著者
一瓢軒
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1], 1754

2 0 0 0 腸チフス

著者
松峯 敬夫 広田 英夫 福留 厚 青木 幹雄 森田 博義 瀬戸 輝一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.590-591, 1985-05-20

近年腸チフスは激減し,特に重症例をみる機会は稀となつているが,出血や穿孔を起こし,確定診断の得られぬまま腸切除が行われる例も皆無ではなく,今日でもなお緊急手術を要する腸疾患として,その存在を念頭に置く必要がある. そこで今回は,当院で経験した2例の穿孔例(表)のうちから,広範囲腸切除を施行した1例を選び供覧する.
著者
多田 剛
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

クモ膜下出血患者の髄液TGF-β1濃度を、正常圧水頭症を併発した患者と、しなかった患者の間で比較すると有意差が存在する。(1994)今回の研究でクモ膜下出血後くも膜下腔に遊離された白血球よりIL-6,TGF-β1などの炎症性サイトカインが多量に放出され、引き続いてCRPが上昇してくることがわかった。また出血後2週後の髄液中には活性型のTGF-β1が明らかに増加しており、これがクモ膜下出血後のくも膜下腔の繊維化に重要な役割を果たしている可能性があることがわかった。(2001)実験的にもマウスの髄膜腔内にhuman recombinant TGF-β1を注入すると3週以降に容量依存性に脳室拡大が出現し交通性水頭症ができる。(1994)また、同種血清をマウス髄腔内に注入しても、同様の交通性水頭症が誘導され、これは抗ヒトTGF-β1ウサギ抗体で阻止できた。(1997)マウスの髄膜を電子顕微鏡で観察すると髄注後約2週間でくも膜下腔に繊維芽細胞が遊走してきてくも膜下腔の繊維化がおこる。(1998)TGF-β1注入により水頭症が発生したマウスのくも膜下腔にインクを注入すると、シャム群では10分以内に髄液が頚部リンパ節に流出が確認されるのに対し、水頭症群では有意の流出遅滞が見られ、くも膜下腔の繊維化が髄液の流れを阻害していることが明らかとなった(1999)また、ラットの側脳室にhrTGF-β1を注入すると、同様にクモ膜下腔の繊維化がみられ、Morris水迷路で空間認識能が低下していた。さらにラットの側脳室にNa^+,K^+-ATPaseの阻害剤であるouabainを注入すると空間認識能が可逆的かつ容量依存性に抑制されることを見い出した。またラットの脳室内にTGF-β1を投与すると、脳室拡大がないにもかかわらずくも膜細胞のNa^+,K^+-ATPase活性が低下し、空間認識能が抑制されることも見い出した。これらの実験やこれまでの研究から我々は正常圧水頭症の病態は脳脊髄液の灌流障害による脳室拡大というよりも余剰のneurotransmitterやneuronやgliaの代謝産物を含む脳の細胞外液の排泄不全がこの病態の本質であると考えられる。
著者
阿南 光洋 小林 隆志
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

脳梗塞の病態に関与する炎症性サイトカインをターゲットとして、遺伝子改変マウスを用いた動物実験により、くも膜下出血後の病態への関与を研究してきた。研究は未だ途中の段階だが、得られた結果から、幾つかの炎症性サイトカインが、くも膜下出血後の急性期脳浮腫に関与していることが判明した。今後の研究で、さらにくも膜下出血の病態を解明し、治療法に繋げていくことを目指す。
著者
大塚 明子 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.83-96, 2001-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究では、幼少時、吹雪の中で突風の向かい風のために息ができなくなるという外湯的体験に関連した予期不安からパニック発作を繰り返す「パニック障害の既往歴のない広場恐怖」に対して、薬物療法と認知行動療法の併用で軽快した症例を報告し、認知行動療法の介入効果について検討した。具体的に用いられた技法は、心理教育、腹式呼吸、自律訓練法、系統的脱感作法、エクスポージャー、認知再構成法であった。本症例の治療経過からは、(1)心理教育やリラクセーション法によって、緊張・過敏さの低減、対処法の獲得、さらなる治療への動機づけがなされた後、(2)系統的脱感作法、エクスポージャーによって外傷的体験に関わる記憶が正常化され、(3)さらに認知再構成法により予期不安が改善されたことによって、広場恐怖全般の軽快に至ったものと考えられた。以上より、本症例のように広場恐怖の維持要因の中核である予期不安の背景に幼児期の外傷的体験が存在する場合には、その影響を緩和するための介入が必要であることが示唆された。
著者
平山 祐一郎
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.55-64, 2015-01-31 (Released:2017-02-08)
参考文献数
4
著者
長谷川 光広
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.419-429, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
34
被引用文献数
9 5

眼窩内腫瘍はまれな疾患でありながら, 多種多様な病理学的特徴を含み, 病変の性質により治療方針は大きく異なる. 炎症性疾患やリンパ増殖性疾患 (特に最近注目されるIgG4関連疾患, MALTリンパ腫など) の鑑別と悪性度判定に生検は必須であり, その他の腫瘍性疾患には腫瘍摘出のみならず眼窩内容廓清術に至るまで多岐にわたる手術法がある. 経眼窩的, 経頭蓋的アプローチに加えて, 近年, 進歩の目覚ましい神経内視鏡下手術や頭蓋底手術を含めた各手術法の利点, 欠点を十分理解することが重要である. 全摘出を目指すべき疾患には, 病理学的には血管病変 (血管腫, 静脈瘤など), 良性 (髄膜腫, 神経鞘腫など) ならびに悪性腫瘍 (癌腫, 肉腫, 転移など) が挙げられる. また, 頭蓋内から眼窩に伸展するもの, 副鼻腔・鼻腔, 側頭窩, 下窩などから眼窩に伸展するものなど, 眼窩内外に主座を置く腫瘍では, 他科との協力が重要となる. 経頭蓋法では, 眼窩縁, 眼窩壁の骨形成的除去, 上眼窩裂, 視神経管の開放などの頭蓋底手術手技に加え, 機能的および美容的な手技も多々含まれる. 本稿では, 筆者の111例の眼窩ならびに眼窩伸展腫瘍性疾患の経験から代表的手術症例を提示し, 実際の眼窩内腫瘍の診断と摘出術における留意点を述べる.