著者
平野 剛 木下 博
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-107, no.46, pp.1, 2015-05-16

12 名のプロ奏者を対象に,フレンチホルン演奏時のマウスピースを唇に押し付ける力を計測した.演奏する音が高いほど,マウスピースを唇に押し付ける力は強くなった.特に高い音を演奏した時のマウスピースを唇に押し付ける力は,個人間で 20N 以上の差が生じていた.これらの結果からマウスピースを唇に押し付ける力は,音の高さの制御に重要であることが示唆された.
著者
末永 高志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.672-673, 2023-11-15

深層学習自体は,非常に単純な原理をもとにした多くのアイディアを組み合わせて実現したものであり,本書ではそれらを一つひとつ丁寧に解説したものである.機械学習を体系的に学べる良書は多数あるが,パーセプトロン,多層パーセプトロン,深層学習と,単純なものからより複雑なものへと積み重ねるように解説がなされるため,この1冊を通読することで流れるように理解できる内容になっている.
著者
朱 文昌
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.654-659, 2023-11-15

情報の授業において知的財産や権利について学習する際に,模擬裁判(法教育の要素)を取り入れた.生徒は原告,被告,弁護士,裁判官の役に分かれ,各立場をロールプレイしながらプレゼンすることで,知的財産権の概念理解,権利のバランス,取り扱いを意識する.そして考察・判断を行うことで,自分事として学習することを目標とした授業実践である.
著者
小沢 一雅
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2010-CH-87, no.1, pp.1-6, 2010-07-24

古事記・日本書紀における年代表記の基本は,60 年周期の干支年である.日本書紀は編年体で記述されているため年代の記述に欠損はないが,古事記は多くの天皇の崩御年 (崩年) の干支年が欠落していることもあり,絶対年への換算が唯一にできないという問題がある.とくに,日本古代におけるキーパーソンである崇神天皇の崩年を,古事記は戊寅年としているが,これを絶対年に換算するに際して,主として 318 年説と 258 年説の 2 つの説がある.本稿では,両説ともに大きな矛盾をはらんでいることを明らかにする.
著者
出村 洋介 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.111-118, 2023-11-10

経験の多様性と不偏性は強化学習エージェントの性能や頑健性を向上させるが,大きな計算コストなしにそれを実現するのは困難な場合がある.多くのチェスライクゲームやオセロなどでは,初期状態(初期局面の駒配置等)が固定されていて 1 通りしかないため,AlphaZero スタイルの強化学習を行う場合,エージェントは似たようなエピソードや棋譜を経験しがちである.本論文では,この課題に対応するため,将棋の初期局面を拡張した「将棋 81 万」を提案し,将棋における有効性を実験的に評価する.「将棋 81 万」は,チェス 960 [1] と同様に駒の初期配置を一定の制約のもとでランダムにシャッフルして作成された将棋の初期局面集である.我々は,Gumbel AlphaZero の手法で 1000 万局の自己対局を行って様々なエージェントを訓練する実験を行い,最初に将棋 81 万で事前学習を行った後に通常の将棋に適応学習させたエージェントは,通常の将棋のみで訓練したエージェントよりも人間の対局で見られる様々な戦型において平均的パフォーマンスや頑健性が向上することを示した.
著者
堀田 浩人 稲村 徳州
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.192-198, 2021-08-23

ビデオゲームUIの分類方法としてFagerholt, Lorentzonのdesign spaceがあり,この分類方法は複数のUIの研究で用いられている.本研究ではこの分類方法の例外を調査した.キャラクターとプレイヤーとの間で異なる感覚によって知覚される新たなUIの種類,alter-sensoryを定義し,それを分類するための新たなdesign spaceを提案する.
著者
後藤 正夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, 1961-02-25
著者
長谷部 紀元
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, 1986-12-15
著者
岡本 雅子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.580-583, 2015-05-15

近年,学校教育において,プログラミング学習の早期からの実施とその充実が検討されています.こうしたなか,学習導入時におけるつまずきの排除は,プログラミングに対する苦手意識を持たせないためにもますます重要になっていくことと思われます.本稿では,特に,実際にタイピングして,実行する形態で学ぶ,いわゆるプログラミング演習時(写経型学習過程)のつまずきに着目し,この過程で見られるつまずきを3つのタイプに類型化するとともに,それぞれの類型にしたがって,学習者がつまずかないための工夫について概説します.
著者
宮武 勇登
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.244-246, 2023-04-15

ODE Netなどでは,微分方程式の近似解を用いて定義された目的関数の最小化問題を解く必要があるが,そのためには,目的関数の微分の計算を系統的に効率よく行うことが期待される.紹介論文では,そのための方法論が示されているが,理論の背景には,微分方程式の持つ保存量を厳密に再現するように離散化を行うという考え方があり,同様の議論はNewtonによるKepler問題(特にKeplerの第二法則)の考察にまで遡ることができる.
著者
長島 紀子 中山 泰一 野下浩平
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1581-1586, 1998-06-15

ゲーム木を探索する場合,異なる枝に同一局面が発生することが頻繁に起きる.この探索の重複を避けるため,局面表(ハッシュ表)に局面を登録し,計算結果を再利用するという手法がよく用いられる.ゲーム木の並列探索するときにも,上記のハッシュ表をプロセッサ間で共有できれば,異なるプロセッサ上で計算した結果が利用でき,計算時間の短縮が期待できる.本研究では,まず,分散メモリ型並列計算機(NEC Cenju?3)上に分散共有ハッシュ機構を設計・実現した.続いて,具体的なゲーム木探索問題としてオセロゲームの先手必勝後手必勝の決定問題を取り上げ,分散共有ハッシュ機構の評価実験を行った.実験の結果,たとえば7×5盤のオセロゲームでは,分散共有ハッシュ機構の導入により約30%計算時間が短縮されることが示された.
著者
渡邉 ゆきこ
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.604-607, 2023-10-15

筆者が2021年から行っている「Mozilla Hubs」(モジラ・ハブス)というソーシャルVRプラットフォームを活用した初級中国語の授業の実践報告.モジラ・ハブスは,デバイスに依存しないブラウザベースのメタバースであり,多様なモデルシーンを持つ上,直感的に操作可能な編集機能を備えていることがその特徴である.利用している無料プランでは仮想空間の定員が10人と少ないが,同じ空間を複製する機能を活かして活用の幅を広げた.活用例として,海外の大学との交流授業,学生が制作した動画をVR空間に展示するVRポートフォリオ,さらに4つのカテゴリーに分けられる教材としての利用などを報告している.
著者
石黒 正揮 山崎 重一郎 佐々木 貴之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.520-523, 2023-09-15

暗号資産,デジタル所有権NFT,分散型自立組織DAOなどブロックチェーン技術をベースとした応用・サービスはWeb3.0と呼ばれ,従来のインターネット経済に大きなパラダイム転換をもたらすものとして注目されている.政府においても,内閣府,経産省,総務省などによりWeb3.0経済の推進に向けて検討が進められている.一方で,国内外においてWeb3.0に対する大規模なハッキングや事件が繰り返し発生し,Web3.0経済の発展の障害となっている.本特集では,Web3.0の普及に向けて,Web3.0のリスクや課題を明らかにするとともに,それらに対する解決の方向性,将来展望を示す.
著者
松井 勇佑
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.140-141, 2023-02-15

非線形次元削減の代表的手法であるLocally Linear Embeddingについて簡単に解説する.
著者
川崎 明子
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.271-297, 2020-09-30

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』において,不思議の国の〈不思議〉を構成する最大の要素は,多種多様な〈変身〉である。これらの〈変身〉には,言語的要素と生物的要素があり,両者は互いに密接にかかわっている。前者は静的で,死に近く,完結していて,秩序があり,時間がかからない。後者は動的で,生命を持ち,制御しにくく,時間を伴う。物語の根底で作用しているのは数学者キャロルによる言葉遊びの原理,特に地口における単語の置換という言語的変身であるが,そこにも生物がかかわり,変身後に生物の存在感が強まる。生物の強い存在感,特に個体が自由に動いたり時間を伴って変化したりすることは,同時代のチャールズ・ダーウィンの進化論による生物への注目と連動している。本論文では変身を,言葉や物質が登場人物化する〈非生物の生物化〉と,アリスをはじめとする登場人物が物理的に変化する〈生物の変身〉に大別して論じる。
著者
和佐 州洋 有村 博紀 宇野 毅明
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2014-AL-148, no.17, pp.1-6, 2014-06-06

本稿では,k- 縮退グラフに含まれる誘導木 (連結かつ非巡回な誘導部分グラフ) を,効率よく列挙するアルゴリズムを与える.グラフ G=(V,E) が k-縮退 (k-degenerate) であるとは,G の任意の部分グラフが高々 k の次数を持つ頂点を含むときをいう.これまで,制約のある誘導部分グラフの列挙に関しては,連結な誘導グラフ (Avis,Fukuda,DAM,1996) や,コードレスパス,コードレスサイクル (宇野,第 92 回アルゴリズム研究会,2003) の列挙に関する先行研究があるが,誘導木については知られていない.最大次数が d のとき,誘導木 1 つ当たり O(d) 遅延の列挙アルゴリズムは容易に構成できるが,これをどの程度まで改善できるかは未解決の問題である.我々のアルゴリズムは,入力グラフ G が k- 縮退グラフであるとき,誘導木を 1 つ当たりならし O(k) 時間で列挙する.系として,k が定数ならば,誘導木を 1 つたり,ならし定数時間で列挙可能である.
著者
横井 優 山西 良典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-69, no.5, pp.1-6, 2023-10-19

歌声合成技術であるボーカロイドは,ヴァーチャルな「アーティスト」としても広く認識され,ボーカロイドが歌う楽曲(i.e., ボカロ曲)は人間のアーティストの楽曲(アーティスト曲)と同様に聴取されている.ボカロ曲は,歌声合成技術の発展に伴って生まれたユーザ生成型コンテンツであり,日本で発達した新しい音楽文化である.本稿では,ボカロ曲の歌詞に着目し,アーティスト曲とのトピックの差異を比較・分析する.分析の結果,ボカロ曲とアーティスト曲では歌われるトピックの分布が異なり,各トピックに含まれる単語の極性にも違いが存在した.また,ボカロ曲はアーティスト曲に比べて過激な内容やファンタジーをテーマとした歌詞が多く見られることも確認された.
著者
武内 謙晴 山西 良典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-69, no.6, pp.1-3, 2023-10-19

本稿では,マジック(手品・奇術)の手順を情報学的にモデリングする手法を検討する.提案手法では,マジックのコンテンツ特性に応じて,モデリングにはシーケンス図を拡張し,マジシャンの「行動」「演出」と観客の「期待」「実測」の関係性を時系列として整理する.複数のマジック手順のモデリング結果に対して,マジック手順の分析や考案が可能であるかについて議論する.