著者
向 文緒 ムカイ フミオ Mukai Fumio 中川 与四郎 ナカガワ ヨシロウ Nakagawa Yoshiro 原 健男 ハラ タケオ Hara Takeo 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 杉村 公也 スギムラ キミヤ Sugimura Kimiya
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.40-47, 2011-03

大学内の社会資源を活用して、地域の社会資源と在宅精神障害者を結びつけ、在宅精神障害者の就労を促進する支援モデルを開発することを企図して大学内の社会資源を利用した実地訓練を含む「中部大学在宅精神障害者のための就労準備講座」を実施しその有効性を検討する予備的研究を行った。受講前後の受講生の認知機能と、心理社会機能、職業準備性を測定し、その差の検討を行い、参加状況による受講生の特性、各検査結果、終了時の受講生の振り返り内容を比較検討した。その結果、本講座が「注意の集中・維持機能」や「社会適応度」、「就労準備性の達成度と自信」の促進に良い影響を与える可能性があることが示唆された。他方、就労準備性を行動変容という視点から見たときには「支援を求め受ける力」、「働く場でのルール・態度」、「仕事に必要な作業遂行力」の促進のための課題があることが示唆された。また、参加状況による比較から、既存の就労継続支援B 型で適応している者にとって本講座は病状悪化を誘発する危険性を孕むものであること、既存の支援に適応しない群の中に本講座に適応する者がいること、病状類型と 「支援-増悪」 に関連があることが示唆された。
著者
濱谷 清裕 江口 英孝 伊藤 玲子 本田 浩章 小山 和章
出版者
公益財団法人放射線影響研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射線甲状腺発がんにおけるEML4-ALK融合遺伝子の役割を検証するために、不死化ヒト甲状腺上皮細胞の生体外X線照射実験とこの融合遺伝子を持つコンディショナルトランスジェニックマウスを用いた発がん実験を行った。X線照射では、線量に比例してEML4-ALK融合が形成されることより、原爆被爆者甲状腺乳頭がんでのEML4-ALK融合遺伝子は放射線により生じたものと示唆される。他方、得られたトランスジェニックマウスのEML4-ALK融合遺伝子発現レベルは高くなく、そのようなマウスでは甲状腺がんは形成されなかった。甲状腺発がんには、少なくともこの融合遺伝子の高レベル発現が必要であると考えられる。
著者
中島 久美子 伊藤 玲子 國清 恭子 荒井 洋子 阪本 忍 篠崎 博光 常盤 洋子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.327-340, 2011

<B>【目 的】</B> 妊娠期にある共働き夫婦を対象に, 妻が満足と感じる夫の関わりにおける夫婦の認識を明らかにし, 妻が満足と感じる夫の関わりを高める看護援助への示唆を得る. <B>【対象と方法】</B> 共働き夫婦3組を対象に, 妻が満足と感じる夫の関わりにおける夫婦の認識ついて半構成的面接法によりデータを収集し, 分析はベレルソンの内容分析法を参考に行った. <B>【結 果】</B> 共働き夫婦において妻が満足と感じる夫の関わりにおける夫婦の認識は, 【妊娠の知らせに対する喜び】【仕事の継続への理解と話し合い】【仕事や妊娠・出産に伴う心身への気づかい】【家事の分担】【親になるための準備】の5カテゴリーが抽出され, 共働き夫婦の認識の共通性および差異が明らかとなった. <B>【結 語】</B> 共働き夫婦が認識する妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わりにおいて, 5カテゴリーが抽出され, 共働き夫婦の認識の共通性および差異が明らかとなった. 妻が満足と感じる夫の関わりを高める看護援助として, 夫婦の間で気持ちの共有と夫婦の協働的な作業や良好なコミュニケーションが強化されるように夫婦に働きかけることが重要であると示唆された.
著者
高橋 恵子 多賀 正尊 伊藤 玲子 丹羽 保晴 林 雄三 中地 敬 楠 洋一郎 濱谷 清裕
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.324, 2010 (Released:2010-12-01)

原爆被爆者成人甲状腺乳頭がんの分子生物学的解析より、RET/PTC再配列と放射線量との有意な関連に加えて、遺伝子変異が未同定、即ちRET、NTRK1、BRAFおよびRAS遺伝子に変異を持たない甲状腺乳頭がん症例も放射線量に関係することが見出された。このことは、RET/PTC遺伝子再配列以外にも、放射線関連成人甲状腺乳頭発がんに関与する遺伝子変異が存在することを示唆する。 我々は遺伝子再配列型の癌遺伝子に焦点をおき、遺伝子変異が未同定の甲状腺乳頭がん症例に生じている遺伝子変異の解析を行った。その結果、甲状腺乳頭がんではまだ報告されていない新しい型の遺伝子再配列、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子の再配列を初めて見出した。被曝症例19例中10例にALK遺伝子再配列を見出したが、非被曝症例6例中にはいずれにもこの変異は検出されなかった。現在、ALK再配列のパートナー遺伝子を同定中である。これらの結果より、放射線関連成人甲状腺乳頭発がんにおいて、RET/PTC再配列および ALK再配列を主とする染色体再配列が重要な役割を担うことが示唆される。
著者
伊藤 玲子
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.21-25, 2021-02-01 (Released:2021-04-22)
参考文献数
16

It is expected that knowledge on the relationship between respiration and sports is beneficial for promoting both physical and mental health. With that knowledge, we can learn to exercise effectively every day. We supply oxygen to tissues by breathing. During exercise, respiration and circulation work closely together to carry oxygen to the mitochondria in muscles to generate energy. Exercise increases oxygen demand and carbon dioxide emissions. We increase the minute ventilation volume (MVV), thereby increasing V̇ O2 (oxygen consumption) as the exercise intensity increases. Endurance athletes exhibit higher levels of these parameters. MVV (maximum voluntary ventilation), which is a parameter used for evaluating the strength and endurance of inspiratory and expiratory muscles, improves after strength training. Strength training is thought to be effective in increasing the strength of the respiratory muscles. The combination of endurance training and strength training can improve lung function. Not only strengthening the respiratory muscles but also increasing the elastic contraction force of the lungs by training can improve respiratory ability. There are diseases in which sports affect lung function. Attention should be paid to exercise-induced asthma, vocal cord dysfunction, and COPD (chronic obstructive disease).
著者
石井 文子 安齋 有紀子 伊藤 玲香 小山 直人 北川 忠生
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.65-74, 2011 (Released:2014-03-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

The Yoshino diversion (Yoshino Bunsui) was established to supply irrigation water from the Yoshino River to the Yamato plain. In order to examine fish introductions through the canals of the Yoshino Bunsui, the genetic structure of 17 populations of dark chub Zacco temminckii collected from the Yamato and Yoshino rivers were analyzed and their mtDNA ND2 sequences studied. A total of 16 haplotypes were detected in 261 individuals, 6 haplotypes being present in both rivers. In the Yamato River, the shared haplotypes were found to be associated with the locations of inflows from the Yoshino Bunsui. On the other hand, the majority of haplotypes found in individuals from the Yamato River were not found in those from the Yoshino River. This study confirmed the secondary introduction of dark chub from the Yoshino River into the Yamato River via the Yoshino Bunsui.
著者
中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 沖 高司 オキ タカシ Oki Takashi 粥川 早苗 カユカワ サナエ Kayukawa Sanae 宮本 靖義 ミヤモト ヤスノリ Miyamoto Yasunori 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 井戸 尚則 イド ナオノリ Ido Naonori
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.68-75, 2012-03

小児期より比較的重度の身体障害がある在宅障害児・者に対する支援を具体化し、地域での生活を豊かにすることを研究目的とした調査の結果、リハビリテーション関係者による専門的な指導の不足が課題の一つであること明らかになった。本人・家族の幸福感や満足感を伴ったリハビリテーション関係者による支援とは、どのような要件が求められているのかを明らかにする事を目的とし、3組の家族の協力を得て現状評価を行い、若干の介入を開始した。結果、3症例ともに本人・家族が改善を希望している項目はICFによる「活動」の領域であり、「心身機能」との因果関係が深いことが分かった。しかし実際の介入は、心身機能に深く介入を必要とする者、生活環境を変化させ、好ましい日常活動の継続によって改善の期待が出来る者、適切な福祉機器やヘルパーの導入が必要と思われる者と、異なる対応が求められた。そして、3家族ともに温度差はあるものの、家庭への介入に対する抵抗感があり、育ててきたプロセスを否定されることへの恐れを感じとることが出来た。リハビリテーション関係者の専門的な評価と介入は、対象家族の生活スタイルを尊重する事から始まる。小児期から障害のある在宅障害者への介入は、それまでの経過をよく聞き取り、家族の思いに耳を傾けねばいけない。時間をかけて互いに協力関係を結びつつ、方向性を見定める態度が重要である。それらの事を前提条件として、専門家による適切な評価と介入が求められるのである。対象家族の人生を肯定し、共感し、専門的知識を持って具体的に生活環境への介入・支援を行うことが、リハビリテーション関係者に求められる支援の要件であることが分かった。
著者
中路 純子 ナカジ ジュンコ Nakaji Junko 沖 高司 オキ タカシ Oki Takashi 宮本 靖義 ミヤモト ヤスノリ Miyamoto Yasunori 伊藤 玲子 イトウ レイコ Ito Reiko 粥川 早苗 カユカワ サナエ Kayukawa Sanae
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.46-53, 2013-03

本稿では、2011年度に実施した評価に基づいて立案した介入プログラムを提示し、了承を得られた2家族に対して行った介入過程と結果に考察を加えて報告をする。症例Aは、複数のサービスを利用する生活スタイルであったが、機能的側面の評価に基づいた支援が生活の場に入っていなかった。理学療法士(以下PT)による身体機能の維持改善のプログラムの実施と並行して、作業療法士(以下OT)の評価に基づき、1 日常の座位姿勢管理のための車椅子用座位保持シートの作成 2 トイレ使用時の本人と介助者双方の負担軽減のためのトイレチェアの改良 3 食事介助の方法の統一による機能の維持・改善を提案・実施をした。症例Bは一日を自宅で過ごす生活スタイルであり、訪問PTを受けていたが、生活場面への評価・支援が入らず、OTによる生活の質への支援を必要としていた。日常生活の中で母親と楽しみながら行える活動・体操の紹介と、転倒防止のための具体的な工夫を提供した。2家族との関わりの中で、生活場面への介入は家族に負担感を与えることもあるが、ニードに沿った効果的な支援であれば十分に受け止められることを実感した。今回の介入により、在宅障害者に対する介護や支援には改善を加える余地が残されている現状があること、小児期からの障害に対しては、成長発達の時期を過ぎて日々の生活介護が必要な年齢になっても、リハビリテーションスタッフによる適切な評価と介入が機能維持と改善に向けて必要であることが示唆され、在宅障害者への支援の質の担保という課題があることを我々関係者に示したと言える。
著者
伊藤 玲子 小林 朋子 古川 典子 関山 忠孝 大木 隆史 平沼 久人 山口 賢二 服部 知洋 林 伸一 橋本 修
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.58-61, 2010-02-01 (Released:2010-06-14)
参考文献数
11

71 歳,関節リウマチ (RA) にて加療中の男性が発熱,呼吸困難のため入院となった.患者は infliximab (IFX) (260 mg) を毎月 1 回,約 1 年間投与されていた.胸部 X 線にて,両側性の浸潤影を認め, 入院時より重症の低酸素血症のため人工換気を要した.血清中 β -D グルカン値上昇と胸部 CT における全肺野に及ぶ地図状のすりガラス陰影の出現により,Pneumocystis pneumonia (PCP) と診断した.ST 合剤投与により速やかに臨床症状の改善を認めた.MTX, IFX 治療を行い免疫抑制状態となった患者にしばしば感染性肺炎や薬剤性肺炎による急性肺障害が発症する.長期に免疫抑制治療を行っている高リスク患者においては,鑑別診断として PCP を念頭に置く必要がある.また,発症予防としての ST 合剤の投与も検討すべきである.
著者
濱谷 清裕 伊藤 玲子 江口 英孝 早田 みどり 早田 みどり 江口 英孝
出版者
財団法人放射線影響研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

放射線関連成人甲状腺乳頭癌の遺伝子変異に関する特徴を明らかにするため、発癌の初期段階に生じる遺伝子変異に焦点を当て解析を行った。被曝線量の増加に伴い、RET遺伝子の3'部位が別の遺伝子の5'部位に結合したキメラ遺伝子(RET/PTC再配列)を持つ症例の頻度が有意に増加し、他方散発性(放射線被曝のない)成人甲状腺乳頭癌で頻繁に検出されるBRAF点突然変異を持つ症例は有意に減少することを見出した。