著者
山下 達雄 笹谷 奈翁美 鍜治 伸裕 石下 美保 沼田 瑞木 嶋 隆宏 清水 伸幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

社員の働き方の改善に向けた分析対象として、我々はヤフー株式会社の社員食堂の利用ログに着目した。ヤフーの社員食堂では、社員IDと飲食したメニューと日時のログが蓄積されている。これらに対し、グループ分析とメニュー分類を行った
著者
関 喜史
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,日本では若年層の政治的関心の低さが問題になっている.しかしアンケートを用いたような調査は存在するものの,若年層の政治的関心がどのように他の世代と異なるのかについて,実際の行動に基づいた調査はほとんど行われていない.本研究では情報キュレーションサービスであるグノシーにおけるユーザ行動履歴を用いて,政治に関するニュース記事の閲覧傾向が世代によってどのように異なるのかを分析する.
著者
上村 卓也 澤山 正貴 西田 眞也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

自然な視覚刺激には光沢・半透明性・物体の素材などの豊富な質感が含まれる。一般に物を視る際には数多くの視覚特徴が処理されるため、多様な質感属性を統一的に説明することは難しい。本研究では、質感知覚に用いられる視覚特徴を説明するために、質感弁別課題の実験データを分析した。実験参加者の回答が刺激の画像特徴に基づいていると仮定し、画像特徴は画像分類に最適化された深層ニューラルネットワーク(DNN)によって計算した。画像分類に最適化されたDNNでは、深い層ほど複雑で抽象的な特徴が表現される。実験参加者の反応を最も良く説明したのは、中間の層の特徴であった。この結果から、質感知覚には比較的高次な特徴が重要であることが示唆される。また、質感の属性ごとに用いられる特徴が異なることもわかった。これらの結果から、DNNによって質感知覚に用いられる視覚特徴を効果的に説明できることが示唆される。
著者
高野 雅典 水野 寛
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

現実の社会関係では相談しにくいことも匿名のオンラインコミュニケーションではしやすくなる。しかし日本の若者が主に利用するオンラインコミュニケーションツール(Facebook、Twitter、LINE)は現実の社会関係を多く含む。そのような現実とその拡張の社会関係を補完するコミュニケーションツールは重要であろう。本研究は、アバターチャットサービス「ピグパーティ」におけるソーシャルサポートについて考察することが目的である。そのためにサービス運営者によるインタビュー結果をオンラインソーシャルサポートの観点から整理した。
著者
両角 貴弘 大囿 忠親 新谷 虎松
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

スポーツなどのスキルの習得に関して,練習者に対して熟達者のような指導が可能なシステムの実現が望まれている.本研究では,弓道を題材として,練習者に対する指導を可能とするシステムの実現を目指している.本稿では,弓道において基本となる型である射法八節を,システムが認識するために必要なデータの収集について述べる.また,射法八節習得支援システムの試作について述べる.弓道には段位が存在するため,初段以上を取得している者を熟達者として扱い,射法八節におけるフォーム(射形)の骨格情報を収集した.射形を評価する際に,重点的に評価したい節が撮影した動画において,どの部分であるかを把握するのは手間である.そこで,基本の型における各節の自動認識は有益である.本研究では,射法八節を認識するためのデータセットを作成するために,1)射法八節の映像・骨格情報の収集,2)骨格情報の評価・可視化,および3)映像上における各動作に対するタグ付けの3点を行った.また,射形評価を支援する射法八節習得支援システムの試作を行った.
著者
谷口 忠大
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

汎用AIは本来,地球上の生命がそうであるように,自律的に環境で活動しその感覚・運動情報から適応的かつ発達的に知能・機能を形成すべきである.記号創発ロボティクスは感覚運動情報から言語利用までをボトムアップに繋げ,トップダウンな社会からの制約も考慮に加えて記号創発システムの理解に構成論的にアプローチする学問領域である.階層ベイズモデルや深層学習をさらに統合し,より統合的な汎用AIに向かっていくための記号創発ロボティクスが目指す自律適応型AIアーキテクチャについて議論したい.
著者
木村 昭悟 Zoubin Ghahramani 竹内 孝 岩田 具治 上田 修功
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論文では,少量の訓練データのみからニューラルネットワークを学習する新しい手法を提案する.提案手法では,一般的な少数ショット学習の問題設定とは異なり,所与の少数訓練データ以外のデータ資源は仮定しない.提案手法では,少数の訓練データで学習した非NNモデルを参照モデルとして用いる知識蒸留を行うと共に,少数の訓練データから生成した大量の疑似訓練データを導入し,この疑似訓練データをモデル学習の過程で更新する.
著者
久保田 達矢 武村 俊介 齊藤 竜彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-05-11

沖合で発生する地震のセントロイドモーメントテンソル (CMT) 解の推定において,海陸の地震波形を同時に用いると,陸上記録のみを使用した場合よりもはるかに高い解像度でセントロイドの水平位置を拘束できる (Kubota et al., 2017).近年,東北沖には日本海溝海底地震津波観測網S-net (Seafloor observation network for earthquakes and tsunamis along the Japan Trench) (Uehira et al., 2012) が展開された.この観測網と陸上の地震観測網の記録を活用することにより,沖合の地震のCMT解,とくに発生するセントロイド位置とセントロイド深さの推定精度の向上が期待される.しかし,海域における地殻構造は陸上とは大きく異なっているため,海水や堆積層などの低速度層を考慮した地震波伝播計算が重要である (e.g., Noguchi et al., 2017; Takemura et al., 2018).海域の地震について,海陸の観測網を同時に用いてCMT解を高精度で推定するためには,上記のような海域特有の不均質構造を考慮する必要がある.本研究では,地震動シミュレーションにより合成された海域・陸域の地震観測網におけるテスト波形をもとに,海域特有の構造が陸から離れた沖合で発生する地震のCMT解の推定,特にセントロイドの深さの推定におよぼす影響について考察した.本研究では東北沖のプレート境界で発生する逆断層型の点震源 (深さ ~18 km) を入力の震源として仮定し,テスト波形を地震動シミュレーションにより合成した.地震動伝播は3次元差分法 (e.g., Takemura et al., 2017) により計算し, Koketsu et al. (2012) による3次元速度構造モデル (JIVSM) を使用した.計算領域は960×960×240 km3とし,水平にΔx = Δy = 0.4 km,鉛直にΔz = 0.15 kmの格子間隔で離散化した.時間方向の格子間隔をΔt = 0.005 sとした.合成波形に周期20 – 100 sのバンドパスフィルタを施し,CMT解の推定を行った.セントロイド水平位置は沖合の観測網を用いることで高い精度で拘束できる (Kubota et al. 2017) ため,本解析では震央を入力震源の位置に固定し,セントロイド深さおよびモーメントテンソルの推定を行った.CMT解の推定に使用するグリーン関数は,3種類の異なる速度構造モデルを使用した.1つ目は,F-netメカニズム解の推定に用いられている内陸の構造を模した1次元速度構造モデル (Kubo et al., 2002) (内陸1Dモデル) である.この構造では,海水層や浅部の低速度層は考慮されていない.2つ目は,海域の構造を模した,海水層および浅部低速度層を含んだ1次元構造モデル (海域1Dモデル) である.最後は,合成波形の計算にも使用した3次元の速度構造モデル (JIVSM) (3Dモデル) である.1DモデルにおけるGreen関数の計算には波数積分法 (Herrmann, 2013) を用いた.内陸1Dモデルによるグリーン関数を使用では,最適解の深さは ~17 kmと,入力震源の深さとほぼ同様となった.セントロイドの深さ5 – 30 kmの範囲で,テスト波形の再現性に大きな差異はなく,深さ方向の解像度はさほど高くないと言える.一方で,3Dモデルによるグリーン関数を使用した場合,入力と同じ深さに最適解が推定された.セントロイドの深さ15 – 25 km範囲でテスト波形の再現性が高く,内陸1Dモデルと比べて深さ解像度が改善した.海域1D構造モデルを用いたCMT解では,3Dモデルと同様の結果が得られた.以上より,海域特有の構造を考慮したグリーン関数を用いることで,CMT解のセントロイド深さについて浅い解を棄却できるようになることがわかった.一方で,テスト波形の計算と同じ3次元速度構造モデルを用いた場合でも,セントロイドの深さを拘束することは難しいことも明らかとなった.本解析に使用した周波数帯域 (20 – 100 s) においては,深さ15 – 25 kmの範囲では3次元構造を用いて計算されるグリーン関数間の差が少ないことが原因と考えられる.
著者
恩田 裕一 高 翔 谷口 圭輔
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

2011年の東日本大震災に起因して東京電力福島第一原子力発電所事故が起きたことにより,福島の周辺環境において放射性核種134Csや137Csが検出された.環境省は2011年8月から公共用水域について環境モニタリング調査を実施しており,2011-2012年環境省で取った底質サンプルは,多くの地点において減少傾向がみられるものの,増減にばらつきが非常に多く,場所によっては増加する地点も報告されている。従来の研究成果より,河川等の環境試料の時系列変化を解析する場合に,粒径補正を行うことが必要と考えられる。そこで,本研究では,それらの底質サンプルの粒径を分析することにより,粒度補正を施した後に河川の底質の実効減衰速度を考察した。 本研究によって,粒径補正前に見られて大きな変動は,ほとんど見られなくなった。また,時間とともに濃度が上昇している地点が,25地点から,7地点に減少した。底質における89個地域の減衰速度(λ)は平均1.15となり,河川底質の濃度減少傾向について解明することができた。さらに,福島県内の浮遊砂測定結果と比較すると,底質におけるCs濃度を粒径補正し懸濁態濃度を推定したところ,24地点の内,14地点で減衰変化が一致した。このことから,セシウムが河川中を流下する際の吸脱着により,多くの地点で懸濁態,底質,溶存態が平衡状態となっていることが推定された。
著者
外園 康智 長谷川 貴博 渡邉 知樹 馬目 華奈 簗 有紀子 谷中 瞳 田中 リベカ Mart'ınez-G'omez Pascual 峯島 宏次 戸次 大介
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、日本語・英語のテキストを論理式に変換し、自動推論を行う意味解析システムccg2lambdaの基本的な機能を解説し、特にこのシステムを金融ドキュメントの処理へと応用する試みについて紹介する。ccg2lambdaでは、統語・意味解析から推論までの各モジュールが明確に区別されており、統語情報・意味合成・意味表現をCCG導出木としてグラフィカルに表現する機能をサポートしている。このため、処理プロセスのどの部分で解析エラーが起こったのかを容易に同定することが可能である。ccg2lambdaの意味解析と推論システムについて紹介した上で、特に金融ドキュメントを対象とした含意関係認識と矛盾検知について具体例に基づいて説明する。
著者
萬年 一剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

関東地震は相模トラフを震源とする巨大地震で、地殻変動の検討から再来周期が180年から400年と考えられている。この再来周期が正しければ、最新は1923年大正関東地震であるので、歴史時代に数回の発生があったはずだが、1つ前の1703年元禄関東地震より前のものに関しては発生時期に定説がない。定説を持つに至らない理由は大きく分けて2つある。1つは、関東地震によって相模湾沿岸は隆起するものの、地震間の沈降によって、地震による隆起がほとんど残存しないためである。海岸地域の隆起履歴の解明には、海岸段丘の解析がもっとも有力であるが、正味の隆起量がほとんど無いこの地域においては、海岸段丘がないか、あっても貧弱かつ不明瞭で、十分な解析が出来ない。もう1つは、地震の記録はたくさんあるものの、被害の拡がりを把握するには至らず、地震の大きさの評価が難しいためである。地震の被害が少なくとも南関東全域に認められれば、関東地震である可能性が高くなるが、近世より前の歴史記録はほぼ鎌倉における被害に関する記述に留まる。神奈川県では、2011年の東日本大震災による津波被害を受け、沿岸における津波堆積物の有無を3カ年にわたって調査したが、その結果、海岸低地が陸化するプロセスと、その年代が明らかになった。このうち、鎌倉・逗子地域の海岸低地は6ka前後の内湾堆積物の上に、歴史時代の干潟堆積物が直接載り、それが河川堆積物や砂丘砂に覆われる、また、内湾堆積物と干潟堆積物の境界は現在の海水準付近にあるという共通した層序を有していることが判明した。しかし、干潟堆積物の年代は3グループに別れ、それぞれ18世紀、13世紀、9世紀を示す。これらはそれぞれ、元禄関東、1257年正嘉および1293年正応、878年元慶に近接している。また、古い干潟堆積物ほど、内陸側で検出された。干潟堆積物の形成過程は先行研究が乏しいが、高潮や洪水により堆積物は比較的短期間で入れ替わっているものと考えられる。干潟堆積物が地層中に残存するためには、隆起して高エネルギーの環境から離れ、浸食を免れる必要がある。したがって、干潟堆積物が古地震の年代に近接しているのは、地震による一時的な隆起とそれにより上位に河川堆積物や砂丘砂が堆積して波浪による浸食から保護された為であると考えられる。本研究は、正味の隆起量がほとんど無い海岸低地においても、隆起を伴う地震の履歴を、大量のボーリングと年代測定を元に解明できる可能性を示唆している。一方、この方法の信頼性を向上させるためには、干潟堆積物中の年代試料の年代分布など、海岸低地の地層形成過程に関する研究も併せて進行させる必要がある。【参考文献】Mannen, K., Yoong, K. H., Suzuki, S., Matsushima, Y., Ota, Y., Kain, C. L., & Goff, J. (2017). History of ancient megathrust earthquakes beneath metropolitan Tokyo inferred from coastal lowland deposits. Sedimentary Geology. https://doi.org/10.1016/j.sedgeo.2017.11.014
著者
吉田 聡 細田 滋毅
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

北西太平洋は冬季に爆弾低気圧が頻繁に発達する海域の中で最も深い海洋である。渦解像海洋大循環モデルによるシミュレーションは爆弾低気圧が急発達する際、海洋混合層内では強い発散が起こり、2000m深に達する湧昇流が励起されることを示している。しかし、通常の海洋観測網では爆弾低気圧に対する海洋応答を捉えることはできない。深い冬季混合層のため、衛星観測による海面水温では爆弾低気圧による変化は見えない。また、10日毎のアルゴフロート観測は1日程度の爆弾低気圧の急激な観測をするには長すぎる。そこで、爆弾低気圧に対する海洋応答を観測するため、北西太平洋でのアルゴフロートを用いた高頻度観測を2015/2016と2016/2017の2冬季(11月~3月)に実施した。今回用いたアルゴフロートは観測の時間間隔と観測深度を衛星通信によってリアルタイムに変更できる。気象庁の週間アンサンブル予報を元に、観測海域で爆弾低気圧が高確率で予測された場合には6時間毎、650m深までの観測を実施し、それ以外は1日毎、2000m深の観測を実施した。この観測で爆弾低気圧活動が活発な冬季北西太平洋域の1148本の水温・塩分プロファイルを観測し、そのうち73本が爆弾低気圧直下の海洋を観測していた。本講演では観測した爆弾低気圧のうち、発達率が最大だった2016年3月1日の事例についての解析結果を報告する。
著者
宇根 寛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

国土地理院は、2015年に内部に地理教育支援チームを設置し、地理教育、地学教育の支援に向けた課題の整理と国土地理院による教育支援のあり方を検討するとともに、具体的な取組みを進めてきた。高等学校に関しては、「地理総合」の必履修化や「地学基礎」の履修率の増加を踏まえて、多数を占める地理や地学を専門としない教員に対する支援が重要である。そのため、「地理教育の道具箱」のページの開設による教育現場に役立つ情報の提供、教員研修等への参加や教科書会社への説明会等を通じて国土地理院が提供する情報を知っていただくこと、地方整備局や気象台などと連携した防災教育の支援、電子基準点が設置されている学校での出前授業の実施などに取り組んでいる。特に、地理院地図を用いたさまざまな地図の重ね合わせや3D表示などは、地理、地学教育に効果が大きいことから、地理院地図の普及を積極的に進めている。さらに、より効果的な支援を行うためには、教員や地球惑星科学研究者、行政、地図やGISに関する民間団体などのさまざまな立場のステークホルダーのネットワークが構築され、情報、経験の共有や協働を進めることが必要である。
著者
宮嶋 敏 漆原 元博
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

現行学習指導要領における「地学基礎」の実施によって、前学習指導要領下で7パーセント程度であった地学の基礎科目の履修率は、約26パーセントへと急上昇した。このことは、高校教員が主に自分の専門科目しか教えないこととあいまって、地学を専門としない教員が地学の授業を担当するという事態をもたらした。 この事態に対応するべく、いくつかの地学教育団体では、そのような教員向けに教材や体制を整えて地学の授業支援を行っている。 本講演では、前半に教材や体制の紹介を行い、後半で地学を専門としない教員から授業実践の様子や授業支援への要望について報告する。
著者
矢部 優 武村 俊介
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

Moment tensor of medium to large earthquakes and its spatiotemporal distribution provides us important information about the fault plane where the rupture occurs and kinematic process of seismic rupture on the fault. Long-period (> 10 s) seismic waveform is often used for this purpose because they are less sensitive to three-dimensional and small-scale seismic velocity heterogeneities, where our knowledge is usually incomplete. Furthermore, high frequency seismic waveforms mostly loose source information due to the seismic scattering (summarized in Sato et al., 2012). However, revealing high frequency behavior of seismic slip is also important to understand the dynamic behavior of fault rupture. This study tries to develop the method for moment tensor estimation in high frequency band using synthetic waveforms, which considers three-dimensional large- and small-scale heterogeneities. As a first step of this development, we develop grid-search focal mechanism estimation method, assuming double-couple source, by fitting seismogram envelope of target events, which is expected to be applicable for higher frequencies rather than fitting raw waveform. Before analyzing observed data, we conduct a series of synthetic tests to confirm the applicability of the method and resolutions of the estimation. The synthetic waveform is calculated using the parallel finite difference code developed by Takemura et al. (2015). The seismic source is set in Kii Peninsula as representing low frequency earthquakes. The three-dimensional background velocity structure is the JIVSM (Koketsu et al., 2012), including large-scale seismic velocity heterogeneity and topography. The small-scale random velocity heterogeneity model of Takemura et al. (2017) is embedded over the continental crust of the JIVSM. Target seismic waveform is filtered in four frequency bands (0.2-1 Hz / 1-2 Hz / 2-4 Hz / 4-8 Hz), and its focal mechanism is estimated by grid search in (strike, dip, rake) space by fitting its envelope with the synthetic stacked envelope waveforms in 5 s time windows around S-wave arrival. Our synthetic tests reveals following points. (I) When the seismic structure is correct, envelope-fitting focal mechanism estimation is well applicable up to 2-4 Hz, and could be applicable to 4-8 Hz. When one-dimensional structure of F-net (Kubo et al., 2002) is used, the estimated focal mechanism is significantly biased even in lower frequency band and not constrained in higher frequency band. There is strong trade-off in the focal mechanism estimation between strike and rake. (II) The focal mechanism estimation is highly sensitive to the assumed hypocentral location. When the assumed epicenter is 0.1º shifted from the true position in each direction, the fitting residual becomes significantly worse. When the assumed depth is shifted from the true position at the plate interface by a few kilometers, shallower shift makes fitting residual worse and biased. (III) The difference in the source time duration from 0.1 s to 1.0 s or the shape of source time function does not vary the fitting significantly. (IV) Isotropic components as non double-couple components of target events do not influence the fitting much because we use only S-wave time window. On the other hand, the contamination of a few tens percent of second double couple component affects the fitting results. (V) The analysis can be applicable to the contamination of random noise with the amplitude up to about one-thirds of signal amplitude.
著者
吉本 和生 武村 俊介
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

はじめに関東平野では,その周辺における浅発の中・大地震の発生に伴って周期数秒以上のやや長周期地震動(以下,長周期地震動)が観測され,その振幅や継続時間は大規模で複雑な堆積盆地構造の影響で場所によって大きく異なる.この特徴は,関東平野での長周期地震動の正確な予測を,国内の他の平野と比べて著しく困難にしている.その一方で,首都圏における地震防災上,石油タンクや超高層建築物などの安全対策に資するための長周期地震動予測の高度化は喫緊の課題とされている.そこで本研究では,関東平野における長周期地震動即時予測の可能性について検討した.即時予測の方法は,表面波の励起・伝播に関わる堆積盆地の応答関数を事前に評価しておき,堆積盆地外部の地震動記録にもとづいて堆積盆地内部の長周期地震動を予測する方法(例えば,Nagashima et al. 2008)とした.試行的に地震動シミュレーションの計算波形(速度波形,周期3-20 s)を解析データとし,調査研究の対象地域は関東平野の中北部とした.長周期地震動シミュレーション浅発の中規模地震による長周期地震動の発生を模擬した3次元差分法による地震動シミュレーション(Takemura et al. 2015)を実施した.2013年2月25日の栃木県北部の地震(Mw 5.8)を対象に,発震機構にはF-netカタログの値を利用し,震源の深さを0.5~16 kmの範囲で変化させて,K-NET/KiK-netおよびSK-netの観測点における速度波形を合成した.堆積層と地震基盤以深の地震波速度構造モデルには,増田・他 (2014)モデルとJIVSM(Koketsu et al. 2012)をそれぞれ使用した.応答関数本研究では,長周期地震動に関わる堆積盆地の応答関数を,関東堆積盆地北縁部で震源からほぼ南に位置するSK-net のTCH2観測点(栃木県足利市,基準観測点とする)における計算波形を入力,その他の盆地内部の観測点(盆地北端から50 km程度まで)の計算波形を出力とみなして評価した.簡単のため,長周期地震動を引き起こす地震波は震央から南方向に伝播するものと仮定し,応答関数は地震動の共通成分(上下成分-上下成分など)毎に評価した.応答関数の計算にはウォーターレベル法を使用した.評価した応答関数の特徴には,成分毎に大きな差異がみられた.東西成分の応答関数の形状(振幅・位相の時間変化)は単純であり,孤立的な波束には明瞭な正分散がみられた.一方,上下成分と南北成分の応答関数の形状は複雑であった.これらの特徴は,解析対象とした観測点配置では,東西成分にはLove波の基本モードの伝播特性,上下成分と南北成分にはRayleigh波の基本モードと高次モードの伝播特性が反映されているためと考えられる.応答関数への震源の深さの影響は,東西成分では比較的小さく単純であるものの,上下成分と南北成分では振幅と位相に大きな変化がみられ評価が簡単でないことが明らかになった.長周期地震動即時予測の数値実験上記の応答関数を使用して,K-NETのSIT003観測点(埼玉県久喜市)を対象とした長周期地震動即時予測の数値実験を行った.同観測点は,関東堆積盆地の北端から20 km程度,地震基盤深度3 km以上の場所に位置している.数値実験では,震源の深さを8 kmとして求めた応答関数を使用して,震源の深さが異なる場合(0.5~16 km)に長周期地震動をどの程度正確に予測できるか評価した.その結果,東西成分の応答関数を用いた数値実験については,震源の深さによらず長周期地震動をほぼ正確に再現できた.このことは,Love波に起因する長周期地震動については,応答関数を用いた即時予測が可能であることを強く示唆している.今後の研究課題としては,他の地震を解析対象に含めた同様の検討,リアルタイムでの長周期地震動予測の検討などがある.謝辞本研究では防災科学技術研究所のK-NET/KiK-netのデータおよびF-netのMT解を使用しました.また,首都圏強震動総合ネットワークSK-netのデータを使用しました.地震動シミュレーションには東京大学地震研究所地震火山情報センターのEIC計算機システムを利用しました.