著者
笠置 遊 大坊 郁夫
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.95-104, 2019 (Released:2019-03-26)
参考文献数
32

本研究の目的は,複数観衆問題に直面したとき,どの観衆に対しても呈示することのできる共通特性について自己呈示を行うことが,呈示者の個人内適応と対人適応に与える影響を検討することであった。参加者76名を対象に,複数観衆問題の生起と共通特性の自己呈示の有無を操作したスピーチ実験を行い,参加者の状態自尊感情の変化(個人内適応)を検討した。さらに,5名の評定者に参加者のスピーチ映像を呈示し,参加者の印象(対人適応)を評定させた。その結果,複数観衆状況で共通特性の自己呈示を行わなかった参加者は,実験前と比較し実験後における状態自尊感情が他の条件の参加者よりも低下し,印象評価もネガティブであった。一方,複数観衆状況で共通特性の自己呈示を行った参加者と統制条件の参加者の状態自尊感情の変化量及び印象評価に有意差は見られなかった。最後に,複数観衆問題の解決法として共通特性の自己呈示がいかなる有効性をもつのかについて議論した。
著者
丸山 倫世
雑誌
表現文化
巻号頁・発行日
no.7, pp.14-42, 2013-03

序論 : 問題意識 : 以下に引用するのは、2000年代前半に発表されたふたつの小説の冒頭である。 / 辻ちゃんと加護ちゃんが卒業らしい。まだ眠たい目で食卓に座ってミルクティーをすする俺の位置からは、父親がリフォーム番組に触発されてつくったくつろぎスペースとやらにあるテレビが遠くに、ほぼ真横を向いて、画面が三センチほどしか見えないのだが、加護ちゃんがあの可愛らしい声で今後の抱負らしきことを語っているのが聞こえたので、まぁ多分卒業なんだろう。(3 頁) / サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかと言うとこれは確信をもって言えるが最初から信じてなどいなかった。(5 頁) / 前者が白岩玄の『野ブタ。をプロデュース』(河出書房新社、2004年11月)、後者が谷川流の『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川スニーカー文庫、2003年6月)である。いずれの作品も後に映像化されて人気を博したから、広く受容されたと言ってよい。引用部分からわかるように、この二作は一見非常によく似た読後感をもたらす。まず物語の舞台が高校であり、登場人物の高校生どうしの交流によって物語が展開することがその要因のひとつであろうし、また、コミカルでまんが的な人物が多数登場することもそうした印象の一因である。しかし最大の要因は、引用部分の調子で延々とテクスト全体を覆い尽くす軽薄でコロキアルな文体であろう。……
著者
吉田 孝夫
出版者
大谷学会
雑誌
大谷学報 (ISSN:02876027)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.29-51, 2005-06
著者
實原 隆志
出版者
情報法制学会
雑誌
情報法制研究 (ISSN:24330264)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.46-56, 2018

Bei der letzten Präsidentschaftswahl in den Vereinigten Staaten sowie bei dem „Brexit-Referendum" im Vereinigten Königreich wurden die Sozialen Netzwerke häufig genutzt. Demzufolge hat die deutsche Bundesregierung kurz vor der Bundestagswahl 2017 ein Gesetz entworfen, das die Betreiber von Sozialen Netzwerken in die Verantwortung nimmt, und dieses „NetzDG" genannte Gesetz wurde noch im selben Jahr beschlossen und in Kraft gesetzt. Das NetzDG verpflichtet Betreiber großer Netzwerke, die die im Gesetz festgelegten Kriterien erfüllen, zur Umsetzung von Verfahren im Umgang mit Beschwerden über Inhalte, die im Sinne dieses Gesetztes rechtswidrig sind, und es schreibt eine Prüfung sowie ggf. eine Löschung dieser Inhalte vor. Falls ein Betreiber nicht halbjährlich über den Umgang mit Beschwerden berichtet, oder falls er kein Beschwerdeverfahren sowie Prüfungs- und Löschungssystem implementiert, soll dies als Ordnungswidrigkeit geahndet werden, für die Bußgelder von bis zu 50 Millionen Euro verhängt werden können. Aber es gibt auch viel Kritik am NetzDG, wobei sich die Kritik z.B. an der starren sowie kurzen Zeitspanne für die Prüfung einer (klaren) inhaltlichen Rechtswidrigkeit entzündet oder an der Möglichkeit, dass selbst bei einer Fehleinschätzung ein Bußgeld verhängt werden kann. Wären die „Schwellenwerte" für die in den „Bußgeldvorschriften" festgelegten Bußgelder hoch angesetzt, könnte man vielleicht der Kritik am NetzDG etwas entgegensetzen, aber die Regelungen lassen selbst bei leichten Verstößen gegen das NetzDG Bußgelder zu. Vorschriften dieser Art können dazu führen, dass Betreiber Inhalte löschen, selbst dann, wenn gar nicht klar ist, ob es sich um einen Gesetzesverstoß handelt. Zweifel am NetzDG bleiben daher angebracht, insbesondere aufgrund der Gefahr des „Overblocking".
著者
宮永 孝
出版者
法政大学社会学部学会
雑誌
社会志林 (ISSN:13445952)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.100-72, 2016-07
著者
武田 有希 大沢 愛子 前島 伸一郎 西尾 大祐 木川 浩志
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.17-24, 2011-01-25 (Released:2011-01-26)
参考文献数
18
被引用文献数
9 6

回復期リハビリテーション(リハ)病棟における摂食嚥下障害の予後について検討した.対象は,発症1カ月の時点で経管栄養の患者47名(脳出血17名,脳梗塞19名,くも膜下出血11名)で,平均年齢は71.0±12.6歳であった.これらの患者の背景因子,身体機能,認知機能,嚥下機能,日常生活活動(ADL)を評価し,退院時に3食経口摂取の患者(経口群)と,経管栄養の患者(非経口群)の2群に分け比較した.また,原因疾患と嚥下障害の経過を検討した.その結果,経口群は非経口群に比べ年齢が若く,在院中の身体機能,認知機能,嚥下機能,ADLの改善が大きかった.脳出血の患者は発症6週から急速に改善したが,くも膜下出血の患者では発症後8週頃より改善した.以上から,脳卒中の嚥下障害の予後を考える上で,疾患による差に留意し,嚥下のみでなく身体機能,認知機能を高めるような訓練の継続が必要だと考える.
著者
牧野貴樹著
出版者
暗黒通信団
巻号頁・発行日
1996
著者
入江 智也 横光 健吾 北田 隆義 中江 重孝
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.163-174, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本報告は、抑うつ気分を訴え来院した32歳男性に対し、医療機関においてアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)に基づく介入を実施した症例報告である。過去の出来事に対する後悔や将来の悲観に伴い、機能的な活動が制限されていると考えられたため、マインドフルネスを中心としたトレーニングを行った。しかしながら、突発的なストレッサーに伴い、希死念慮を含む抑うつ症状の悪化が認められたため、薬物療法を含む希死念慮に対する介入を行った。このことから、不快な私的体験のコントロール・アジェンダが維持または強化されている可能性が考えられたため、改めて創造的絶望のプロセスを実施したうえで価値のワークの介入を行った。その結果、再就職をはじめとした活動レパートリの増加が認められ、結果として症状の緩和が認められた。本事例から、医療機関においてACTを適用するための必要条件について考察する。
著者
吉本 裕史
出版者
名古屋言語研究会
雑誌
名古屋言語研究 (ISSN:18818072)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-38, 2020

本稿は現代語の副詞「ちゃんと」の機能について考察する。従来、「ちゃんと」は様態の副詞として記述されることが多い。しかし、様態の副詞とは異なる「ちゃんと」の機能を指摘する先行論も存在し、「ちゃんと」は多機能語であることが考えられる。そこで、本稿では、先行論が指摘した「ちゃんと」の機能に注目し、統語的条件をもとにI型とII型を設定する。そして、実際の用例をI型とII型に分類し、それぞれの確例について分析する。結論として、先行論がその位置づけを定めていなかったII型を、評価成分に相当するものとして位置づける。また、「ちゃんと」は、様態の副詞と評価の副詞の、連続的な様相を示す副詞であることを述べる。
著者
小藪 明生 山田 真茂留
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.536-551, 2013-03-31 (Released:2014-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

本稿の目的は, ハイ・カルチャーとの関係性のもとで, ポピュラー・カルチャーの意味をあらためて問い直すことにある. ポピュラー・カルチャーがその内部で制度化や多様化を遂げると, そこから大衆的・対抗的な意味が剥落し, その結果, かつてのハイ・カルチャーのような様相を呈しがちになる. その一方, ハイ・カルチャーが制度的・市場的な力に乗って社会に浸透していくと, それは大衆受けするようになり, ポピュラー・カルチャー寄りの存在と化していく. こうして今日, この2つの間の境界はきわめて曖昧なものとなった.そしてそのハイ=ポピュラー間の分節の稀薄化は, 文化生産ならびに消費の現場では文化的雑食として立ち現れることになる. 本稿では, ミネソタ管弦楽団アーカイヴズの諸資料を用いて, オーケストラ芸術におけるクラシックとポピュラーの関係性を文化生産論的に抉り出すとともに, 社会生活基本調査 (総務省) のデータに直接当たり, 人々の文化的嗜好の現実に迫る作業を行った. これによりあらためて確認されたのは, 文化の生産の場でも消費の場でも雑食性が広く浸透しているという実態にほかならない. ただし文化的雑食と言っても, それは一枚岩的な現象ではけっしてない. 本稿最後では, ポピュラー・カルチャー研究の今後の課題の1つとして, 文化的雑食性の多彩な様相を比較社会学的に見極めていくことの重要性が示唆される.
著者
石原伸幸
出版者
外務省
雑誌
外務省調査月報
巻号頁・発行日
vol.2009年度, no.4, 2010-03-25
著者
高垣 忠一郎
出版者
国土社
雑誌
教育 (ISSN:03869938)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.p15-24, 1994-03