著者
栗山和子
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2013-IFAT-112, no.3, pp.1-8, 2013-09-19

本研究では,国立大学の附属図書館が Twitter をどのように利用しているのか,簡単な実態調査を行い,大学図書館の PR ツールおよびサービスツールとしての Twitter の有効性について考察した.まず,全ての国立大学の附属図書館について,Twitter のアカウントを収集し,ツイートの発言者の属性をプロフィールや図書館の公式サイトを用いて公式アカウントを同定した.次に,TwitterAPI を用いて,各アカウントのユーザ情報およびツイート 100 件を抽出し,その内容をいくつかのカテゴリに分類した.結果として,大学図書館のツイートの内容は,従来の館報や掲示による広報の範囲内に収まっており,双方向的なやりとりやリツイートによる情報拡散などの Twitter の特性を十分活用しているものではなく,主に簡易的な広報ツールとして使用されていること,また,公式アカウントがフレンドとしてフォローしているユーザの 4 割はフォロワと重複しており,必ずしも,Twitter 上での有用な情報源をフレンドとして登録しているわけではないことなど,まだ,大学図書館の Twitter 利用には課題が多いことがわかった.
著者
新井誠也 平川豊 大関和夫
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2013-IFAT-112, no.1, pp.1-8, 2013-09-19

マイクロブログサービスの Twitter が注目を集めている.Twitter が持つ特徴の 1 つにリアルタイム性に優れていることが挙げられるが,近年ではその特徴を生かし,実世界で起きているイベントを Twitter から観測しようとする研究が活発に行われている.本研究では,列車の遅延というイベントに焦点を当て,鉄道利用者から発信されるツイートをもとに各路線の列車の運行状況を判断するシステムを提案する.加えて,リアルタイム性の観点からシステムの有効性を確認する.遅延検出の閾値を,実際の遅延発生時における単位時間当たりのツイート数と各路線・各時間帯の鉄道利用者数を考慮して定める.その結果,鉄道会社の公式運行情報よりも早く列車遅延の第一報を配信可能としたことを示す.
著者
濱野 健
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.11, pp.77-98, 2013-03

近年国内外で大きな社会問題としてとりあげられている、国際結婚の破綻とその後の子どもの養育や面会交流といった問題、とくに日本の「ハーグ条約」加盟問題をとりあげている記事を対象とし、メディア・フレーム分析を試みた。2013年初頭までに国内の主要全国紙で掲載された該当記事を分析対象とし、その報道フレームの時系列的な変化だけではなく、類型化した四つのそれぞれのフレームの相互参照関係についても注目した。
著者
森 順子
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
no.2, pp.31-43, 2011-11-15

シェイクスピアは『ジョン王』、『リチャード三世』、『コリオレーナス』において未熟な母親を描いている。未熟さはわが子との関係において生じる。いずれも未熟さに対し無自覚に生きた母親たちである。自分のこころを省みることのない母親は、こどものこころを慮ることもできない。しかし、この未熟な母親をこどもは受けとめる。そのこどもの姿をとおして見えてくるものがある。シェイクスピアの視線である。未熟な母親を切り捨てず、一人の人間として見つめる視線である。愚かな生き方をしてしまった人間に対する憐憫のこもった視線である。母子関係の観点から未熟な母親像を考察する。
著者
横井俊夫
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.46(1978-PRO-007), pp.1-12, 1979-03-16
著者
米倉 裕希子 作田 はるみ 尾ノ井 美由紀
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.77-84, 2013-03

これまでの障害児の家族研究は親の障害受容が中心的課題であり,親は子どもの障害にショックを受けながらも,再起に向かうというプロセスを踏むといわれてきた.しかし,受容の定義が曖昧で,科学的な検証がなされないまま一方的に家族に受容を押し付けてきた.このような問題意識にたち,すでに統合失調症患者の家族研究で確立されている家族の感情表出(Expressed Emotion,以下EE)研究に着目し,科学的かつ客観的手法を用いた家族研究を行ってきた.本研究では,幼児と学齢児の子どもの家族のEEおよびQOL の違いについて比較し,発達段階における家族支援のあり方について示唆を得る.【方法】EE評価には,簡便な質問紙であるFamily Attitude Scale(FAS)を,QOL 評価にはSF-36v2 を使用した.【結果】分析対象者は,幼児の家族8名,学齢児の家族32 名だった.幼児および学齢児の家族の2群で,FASおよびSF-36v2 の下位尺度それぞれにおいて,独立したサンプルのt検定をおこなった.FAS では有意な差はなかったが幼児の家族は学齢児の家族より低い傾向がみられた.一方で,QOL は全般的に学齢児のほうが幼児より高く,下位尺度の「全体的健康感」では有意に低かった.【考察】先行研究では,EE と子どもの行動上の問題との関連が示唆されている.幼児期では,子どもの行動特性や行動上の問題があまり表出されておらず,EE が低い傾向にあると思われる.一方で,QOL の全ての項目で学齢児の家族は幼児の家族より高く,「全体的健康感」では明らかに高かった.これは,幼児期より継続的にサービスを利用してきたことが影響していると推察される.以上の結果から,これまで言われていたようなショックから再起へという一方向的なプロセスを踏むのではないことが示唆された.しかし,対象者数が少ないため,一般化は難しく今後追試調査が必要である.
著者
吉川 舜亮 石田 貴士 関嶋 政和 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.1, pp.1-7, 2013-06-20

近年,次世代シーケンサの開発により大量のゲノム情報を高速かつ低価格で読み取ることが可能となった一方で,一度に読み取ることができるリードの長さが第一世代のシーケンサが数百塩基であるのに比べて第二世代以降のシーケンサでは数十から百数十塩基と短くなっており,それに伴って様々なショートリード向けのアセンブラが考案されている.本研究では,まず高速,省メモリのアセンブラとして近年提案された Sparse Assembler の性能評価を行い,主に最大メモリ使用量,実行時間の面で優れる一方で,出力されるコンティグの質は他のアセンブラに劣ることを確認した.そこで本研究では多くの研究で使用実績のある Velvet にこのアルゴリズムを適用することで,Velvet のアルゴリズムを基本としながらも従来のものより短時間かつ少ないメモリ使用量のアセンブラを実装することを目指した.
著者
阿部ちひろ 伊藤彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-96, no.3, pp.1-6, 2012-08-02

本稿では,Ngram 言語モデルをもとに歌詞候補文を生成する作詞補助システム 「patissier」 への実装を想定した,歌詞テキストの特徴分析結果を報告する.作詞においては,音韻やアクセントなど技巧的な側面の考慮とともに,楽曲のテーマや歌詞のストーリー設定も重要な要素である.より歌詞らしい候補の生成を目的として,コンテンツ投稿サイト 「ピアプロ」 に投稿された歌詞テキストを用い,一般に歌詞らしさと呼ばれる特徴の定量的検討を行った.また,CSJ (日本語話し言葉コーパス) や blog 記事との比較から,主に使用される単語の違いにより,歌詞とその他の文章は統計的に区別可能であることが示唆された.さらに,3 種類のモデルを用いた歌詞生成実験により,それぞれ異なった傾向を持つ文が生成されることが確かめられた.
著者
追川 修一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1153-1164, 2013-03-15

近年,不揮発性のnon-volatile(NV)メモリの性能向上が著しく,高速化,大容量化,低価格化が進んでいることから,それらをメインメモリとして用いる研究,またストレージデバイスとして用いる研究が,それぞれ別個に行われてきた.しかしながら,メインメモリおよびストレージの両方としても用いることのできるNVメモリは,その両方を融合できることを意味する.融合により,メインメモリとして使用できるメモリ領域が増加し,これまでメインメモリ容量を超えてメモリ割当て要求があった場合に発生していたページスワップが不要になることで,システムの処理性能が向上する.本論文はLinuxを対象とし,NVメモリから構成されるメインメモリとファイルシステムの具体的な融合方法を提案する.そして,Linuxをエミュレータ上で実行する評価実験を行い,融合が可能であること,また性能面でも有効であることを示す.
著者
大橋 正
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.6, pp.1-8, 2013-05-20

初期のコンピュータのハードウェア設計段階では文書に記載された回路図を基として論理ゲート間を配線でリンクした Linked logic が適用されていた.そのコンピュータは人とワイヤーを介して操作パネルでコミュニケーションを行い運用・保守を行った.その後インターネットを介し,コンピュータと人がコミュニケーションをなして運用・保守をした.一方,コンピュータの設計図面等の文書は紙媒体で閲覧・管理されて以来,HTML などのハイパーメディアで閲覧・管理をするようになった.更に今日ではクラウドの普及と Android のスマートフォン等の出現により,利用者が固定しているか否かに関わらず多種多様の電子機器に関わるハードウェアやソフトウェアの運用,保守,閲覧,管理等の情報を Android はインターネットにより膨大なビッグデータとして取込める様になってきた.この膨大なビッグデータから,必要な Android のハードウェア・データやソフトウェアデータを Android で入手し,運用,保守,閲覧,管理等を従来よりも高機能化する方法として Web Linked Data を導入し,最適なシステム設計に役立たせる期待が生じてきた.本論は Android を情報システムと組込みシステムの両面から捉えて設計する eALD(embedded Android with Linked Data) システムを念頭に置いて,Web Linked Data の Android 系設計への適用を考察する.
著者
並木勁汰 福田浩章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.5, pp.1-8, 2013-05-20

無線センサネットワーク (Wireless Sensor Networks: WSN) は,センサデータを取得できる複数のノードによって構成される無線ネットワークである.WSN を構成するノードは電源が有限であり,省電力を実現するためにノードの計算資源が極小に抑えられている.したがって,複数のアプリケーションを運用する際,必要なノードに対してのみプログラムを配備する必要がある.また,アプリケーションの稼働場所を変更する場合,プログラムの配備場所を変更する必要がある.WSN ではアプリケーションの開発者がプログラムの配備場所を把握した上でプログラムを記述しなければならない.特に,プログラムの移動を考慮しなければならないモバイルエージェントアプローチではそれが困難である.本研究では,WSN におけるプログラム間通信に起因する煩雑さを改善するため,分散ハッシュテーブルによるプログラムの位置管理を行い,プログラムの配備場所を取得できる機構の提案と実装を行った.また,プログラム位置管理機構によるプログラム位置情報探索のシミュレーションを行った結果,比較的少ない消費電力での位置情報取得が可能であることが確認できた.
著者
谷川 郁太 福山 祐哉 渡辺 晴美
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.4, pp.1-6, 2013-05-20

本稿では,組込みソフトウェア教育のためのソフトウェア開発事例について紹介する.教材の要件は,学生が容易にプログラム可能であること,様々な開発環境や通信方式に対応できることである.さらに教育システムは様々な用途で用いられることから発展性が求められる.これらの要件を満たすために,本開発では 2 つの工夫を施した.まず,学生は C 言語風のスクリプトを記述し,C# の.net フレームワークで動作するシステムを開発した.また,様々な開発環境や通信方式に耐え,発展性を加味するために,通信プログラムの継承機能とプラグイン機能を用意した.
著者
張 碩 紫合 治
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.3, pp.1-8, 2013-05-20

システムの要求分析に UML を適用することがあるが,UML はもともとシステムの解決策を検討するツールであり,初期の分析では解決策ではなく問題そのものを扱う 「プロブレムフレーム」 が有効に使える.プロブレムフレームではもとの問題をいくつかのサブ問題に分割することを推奨するが,サブ問題の規定の仕方,その振舞いの規定方法については特に明示されていない.ここでは,プロブレムフレームのサブ問題の規定にシーケンス図を使う方式について述べ,この方式を支援するシステムについて説明する.