著者
長井 歩
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-10-28

将棋の終盤戦をパズル化した問題として,詰将棋以外に必至問題がある.その違いは,攻め側の手として王手以外に詰めろも許される点にある.詰将棋では攻め側の指せる手は王手のみであるのに対し,必至問題では王手と詰めろで相手の玉を受けなしに追い込む.攻め側の手が増える分,必至問題に強いアルゴリズムは,実際の将棋の終盤戦で役立つ機会は詰将棋に比べ格段に多くなる.しかし問題としての難易度は,一般に詰将棋よりも必至問題の方が難しい.詰将棋を高速に解くアルゴリズムは近年著しく進歩したが,必至問題を高速に解くアルゴリズムは未開拓である.本研究では,難解な必至問題を高速に解くアルゴリズムとしてdf-pn+ を応用し実装した.実験の結果,難解な必至問題集として有名な『来条克由必至名作集』全81 問のうち79 問を解くことに成功した.また,余必至探索にて3つの早必至を含む27 の余必至を発見できた.

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著者
石井 倫子 イシイ トモコ Tomoko Ishii
雑誌
日本女子大学紀要. 文学部
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-12, 2003-03-20
著者
吉賀 夏子 堀 良彰 只木 進一 永崎 研宣 伊藤 昭弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.310-323, 2022-02-15

わが国には,江戸時代以前に記された業務記録や証文などの古記録が数多く存在する.これらを有効に活用するためには,少ない工数で機械可読データを構築する必要がある.特に,地域特有の資料の場合には,地域特有の固有表現への対応が必要となる.本研究では,江戸期の業務日誌である「小城藩日記データベース」の目録記事文からLinked Dataなどの機械可読データを生成することを具体的目標とし,固有表現抽出の効率化を行う.その第1の手法は,市民参加による人手そのものの有効活用である.第2の手法は,機械学習による固有表現の自動抽出である.これらの手法を組み合わせることで,通常は収集の難しい地域特有の固有表現を記事文から,自動かつ高精度で抽出可能である.
著者
UENO Toshiya
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.47-61, 2018-03-11

This essay is a part of my ongoing project, the "ontology of withdrawal". In this introductory section, this work begins with comparative interpretations of both philosophical projects by François Laruelle and Toshihiko Izutsu. Some basic but quite idiosyncratic concepts by Laruelle are clarified and explained: One-in-vision, One-in-One, non-philosophy, given-without-givenness,unilaterality, clone, dualysis, stranger-subject, and so on. Each conception is considered and re-examined from the perspective of non-religious philosophy by Izutsu. Rather than being contented with a mere demonstration of similar or compatible points in these two philosophical systems, this paper would like to make some interventions for the recent philosophical debates after the "so-called speculative turn" raised by Object-Oriented Ontology and Speculative Realism.
著者
何 鳴
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 = Journal of the Faculty of International Studies Bunkyo University (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.83-102, 2012-01-01

This article is a combination with my another article. I tried to study the significance about jus cogens in the two articles. In this one I especially examinated the function of jus cogens and its precedent at international courts and national courts. Through these precedents I tried to show the development of jus cogens, and tried to organize the case law about jus cogens. My work is a continuation from many international lawyers. Their great works about jus cogens is a heritage for me. I stand these titan’s shoulders, and look at the outcome of jus cogens to be used for international justice. In this article I also see the new phenomenon tha came from the using of jus cogens. I tried to illuminate the meanings behind the phenomenon. I want to quote Anne-Marie Slaughter’s opinion about international society and international law for the conclusion of my article: “The world of societies is still too often the world of low politics, soft power, human rights, democracy, and development, and, largely, women. ” It is a true jus cogens, too, I want to say.
著者
青木 聖久 Kiyohisa Aoki
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal of social welfare, Nihon Fukushi University
巻号頁・発行日
vol.133, pp.47-73, 2015-09-30

精神障害を有する本人(以下,本人)が暮らしを営むにあたって,障害年金を継続して受給するのは大切なことだといえる.ところが,就労したことによって,障害等級の級落ち(以下,級落ち)や支給停止になれば,暮らしに大きな影響を受けることになる.これらの状況をふまえ,本稿では,実際,障害年金が級落ちや支給停止になっている,あるいは,その可能性が高い状況にある本人の実態及びその後の相談体制,さらには,本人や家族が,障害年金や就労をどのように捉えているかを明らかにした.その結果,障害年金が級落ちや支給停止になっている者は6.7%いることがわかった.一方で,殆どの本人や家族が障害年金の意義を認めていた.また,就労についても,多くの本人や家族がその意義を認めていたものの,再発を危惧したり,障害年金の支給停止を気にしていることがわかった.そのため,就労に対して,ためらっているような意見も多く見られた.本稿では,生活支援に携わる者(以下,生活支援者)が,これらの複雑な想いを理解したうえで,本人や家族への直接的支援と共に,障害年金が使いやすい社会資源として位置付くように,社会へ働きかける等の間接的支援の取り組みが重要であるということを示した.
著者
中山 俊介 小堀 信幸
雑誌
保存科学 = Science for conservation
巻号頁・発行日
no.52, pp.275-287, 2013-03-26

Outside the museum of local history and culture managed by the town and located next to the Iejima Port in Iejima, Okinawa prefecture is a small silver torpedo-shaped boat. It is known as a “tank boat.”A “tank boat”is defined as “a boat using the fuel tank of an aircraft to catch octopuses and other fish in a reef.”Traditionally in Okinawa, wooden boats called sabani were used in reefs and coastal regions for fishing. It was these “tank boats”that people of Okinawa engaged in fishing depended on temporarily after having lost many tools necessary for life as a result of damage caused by the Pacific War. An investigation of museums in Okinawa where such “tank boats”are preserved and exhibited revealed that there are several such museums. This is a report on the investigation in the form of interviews held in February 2011 at each of these museums concerning documents and the present condition of such “tank boats.”
著者
ドメネク=ベルダ カロリーナ 阿部 俊大 Carolina Doménech-Belda Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.206, pp.110-79, 2020-11-15

この論考は、アル=アンダルス[中世のイスラーム=スペイン]におけるファーティマ朝(907−1171年)の貨幣の存在について、アンダルスの領域におけるこの外国貨幣の流通についての情報を見直し、アップデートしつつ、論じたものである。
著者
曽田 修司
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.25, pp.27-40, 2018-01

2016年以来、コンサート等のチケット転売問題が、社会的な注目を集めている。このうち、個人の事情に起因する転売のニーズヘの対応は、公式転売サイトの設立によってほぼ解決が可能である。残る課題は、主催者側が依然として抽選制によるチケット販売方式にこだわっているためにファンがチケットを人手しづらい状況を作り出していること、その結果としてネット上のオークションサイトで異常な高値でチケットが転売されていること、さらに、組織的な営利目的の転売業者の大規模な参入により転売の利益が音楽業界以外に流出しているという構造的な問題の解決である。本論考では、これらの複合的な課題を総称してチケット高額転売問題と呼ぶ。音楽業界の収益構造における収入源の主力が、CD・レコードの販売や音楽配信などからライブ・コンサートに移行しつつある現在、チケット高額転売問題は、音楽業界が業界をいかに成り立たせ、新たな才能の発掘や音楽環境の整備など、将来に向けてどのように持続可能性を高めていくかという問題と直結している。これまでのところ、チケット転売を抑えるための方策として「本人確認」を厳格化することがしばしば行われているが、このやり方では、チケット購入者の側の「ルールの遵守」義務が前面に押し出され、もっぱら購入者のモラルが問題とされるのみで本来の課題の所在が明確になっていない傾向が見られる。 本来は、社会における公正とは何かという観点から、供給者(コンサートの主催者)の側で需給のバランスをどう取って極端な需給ギャップが生じないようにするかという視点からの適切な制度設計が望まれる。また、善良な音楽ファンを経済的負担と心理的負担のダブルバインドに陥らせないような効果的方策の導人を業界全体として早急に検討することが必要である。
著者
馬場 匠 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.13, pp.1-8, 2019-03-01

本研究では,なるべく少ない棋譜から将棋プレイヤの棋力を推定する手法を提案する.先行研究の将棋AIを用いた棋力推定の手法では20局程度の対戦を必要としていた.これは,分析対象とする局面の条件に「序盤や終盤の除外」などの制約があるため,1局あたりの分析局面数が少なることが原因である.本研究では,どのような局面が棋力推定に有効に働くのかを詳細に調べた.その結果,接戦の局面ほど棋力推定に適していることが判明した.そこで,接待将棋AIを用いて接戦の局面を多く作ることにより,少ない対局数から棋力推定をする手法を提案した.この手法により,3~4局程度の対戦でかなり正確に棋力推定ができることを確認した.