著者
中村 道子
出版者
一般社団法人 日本微量元素学会
雑誌
Biomedical Research on Trace Elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.12-18, 2005 (Released:2006-07-05)
参考文献数
31
被引用文献数
2

The trace elements play important roles in the human brain. The knowledge on the trace elements and neuropsychiatric disorders were comprehensively reviewed. These include iron, zinc, copper, iodine, lithium, aluminum, manganese, lead and mercury. Some metals have toxic actions on nerve cells and neurobehavioral functioning. The toxic actions could be expressed either as developmental effects or as an increased risk of neurodegenerative diseases in old age. Redox metals, which were iron, copper, and zinc in the brain, play many important roles in maintenance of cellular function.
著者
齊ノ内 信 中村 道三 増田 裕一 大谷 良
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001489, (Released:2020-12-15)
参考文献数
20

症例は86歳女性.調理中に突然出現した複視を主訴に来院した.両眼性複視,両側眼球内転障害と輻湊障害,両側側方注視時に外転眼のみに粗大な単眼性眼振を認めた.入院翌日のMRIで中脳下部背側に拡散低下域を認めた.入院1日半後に尿閉,尿意の消失に気付かれた.脳梗塞を念頭に抗血小板薬で治療を行い,発症2ヶ月後には眼球運動は正常になり,複視も消失.尿閉も消失した.眼球運動障害については動眼神経の内転筋亜核から両側medial longitudinal fasciculusにかけての病変を想定している.尿閉については排尿中枢の一つである中脳水道周囲灰白質への障害が原因と考えている.中脳の微小な梗塞で尿閉を呈する例は稀であるため報告する.
著者
石井 靖子 川端 晶子 中村 道徳
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
応用糖質科学 (ISSN:13403494)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.107-115, 1998-06-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
30

熱帯産澱粉4種すなわち食用カンナ,アロールート,キャッサバ,サゴの澱粉と対照として馬鈴薯とトウモロコシの澱粉を選び,2,3,4%の澱粉糊液につき,ずり速度流動化流動,チキソトロピー,降伏値,流動の見かけの活性化エネルギーを測定した. 各澱粉糊液は非ニュートン流動を示した.流動曲線につき,10s-1から300s-1の範囲で直線が得られたのでベキ則を適応し,流動方程式τ=Kγnを求め,粘性定数(K)および流動性指数(n)を求めた. キャッサバとサゴの各濃度の澱粉糊液および4%アロールート澱粉糊液の流動性指数(n)は,20~60℃に比べて10℃ の値が極端に小さく馬鈴薯澱粉糊液に近い性質を示し,食用カンナと2,3%アロールート澱粉糊液は,温度依存性が小さく,トウモロコシ澱粉糊液に近い性質を示した.流動性指数(n)と分子特性の関係は,10℃ で値が小さく20~60℃ で大きくなる馬鈴薯に代表されるタイプのnはアミロースとアミロペクチンの分子量が両方とも大きい傾向であり,10~60℃ まで変化が少ないトウモロコシに代表されるnを示すものは,アミロースとアミロペクチンの分子量が両方とも小さい傾向がみられた.サゴはこの傾向に一致しなかった. チキソトロピー性はキャッサバ,食用カンナ,サゴ,4%アロールート糊液に10~60℃ まで認められ,キャッサバ,サゴが大きく,食用カンナは中位,アロールートは最小であった.10℃ でチキソトロピー性が大きい馬鈴薯とキャッサバはアミロースとアミロペクチンの分子量が両方とも大きい傾向で,食用カンナ,アロールート,トウモロコシは,チキソトロピー性は中位から最小であるが,これらはアミロースとアミロペクチンの分子量は両方とも中位から最小の傾向が認められた.サゴはこの傾向と一致しなかった. 降伏応力は4%アロールート澱粉糊液の10,20℃と3,4%トウモロコシ澱粉糊液の10~60℃ に認められた. 流動の見かけの活性化エネルギーは,6種の澱粉の2,3,4%糊液について,約8.5~17kJmol-1の範囲であった.
著者
湯川 夏子 田中 康代 中村 道彦 木村 晶朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.105, 2011

【目的】私たちが食事をしておいしいと感じる要因には、食べ物そのものの味やにおい、見た目だけでなく、食事をするときの周囲の環境(食事環境)が挙げられる。本研究では、食事環境として音環境を取り上げ、BGMが食欲に与える影響について検討した。<BR>【方法】2010年11月~12月の10時~12時に、大学生20名を対象に、食欲とBGMの関係性を調べる実験を行った。被験者に食堂の食器一式と料理の画像を見て食事をイメージしてもらいながら、5つの音環境(騒がしい洋楽・穏やかな洋楽・クラシック・学生食堂の録音・BGMを使用しない)において、食欲の増減、音環境の印象について質問紙調査を行った。同時に脳波測定(I-rlx, デジタルメディック社)を行った。統計処理にはSPSS15.0を、脳波解析にはData Make とExcel2010を用いた。<BR>【結果・考察】5つの音環境中、「騒がしい洋楽」で有意に食欲の減退がみられた。音環境の印象調査で、25形容詞対を主成分分析したところ、「優和性」「高尚性」「快活性」「評価性」の4つの因子が抽出された。因子得点より、クラシックで「優和性」「高尚性」が高い、「騒がしい洋楽」で「優和性」が低いという特徴がみられた。各因子と食欲の関係をみると、「優和性」と食欲の間に有意に高い相関がみられた。脳波測定の結果より「脳安静度」を算出したところ、学生食堂の録音やクラシックで安静度が高く、「騒がしい洋楽」では安静度が低かった。「脳安静度」と食欲は -0.63と逆相関がみられ、安静度が高い時、食欲も増すということが明らかになった。以上のことより、食事環境におけるBGMが人の食欲に様々な影響を及ぼしていることが明らかになった。
著者
中村 道子 佐藤 薫 小泉 詔一 河内 公恵 西谷 紹明 中島 一郎
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-6, 1995-01-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
13
被引用文献数
8 12

WPI溶液を予め加熱処理し,室温で塩化ナトリウムを添加することによりゲル化する現象について検討し,以下のことが明らかとなった.(1) 80℃ 30分加熱処理した10% (w/w) WPI溶液に塩化ナトリウムを0.3-1.2% (w/w)添加すると,20℃において溶液は粘度の上昇をともないながら徐々にゲル化した.塩化ナトリウムの濃度が高くなるにしたがい粘度上昇は速く進み,ゲル化時間は短くなる傾向を示した.さらに,WPI溶液の加熱処理温度,塩化ナトリウムの濃度が高くなるにしたがい,ゲル強度は高くなることがわかった.(2) 電子顕微鏡観察の結果,WPI溶液を加熱処理することによりやや太く短い線状の可溶性凝集体が形成されることを確認した.さらに塩化ナトリウムの添加により,可溶性凝集体同士の会合が始まり,高分子化してゲルに至ることがわかった.塩化ナトリウム添加により得られたゲルは,GDL添加による酸性ゲルとよく似た網目状構造を呈していることがわかった.また,ゲルの網目状構造を形成している凝集体の太さは,塩化ナトリウム添加により得られたゲルの方がGDL添加による酸性ゲルよりもややランダムな構造をとることがわかった.
著者
加来 信広 中村 道利 高下 光弘 八塚 知二 松元 雅彦 真角 昭吾 宮原 正樹 中山 巌 駄阿 勉 横山 繁生
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.1568-1572, 1993-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

Two cases of sacrococcygeal chordoma, were surgically treated in our hospital. One case was discovered after investigation of an episode of bruising on the hip, and the other case was diagnosed two years after the excision of rectal cancer that had no specific histological features.Both cases had partial destruction of sacral bone in the lateral plain X-ray film of the pelvis and a defined mass anterior to the lower sacrum was seen on MRI. We performed complete excision of tumor using the posterior approach and retained the unilateral S3 nerve. Postoperatively there was no neurological disturbance except the symptom of slight residual urine.
著者
石井 靖子 中原 久恵 服部 滋 川端 晶子 中村 道徳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.32-37, 1995-01-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

熱帯産澱粉,すなわち,ショクヨウカンナ,アロールート,キャッサバ,サゴの澱粉と対照としてバレイショとトウモロコシの澱粉を選び,それらより分離したアミロペクチンにつき枝切り酵素であるイソアミラーゼを作用させて,その変化を検討した.すなわち光散乱法により重量平均分子量M<SUB>W</SUB>と分子の広がりを示す慣性半径<I>R</I><SUB>G</SUB>の測定,粘度測定により固有粘度〔η〕を算出し,枝切り過程の変化を測定した.<BR>その結果M<SUB>W</SUB>と<I>R</I><SUB>G</SUB>の関係は,M<SUB>W</SUB>が(4-5)×10<SUP>6</SUP>近辺に減少する過程では,M<SUB>W</SUB>に対して<I>R</I><SUB>G</SUB>がやや大きいもの(キャッサバ,トウモロコシ),小さいもの(サゴ),両者の中間のもの(バレイショ,ショクヨウカンナ,アロールート)が認められた.しかし6種とも近接し同じ様な勾配で減少していることから,6種ともM<SUB>W</SUB>の減少に対する<I>R</I><SUB>G</SUB>の減少の割合は大きな差はみられず,従って同じような分解過程を経ていくものと思われる.<BR>更に分解が進むと,ばらつきが起こり差が見られた.またM<SUB>W</SUB>や「η」の減少速度には,種類により差があり,イソアミラーゼが作用しやすいものと,しにくいものがあるようである.
著者
Cloninger C.Robert 中嶋 照夫 中村 道彦
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.91-102, 1997-02-01
被引用文献数
1 1

人格の7次元モデルは人格障害のすべてについて効率的に鑑別診断し, さらに精神身体疾患を含むほかの精神障害の併害を説明する。人格障害の有無は自己志向(self-directedness), 協調(cooperativeness)と自己超越(self-transcendence)といった性格特性の未発達さによって示唆される。人格障害の特殊な亜型の有無は新奇性追求(noveltysee-king), 損害回避(harm avoidance), 報償依存(reward dependence)と固執(persistence)といったものを含む気質特性のプロフィールにより示唆される。7つのすべての特性は, 「気質性格検査(Temperament and Character Inventory;TCI)」と呼んでいるテストを用いて面接によるか, 自分で質問表に記入することで評価できる。TCIを使用した場合, 気質のそれぞれのタイプが特定化できるので相互に排他的となり, 多くの重複診断を避けることが可能である。気質特性はそれぞれ約50%の遺伝性(heritability)を有し, 遺伝学的には均質で独立している。性格特性の形態は, 精神分裂病, 気分障害と精神身体疾患を含む精神障害に対する感受性を決めている。たとえば, 「タイプA」を示す冠動脈不全の傾向のある人は敵意(低い協調), 慣習的(低い自己超越)と自己主張(高い自己志向)を示す。メランコリー性格はこれら3つのすべての性格次元で低く, 一方, 創造的な性格は3つすべてにおいて高い。循環気質者は自己超越と協調で高いが, 自己志向では低い。分裂病型者は自己超越で高いが, 他の2つの性格次元で低い。TCIは正常および異常人格に対する神経生物学的, 精神力動的, 社会文化的, そして認知行動的なアプローチを統合する概念的規範のうえに基礎をおいている。また, TCIはDSMの第I軸と第II軸の精神障害について実践的で信頼性と妥当性のある臨床鑑別診断法を提供するものである。
著者
川島 慶雄 横川 新 中村 道 芹田 健太郎 栗林 忠男 安藤 仁介
出版者
大阪大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

本研究は、過去10年にわたる継続的な研究の一環であり、わが国の国際法に関する実践をできるかぎり網羅的に調査・検討し、その成果を体系的に整理・公表することによって、これまで外国の事例に依拠しがちであった日本の国際法研究に新たな資料的裏付けを提供することを目的としている。その際、国際法の対象領域が極めて広いことから、日本の諸事例が国際的にみて特に有用性の高い領域を選択すべきことに留意した。昭和62・63年度の研究においては、すでに完成した「国家承認」及び「国交再開・政府承認」の研究に続き、「国家領域」に関する国際法的実践の分析を手掛けた。本研究では、対日平和条約第2条及び第3条による領土処理の対象となった領域を中心に、現在なおその帰属について周辺諸国と係争中である領域や、第二次大戦終了後に日本に復帰した領域、更に第二次大戦終了前に日本が何らかの形で支配していた領域についても検討を加えている。具体的には、対日平和条約に直接係わる領域として、朝鮮(第2条(a)項関係)、台湾及び澎湖島(同(b)項関係)、千島及び樺太(同(c)項関係)、太平洋諸島(同(d)項関係)、南極地域(同(e)項関係)、新南群島及び西沙群島(同(f)項関係)及び南西・南方諸島(同第3条関係)である。この中には、歯舞、色丹、国後、択捉四島の帰属をめぐるいわゆる北方領土問題、竹島及び尖閣諸島の帰属問題、国際連盟時代に日本の委任統治地域であった太平洋諸島の法的性質の問題、沖縄・小笠原諸島の潜在主権の問題などが含まれている。更に、日本の領土ではないが、日本が統治権を行使した山東半島及び遼東半島の租借地の問題も併せて検討している。本研究は、以上の各領域について、その歴史的経緯や問題点を分析し、今秋「国家領域(領土)-日本における国際法事例研究-」として一連の研究の第3巻を出版する予定である。