著者
佐々木 哲也 中垣 慶子 佐栁 友規 真鍋 朋子
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ヒトの脳では、新生児から子供の時期にかけてシナプスが急速に増えた後、大人になるにつれて減っていく。自閉症患者の脳では、シナプスの刈り込みがうまくいかず、余分な神経回路が残っていると考えられている。私たちは霊長類であるマーモセットを使って自閉症の原因に迫ろうとしている。まずマーモセットの脳で「刈り込み」が起こっていることを確認し、さらにバルプロ酸を妊娠しているサルに与えて自閉症の症状を示す霊長類モデルを作り出すことに成功した。本研究では、その脳でシナプスの「刈り込み」が不十分であることを見つけた。ヒト自閉症脳の特徴を反映したサルを用いることで、新しい治療法の開発に貢献できると期待される。
著者
堀越 和夫 鈴木 創 佐々木 哲朗 川上 和人
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.3-18, 2020-04-23 (Released:2020-05-16)
参考文献数
58

小笠原諸島の絶滅危惧種アカガシラカラスバトColumba janthina nitensの個体数は非常に少なく,その個体群の存続には侵略的外来種であるネコの捕食圧が大きく影響していると考えられていた.このため,諸島内の最大の有人島である父島では,2010年から島内全域でネコの捕獲が行われ,2013年頃にはその個体数が当初の10分の1以下になったと考えられている.また,集落域では飼いネコの登録や不妊去勢の推進が行われ,ノラネコの個体数も減少した.そこで,ネコ対策の効果を明らかにするため,一般からの目撃情報に基づき2009年から2017年におけるアカガシラカラスバトの個体数と分布の推移を明らかにした.その結果,個体数は夏期/冬期,山域/集落域を問わず,2012年から2013年に大幅な増加が見られた.また分布域は2009年には山域や集落の一部に限られていたが,2017年には集落域の8割および山域の6割まで拡大し,繁殖域は当初の分布面積の2倍に拡大した.これら個体数の増加,分布域と繁殖域の拡大時期は,山域でのネコ個体数が最少となり,また集落域の野外の個体数も減少した時期であった.一方,2014年以後はハト個体数の増加傾向が見られなくなっているが,この時期は山域のネコの個体数が回復傾向にある時期と重なっていた.以上のことから,アカガシラカラスバトの集団の回復にはネコ対策が効果的であると言え,今後トラップシャイ個体の効率的な捕獲手法を開発する必要がある.また,この鳥は頻繁に島間移動するため,他島での対策も進める必要がある.
著者
佐々木 哲也 天内 大樹 下澤 嶽 ササキ テツヤ アマナイ ダイキ シモサワ タカシ Tetsuya SASAKI Daiki AMANAI Takashi SHIMOSAWA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.23, pp.151-160, 2023-03-31

大学生協は、法令に基づき、学生や教職員らの組合員により組織された機関によって民主的に運営されている。多くの大学生協は全国大学生活協同組合連合会や各地の事業連合に加盟しており、これらの組織から支援を受けつつ、専従の生協職員を雇用して事業を行っている。これにより多様なサービスの安定的・効率的な供給を実現させている一方で、機関運営と事業運営とが隔てられ、組合員による機関運営の役割や裁量は限定的なものとなり、ガバナンスの形骸化という組織運営上の問題を抱えている。 静岡文化芸術大学生活協同組合(以下、文芸大生協)では、2021年度に当時雇用していたパート職員が文芸大生協の資産を不正に取得する被害が発生し、これに対して、損失の処理、情報公開、不正の再発防止などの対処を行った。同様の不正の被害は全国の大学生協で散発しているものの、過去の事例を参照できず、文芸大での不正の対処は困難を極めた。また、不正の再発防止において対策にかかるコストや役員の負担などの難しい課題を残すなど、大学生協のガバナンスの問題を浮き彫りにした。 本稿では、文芸大生協での不正とその対処を事例として報告した上で、大学生協のリスク管理の改善には、全国・地域単位での多層的なガバナンスの構築と、大学の主体的な関与が必要であることを提示する。
著者
佐々木 哲也 ササキ テツヤ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.19, pp.187-196, 2019-03-31

静岡文化芸術大学(以下、本学と略記)は、開学以来、主に地震に重きを置いた防災対策に取り組み、東日本大震災以降は内容を拡充して継続している。この防災対策のうち、2018年に作成した教職員用の防災マニュアルは「いざという時、しっかりと役に立つこと」を目標とし、WEBでの公開も含めた情報共有の強化、災害発生時の閲覧のしやすさへの配慮、学内の防災訓練との一体的な運用等の特徴をもつものとなっている。本稿は、本学及び同様の境遇をもった他大学の防災対策の発展の一助となることを目的として、本学の防災対策を実務的な観点から整理して報告するものである。加えて、防災対策の現状を踏まえ、今後の本学の防災対策の課題として「防災の取り組み体制の全学化」と「他大学との広域的な連携」の2点を提示する。
著者
加納 幹雄 佐々木 哲也 藤田 宏明 星 誠司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.11, pp.9-16, 1994-01-25
被引用文献数
2

ライフゲーム(fe ga)は平面を格子に分割し、この格子のいくつかに石を置き、これを決まった規則で次々に変化させ、その生物の生死を連想させる石の配置の変化を楽しむゲームである。ここ.ではこれを次のように3つの観点から一般化する。.これにより元のライフゲームとはかなり違う動きをする興味深い新しいライフゲームがいくつか見つかった。()平面は合同な3、5、6角形に分割することもできる。これらの分割においても同様なゲームができる。()4角形の格子分割においても、また他の分割においても、各セルにおいてこれに隣接するセルにはいくつか接し方がある。接し方によって異なる影響を与えるとしてセルの受ける影響を評価する。()ある、ないの2状態から、ない、子、親の3状態があるとしてゲームのルールを定める。Life game can be generalized by combining the following three new ways: (i) The plane can be partitioned into not only squares but also triangles, quadrilateral, pentagons and hexagons. We play new life games on these partitions. (ii) Suppose that the plane is partitioned into n-gons. Then we call each n-gon a cell. For every cell C, some cells D touch C in several ways. So we estimated influence upon C from the touching cells under the assumption that the infuence of D depends on how to touch C. These new estimation give us new life games, at any time each cell is child, adult or dead. By combining these three new idea, we can define a lot of new life games, which are called Life games of Ibadai type. We found some interesting life games of Ibadai type.
著者
佐々木 哲朗 堀越 和夫
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.155-171, 2008-03

南硫黄島周辺海域において、貝類、甲殻類および魚類の動物相調査を行った。同定作業は継続中であるが、現在までに27科53種の貝類、4科9種の甲殻類、22科63種の魚類を確認した。確認種は南硫黄島からの新記録種を多数含むが、多くは小笠原群島にも分布する種で占められていた。
著者
佐々木 哲也 本田 尚 山口 篤志
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ワイヤロープの疲労破壊はこれまで表面素線が先行すると考えられていたが、IWRCロープでは、内部の素線が先行する場合のあることが明らかになっている。そこで、本研究では各種IWRCロープについてS字曲げ疲労試験を行うとともに、ワイヤロープ素線のフレッティング疲労試験を行った。その結果、フィラー形とウォリントンシール型ではどちらも内部の損傷が先行するが、その損傷形態には大きな違いがあることが明らかになった。またフレッティング疲労には、素線に作用する繰返し引張荷重の大きさよりも素線同士の圧縮力の方が大きな影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
佐々木 哲也 ササキ テツヤ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.193-206, 2021-03-31

2020年の新型コロナウイルス感染症(以下 、COVID-19と略記)の感染拡大を受けて、静岡文化芸術大学(以下、本学と略記)では、学内の感染拡大防止と構成員の安全確保のため、大学構内への立入制限、遠隔授業の実施、諸行事の変更等の対応をとった。学生支援の分野では「全学生に対して漏れなく学修機会を提供すること」を最重要課題とし、SNSやWEB会議システムを活用した学生支援や窓口業務の遠隔化・電子化等に取り組み、平常時の業務の改善や非常時の対応能力の向上に繋がる経験を得た一方で、非常時の学生支援に関する脆弱性や課題が明らかとなった。本稿では、COVID-19に関する対応を開始した2020年1月から、大学構内への立入制限を解除した同年9月までの間の本学の学生支援の取り組みを報告し、同年7月に実施した緊急学生生活調査の結果等からコロナ禍が学生にもたらした影響を論述する。さらに、OVID-19に関する対応の経験を踏まえ、非常時における学生支援の課題として「大学IRと統合的な危機管理体制の構築」「組織と情報環境のレジリエンスの向上」「学生の危機管理能力の育成」の3点を提示する。
著者
佐々木 哲也 下澤 嶽 ササキ テツヤ シモサワ タカシ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.17, pp.205-218, 2017-03-31

本学では、2015年12月3日に静岡文化芸術大学生活協同組合(以下、本学生協)を設立した。生協設立の運動そのものは、学内の福利厚生の拡充を求める教職員と学生により行われたものであるが、本学も、福利厚生の充実、食堂・店舗の運営の安定化及び大学活動の活性化を目的として、生協設立に積極的に関与した。本稿では、生協設立の過程、開業初年度の状況及び生協設立により得られた成果を報告する。さらに、一連の取り組みから得られた知見として、大学が抱える諸課題の解決において生協設立が有効な手立てとなり得ること、また、生協設立においては、教職員・学生の自治意識と大学の当事者意識が重要であることを提示した。
著者
成瀬 貫 藤田 喜久 佐々木 哲朗 山田 鉄也
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.38, pp.87-90, 2014

小笠原諸島父島の二見湾湾口部に位置する口之瀬沖水深46mより、エクレアナマコ1個体が発見されたので報告する。これは本種の小笠原諸島初記録であり、また北半球においては沖縄島に次ぐ記録である。
著者
佐々木 哲也 下澤 嶽 ササキ テツヤ シモサワ タカシ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.17, pp.205-218, 2017-03-31

本学では、2015年12月3日に静岡文化芸術大学生活協同組合(以下、本学生協)を設立した。生協設立の運動そのものは、学内の福利厚生の拡充を求める教職員と学生により行われたものであるが、本学も、福利厚生の充実、食堂・店舗の運営の安定化及び大学活動の活性化を目的として、生協設立に積極的に関与した。本稿では、生協設立の過程、開業初年度の状況及び生協設立により得られた成果を報告する。さらに、一連の取り組みから得られた知見として、大学が抱える諸課題の解決において生協設立が有効な手立てとなり得ること、また、生協設立においては、教職員・学生の自治意識と大学の当事者意識が重要であることを提示した。