- 著者
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石井 素介
- 出版者
- 経済地理学会
- 雑誌
- 経済地理学年報 (ISSN:00045683)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.1, pp.37-46, 2014-03-30 (Released:2017-05-19)
- 被引用文献数
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2
「資源」概念の多義・曖昧性をそのままにしての乱用状態に警告を発し,資源問題をめぐる討議に論理的整序のための立脚点をもたらす意味で,敗戦直後期の日本政府内に置かれていた資源委員会(調査会)における「資源」概念の醸成・確立過程を跡付けて再評価すると共に,基礎情報学分野における「情報」概念の検証状況,ならびに筆者自身の病床体験を参考としつつ,「生命体が自然物の中に認知し付与した有用性の意味作用(significance)」のことを「生命体資源」と呼んで,これを資源概念の諸次元の中の基本的原点をなすものと規定する.この基本をなす資源論視角から,その後時代と共に派生してきた異次元の資源論である「政治経済資源」や「地域社会資源」等の各資源論視角について,関係技術面の役割の問題を含めて,生命体資源という原点視角に照らしての若干の再検討課題を提起するものである.