著者
中西 秀彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.149-156, 2014-06-01 (Released:2014-06-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

機械可読性とはコンピューターによる文書構造の認識しやすさである。機械可読性に配慮した文書はより検索されやすく,利用されやすくなる。逆に,機械可読性を考慮しない文書は流通しにくい。今まで,文書は人間可読性を高めることに重点が置かれてきたが,文書流通がインターネットを中心とするようになり,XMLを利用した機械可読性を高めた文書の重要性が増してきている。しかし機械可読性と人間可読性は往々にして対立する。本稿では,これらの対立の事例を検討し,オンラインジャーナルでは当面機械可読性優位の組版が行われるべきであることを示す。
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
中西 秀 市川 正敏
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.480-483, 2016-07-05 (Released:2016-10-04)
参考文献数
5

話題―身近な現象の物理―コーヒーの湯気:水面に浮遊する微小水滴のダイナミクス
著者
中西 秀彦 多賀 敏 山本 剛 服部 直
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
5

現在、学術誌の XML オンラインジャーナル化は急速に進展している。その展開は Scientific, Technical, and Medical、いわゆる STM が中心であり、和文人文系学術誌のオンラインジャーナル公開に際しては紙の誌面をそのまま画像もしくは PDF で公開するという方法が主流であった。しかし長く日本のオンラインジャーナルの一翼であった NII-ELS が事業を終了したことにより、多くの NII-ELS 掲載誌が J-STAGE へ移行した。J-STAGE は PDF 掲載も可能とは言え、書誌事項については HTML 公開されており XML 作成が重要である。 本発表では「印度學佛教學研究」という純粋な人文系の学術誌を J-STAGE に掲載した経緯及び技術的諸課題とその克服について報告する。現段階では全文 HTML 公開ではなく、PDF および、書誌 XML のみであるが、注と縦書きにおいて従来のその STM ジャーナルと異なる技術的課題があった。今後の人文系誌の全文 XML に向けてさらに記述規則などを整備する必要がある。
著者
杉田 依里 平澤 恭子 花谷 あき 鷲尾 洋介 戸津 五月 増本 健一 中西 秀彦 内山 温 楠田 聡 櫻井 裕之 大澤 眞木子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.E317-E322, 2013-01-31

BCG接種時に皮膚裂傷を来たしたことを契機にEhlers-Danlos症候群(EDS)と診断された超早産児の臨床経過について報告する。児は、母体の前期破水と絨毛膜羊膜炎のため、在胎期間27週6日、出生体重1100g、帝王切開で出生した。日齢1に左脳室内出血(IVH)I度を認め、日齢4には両側IVH II度へ急速に進行し、日齢17より出血後水頭症を認めた。脳室ドレナージ術のための予定気管挿管時に、胸膜下気胸を合併し緊張性気胸に進行した。また、日齢85の頭部MRI検査で出血後水頭症の所見に加えて、側脳室内側にくも膜嚢胞を認めた。NICU退院後の発達外来の定期経過観察では低緊張による発達の遅れが認められた。8ヶ月(修正5ヶ月)時、左鼡径ヘルニアの根治術を施行し、術中、皮膚切開創が自然拡大したエピソードがあった。9ヶ月(修正6ヶ月)時、外来でBCG接種を施行した際に皮膚裂傷を生じた。皮膚裂傷に対し、形成外科で縫合術と皮膚組織生検を行った。この病理所見とビロード状の皮膚や低緊張、関節可動域の亢進などの身体所見からEDSと診断した。新生児期の経過を再検討し、IVH、胸膜下気胸、くも膜嚢胞の合併は原疾患に起因する可能性があると考えられた。EDSの超早産児では、新生児期より組織脆弱性に起因する様々な合併症が起こり得ることが示唆された。
著者
佐野 史典 近藤 敏範 薄 聖子 林 清人 兵 るい 竹内 麻子 徳永 博俊 中西 秀和 和田 秀穂 杉原 尚
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.2409-2416, 2016-12-10 (Released:2017-12-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

60歳代,男性.中咽頭癌に対して放射線化学療法で寛解を得たが,貧血と白血球減少が出現し,血液内科へ紹介となった.骨髄不全症候群(低形成骨髄異形成症候群)と診断し,蛋白同化ステロイド薬で治療したが,効果は限定的であった.体格や食事量などからカルニチン(carnitine)欠乏症を疑い,レボカルニチン(L-carnitine)を補充したところ,Hbと白血球数は基準値まで改善した.癌治療後の骨髄不全症候群にカルニチン補充療法が有効である可能性が示唆された.
著者
高橋 収 田中 伸二 小国 隆 中西 秀樹
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.892-896, 1986-10-01 (Released:2012-03-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

フラジオマイシン(FRM)含有軟膏の大量使用が原因と考えられた両側感音難聴の2例を報告した。症例1は53才男子。たきびの火が着衣に引火し, 体表面積の70%(III度55%)の熱傷を受け, FRM含有軟膏を外用して総計38.5kgを使用した。外用開始約4ヵ月後より耳鳴の訴えがあり, 聴力検査で高音障害型の両側感音難聴を指摘された。症例2は18才男子。ガソリンの爆発で, 体表面積の70%のIII度熱傷を受け, 受傷後4週目頃より, FRM含有軟膏を外用し総計48kgを使用した。外用開始, 約5ヵ月後より耳鳴を訴え, 聴力検査で高音障害型の両側感音難聴を指摘された。2症例とも難聴は外用剤中止後も徐々に進行し, 約1年でほぼ全聾状態となつた。
著者
中西 秀 市川 正敏 坂上 貴洋
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

コーヒーの上に観察される白い膜状の湯気と、それに現れる亀裂の観察と理論的考察を行った。白い膜状の湯気は、空中で凝集した微小水滴が水面直上に浮遊しているもので、亀裂はその集団消滅であることが、顕微鏡による高速ビデオ観察で分かった。微小水滴の粒径はほぼそろっており、直径が10μmから30μm程度で温度とともに大きくなり、50℃以上の熱水表面で観察される。集団消滅は、一つの水滴の消滅により誘発され、水の表面波を伴って伝播する。その伝播速度は1~2m/sで波長1mm程度の表面張力波の伝播速度程度である。この現象は、熱水の表面状態に対して敏感ではなく、界面活性剤を加えても大きな変化は見られなかった。
著者
中西 秀彦
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.3-23, 2015

<p>00年代の出版印刷研究を,組版技術動向,出版印刷技術,印刷技術史研究に分けて論じる.組版技術は1980年代にはじまった電子組版技法が成熟したが,反面,日本語を電子的に扱う上で,文字コード問題が顕在化し,これに関する論考が数多く出された.出版印刷技術はオフセットではそれほど発展はなかったが,オンデマンド印刷技術が発達し,あらたな出版手段として出版界の期待を集め,研究が多い.出版技術史においては,活字の書体研究が非常な進展を見せた.しかし,印刷技術は電子出版の技術と分かちがたく結びつくようになり,両者を分離して論じる事は困難になってきている.</p>
著者
中西 秀之 樋口 ゆり子 川上 茂 山下 富義 橋田 充
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.12, pp.1433-1443, 2009-12-01 (Released:2009-12-01)
参考文献数
58
被引用文献数
3 3

Transposons are mobile genetic elements that move between or within vectors and chromosomes. For the transposition, an enzyme called transposase recognizes transposon-specific terminal inverted repeat sequences (IRs) located on both ends of transposons, and remove them from their original sites and, integrates them into other sites. Because of this feature, transposons containing genes of interest between their two IRs are able to carry the genes from vectors to chromosomes. Transposons are promising systems for chromosomal integration because they can not only integrate exogenous genes efficiently, but also be transfected to a variety of cells or organs using a range of transfection methods. In this review, we focused on the therapeutic application of transposons. A few transposons can integrate transgenes into mammalian chromosomes. They have been used in preclinical studies of gene therapy and cell therapy. In addition, they have recently been used for generation of induced pluripotent stem cells. Transposon-based integrative vector systems have two components. One is the transposon containing transgenes, and the other is the expression cassette of the transposase. Both viral and non-viral vectors have been used to deliver these two components to mammalian cells or organs, and sustained transgene expression has been achieved. Transposon-mediated sustained transgene expression has also produced therapeutic effect in disease models of hereditary and chronic diseases. Although transposon-based integrative vector systems have problems, such as insertional mutagenesis, studies to overcome these problems have been progressing, and these vector systems will become indispensable tools to cure refractory diseases.
著者
中西 秀彦
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.29-34, 2004-02-25
参考文献数
7

オンデマンド印刷は, 一般的には少部数・短納期のコンピュータを駆使した印刷技術と捉えることができる.ただし, 組版を印刷会社でおこなうことはコスト上問題があり, 多くの場合顧客データをそのまま印刷している.これは顧客と印刷会社間でのソフトウエアの共通認識がなければ困難でもある.機械のマニュアル類をデータベースに蓄積しておき, 必要があり次第印刷するといった本来の意味でのオンデマンド印刷は, それだけで会社が成り立つほど, 多くの需要がある.<BR>出版に目を向けると, 絶版本をスキャニングして蓄積するといった当初の試みは成功しなかったが, インターネット受注による個別の全集製作, 本屋の店頭でのオンデマンド印刷といった試みがなされている. しかし, まだ, 品質的, 価格的には実験段階であり, 商業ベースとして成功しているとは言い難い. 今後, 価格面での競争力向上が鍵だろう.<BR>オンデマンド印刷はコンピュータと密接な関係があり, 印刷機というより情報処理端末である. オンデマンド印刷の前提にはプリプレスのフルデジタル化があり, 今まではこのデータ生成そのものに苦労してきた. CTPの普及とともにフルデジタル化は達成されつつあり, これからオンデマンド印刷の新時代がはじまる. そして最終的にはオフセット印刷の代替品としてではなく, One to Oneマーケティングや弱視者のための大活字本といったオンデマンドでなければならない商品を生みだすことで, 新たな印刷技術として定着するだろう.
著者
時実 象一 黒沢 俊典 山田島 誠 宮川 謹至 亀井 威則 星 正道 中西 秀彦 楠 健一 武部 竜一 中原 康介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第12回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.25-28, 2015 (Released:2015-12-04)
参考文献数
4

学術論文流通のためのXML規格JATSは、国内電子ジャーナル・プラットフォームJ-STAGEでも採用されるなど、国際的に普及している。このJATSをベースとして、学術書籍を記述できる規格Book Interchange Tag Suite (BITS) が最近バージョン1.0として米国国立医学図書館 (NLM) より公開された。日本・韓国・中国などの書籍は、奥付など欧米の書籍と異なる慣習がある。また索引にも和文索引・欧文索引・混合索引などさまざまな形式があり、これらをXMLで適切に記述するためにはBITSの拡張が必要なので、検討して提案をおこなった。さらに、BITSの要素 (タグ) はJATSとの整合性を重視するあまり、論理的に問題あるレガシー要素名が見られるので、その改良も提言した。