著者
増山 幹高 政策研究大学院大学 / National Graduate Institute for Policy Studies
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.21-05, 2021-12

国会審議には会議録に含まれない様々な情報がある.本稿では,文字情報に偏ってきた国会審議や立法過程に対する従来のアプローチから脱し,音声や画像,映像を活用する試みとして,まず国会審議について議員の発言内容に対応する審議映像を検索し,該当する審議映像の部分的視聴を可能にする「国会審議映像検索システム」を概説する.その国会発言の音声認識によるテキスト・データと会議録を同期させることで審議映像の時間情報と文字情報を同刻させる利点を生かし,音声認識と会議録との差分分析から両者の相違を「正文率」と捉え,その時系列的な分析から安倍首相の国会発言における変化を解明することを試みる.
著者
国狭 武己 Takemi Kunisa 九州情報大学経営情報学部非常勤
巻号頁・発行日
vol.14, pp.95-106,

本研究の結果を以下のように要約する。まず、TQM と MOT の初期接点の契機を明らかにした。それは、1980 年NBC 放映の「If Japan Can… Why Can't We?」である。これによりアメリカでデミングと日本的TQC が脚光を浴びることになり、アメリカのTQM の萌芽が始まる。また、その直後の1981 年にMIT スローンスクールでMOT コースが開講された。これを契機にTQM と MOT の三つの初期接点が出現する。第一の接点は、1985 年に発表された産業競争力委員会(1983 年設立)の報告書「ヤング・レポート」である。これは技術重視を主張し、その後のMOT の展開に大きく影響している。また、これはすぐ後に制定されるMB 賞法に大いに影響したと判断できる。第二の接点は、1987 年に制定されたMB 賞法である。これは、TQM の確立に直接関与しているだけでなく、MOT にも大きく影響していると思われる。それは、MB 賞評価基準等から読み取れる。最後の第三の接点は、1989 年に発表されたMIT 産業生産性調査委員会(1986 年発足)の調査報告書Made in America である。これも「ヤング・レポート」と同様、技術重視を主張するが、より詳細である。品質向上や継続的改善等にも言及しているので、MOT だけでなくTQM の発展にも大きく貢献したと判断できる。
著者
大島 剛 安部 計彦 高木 裕子
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 = Review of Kobe Shinwa Women's University (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.137-146, 2008-03-01

全国児童相談所の一時保護所担当心理士(以下一保心理士)の配置や役割の現状および,児童心理司が一保心理士の役割についてどのように考えているか,について調査検討を行った。自由記述を含む質問紙調査を行い,回答のあった122ヶ所の児童心理司,43ヶ所の一保心理士の結果を分析した。一保心理士は回答のあった75ヶ所中43ヶ所(57.3%)に配置され,うち女性31名(73.8%),平均年齢28.07歳,平均経験年数1年10ヶ月,36ヶ所(83.7%)で1人配置,非常勤37名(88.1%),週平均3.52日,1日平均6.56時間,有資格19名(44.2%),うち心理系資格13名(30.2%)であった。一保心理士の役割や業務はまだ明確に確立されていないが,「ア.一時保護所内の心理的業務(対子ども)」「イ.一時保護所内の心理的業務(対職員)」「ウ.一時保護所内の一般的業務」「エ.児童相談所の心理的業務」「オ.児童相談所の一般的業務」の5つの内容に分類して,児童心理司が考える理想と一保心理士の実際の状況のギャップを検討した。アとウが多く大筋では傾向は似ているが,一保心理士はより一時保護所内の直接的な業務にどっぷりと使っている傾向が見られた。一保心理士は非常に経験が浅い若手が中心であり,目の前の業務に追われているため,児童心理司ほど児童相談所の中の位置づけやその役割を十分に認識できにくい状況にあることも推測される。自由記述から,長いスパンで個別ケースの「これまでとこれから」を見ていく児童心理司と,集団の中の個として「今ここで」を大切に見ていく一保心理士の役割の違いが鮮明になった。
著者
菊地 伸二 Shinji Kikuchi
雑誌
研究紀要 = Nagoya Ryujo Junior College annual report of studies (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.53-61, 2014-12-20

アウグスティヌスは、カトリック教会に回心した後、約15年間にわたり、さまざまな「マニ教反駁書」の執筆にとりかかる。この小論では、「マニ教反駁書」の中でも、とくに、聖職の道を歩み始めた後に書かれた二つの作品である『二つの魂』と『マニ教徒フォルトゥナトゥス駁論』を取り上げて考察する。この二つの作品において、アウグスティヌスは、マニ教が主張するところの善悪の二つの本性を徹底的に批判するとともに、悪の原因を人間の自由意思のうちに求めていくが、そのような人間の自由の擁護は、神の自由というより完全な姿を前提とすることによって成立するものである。また彼は、「マニ教反駁書」を執筆するという営みの中で、マニ教徒の「パウロ書簡」の解釈に出会うとともに、そのような解釈を批判する中で、自らが「パウロ書簡」のより精緻な読解へと導かれていくのであり、そのことが彼の「自由意思」の理解を深めることにつながっていくのである。
著者
谷 聖一 佐久間 拓也 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介;中野由章 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-14, 2016-08-15

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013年と2014年に引き続き,2015年と2016年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した.「大学情報入試全国模擬試験」の目的は,「どのような試験方法、どのような範囲・内容・水準の問題が適切であるかについて意見を交換し、その成果として具体的な入試問題の試作を行い世の中に公開すること」ことであった.2015年実施の模試には約2000名の高校生が,また,2016年実施の模試には約750名の高校生が参加した.本報告では,その実施概要と結果について報告する.適切な範囲・内容・水準を確立するためのの議論の素材となりうる具体的な入試問題を提示したという点で,目的をある程度達成できたといえる.
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.188-174, 2015-03-01

Tokijiku-no-Kakunokonomi is defined as immortal fruits, which were brought from the land of the dead by Tajimamori. So it was Tachibana fruit in the Heian period. But they are only legend because Tokijiku-no-Kakunokonomi were trees around the emperor’s tomb. They symbolized eternal life because they are evergreen trees. Tajimamori is one of the clans that take care of the emperor’s tomb. This legend teaches us that evergreen trees were planted around the Japanese ancient tomb.