安定した血液透析を通院にて受けていた. 昭和60年3月, 半昏睡, 全身痙攣によって当科入院となった. 約9年間の透析歴, 言語障害, 脳波所見, 血清アルミニウム (Al) 濃度の高値, CTによる脳内他病変の否定等により臨床的にAl蓄積による透析脳症を疑い, deferoxamine (DFO): 1,000mg/day, 血液透析 (HD): 5時間/day, 血漿交換 (PE): 2,600ml/dayの三者を組合せて1度の治療とし隔日に施行してみたところ, 計3回終了時点で, 痙攣発作は消失し, 意識状態の回復傾向が見られた. その後1年9カ月経過した現在, 通常の血液透析 (透析液は逆浸透処理) にて良好に経過している. 同症例の治療経過と臨床症状, 血清Al濃度, 脳波所見の推移を報告しDFO投与と体内Alの動態に関し若干の文献的考察を加えるとともに, 同剤投与により増加する血中Alの除去手段として透析分画, 非透析分画の両者ともに除去可能な血漿交換を治療初期に組合せたことが, このように短期間に臨床効果の得られた所以であろうと推論した.
著者
清道 亜都子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.19-28, 2012-03-25

本研究の目的は,高等学校国語教科書における意見文作成教材について,認知心理学的知見を踏まえて分析することである。高等学校国語科の必履修科目(「国語I」,「国語総合」)教科書のうち,昭和60(1985)-62(1987)年度に使用されたもの10社16種類,平成6(1994)-9(1997)年度に使用されたもの10社21種類,平成19(2007)-22(2010)年度に使用されたもの9社22種類を対象として,意見文作成教材を分析した。その結果,(1)解説がプランニング中心で推敲の扱いは少ない,(2)書くことが再帰的プロセスであると示されていない,(3)平成19年度版では,生徒の認知的負担を軽減できるような工夫が多く見られる,という点が明らかとなった。また,教材内容に対して学習指導要領の影響が強いことも窺われた。