著者
中村 典
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.217-223, 2000 (Released:2010-02-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
澤田 昭三 中村 典 田中 公夫 李 俊益 美甘 和哉 佐藤 幸男
出版者
広島大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1988

ヒトのリンパ球は末梢血中では分裂しないので放射線の線量率依存性を調べるのには最適である。そこで細胞死を指標としてトリチウム水とガンマ線を同じ線量率、2Gy/hrと2Gy/day、つまり線量率を24分の11に下げた時の細胞生存率を調べたが、トリチウム水でもガンマ線と同程度の細胞生存率の上昇がみられた(中村)。同じくヒトのリンパ球染色体に及ぼすトリチウム水の影響を調べ、ガンマ線に対するRBEを求めた。今回は特に観察誤差の少ない=動原体染色体のみを指標として10〜50cGyの低線量域のRBEを正確に求め2.6(含水率70%)を得た(田中)。ヒト精子染色体に及ぼすトリチウム水の影響について前年度に引きつづいて調べた。線量も25〜17.3cGyの低線量域に主力をおき、2年間で合計3132精子の染色体分析を行った。染色体異常頻度は線量の増加とともに193cGyまでは直線的に増加したが、それ以上の線量では飽和に近ずき、直線にのらなくなった。これらの結果と今までに得ているX線のデータと比較してRBEを求めた。出現する種々の染色体異常を指標としたRBEは吸収線量を最低に見積った時は1.9〜3.0、最大の場合は1.04〜1.65となった(美甘)。マウス胎仔脳の発育に対するトリウチム水の影響を調べるための予備実験がガンマ線を使ってつづけられているが、脳細胞の致死を指標とする場合は、トリチウム水のような低線量率被爆の影響を正確に把握することは困難なことがわかった(佐藤)。マウスの妊性低下に及ぼすトリチウムの影響を調べたが、線量・効果が明確でないこと及びデータにばらつきがあって今後の研究が必要と思われた(李)。有機結合型トリチウムのマウス初期胚に与える影響を調べ、吸収線量を基礎としたLD_<50>は核酸結合型で約1/20、アミノ酸結合型では1/5ほどトリチウム水に比べて低かった(山田)。体内トリチウム水の排泄促進剤として二種類の利尿剤の併用効果をねらったが十分な結果はえられなかった(澤田)。
著者
澤田 昭三 中村 典 田中 公夫 重田 千晴 李 俊益 佐藤 幸男
出版者
広島大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1987

1)母親の胎内で原爆破爆した子供の多くに極度の知能発育遅滞がみられ, 大きな社会問題となっている. そこで知能発育に対するトリチウムのリスクを推定するためマウスによる基礎実験を行なった. その結果, ガンマ線の急照射では脳細胞死は容易に検出されたが, 緩照射では死亡率が大幅に低下した. 一般にトリチウムは緩照射のため脳細胞死の検出方法を今後検討しなくてはならぬ(佐藤).2)マウスの卵母細胞に対するトリチウムの致死効果が妊性にどの程度影響するか調べたところ, トリチウムを16ラド以上照射すると対照群に比べて明らかに妊性が低下するが, ガンマ線ではもっと多量の線量を照射しないと低下しない(李).3)マウス皮膚創傷部からのトリチウム水の吸収速度は傷の種類によって異なるが, 傷の組織学的な観察を行なったところ, 傷害度と吸収速度がよい一致を示すことがわかった. また, すり傷からのトリチウム水の吸収は脂溶性塗布剤では完全に抑制できなかった(澤田).4)ヒト骨髄細胞のうち赤芽球幹細胞BFUーEに対するトリチウムの致死効果を調べ, ガンマ線に対するRBEとして1.3を得た(重田・大北).5)ヒトのリンパ球の染色体異常と小核出現率を指標としたトリチウム水のRBEはそれぞれ2.8と2.6が得られた(田中). また, リンパ球の致死を指標とするとRBEは2.8となった(中村).6)トヒ精子染色体に対するトリチウム水の影響を調べ, X線に対するRBEとして2.3が植られた(美甘ら).7)マウス3T3細胞に対するトリチウム水の影響を生存率, 癌化率及び突然変異率を指標としてRBEを求めたが, 生存率では1.0,癌化率では1.7が得られ, 突然変異に関しては十分な結果が得られなかった(榎本).8)マウス受精卵の胚盤胞形成を指標として有機結合型トリチウムの影響を試験管内で定量的に調べ, トリチウム水に比べ100〜10000倍も強い影響を与えることがわかった(山田).
著者
中村 典子 城市 篤 寺嶋 有史 田中 良和
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 = Journal of Japan Association on Odor Environment (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.150-156, 2010-05-25
被引用文献数
1

バラにはdelphinidinという多くの青い花に含まれる色素を合成する能力がなかったため青い品種がなかった.パンジーから得たdelphinidinを合成するために必要な遺伝子をバラで発現させると,delphinidinの含有率が95〜100%になり,花色が青く変化したバラを得ることができた.その中から選抜した系統について生物多様性影響評価をおこない,カルタヘナ法に基づく生産・販売の認可を取得した.アプローズ(花言葉「夢かなう」)として販売中である.アプローズは,香りがよく,その主成分はgeraniolであり,従来のバラの中では交雑で作出された紫色のバラの香りに近い.
著者
平井 裕子 井上 敏江 中野 美満子 大瀧 一夫 児玉 喜明 中村 典
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.147, 2009

広島の原爆被爆者より提供された大臼歯のエナメル質を用いて、電子スピン共鳴法(ESR)により、放射線被曝線量を推定している。今回、歯の提供者で末梢血リンパ球の染色体異常頻度を測定した92人(FISH法とギムザ法の両方またはいずれか一方の方法で測定)について、ESRによる測定を行い、両者を比較した。ESR信号強度はコバルトガンマ線量の検量線を用いて線量に換算した。染色体異常検査はギムザ法とFISH法を用いた。前者はギムザ染色した100個の分裂像を、後者は染色体1,2,4をFISH により蛍光染色して500個の分裂像を観察し、得られた頻度から年齢ならびに中性子の影響を差し引いてガンマ線量に換算した。調査した被爆者の中で、両方の方法で染色体異常頻度を調べた37人については得られた結果は互いによく一致していた。これらの被爆者のデーターとしてはFISH線量を用いることとし、その他のギムザ染色法によるデーターしかない35人とFISH染色法によるデーターしかない20人計92人について、ESR線量と染色体線量を比較したところ良い相関が得られた。しかし、染色体線量は高いのにESR線量が低い例が7例あった。これらは1例を除いては知歯や被爆時年齢が5歳以下であったので、測定した歯が被爆時に十分発達していなかったと解釈される。他方ESR線量が染色体線量よりもかなり高い例が9例あった。これらについては医療被曝の可能性を調査したが、現在までのところ医療被曝の情報は得られていない。以上の生物学的線量評価の結果を被爆時の爆心地からの距離と遮蔽条件を基に計算したDS02線量に対してプロットすると分布の幅が大きくなることが分かった。今回、92名という少ない対象数ではあるが、全く異なる方法(ESR法 とFISH法)を用いて推定した個人線量が良い相関を示したことは、既に4000人もの被爆者から情報を得ている染色体異常頻度から推定した個人線量を、DS02線量と比較すれば、個人線量の偏りの程度と方向を推定できる可能性がある。
著者
牛山 美奈 池田 龍二 新田 哲也 田實 裕介 宮脇 昭彦 山口 辰哉 下堂薗 権洋 牛之濱 風見 松井 竜太郎 杉原 一正 中村 典史 山田 勝士
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.143-150, 2008-12-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
14

In our hospital, hospital preparations of Azunol Saline Gargle (AS, saline solution containing 0.006% sodium gualenate hydrate), and Azunol Lidocaine Saline Gargle (ALS, AS with lidocaine) are used as a treatment for oral cancer with oral mucositis. However, little is known about the stability and microbiological safety of AS and ALS. In this study, the stability and microbiological safety of AS and ALS were assessed as the pH and the percent of sodium gualenate hydrate remaining in both preparations after exposure to various light and temperature conditions and the colony formation, respectively. As a result, we found that under fluorescent lamp lighting, AS and ALS were stable for 7 days at 4°C compared with 25t or room temperature. Furthermore, by light shielding, they were stable for at least 14 days at 4°C. Bacterial contamination of AS was prevented by preserving at 4°C for 14 days.We have demonstrated the stability and microbiological safety of AS and ALS and established an appropriate preservation method. This study provides useful information regarding the management of oral mucositis in oral cancer patients.
著者
牛山 美奈 池田 龍二 新田 哲也 田實 裕介 宮脇 昭彦 山口 辰哉 下堂薗 権洋 牛之濱 風見 松井 竜太郎 杉原 一正 中村 典史 山田 勝士
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.143-150, 2008

In our hospital, hospital preparations of Azunol Saline Gargle (AS, saline solution containing 0.006% sodium gualenate hydrate), and Azunol Lidocaine Saline Gargle (ALS, AS with lidocaine) are used as a treatment for oral cancer with oral mucositis. However, little is known about the stability and microbiological safety of AS and ALS. In this study, the stability and microbiological safety of AS and ALS were assessed as the pH and the percent of sodium gualenate hydrate remaining in both preparations after exposure to various light and temperature conditions and the colony formation, respectively. As a result, we found that under fluorescent lamp lighting, AS and ALS were stable for 7 days at 4°C compared with 25t or room temperature. Furthermore, by light shielding, they were stable for at least 14 days at 4°C. Bacterial contamination of AS was prevented by preserving at 4°C for 14 days.<BR>We have demonstrated the stability and microbiological safety of AS and ALS and established an appropriate preservation method. This study provides useful information regarding the management of oral mucositis in oral cancer patients.
著者
梶原 和美 緒方 祐子 中村 典史
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,口唇口蓋裂(Cleft Lip and/or Palate: CLP)の子どもとその家族に対する有効な心理的援助を実現するための方法論を提示することである。そのため(1)CLP児の母子関係に潜在する心理的問題,(2)CLPによる障碍が子どもの対他者関係,特に家族に及ぼす影響,(3)成人CLP者の回想における母子関係の変容過程を検討した。結果は,(1) 関係性構築の阻害要因と促進要因,(2) 構音障害への対処の重要性,(3) CLP者の人生岐路におけるレジリエンス(回復力)という観点から考察された。
著者
中村 典生
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.15-22, 2005

The main purpose of this paper is to point out some problems of introducing the English lexicon to elementary school children in an EFL situation, and to show a plausible approach to settling those problems. Three problems are identified as follows; (1) the "letter abilities" of each child should be rated to a plausible scale; (2) the proper time to begin teaching English letters to children needs to be determined; (3) children cannot be isolated from English letters. This paper will review the important criteria for rating the "letter abilities" of children, and report on the outcomes of studies based on these criteria.
著者
粟島 亨 戸井 崇雄 中村 典嗣 紙 弘和 加藤 吉之介 若林 一敏 宮澤 義幸 李 京
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.578, pp.23-28, 2004-01-15
被引用文献数
22

動的再構成可能プロセッサDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)のCコンパイル環境について報告する.C言語ベースの動作合成エンジンをフロントエンドとすることでDRPに対するソフトウエアライクな開発環境を実現した.C言語の動作記述から自動スケジューラにより制御回路(FSM)とデータパス回路が合成される.制御回路はDRPの状態遷移コントローラー(STC)にマッピングされ,データパス回路は複数のコンテキストに分割された上でPEアレイにマッピングされる.フロントエンド合成とバックエンド合成は統合開発環境により密に統合され,直観的なGUIが提供される.実チップ上のシンボリックデバッグが可能なオンチップ・デバッガも備えた.