著者
谷川 多佳子
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.12, pp.41-60, 2013

ライプニッツ(1646-1716)はデカルト(1596-1650)より50 年後にドイツで生まれた。17世紀後半のヨーロッパは、アカデミーや学問のさまざまな分野でデカルト主義が大きく浸透していた。ライプニッツはデカルト哲学に強い関心をもち、若い頃のパリ滞在期には熱心にデカルトの稿を収集した。しかしライプニッツの哲学は、デカルトとは異なる多様な視点を有し、デカルト主義を超える業績をさまざまな領域で示していく。以下、本稿では次の3 つの問題設定から、ライプニッツ哲学の特徴、独自性を、とくにデカルト哲学との対比、ライプニッツのデカルト主義批判を通して明らかにしていく。(1)力学における力の保存の問題について、デカルト、マルブランシュへの批判を通してライプニッツは形而上学や生命論にもつながる「力」の概念を確立する。(2)1695 年以降、『新たな説』から『モナドロジー』にいたるモナド論で、とくに魂と表象について、デカルトとの大きな差異があらわれる。(3)魂と生命について、当時の生物学や医学との関連を探りつつ、ライプニッツの生命論の意味を考察する。 Leibniz(1646-1716) was born in Germany 50 years after Descartes(1596-1650). In the late 17th century of Europe, Descartes' philosophy and science pervaded the academic world and various other elds. Leibniz had a strong interest in Cartesian philosophy in his youth, eager to collect the drafts of Descartes when he stayed in Paris for about three years. In the formation of his philosophy, Leibniz had a variety of di erent perspectives, and exhibited them in various areas, exceeding the Cartesian sciences. From the three problems set out below, we try to clarify the original features of the philosophy of Leibniz, in contrast with Cartesian philosophy.(1)Power conservation in mechanics: Leibniz established the concept of power by criticizing Descartes and Malebranche.(2)Reading "Monadology"(1714) and "New theory"(1695), we study the problem of representation and soul, and thus show the di erence between Descartes and Leibniz.(3)Life and soul: while exploring the relationship between biology and philosophy at the time, we consider the meaning of the life theory of Leibniz.
著者
安達 智史
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.433-448, 2009-12-31 (Released:2012-03-01)
参考文献数
27

グローバル化の進展は,先進諸国において移民やエスニック・マイノリティを増加させている.それにともなう文化的多様性の増大は,ホスト社会に対し,社会的・経済的に寄与するとともに,マジョリティの存在論的不安と社会的緊張を高めている.従来,文化的多様性は,多文化主義によって積極的に議論されてきた.だが,文化的多様性の承認は,社会の結束の膠にかわとならず,逆に人々の不安を増大させるものとして批判されている.現在,社会的結束と文化的多様性の両立という問題が,政策的・哲学的な課題として浮上している.社会的結束と文化的多様性の両立のためには,それらの漸次的な融和が不可欠である.一方で,文化的多様性を抑制しつつ共通の「所属」の感覚を高め,他方で,多様化する環境に人々を馴致させ,差異を「安全/安心」なものとして提示することである.本稿は,イギリスの社会統合政策を,所属と安心/安全についての2つの方策の関係とその変化に焦点を合わせ,分析するものである.具体的には,戦後からサッチャー政権以前(1948-79年),サッチャー以降の保守党政権(1979-97年),そして新労働党政権(1997年- )という3つの時期に区分し論じる.とりわけ,シティズンシップとブリティッシュネスという観念を機軸に据える,新労働党の新たな社会統合政策と哲学に着目する.それにより,ポスト多文化主義における社会統合の1つの形式を提示する.
著者
太子堂 正称
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2008-03-24

新制・課程博士
著者
福谷 茂
出版者
京都大学哲学論叢刊行会
雑誌
哲学論叢 (ISSN:0914143X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.102-110, 2000-09-01
著者
羽入 辰郎
出版者
青森県立保健大学研究推進・知的財産センター研究開発科雑誌編集専門部会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.21-28, 2010-12

ソクラテスはなぜアテナイ市民から死刑判決を受け、殺されたのであろうか?魂は何度となく生まれ変わっているのであり、だから何が真理であるかを魂は実は全て知っているのであり、ただ忘れているだけなのである。だから、それを思い出させてやればいいだけなのである、というソクラテスの想起説がもし本当に正しかったとするならば、なぜソクラテスは対話相手から憎悪されたのであろうか?ソクラテスは自分が真理と思っているものを相手に無理に押しつけたわけではない。真理は元々相手の心の中にあったのである。ソクラテスはそれを引き出したに過ぎない。鍵は、忘れていたかったことを思い出させたということにある。忘れたという形で覚えているというこの微妙な自己欺瞞にある。本稿ではキルケゴ−ルの『哲学的断片』を用い、なぜソクラテスは相手から憎悪を引き出してしまったのか、この問題を探る。Why was Socrates executed? In this paper I consider this problem with reference to Kierkegaard's "Philosophical Fragment". If Socrates' theory of recollection was correct, it is difficult to understand why Socrates was hated by his partner in dialogue after helping to remember the truth which was only sleeping in his mind. Here Kierkegaard's point that man opposes the truth is very helpful. Manforgets the truth because he wants to forget it. But Socrates compels him to remember the truth, so the partner is angered by Socrates who breaks the good balance of remembrance and forgetting. Perhaps, strange as it may sound, man has to remember the truth in order to forget it. In order to forget the truth, man always needs to watch it carefully so that it may not rise to the surface of hisconsciousness. Even Socrates had a fear of the fury of his partner, but Socrates endured it and continued his dialogue. Usually we learn to hold our tongue to tell the truth in front of the subtle angry look which comes over the partner's face. It is a social rule of mankind. But Socrates disregarded this fundamental rule, so he was sentenced to death.
著者
野口 裕二
出版者
医学書院
雑誌
看護学雑誌 (ISSN:03869830)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.940-945, 1999-10-01

はじめに 「ナラティヴ」(narrative)という言葉が注目されている.「物語」とか「語り」を意味するこの言葉が,病いや悩み,そして自己や人生とは何かを考える際の重要なキーワードとなりつつある. ナラティヴはもともと文学領域のことばだったが,その後,哲学や文化人類学で注目されるようになり,80年代後半から精神医療や家族療法などの臨床領域でも注目されるようになった.とくに家族療法の領域では,ナラティヴ・セラピーと呼ばれる新しい考え方が90年代以降,中心的な流れとなりつつある.

1 0 0 0 OA 欧米風景集

著者
井上円了 編
出版者
哲学館
巻号頁・発行日
1903
著者
ジャクソン トーマス バトナー アシュビー・リン 中川 雅道
出版者
大阪大学大学院文学研究科臨床哲学研究室
雑誌
臨床哲学 (ISSN:13499904)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.110-134, 2015-03-31

原著者:ジャクソン, トーマス / バトナー, アシュビー・リン
著者
西尾 浩二
出版者
京都大学西洋古代哲学史研究室
雑誌
古代哲学研究室紀要 : HYPOTHESIS : The Proceedings of the Department of Ancient Philosophy at Kyoto University (ISSN:0918161X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.41-53, 2006-06-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。