著者
高木 淳 玉井 一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.500-501, 2003-06-01

感作と凝集 輸血する前に施行される適合試験には赤血球の凝集反応が用いられる.赤血球の表面で抗原抗体反応が起こることを感作といい,凝集とは結合した抗体が近接する赤血球上に存在する同じ抗原にも結合して抗原抗体結合物の集団を作ることである(図1). 1. 赤血球の陽イオンバリア 赤血球はその膜上に多く存在するシアル酸のカルボキシル基によって生理食塩液中ではマイナスに帯電している.生理食塩液中のNaClは解離してNa+とCl-になっており,陽イオンは赤血球の陰イオンに引かれて,赤血球表面に集まり密度の高い陽イオンのバリアを形成している.この陽イオンのバリアをゼータ電位(ζ-potential)という.赤血球同士が近づくと陽イオンのバリア同士が反発し合い,一定の距離(35nm)以内に近づくことができない(図2).凝集を起こすイムノグロブリンクラスは,IgA,IgGとIgMである.IgGは分子量が小さく,2つのFabが最大に開いても25nmなので,バリアを突破することができないため凝集が起こりにくい.IgMの直径は約35nmなので陽イオンのバリアを突破でき,10~12個のFabを持つので近接する赤血球と結合して容易に凝集を起こす(図3).一度抗体が赤血球に結合すると,陽イオンのバリアが小さくなり,赤血球同士が近づき引き続き感作および凝集は促進する.
著者
杉村 広郞
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.51-53, 1952-06-01

私達が時々村へ入つて行くと,よく次のような話を耳にする。—— 「この附近の主婦さん方の一番の惱みの種は,子供の数が多いということなんです。貧乏者の子沢山とはよく言つたもので,こう経済的に苦しくなつて来ると,子供はもうコリゴリだと悲鳴を挙げている奧さん方が多いんです。……炭燒きという重労働を強いられた上に,細々としたその日暮しで子供が7人も8人もでは,第一自分の身体がもちませんし又経済が益々苦しくなるだけですからね。……しかし,そうゆう苦しさに迫られ乍ら,子供を生まぬようにするにはどうしたらよいかといこうとも知らず,次々に生んで行くんですから全く慘めなものですよ。……」
著者
中田 光
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1027-1030, 2003-10-01

はじめに 特発性肺胞蛋白症は全国に推定400人の患者がいる希少肺疾患で,患者の3分の1は無症状であり,自然寛解も10%あるといわれている.1970年代に肺洗浄療法が開発普及してから,いくつかの薬物療法が試みられたが,注目に値する治療法はなかった.肺洗浄療法は,全身麻酔下で2ウェイ挿管チューブを用いて片肺ずつ2回で肺を洗う全肺洗浄法と,1区域ごとに複数回洗浄する反復区域洗浄法があるが,いずれにしても患者の苦痛は大きく,治療を受けた患者のなかには「悪くなってもいいから,もう二度とあの治療は受けたくない」と話す人もいる. 1994年,米国のマサチューセッツのホワイトヘッド生物医学研究所のDranoffが偶然,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)欠損マウスに肺胞蛋白症が起こることを発見し,それが引き金となって,GM-CSFと肺胞蛋白症の関連が注目された.1999年,当時,東大医科研で肺胞蛋白症の病因物質を追求していた私は,2年半の苦闘の末,特発性肺胞蛋白症の気管支肺胞洗浄液と血中に大量の抗GM-CSF自己抗体が存在することを発見し,ついで血清抗体測定により血清診断法を開発した.以来,特発性肺胞蛋白症の患者は全例が自己抗体陽性であることがわかり,自己抗体が病因であるというのが定説となっている. 東大医科研の小さな研究室で特発性肺胞蛋白症のどろどろした肺胞洗浄液と格闘していた頃,オーストラリアとスイスでは,特発性肺胞蛋白症の病因がGM-CSFに対するマクロファージの反応性の低下にあると考えた医師がいた.彼らは,皮下注で連日GM-CSFを投与すれば改善するのではないかと考え,実行した.結果は13例に投与して6例が著明に改善した. 1999年,私は抗GM-CSF自己抗体発見の研究成果を発表するためにボストンで開かれたアメリカ胸部学会に出席し,初めてGM-CSF療法のことを知った.抗GM-CSF自己抗体が病因であると主張していたから,抗原であるGM-CSFを患者に投与するのは火に油を注ぐものだと考えて違和感を覚えたが,試しにスイスの医師Otto Schochに治療前後の血清と気管支肺胞洗浄液を送ってもらってその自己抗体価を測定した.結果は驚くべきものだった.血清中の自己抗体価は治療前に比べて治療後は60%程度であったが,気管支肺胞洗浄液中のそれは,治療6週後,12週後には消失していた.GM-CSFは皮下注で投与されていたから,肺の中に大量にある自己抗体が中和により消失したとは考えにくく,おそらく肺に脱感作による抗体消失が起こっていると思われた. GM-CSF皮下注療法の効果に感嘆していた頃,東北大学加齢研の貫和教授から,特発性肺胞蛋白症の重症例の治療について相談を受けた.外来受診された患者の動脈血酸素分圧は37mmHgで,二度全肺洗浄療法を受けたが効果なく,2000年夏には在宅酸素療法が開始され,やがて患者はほとんど寝たきりの状態になった.教室の田澤助手は,GM-CSF皮下注ではコストがかかりすぎること,スイスでの治験の情報から悪寒などの副作用があることから,GM-CSFを250μg/日連日で隔週で12週間,吸入によって投与することを決め,医学部の倫理委員会,厚労省医薬局の薬鑑証明など煩雑な手続きを粘り強くこなして半年かかってスイスより輸入し,2000年12月に国内初のGM-CSF吸入療法が実現した. その後,東北大学,近畿中央病院で各1例の重症特発性肺胞蛋白症に吸入療法が試みられ,いずれも劇的に改善している.
著者
鈴木 哲司
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.990-994, 2021-11-01

■救急救命士が活動する“場”の拡大病院前救急医療体制の充実を図る救急救命士制度 救急救命士制度は,1991(平成3)年に病院前救急医療体制のさらなる充実を図り,わが国の救命率の向上を目指すことを目的として整備された制度である.制度発足以前は,救急用自動車の中での救急隊員による医療行為が禁じられていたため,傷病者の搬送を主体とした業務であり,助かるはずの命が失われていたという悲しい歴史があった.それらをいち早く解消するために公的養成機関,専門学校,短大,大学において救急救命士の養成が行われ,量的充実が図られてきた. 改正前の救急救命士法第44条第2項によって「救急救命士は,救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生労働省令で定めるもの(「救急用自動車等」という.)以外の場所においてその業務を行ってはならない.ただし,病院又は診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合は,この限りではない.」と救急救命士が業務の行う場所の厳格な規定と制約がなされ,今日まで救急救命士の活躍する場は,消防機関が主たる職域であった.
著者
日比野 将也 植西 憲達
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.154-158, 2020-01-01

細胞内液pHは細胞外液pHよりも低く,細胞内で常に産生され続ける酸(H+)の影響を受けているが,複数の機構が働くことで細胞内液pHは一定の値を保つことができる。しかし細胞内液または細胞外液pHの極端な低下によりこれらの調節機構が破綻し,細胞に障害を及ぼす。細胞内液pHを上昇させる治療法として炭酸水素ナトリウムの投与があるが,これはかえって細胞内環境を悪化させる可能性がある。一方でTHAMは細胞内アシドーシスの悪化を避けることが期待されているが,臨床応用できるほどエビデンスは十分でない。
著者
岡本 五十雄 堀口 信
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.447-451, 1987-06-10

はじめに 車の運転免許は20歳以上の成人の59.5%,40歳以上では52.7%が保有している1).当然,脳卒中患者の多くも発症前は車を運転していたと思われるが,実際には,重症例はもちろん,軽症例でも運転する例は非常に少ない.その理由として,患者自身の運転に対する不安,家族をはじめとする周囲の者が脳卒中になったというだけで車の運転そのものを危険視して患者に運転をさせないことや医師自身が患者の車の運転に無関心であることなどが考えられる.しかし,社会復帰に向けて,例えば仕事や通勤にぜひとも必要な場合があり,ときには積極的にすすめなければならないこともある. 著者らは,過去5年間で21名の脳卒中患者による車の運転を経験し,安全な運転の可能性について検討したので報告する.
著者
山田 達也
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.124-128, 2010-02-01

下行大動脈手術後の対麻痺は,患者のQOLや予後に大きく影響する重大な合併症である。この脊髄虚血による対麻痺の発生頻度は減少しつつあるものの,下行大動脈手術後で10%前後1),胸腹部大動脈瘤術後では10~20%2)と報告されている。 脊髄は1本の前脊髄動脈と1対の後脊髄動脈からの血流を受けており,前脊髄動脈は運動領域である脊髄前面の2/3を,後脊髄動脈は知覚領域である脊髄後面の1/3に血液を供給している。これらの脊髄動脈は上位から椎骨動脈,上行頸動脈,深頸動脈,肋間動脈,腰動脈などから血流を受けているが,特に胸髄領域の前脊髄動脈は,ごく一部の前根動脈から血流を供給されており,これをAdamkiewicz動脈あるいは大前根動脈という。Adamkiewicz動脈は神経根に沿って脊髄レベルに到達し,ヘアピンカーブを描きながら前脊髄動脈に流入する。この特徴的な走行が術前の造影MRIやCTによる同定の決め手となっている。下行大動脈手術後に運動麻痺をきたすのはこの動脈の血流が障害を受けるためとされている。 脊髄保護は心筋保護に例えると理解が容易となる(表1)。脊髄のkey arteryはAdamkiewicz動脈であり,心筋における冠動脈に相当する。虚血には虚血時間,遮断中の側副血行路や灌流圧の維持,虚血中の酸素消費量などが関係し,今回のテーマである脳脊髄液(CSF)ドレナージは遮断中の灌流圧の維持を目的に行われる。ここではCSFドレナージの意義について概説する。
著者
鈴木 淳一
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.550-551, 2004-10-15

おとり遺伝子(デコイ型核酸医薬)は,特定の転写調節因子の結合部位への結合を競合的に阻害し,プロモーター活性を低下させて活性化される遺伝子群の抑制を行うものである。NF-κBデコイは,NF-κBと特異的に結合する配列を含む短い2本鎖人工DNAであり,NF-κBによって活性化される種々の因子を特異的に阻害する(図1)。多面的な抗炎症効果を発揮することと,ステロイドに比して副作用が少ないことが期待されている1)。
著者
飯島 孝四郎 伊藤 理恵
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.123-126, 2021-01-01

35歳,男性。8月下旬,栃木県の湿地滞にてヤマビルに両下腿を吸血された。その12日後より,前腕,背部,大腿部に多形紅斑が出現した。発熱などの全身症状は伴わなかった。ステロイド軟膏を外用し,消退した。ヒル咬傷自体は一般的な吸血害虫被害であるが,咬傷部位は容易に治癒し,その合併症もほとんどないことから医療機関を受診することは少ない。本邦においてヒル咬傷による多形紅斑を生じた症例は自験例のみであり,非常にまれな症例と思われた。しかし,昨今の地球温暖化や各地で頻発する水害によりヒル生息域の拡大が懸念されており,今後,多形紅斑以外にも多彩な皮膚症状を呈するヒル咬傷の症例が増加する恐れもある。
著者
小川 真寛 澤田 辰徳 三木 有香里 林 依子 真下 高明
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.149-158, 2016-04-15

要旨:本研究の目的は回復期リハビリテーション病棟入院中の患者の能力から退院後の公共交通機関利用の可否を予測することにある.退院後の電車およびバス利用の有無を調べ,その有無で分けた2群間で入退院時の能力を比較した.ロジスティック回帰分析の結果,電車利用の予測に選択された入院時の因子は年齢とFIMの運動項目の合計スコアであった.バス利用の予測に選択された入院時の因子は年齢とFunctional Balance Scale(以下,FBS)であった.退院時の能力は電車およびバス両方でFBSのみが選択された.この知見を利用し公共交通機関の利用可能性がある対象者を早期より見定め,適切な外出手段が獲得されるようにアプローチする必要がある.
著者
大倉 睦美 谷口 充孝 村木 久恵 杉田 淑子 大井 元晴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.85-88, 2010-01-01

はじめに 頭内爆発音症候群は夜間,うとうとしている際に頭の中で急激な爆発音を感じるもしくは頭蓋内で爆発が起こった感覚を持つという病態で,通常痛みは伴わない良性の疾患とされる1)。睡眠関連疾患国際診断分類第2版(International Classification of Sleep Disorders 2nd ed, ICSD-2)ではパラソムニア(睡眠随伴症)の1つに分類されており,診断基準をTable1に示す2)。最近片頭痛患者での報告がみられ3,4),何らかの関係も示唆されるがその病因については不明な点が多い。睡眠センターにおいて患者が受診することは稀で,われわれの施設においては1998年4月より2009年3月までの初診患者数15,585人のうち2例のみである。今回本疾患と考えられる症例を経験したので,終夜睡眠ポリグラフ検査をあわせ報告する。
著者
安田二朗
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.33-40, 2013-07-25

ウイルス性出血熱はウイルス感染が原因で引き起こされる疾患で,初期症状はインフルエンザ様であるが,病態が進行すると,出血(皮下,粘膜,臓器),多臓器不全などを呈するきわめて致死性の高い疾患である。これまでに4つのウイルス科に属する15種類以上のウイルスが原因ウイルスとして同定されている。ほとんどのウイルス性出血熱には有効なワクチンや治療法はなく,代表例である,エボラ出血熱,マールブルグ病,ラッサ熱,南米出血熱,クリミア・コンゴ出血熱はわが国の法律で一類感染症に指定されている。本稿ではこれら5つのウイルス性出血熱を中心に概説する。
著者
深谷 親
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.882-887, 2021-07-10

症例登録の目的と経緯 日本定位・機能神経外科学会における症例登録は2004年に開始された.当初の目的は,症例登録数を基に適切に手術が施行されている施設を認定し,そこでの手術経験を基に技術認定を行うというものであった.その目的はほぼ達成され,安定したシステムが構築された.例年30〜40施設が認定を受け,これまでに239人の技術認定医が誕生している. 症例登録の内容は,いくつかの変遷を経て,2014年に現在のフォーマットとなった.2014年以降の6年間を集計し,俯瞰した結果を2021年1月に開催された第60回日本定位・機能神経外科学会で報告したので,その概要をここで紹介したい.
著者
漆原 正貴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.182-184, 2015-03-15

ユマニチュードという不思議な響きを私が耳にしたのは、昨年の夏頃でした。「話す」「触れる」といった看護の基本を徹底するだけで、暴れたり徘徊するお年寄りのケアに絶大な効果を発揮する──。そんな新しい認知症ケアの技法があると聞いて、「これは催眠に使えるかもしれない」と興奮したのを覚えています。 私の研究テーマは催眠であり、認知症とそこまでかかわりが深いわけではありません。ですが、催眠は「話す」技術であり、「見る」ことや「触れる」ことに細心の注意を払います。だからこそ、そうしたコミュニケーションの基礎を突き詰めた技法がケアの世界にあるのであれば、しかもそれが魔法のような効果を発揮するのだとすれば、異なる領域ながら参考になるかもしれないと考えたのです。そんな軽はずみな気持ちから入門書を手に取ったのですが、ユマニチュードについて詳しく知るにつれ、私は幾度も驚かされることになりました。「これって催眠と全く同じじゃないか」と。
著者
杉浦 太紀 小口 和代 後藤 進一郎 河野 純子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1117-1120, 2019-11-10

要旨 【目的】ADL維持向上等体制加算病棟(以下,ADL病棟)におけるリハビリテーション介入の標準化を検討する.【対象】2017年8〜10月に刈谷豊田総合病院(以下,当院)のADL病棟3病棟に入院した641例とした.【方法】専従療法士の介入種類を入院時Barthel Index(BI),年齢,入院前日常生活動作(activities of daily living;ADL)により,評価群,指導群,療法群の3群に分類するアルゴリズムを作成した.評価群はBI 65点以上かつ年齢75歳未満の患者,指導群はBI 65点以上かつ年齢75歳以上の患者とBI 30点以上60点以下の患者,療法群はBI 25点以下の患者とした.BI 25点以下の患者で,入院前と比べADLの低下がない場合は指導群とした.アルゴリズムによる分類と療法士の主観的判断を比較した.【結果】療法士介入アルゴリズムによる3群の構成割合は,評価群338例(52.7%),指導群261例(40.7%),療法群42例(6.6%)だった.アルゴリズムと療法士の判断に相違があった患者は641例中54例であり,全体の8.4%であった.【考察】アルゴリズムの使用は,専従療法士間の介入判断の差を減少させ,専従療法士のリハビリテーション介入基準を一定に保つと考えた.
著者
石原 明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1, 1966-03-01

慶応4年(1868)春,政権を天皇に返した徳川将軍の処置に,不平をとなえる旧幕府の人たちは反乱の気配をみせた。そこで官軍がさしむけられ,有栖川宮(ありすがわのみや)を総督とする征討軍は江戸に向い,横浜を基地とするため神奈川奉行の意向をただした。奉行は世界大勢に通じていたので,幕府役人ではあるが無条件で協力することを約した。その結果,病院を設置するため洲千弁天(しゆうかんべんてん)境内の語学所と,野毛山の寺小屋修文館の建物を提供した。4月17日に開設した横浜軍陣病院は英国軍医のウイルスが主任となり,女の看護人を雇い入れて傷病兵を看護した。日本最初の職業看護婦である。病院のあとは国電桜木町駅前と,野毛山動物園入口の老松中学校にあたる。老松中学の地は明治5年に官民合同の近代的病院となり関東大震災まで存続した。今の横浜市大医学部病院の前身である。
著者
旭 雄士
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.873-881, 2021-07-10

Point・定位・機能神経外科手術には多数のピットフォールがある.・合併症の種類・予防・対処方法を知っておく必要がある.・他施設に手術見学に行き,手術手技を見直すことも重要である.
著者
前澤 聡 中坪 大輔 津川 隆彦 加藤 祥子 柴田 昌志 高井 想生 鳥居 潤 若林 俊彦 齋藤 竜太
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.847-856, 2021-07-10

Point・集束超音波治療(FUS)は皮膚切開を必要としない最新の定位・機能神経外科治療であり,その凝固術は本態性振戦およびパーキンソン病に対して保険適用となっている.・集束超音波の特性と治療法の原理を十分理解し,安全性を考慮しながら,最適な標的部位に十分なsonicationを行うことで,良好な治療効果を得ることができる.・脳深部刺激療法(DBS)や他のモダリティの特性も理解し,十分なインフォームド・コンセントに基づいた患者選択を行うことが重要である.
著者
梶原 侑馬 小林 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.967-969, 2017-11-15

マッスルスーツ®製造にかかわることになったいきさつ 厚生労働省「2010(平成22)年国民生活基礎調査)」によると,日本の腰痛人口は約2800万人(4人に1人)と報告され,自覚症状については,男性は1位,女性は2位と国民病と言っても過言ではない状況であり,日常生活満足度の低下にもつながっている.それにもかかわらず有効な予防方法や治療方法は確立されておらず,筆者は今までにない新しい方法を開発し,腰痛予防や治療に貢献したいと考えていた. また,理学療法士養成校に入学する以前は,自分の手技だけで腰痛を治せる治療家になりたいと思っていた.しかし,人の手だけでは限界があり,また,1人が治療できる人数はかなり限られてしまうことを,臨床を通じて実感した.さらに,外来・急性期・回復期リハビリテーションにおける腰痛や姿勢バランス等の研究を通して,腰痛は予想以上に完治しにくい例が多いことを知り,治療だけでなく予防が重要であることも学んだ.
著者
杉 靖三郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.42-43, 1955-06-01

このごろ,"ハウザー食"とか"ミキサー食事"とかいうことがいわれ,アメリカ渡来の栄養法がはやつている. これは,映画の都ハリウツドの女優さんたちの栄養師をしていたゲイロード・ハウザー博士が「若く見え,長生きするには」という見出しの本を書いて,彼独特の食物と食事法とを紹介して,世界じゆうの大評判となり,それが日本へはいつてきたのである.