著者
住田 友行 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.135-143, 2013-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、同胞に対する粗暴な行動が問題とされた自閉性障害児1名を対象に、消去(extinction:EXT)と他行動分化強化(differential reinforcement of other behavior:DRO)手続きを用いたアセスメントに基づいて介入を行い、その効果を検討することであった。機能的アセスメント(MAS、両親へのインタビュー、直接観察)では、粗暴な行動の強化子として社会的注目が推定された。そのため、EXTとDRO手続きを用いたアセスメントでは、粗暴な行動に関してEXT条件とDRO条件をセッション内で入れ替え、粗暴な行動の生起インターバル率を比較した。その結果、粗暴な行動の生起インターバル率は、EXT条件よりもDRO条件で低いことが示された。これらのアセスメントに基づいて、介入では代替行動分化強化(differential reinforcement of alternative behavior:DRA)手続きを用いた。その結果、粗暴な行動の生起インターバル率は減少傾向を示した。以上のことから、同胞への粗暴な行動に対する有効なアプローチの方法に関して検討した。
著者
石井 英一 安江 健一 田中 竹延 津久井 朗太 松尾 公一 杉山 和稔 松尾 重明
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.5, pp.301-314, 2006 (Released:2006-09-14)
参考文献数
48
被引用文献数
29 24

北海道北部,幌延地域における新第三紀堆積岩分布域において,地表割れ目踏査,ボーリング調査(コア観察・EMI検層・比抵抗検層・水質分析),反射法地震探査,およびAMT探査を実施し,当域に分布する大曲断層の位置,連続性,および水理特性について検討した.その結果,以下のことが示された.(1)大曲断層はダメージゾーンを主体とした幅120 m程度の断層帯であり,その透水性は高い.(2)研究所設置地区近辺における大曲断層帯の三次元分布が明らかとなり,地表部ではover-stepし,地下では収斂する形態をなす.(3)「塩水系」と「淡水系」の2種類の地層水が存在し,顕著な岩相変化を示さない堆積岩においては,電磁探査を用いた調査が,断層帯の位置,連続性,および水理特性などを検討する際に有効である.
著者
野家 啓一
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.6, no.Si, pp.42-47, 2021-03-22 (Released:2021-03-25)
参考文献数
10

The relation between psychology and philosophy is like one with a close relative and a distant relative. They have the same research object, i.e. mind, but their methodologies differ in kind. Emotion is a suitable subject for philosophy to dialogue with psychology. This essay puts forth the comment rather critically on three articles from a philosophical viewpoint. First, Ogihara’s article criticizes the prejudice that the reason is superior to the emotion in western philosophical tradition. Although I agree with his intention, I would like to point out some defects in his arguments. Secondly, related to Kido’s article about Kant’s conception of “common sense,” a query is raised that the double aspect of common sense amounts to a strange concept of “empirical a priori.” Thirdly, Murayama’s article represents an attempt to define the concept of “love” by way of “happiness,” but this definition might fall into a vicious circle. Lastly, joint research is proposed between psychology and philosophy to transcend the concept of causal relations in the mind–brain problem.
著者
土田 満 伊達 ちぐさ 中山 健夫 山本 卓 井上 真奈美 山口 百子 岩谷 昌子 陳 浩 田中 平三
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.35-44, 1991 (Released:2010-04-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

健康な20歳代男子5人を被験者として, 連続3日間, ナトリウム (Na), カリウム (K), カルシウム (Ca), リン (P), マグネシウム (Mg), 亜鉛 (Zn) の出納実験を行った。この結果に基づいて, 摂取量と糞中, 尿中排泄量または血清中濃度との相関を解析した。1) 出納実験より, Na, K, Pは摂取量の大部分が尿中へ排泄されていた。摂取量に対する尿中への排泄率はNaが85%と最も高く, Pが84%, Kが74%であった。逆にCa, Mg, Znは糞中へ排泄される割合が高く, 尿中への排泄率はCaが38%, Mgは25%と低かった。 Znのそれは7.1%であった。2) 摂取量と糞中排泄量との相関を検討してみると, Kのみが統計学的に有意の正相関を示した。3) 摂取量と尿中排泄量との間には, Na (r=0.974) とK (r=0.891) が統計学的に有意な正相関を示した。4) 各ミネラルの摂取量と血清中濃度との間には, 統計学的に有意な相関関係が認められなかった。5) Na, K, Ca, P, Mg, Znの尿中, 糞中の量, 血清中濃度から各ミネラル摂取量を推定するには, 尿中クロール排泄量からの方法がよく知られている。今回の実験では, これをNa, Kの24時間尿中排泄量から求める方法の有用についても示した。
著者
廣瀬 快 髙島 一昭 山根 剛 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.12-15, 2016-03-25 (Released:2017-03-25)
参考文献数
7

公益財団法人 動物臨床医学研究所の附属施設である人と動物の未来センター“アミティエ”に保護され,コクシジウム症と診断した猫19頭に対して,トルトラズリル(豚用バイコックス®)を用いて治療を行い,その有効性を検討した。トルトラズリルは,30 mg/kg PO 単回,30 mg/kg PO 2日連続,30 mg/kg PO 3日連続/週の2週間の3通りで経口投与した。駆虫率はそれぞれ,33.3 %,83.3 %,100 %であり,トルトラズリルの高い有効性が確認された。また,トルトラズリルは2~3日の連日投与およびオーシスト排泄の予防効果が認められなくなる投与10日目以前に再投薬を行うことが重要であると考えられた。
出版者
改造社
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1931

2 0 0 0 現代短歌

出版者
河出書房
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1940

2 0 0 0 日本短歌

出版者
日本短歌社
巻号頁・発行日
1932

2 0 0 0 アララギ

著者
アララギ発行所 [編]
出版者
アララギ発行所
巻号頁・発行日
1908

2 0 0 0 短歌研究

出版者
短歌研究社
巻号頁・発行日
1932
著者
横山 真貴子 秋田 喜代美 無藤 隆 安見 克夫
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.95-107, 1998-07-30 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
2

本研究では, 保育の中に埋め込まれた読み書き活動として, 幼稚園で行われる「手紙を書く」活動を取り上げ, 1幼稚園で園児らが7カ月問に書いた手紙1082通を収集し, コミュニケーション手段という観点から手紙の形式と内容を分析した。具体的には「誰にどのような内容の手紙を書き, 書かれた手紙はどのようにやりとりされているのか」について, 収集した手紙全体の分析(分析1)と手紙をよく書く幼児とあまり書かない幼児の手紙の分析(分析2)から, 全体的発達傾向と個人差を検討した。主な結果は次の通りである。第一に, 幼児は主に園の友達に宛てた手紙を書いており, 手紙の大半には, やりとりに不可欠な宛名と差出人が明記されていた。このことから, 幼児は園での手紙の形式的特徴を理解していることが示された。第二に, 全体的には絵のみの手紙が多く, コミュニケーションを図ることよりも, 幼児はまず手紙を書き送るという行為自体に動機づけられて手紙を書き, 「特定の誰かに自分が描いた作品を送るもの」として手紙を捉えていることが示唆された。特にこの傾向は年中児で頭著であった。だが第三に, 年長児になると相手とのやりとりを期待する伝達や質問等の内容が書かれ始め, 手紙を書くことの捉え方が発達的に変化することが示された。また第四に, 手紙を書くことに興味を持つ時期が子どもによって異なり, 手紙が書ける園環境が常時準備されていることの有益性が指摘された。
著者
伊東 順真
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.394-405, 2021-09-30 (Released:2021-12-04)

本稿は大正新教育の旗手として活躍後、1932年頃を境に全体主義者へと変節した下中弥三郎の生命言説を検討したものである。下中は大正デモクラシー期から昭和ファシズム期にかけて一貫して「生命」という言葉を多用し、生命主義者さえを自認していたが、このことはあまり知られていない。子どもの生命を教育の根幹に据えていた下中が国家的生命の扶翼と拡大を唱えるに至った歴史的契機を明らかにし、その生命主義教育論の陥穽について論じる。