著者
三須 建郎
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.56, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
12

【要旨】抗アクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体が発見されて以後、細胞表面抗原に対する抗体を検出することに重点が置かれる大きなパラダイムシフトがあったといえる。そのようななかで、わが国でも非ヘルペス性の自己免疫性脳炎のなかから最初に発見されることになったのが NMDA 受容体抗体関連脳炎である。以後、辺縁系脳炎において LGI1 抗体や AMPA 抗体などつぎつぎと自己抗体が報告されるにいたっている。これらの自己抗体は髄腔内で持続的に産生されることが知られ、病理学的に異所性リンパ濾胞を形成する形質細胞から持続的に産生されていることが明らかになっているが、AQP4 抗体のような補体介在性の細胞傷害はまれであり、NMDA 受容体抗体は抗体介在性に内在化させることで病原性を発揮するほか、LGI1 抗体はシナプスにおける蛋白結合を阻害することで、てんかん発作を誘発する。
著者
遊磨 正秀 小野田 幸生 太田 真人
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.142-149, 2021-05-20 (Released:2021-05-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

琵琶湖流入河川においては瀬切れが頻発している.その一つである安曇川の下流部に伏流時水位をも計測できる低水位対応型水位計を設置し,2005-2008年に記録した河川水位から瀬切れの発生状況を把握した.安曇川下流部においては5月から12月まで様々な時期に瀬切れが生じていた.瀬切れ時の河川水位と降水量,農業用水取水,琵琶湖水位との関係を検討した結果,農業用水の取水や琵琶湖の低水位が関与していることが示唆された.琵琶湖と流入河川を回遊する魚類等の保全のためにも,低水位環境をモニタリングができる水位計ならびに流量監視カメラの設置が必要であることに加え,農繁期・農閑期および治水期・非治水期の各季節における河川・琵琶湖における水管理の再検討が必要である.
出版者
創元社
巻号頁・発行日
vol.26(東洋編 2), 1954

中国の2大古典をやさしい少年向の抄訳と再話として収める。 (日本図書館協会)
著者
佐藤 浩史
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-37, 2022-03

本研究では、地域活性化イベントを持続可能なスポーツツーリズムイベントとするための戦略策定モデルに必要な要素の探索をする。プレイス・ブランディング論に述べられる sense of place の概念が地域のステークホルダーには、どのようにとらえられているのか長期に継続される昭和新山国際雪合戦大会のステークホルダーから聞き取り調査を行った。地域のステークホルダーは、スポーツツーリズムイベントが施行される地域に対して、野菜や温泉など産品である有形の資源と人柄、街、大会そのものというイメージからなる無形の資源が重要であることが共存しどちらかが優位ということではなかった。結果この事例からは、スポーツツーリズムを継続していくためには、有形の資源と無形の資源の両方が結び付いて戦略策定していくことを重視しておくことが必要であろう。
著者
河原 純一郎
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

いくつも仕事がある場合,同時にはたくさんには対応できない。また,頭を使って疲れたら,そのぶんミスが増えたりうまく頭が回らない。心理学では,認知資源という共通のリソースを仮定し,この多寡で複数の課題遂行成績や疲労,個人差を説明してきた。非常に似通った注意の課題で認知資源が枯渇するという説明が成されていることに本研究では注目し,これらの課題間で共通の認知資源が使われているかを調べた。実験の結果,共通性は殆ど無いことがわかった。本研究の結果は,これまで,認知資源という漠然とした用語で解釈されてきた注意の配分モデルに対して見直しを迫るものであるといえる。
著者
福永令三 著
出版者
光書房
巻号頁・発行日
1958

アフリカのキリマンジャロにすむライオンの一家を描いた本格的動物小説。 (日本図書館協会)
著者
福元 健太郎 早坂 義弘 Kentaro Fukumoto Yoshihiro Hayasaka
出版者
学習院大学法学会
雑誌
学習院大学法学会雑誌 = Gakushuin review of law and politics (ISSN:13417444)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.19-41, 2019-11

熊本地震の特徴として,災害関連死に認定された人数の多さと,発災から認定されるまでの期間の長さ(認定される時点の遅さ)が挙げられる.本稿は,熊本地震における災害関連死認定の市町村による違いがあるかを明らかにするために,関連死が認定されるタイミングに着目し,生存分析の枠組みを適用した.その結果,熊本市は他の市町村と比べて統計的に有意に早く関連死を認定していることがわかった.また益城町は遅めであった.さらに証拠はやや劣るが,大津町は早め,宇城市は遅めといった傾向も見られた.分析上の細かな設定を多少変えてみても,以上の結論は大筋変わらず,頑健である.ここから,データ分析が難しい関連死認定の他の側面(例えば,人数の多寡,認定基準,審査委員の傾向など)についても,市町村による違いがあったのではないだろうか,ということが示唆される.
著者
宮津 寿美香
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.105-113, 2010 (Released:2010-12-29)
参考文献数
31
被引用文献数
3

This study aimed to observe infants' production of pointings during the preverbal vocal period at a nursery school. Participants were four 1-year old children (one boy and three girls). The characteristics on infant production of pointing were classified into seven categories ("a. attention getting", "b. place and direction", "c. naming", "d. demand", "e. question", "f. explanation", "g.imitation"), and of those which were inapplicable to any other categories were classified into the category of "h. others". The main results were as following. First, in the nursery school, the frequency of pointing increased as children developed. Second, by comparing the average frequency of infants' pointing manipulated "in infant-adult (nursery teacher) interaction" and "in peer interaction", the frequency of pointing "in peer interaction" was significantly more than that "in infant-adult interaction". Third, the ratio of infants' pointing, categorized into "f. explaination" was high, both "in infant-adult interaction (36 %)" and "in peer interaction (31 %). Although the ratio of infants' pointing "in infant-adult interaction" was high in "d.demand" (20 %) , and in "e. question" (14 %), the ratio of pointing "in peer interaction" was high in "h. others" (23 %), and in "g.imitation" (17 %). Moreover, the ways of pointing gestures were different among these categories. These findings suggest that children's intention to produce pointing, should be considered to be different, depending on whom they tried to interact (adults and peers). Finally, because there were some distinctions among infants' pointing categorized as "h. others", further categorization was done, and classified into three categories ("instructive pointing", "greeting/confirmation", and "pointing toward imaginative objects").